今回のタイトルはアナグラムです。エロあり。
リクエスト作品です。お風呂に入るふたりの話。
どうぞお納めくださいませ!(*´∀`*)書いていて超楽しかったです!
リクエスト作品です。お風呂に入るふたりの話。
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<スサゥイイレーントス>
その日のシュウはどうしても読み終えたい本があると言って、朝から延々ソファの上で、マサキには中身が微塵も理解できそうにないほどに難解な数式が並ぶ書物を読み耽っていた。
何をするでもなく、マサキは夕方まで過ごした。
午前中はシュウの隣でもたれかかるようにして、時々、その手元の本に目を落としたりしながら、ぼうっと過ごした。稀に話しかけてみれば返事がある辺り、シュウなりに来客を放置して読書に耽溺している自分に対する後ろめたさはあるようだった。
昼食はサンドイッチ。冷蔵庫の中にあった野菜とパン、そして肉がないことを見越してマサキが持ち込んだスモークチキンで作った。本を読みながらでも食べられるようにという、マサキなりのシュウへの配慮だった。
午後から夕方にかけてまで、マサキは寝室で眠った。
うっそうと繁る林の中にある山小屋風の一軒家は、寝室、書庫、リビング兼ダイニングルームにバス・トイレ・キッチンと、家主であるシュウにとって必要最低限の部屋と設備しかなかった。その手狭さの理由をマサキがシュウに訪ねてみたところ、主にひとりきりで思索に耽りたいときに使用している建物なのだという。だからこれ以上の広さは必要ないのだとか。
こうした建物をシュウがどれだけ所有しているのかマサキは把握していなかったが、シュウ曰く、「支援者《パトロン》たちが勝手に用意してくれるものなので、私としては正確な数はなんとも」という類のものであるらしい。流石は元大公子。広域指名手配犯に指定されながらも、身柄を拘束されることなく生活できるだけの人脈を有している男だけはある。
そんな寝室のベッドはキング・サイズ。いついかなる場所でも、基本的にシュウのベッドはこのサイズだ。
ひとり寝には広過ぎるんじゃないかとマサキはそのサイズを揶揄したものだったけれども、本人としては、『昔からこのサイズのベッドで寝るのが習慣づいてしまっているからこそ、他のサイズのベッドだと落ち着かなくなって寝付くのに時間がかかってしまようになる』からこその、仕方のない処置であるらしい。
ひとりで寝るには広過ぎるベッドは、ふたりで寝るには丁度いいサイズで、マサキはそういった意味ではこのサイズのベッドを気に入っていたりもする。そんな静かな寝室で窓を開け放して、柔らかな風に身体を撫でられながら、広く、柔らかいベッドの上で眠る……その最高の贅沢はマサキを長い時間、ベッドに落ち着かせてしまったようだ。目が覚めれば、日差しは西に傾きかけていた。
夕食の支度を始めるまでにはまだ時間もあるし、さてどうしよう。寝返りを打つのも忘れて眠ってしまっていたに違いない。柔らかいベッドで休んだ割にはぎくしゃくする身体を、ストレッチでほぐしながらマサキは少し考えて――そうだ、散歩に行こうと思い至った。
朝方、早く目が覚めたシュウが、ひとりで付近の散策をすることがあるのをマサキは知っていた。知っていて、敢えてベッドの中で寝たふりを続けたこともあった。その散策をシュウがひとりでやりたそうな感じであったからだ。
短ければ三十分程度、長ければ二時間にも及ぶその道のりが、どんなものであるのか見てみたい。マサキは、シュウに出かける旨を伝えて外に出た。
魔装機を使わずにただ歩いて散歩をすることなど、マサキは滅多にしない。それだけ|風の魔装機神《サイバスター》での移動はマサキにとって日常的なものであったからだ。そして徒歩では決して辿り着けない街や村、遺跡を眺めて帰ってくる。ただの森や林、平原といったものに、マサキの好奇心は動かないのだ。
それを敢えてしてみると、思った以上に沢山の発見があった。普段は気にも留めない草花の美しさ。そこに集う昆虫や動物たち……自然界のありふれた、けれどもマサキにとっては目新しい営みがそこにあった。
その面白さにかまけて随分遠くまで足を運んでしまったようだった。空の雲行きが怪しくなったかと思うと、後はあっという間。ぽつぽつと降り出した雨は、少しもしない内に本格的な雨となり、帰路を急ぐマサキの身体をずぶ濡れにしてしまった。
ようやくマサキがシュウの待つ家に帰り着く頃には、辺りはすっかり夜の帳に包まれていた。
「帰りが遅いと思って心配していれば。ほら、服を脱いで。丁度、夕食とお風呂の支度ができたところです。身体も冷えたことでしょう。先にお風呂を済ませてしまいなさい」
読書に耽り出したが最後。日常生活の全てを疎かにしてやまない家主は、驚いたことに夕食の支度のみならず、風呂の準備まで済ませて、マサキの帰宅を待っていたのだという。驚天動地どころの騒ぎではない。「どういう風の吹き回しだ。お前が夕食と風呂の支度をするなんて」脱衣所で濡れた服を脱ぎながらマサキが訊ねれば、シュウはその着替えの服を用意しながら、
「半日近くあなたを放置してしまいましたからね。このぐらいは私がすべきかと」それにしても、とシュウは続けた。「サイバスターで出たと思っていたのですが、どうしてそんなにずぶ濡れに?」
「歩いて散歩に出たんだよ。お前、偶に、朝やってるだろ。何を見てるのかな、って思って」
その瞬間、背後からシュウの手が伸びてきたかと思うと、今まさにバスルームに足を踏み入れようとしていたマサキの身体を絡め取った。そして耳元で囁かれる。「ねえ、マサキ。私も一緒に入ってもいいですか?」
「お前にしては珍しいことの連続だな。別にいいけど、何で」
元来、シュウは他人に自分の肌を見せたがらない性格だ。それは胸の傷跡を見せたくないという理由もあったのだろうが、それ以上に、育ちの良さからくるものであるようだった。
性行為の最中に脱いで見せることはあるのだ。だのに、それ以外の時間で、ふたりきりにも関わらず、シュウはマサキに肌を見せるような真似をしないのだ。真夏日の陽気だろうが、腕やくるぶしまで覆う衣装を身に纏ってみせるのだから、これはもうそういった倣い性であると考えるしかない。
そんなシュウが一緒に風呂に入ると言ってのけたのだから、マサキが驚かない筈もなく。
「そんな理由を聞いてしまって、私があなたを放置できる筈がないでしょう」
首筋に軽く口を付けられて、マサキは肩を竦めた。「こんなに冷えて」名残押しそうに離れた手がバスルームにマサキを押し込む。「先ずはシャワーを浴びて雨を洗い流しましょう」
それから少しもしないうちにバスルームに入ってきたシュウと一緒に、マサキはシャワーを浴びた。髪から腕、足。マサキの全身をシュウの手が愛撫するように洗い流す。その最中に、マサキは何度かシュウに口付けをねだった。それだけ、シュウの手のひらの感触が心地よかったからだ。
そこからバスタブへ。男がふたりで身を収めるのには、せせこましいバスタブだったけれども、シュウの胸に背中を預ける形でマサキはその中に収まった。
時折、シュウの口唇がマサキの髪や耳を喰む。それ以外の時間はゆったりと湯に浸かっているだけだったけれども、いつもは冷えた感触を伝えてくるシュウの肌が、シャワーで温まった後だったからだろう。とにかく、たったそれだけのことなのに、マサキには全身が心地よく感じられて仕方がない。
食事を飛ばしてそのままベッドに直行したいほどに、マサキの気分は高まっていた。
「ねえ、マサキ」
沈黙を破ったのはシュウだった。手を掴まれて、後ろ手にシュウの男性自身へと導かれる。愛撫の間に昂ぶりをみせていた男性自身。その温もりをマサキは手のひらに感じ取った。
「挿れては駄目?」
「ここで……? 狭くないか。それに逆上《のぼ》せるだろ」
「大丈夫ですよ。私が我慢できそうにないのですよ。ほら……」
腰を浮かされて、あてがわれたシュウの男性自身がゆっくりとマサキの中に挿入《はい》ってくる。マサキはバスタブの縁に手を付いた。そんなマサキの身体を背後からシュウが抱く。そうして、甘い沈黙がふたりの間に訪れた。
<了>
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