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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

Much Ado About Love!(2)
明日も17時終業なんですって!
何故それを前日になって云う……

なので明日の更新も多分ありません。筆を錆びさせないように裏で作業はしますが!

スケジュールの進行的に三月中にはインモラルを片付けねばならないのですが、それをやるとなると、今週中にはこの話を終わらせないとならない訳ですよ。

なんで?

四月にイベントシリーズの最新作を書きたいんです。そして五月と六月で書き下ろしというかいい加減出せっつーのな物理の本の原稿をやろうと思っているのです。だから終わらせたいんですけど、らぶらぶって難しいデスね……マサキのイメージを壊したくないんですよねえ。それを保ちながららぶらぶさせるの、ホントに難しい!!!!!


<Much Ado About Love!(2)>

 何が好きなの。シュウはマサキに尋ねた。お前。と、即座に返ってくる答えに、シュウは幸福を噛み締めた。薬の効果がピークを迎えているのだろう。続けてまた好きだ好きだと云いながら、今度は額だの瞼だの頬だのに立て続けに口付けてくるマサキに、それだけ? シュウは更なる言葉を引き出すべく重ねて尋ねた。
 酔ってシュウを求めてくることがあっても、どこかで正気を保っているのではないだろうか。「好き」以上の言葉を口にすることのないマサキは、どこがどう好きなのかといった肝心な部分についてはとことん口を噤んでみせる。
 そうした彼の本心に迫る言葉が、今なら聞けるではないだろうか。シュウは微かな期待を胸に秘めつつ、マサキの言葉を待った。お前さあ。マサキの潤んだ瞳が、熱っぽくシュウを見詰めている。なあに。シュウは我ながらマサキを子ども熱いをしていると思いながら、続く言葉を促した。
「いや、別に大したことじゃねえよ。本当に綺麗な顔してるよなあ……って」
 そう口にしながら愛おし気にシュウの顔を撫でてくるマサキに、何かに付けてはすかしているだのいけ好かないだのと云いたい放題な普段の彼の態度が思い起こされる。それも彼なりの愛情表現であったのだろう。シュウは衝動的にマサキを抱き締めたくなるのを堪えながら、更に続くだろう彼の言葉を促した。
「褒めてくださるのは嬉しいですが、あなたにとっての私の価値は顔だけですか」
 まさか。と、シュウに口付けてきたマサキが、何でも出来るもんなあ。羨望と誇らしさが入り混じった表情で言葉を継いだ。
「そんなお前がこんなに近くにいる。俺のことが大事て仕方がないって顔をして。これが嬉しくない筈がないよな」
 首に回された腕に力が篭る。艶やかな笑顔。光が満ち溢れんばかりに輝ける彼の顔が、シュウの髪に埋まった。俺のものだ。万感の思いが込もった一言がマサキの口唇から洩れ出る。
 少しばかり掠れているのは、込めた気持ちの強さだ。
 自分の気持ちや感情を言葉にするのが苦手な少年が、心に秘めていた本音。それはシュウの理性を吹き飛ばした。好きですよ、マサキ。シュウはマサキの身体を力一杯抱き締めた。これ以上とない多幸感がシュウの脳を溶かしてゆく。
 ずうっと、そうずうっと。シュウはマサキを自分のものにしたかった。
 気紛れで自立心が強いマサキは、シュウと付き合うようになってからも、その素っ気なさを改めることはしなかった。いつでも好きだと愛の言葉を囁くのはシュウの方で、マサキはそれを知ってると受け入れてみせるだけ。だからシュウはマサキが好意とは別次元の感情で自分に付き合っているのだと思ってもいた。
 精神的に逞しい彼は、だからこそ他人に寛容だ。彼のお人好しな面にしても、許容範囲が広いからである。頭に血が上ると視界が狭くなることもままあったが、基本的には大局的。シュウはマサキの長所にして欠点に思いを馳せた。彼はそういった性質であるが故に、押しに滅法弱い。厄介事をそうと知りながら請け負ってしまうのも、押しの弱さが原因だ。
 ――だから私は、マサキの好意を疑ってしまうのだ。
 敵だったシュウに身体を許すようになるまでさして時間のかからなかったマサキは、愛や恋といった感情に囚われて生きているようには思えなかった。態度が変わることが滅多にない。性行為の間に乱れてみせても、それが終われば元通り。利害の一致をみたのではないかとシュウをして疑らせるまでに、マサキは情事に対してもドライだ。
「好きですよ、マサキ」
「俺も、好きだよ。シュウ」
 精悍さが窺えるようになった彼の顔が、こんなに緩んでいるのを見るのは初めてかも知れない。シュウはマサキに口付けた。愛してる。揺らめく瞳でシュウを見詰めてそう囁きかけてきたマサキに、更にシュウの理性が剥がれ落ちた。
 この状態のマサキを抱いたら、彼はどういった反応をしてみせるのだろう? シュウは貪欲な己の性《さが》に苦笑しつつも、二度とはない機会を何もせずに済ませることなど出来そうにないと、私もですよ。そう告げながらマサキの耳朶を食んだ。
 あ。と声を上げたマサキの身体を引き上げて、露わとなった喉元に吸い付く。既にその気になっていたこともあってか、素直にシュウの腕に身を任せてくるマサキに、時に深く、時に浅くとシュウは幾つもの濃淡異なる紅斑を刻んだ。
 普段は痕が残ることを気にしてばかりなマサキだったが、流石に今日は咎めてきたりはしなかった。むしろ、所有の証として喜んでいる節さえある。ああ、ああ。シュウ。早くも一段階高くなった喘ぎ声を発するようになったマサキに、その身体をシュウは腿の上で返した。




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