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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

ボタンの行方(7)
久しぶりにやってしまいました。プロット通りに話が進みませんでした。私の書くザッシュはどうしてこう……修正可能な範囲ではありますけど、副題の意味がなくなってしまいました。どうしましょうかね、これ。汗
  
魔装に全く関係ない話なんですけど、サガフロ1のリマスター盤発売の報せというヒャッハーな出来事が先日起こったじゃないですか。イトケンが浜渦さん作曲のサガフロ2の音楽を演奏したので、もしかしたらサガフロ2のリマスターも期待出来るかも知れない!と、もうテンション爆上がりなんですよ。他にもちょっと色々あって同人女としては創作意欲が滾る今日この頃なのです。
 
ということでザッシュが追い詰められすぎた結果色々とアレな回です。このシリーズ全四部の予定(ALL is VANITYを除いて)なんですけど、こんな調子でうちのザッシュはマサキを諦め切れるのですかねえ。汗 今回も長いのでご注意を。
 
そしてぱちぱち有難うございます!そのお陰で頑張れます!(*´∀`*)
<ボタンの行方>
 
 情報局で彼と顔を合わせてから半月の間に、ザッシュは二度彼女と会った。
 一度は見合い話を持ち込んできた親族の住む街にある公園で、彼女が作ってきたランチを食べながら二時間ほどの時間をともに過ごし、もう一度はラングランの城下街に彼女を招いて、有名なスポットを紹介しながら四時間ほどの時間をともに過ごした。
 最初の見合いの席では両家の顔合わせという意味合いもあり、ふたりで話を出来る時間は限られていたものだったが、控えめでたおやかな中にも芯の強さを感じさせる女《ひと》だとザッシュは彼女のことを感じたものだ。可憐な野に咲く一輪の花のように、温かみを感じさせる容姿。そして、吹き荒れる風にも折れることのない強《したた》かさ。彼女とだったら穏やかで温かい家庭を築いていけるだろう。剣技の腕を確認する機会には恵まれていなかったものの、そうした彼女に対する自分の評価に間違いはないようだと、ザッシュはその後の二度の顔合わせで確信めいた思いを抱くに至った。
 気の早い親族は他にも寄せられている縁談の中から何人かの候補を選び抜いて、その釣書をザッシュの元に送り付けてきたものだったが、どれもいかにも良家の子女といった女性ばかり。ヴァルハレビア家を切り盛りする能力には長けていそうではあったが、それだけだ。ザッシュは妻となる女性には、自分と肩を並べて歩くか、自分の前を歩くかのいずれかであって欲しいのだ。そういった意味で、彼女ほどの能力と才能を有する女性にはそうそう巡り会えそうにはない。
 ザッシュは思い悩んでいた。
 三度と彼女と顔を合わせてしまった以上、早急に返事をしなければならない。
 二百年前に本家と分かたったとはいえ、ゼノサキス家の血統を有する家柄。これ以上の良縁は望むべくもない。それだのに思い悩んでしまうのは、消すに消せない面影がザッシュの心を支配して止まないからだ。
 彼女と穏やかな時間を過ごせば過ごしただけ、恋しくて仕方がなくなる。
 恋は理屈ではないのだと賢《さか》しい言葉を吐いたのが誰であるのかザッシュは知らなかったけれども、それはとても真理を突いた言葉であったのだと感じ入らずにはいられない。忙《せわ》しなさにかまけて顔を合わせる機会に恵まれないマサキの姿を思い浮かべて、ザッシュは官舎の自室のベッドの上で深い溜息を吐き出した。もう何度、こうして溜息を吐き続けているかもわからない。
 過去を振り切って前に進むことを選択したのは自分である筈なのに、昇華しきれない想いが胸の奥に激《たぎ》っている。それは天より下る雷《いかずち》のようにザッシュの心を切り裂くのだ。マサキに会いたい。会って話がしたい。話が出来さえすればいい。自分はそれだけで落ち着ける。会えば会ったでそれ以上を望んでしまう自分がいるのを知っていながら、それでもザッシュは望まずにいられない。ただ会いたい。そして今も尚、変わらず仲間であることを確認したい。
 ザッシュに甘い顔をする叔母たちは「何だったらもう少し期間を引き伸ばして貰ってもいいのよ」と、ザッシュの迷いに気付いているかのように擁護してくれたものだったが、その言葉に甘えてしまえるほどザッシュは自分の立場に責任を感じていなくはないのだ。
 ここで決められなければ、結局、同じことの繰り返しになってしまう。誰と会おうと、どれだけの時間を過ごそうとも、捨てきれない想いにザッシュは返事を先延ばしにしてしまうだろう。或いは縁談を断ってしまうに違いない。そうならない為には、踏ん切りを付けられるだけの何かが必要なのだ。
 ――もっと決定的な何かが欲しい。どうしようもなくなるほどに決定的な何かが。
 かといって、それがマサキからの完全なる拒絶となるのは嫌なのだ。そうまでされてしまっては、ザッシュは魔装機操者としての役割すら果たせなくなってしまう。父の汚名を雪《そそ》ぐ為にも、任務は任務として割り切って挑んできたつもりのザッシュだったけれども、自分の感情が絡む問題まで割り切れるほどには成熟していないのだ。
 自分の気持ちはどこかに歪《ひずみ》を生み出してしまう……それはこれから得る家庭であるかも知れなかったし、既に得ている魔装機操者としての立場であるかも知れなかった。いずれにせよ、ザッシュがこの恋心を捨てきれない限り、今後に平穏はない。わかっているのに時間を進めてしまった自分の愚かさを、ザッシュは今更に後悔する。
 またひとつ溜息を洩らす。
 彼女を待たせる訳にはいかない。彼女とて妙齢の女性なのだ。しかも、遠縁とはいえゼノサキスの家名を背負った。自分以外にも相手は吐いて腐るほどいるに違いない彼女を、いつまでも自分にだけ拘束しておく訳にはいかないだろう。それだけの重みがその名にはある。
 ドンドンッ、と連続して力強く扉を叩く音。また営舎をともにする兵士の誰かが自分の縁談を揶揄しに来たに違いない。ザッシュは億劫に感じながらもベッドから身体を起こした。ラングラン城下街でザッシュと会った彼女の姿は、少なからずラングラン王都に詰める兵士たちの目に触れてしまっていた。彼らはザッシュの縁談がどういった結末を迎えるのか興味津々だ。「綺麗な女性じゃないか。決めちまえよ、ザッシュ」親しい兵士たちの口から、そんな風に無責任な言葉が吐かれるのをザッシュは何度聞いたことか。
「今日は出来れば放っておいて欲しいと言ったのに、誰なんだか」
 愚痴りながら扉を開く。今日の非番の面子を思い浮かべながら、相手の大体の検討を付けたザッシュは、扉の向こう側から姿を現した思いがけない人物に目を見開いた。
「よお。悪いな、大変な時期に」
「マサキさん」
「ちょっとな、話をしたいことがあって」
「操者の特権を使って入り込み過ぎですよ、ここに」
 どうぞ、と室内にマサキを招き入れながら、ザッシュはやりきれない思いに臍を噛む。今日は出来れば顔を合わせたくなかった……会いたいとあれだけ強く望んだ相手の到来を嬉しく感じながらも、抱えずにいられない後ろめたさ。彼女の側からは既にこの縁談を進めたいとの返事を得てしまっている。だからこそザッシュは真面目に今日一日を、その答えを導く為に費やそうとしていたのに。
 自分の笑顔は不自然に固まってはいないだろうか。テーブルの上に大判の紙を開くマサキを眺めながら、ザッシュは不安になった。得意のポーカーフェイスにぎこちなさを感じてしまうほどに、ザッシュはマサキの登場に動揺してしまっている。それをマサキにだけは見透かされたくない。
「物置を漁ってようやく見付けたんだ」
「家系図……ですか。ゼノサキス家の」
 テーブルの上に広げられた紙をザッシュが覗き込んでみれば、びっしりと書き込まれた系図がそこにある。頂点に君臨する祖の名はランドール。ゼオルートがマサキに与えた名の元である伝説の剣豪だ。そこから幾つにも分かれた枝が裾に行くほど広がっている。
「そう。エランのこともあったしな。なきゃおかしいってテュッティが言うから探したんだ。そっから系図屋に持って行って最新版に直して貰ってな。あのおっさん物ぐさなのか、随分更新をサボってたみたいでさ。だから時間がかかっちまったんだけど、幸い系図屋のおっさんが覚えててくれてて。いつ来るか待ってましたよ、なんて言われちまった」
「どうしてこれを僕に?」
「お前の今の見合い相手ってゼノサキス家の遠縁を名乗ってるんだろ。疑うのは良くねえが、はっきりさせられるならさせておいた方がいいと思ってな。まあ、向こうには向こうでちゃんとした家系図があるとは思うんだが、念の為にもこっちの家系図と突き合わせておいた方がいいだろ」
 マサキの指が広がりに広がった家系図の一点を指す。プレシアからは大分離れた位置にあるその名前は、紛れもなくザッシュの見合い相手である彼女のものだ。家系図を辿って行くと、直系からは七代前に分かれた傍系だとわかる。
「思ったよりは遠いんだな。でも、絶えちまった家系も多い中で、きちんと血統を守ってきた優秀な家系らしい。系図屋のおっさんが言ってたよ。能力を守ろうとすると、近しい関係で縁を結びやすくなるから絶え易いんだと」
「そうですね。それは確かに。ヴァルハレビア家も、元々はうちが本流ではなかったですしね。父の出世があったからこそ、今は本家扱いされていますが……」
「ザノサキス家だって似たようなもんだって聞いたぜ。でもまあ、こうして家系図も見付かったし、身元が大丈夫なのは間違いない。後はお前の気持ちだけだ、ザッシュ。どうするんだ、お前?」
 自分の気持ちを知っていながら、なのに残酷な質問をさらりとしてのけるマサキに、ザッシュは初めて彼を憎々しいと感じた。鈍感な振る舞いの目立つマサキであるけれども、わかっている他人の気持ちぐらいは尊重してくれるものだと思っていたのに、これではまるで厄介払いのようではないか! 自ら前に進む決心をしておきながら、身勝手にもザッシュはそう思ってしまう。
「――……どう、するんでしょうね。僕は」
 上手く言葉に出来ない自分の気持ちを、ザッシュはどうマサキに伝えればいいのかわからない。歯痒さに悔しさ、もどかしさにままならなさ。理屈では説明出来ない感情が、ザッシュの胸の内に渦巻いている。
 家柄的にも人間的にも能力的にも不足のない相手。これ以上を望めない相手。永久《とわ》の伴侶に相応しい存在を獲得出来る状態にあるというのに、自分の気持ちが追い付いてこないのだ。その現実を、どうして想いを懸ける当の本人たるマサキにザッシュが打ち明けられよう。
 ザッシュはただただ嫌なのだ。
 理由などなく、嫌なのだ。
 いつまでもこのまま、マサキの傍で仲間として生きていきたい。叶わない恋心を抱えて、それでも傍で生きていきたい。いつだって、どこだって、彼が望めば応じ、馳せ参じられる自分でいたい。その為には独りでいる方が楽に決まっている。でもそれは許されてはならない願いなのだ。
 父カークスの行いによって泥を被ったヴァルハレビア家の家名。その汚名を雪《そそ》ぐ為にも、ザッシュは子孫を残さなければならない。そして、彼らにこれからのヴァルハレビア家を盛り立てて行って貰わなければならない。すべきことは山積みだ。それをザッシュはこれから背負って生きて行くと決心した。だというのに!
 心に棲むどうにも制御出来ない感情が、ザッシュの理性を突き崩す。
「どうすればいいと思います、マサキさん。僕は、どうすれば」
「それはお前が決めることだろ、ザッシュ。他人に答えを求める問題じゃない」
「だったら聞かないで下さいよ!」
 ザッシュはマサキの両肩を掴んだ。掴んで、少しだけ上背の高いマサキの顔を見上げて、「僕が欲しいのはあなたなんですよ、マサキさん!」そして力の限り叫んだ。誰の耳も憚ることなく叫んだ。
「それが叶わないとわかっているから、僕は自分の気持ちに区切りを付けようと決めたのに、あなたはどうしてそんな風に僕の将来を問えるんですか!」
 目の奥がかっと熱くなる。見る間に滲み出す視界に、涙が頬を伝った。後は雪崩を打ったよう。見開いたままのザッシュの瞳から、まるで濁流のようにとめどなく涙が溢れ出る。床に滴り落ちる涙。激しく流れ落ちるそれをザッシュは拭おうとは思わない。こんな状態になって尚、ザッシュはマサキから目を離したくないのだ。
「僕はあなたの心に誰が住んでいるか知っている。知っていて対抗したいと思った時もあった。でも出来ないんですよ、マサキさん! 僕はあの人とは違う。あんな万能には僕はなれない!」
 十指に及ぶ博士号に剣技の才能だってある。どんな才能が他に眠っているか知れたものではない。その万能さがザッシュには怖いのだ。畏れを感じずにいられないほどの超越的な存在。人は神にはなれない。だが、神に近付くことは出来るのだ。そう思わずにいられない出自と能力を欲しいがままにして、彼は世俗から身を引いた位置からこの矮小な世界を見下ろしている。
 その彼が選んだ世界の覇者。歴史に名を残すに違いない風の魔装機神が操者、マサキ=アンドー。どうしてガルガード如きの操者たるザッシュがマサキを手に入れられたものか。想いを告げることすら烏滸がましい。そう考えてしまうほどのやりきれなさがザッシュの身を焦がす。ザッシュがマサキに感じているのは単純な愛情ではないのだ。
「わかっているんですよ、そんな事は! わかっているのに、それでも僕はあなたが欲しくて欲しくて仕方がない。手に入れたければ自分の物にだってしたい。そう望まずにいられない。そんな自分が僕は恐ろしくてどうしようもないんです!」
 冷ややかに、冷徹に、相手を射抜くように見下してみせる彼の視線をザッシュは思い返す。自分はとてつもなく恐ろしいことをしている。そう感じさせるだけの迫力ある眼差し。そんな彼が赦して止まないマサキという存在を、自分の想いでザッシュは汚してしまっている。それは神に喧嘩を売っているようないたたまれなさをザッシュに覚えさせるのだ。
 けれども、それでもザッシュはマサキを諦め切ることなど出来ない。
 彼に対して意地を張り切れないのにも関わらず、マサキを求め続けてしまう矛盾。行くも地獄なら引くも地獄だ。だったらいっそ地獄の業火に焼かれて死んでしまいたい。叶わない想いにこの身を裂かれ続けなければならないのであれば、マサキの記憶に穏やかで無邪気な自分が数多く残っている内に、この世から身を引いて安寧の世界へと旅立ちたい。そう、ザッシュは、これ以上の無礼をマサキに働きかねない自分がいるのを知っているからこそ、そう考えずにいられないのだ。
「悪かった、ザッシュ……俺が不用意な事を言った」
「謝るのなら最初から言わないで下さいよ!」
 気まずそうに顔を伏せたマサキが、搾り出すように言葉を吐く。不遜な態度が目に付くことも多いマサキにしては上出来の謝罪だ。長い付き合いにのザッシュにはわかる。けれどもザッシュの気持ちは収まらない。
「何度だって言います。僕はあなたが好きなんです。自分ではもうどうにも出来ないくらいにあなたの事が好きなんです。だからどうか、その僕の気持ちを見ない振りをしないで下さい。僕だって人間なんですよ、マサキさん。そんな扱いをされて耐えられるほど、僕は人間が出来てはいないんです!」
「だけど、ザッシュ。俺はお前のその気持ちには」
「わかってます。応えられないって言うんでしょう。でもそれと見て見ぬ振りをするのは違う。有るものを無いものには出来ないんです。僕はあなたの目の前に存在しているあなたを好きなひとりの人間です。心が生きているひとりの人間なんです。その僕の気持ちを尊重しながら、僕と仲間として付き合ってゆくのは難しい事ですか? 僕はそう聞いているんですよ、マサキさん!」
「そんなの俺に出来ると思ってるのか、お前は! 大体、それをどうやって俺に叶えろって言うんだ!」
「簡単な事ですよ。僕の気持ちに目を瞑らなければいい。僕があなたを好きでいる事。たったそれだけの事を許してくれればいいんです。そうすれば自ずと態度は付いてくる。そういうものですよ、普通は」
「ひとつ許せば次を求めるのが人間だ。欲深さに限りはないだろ。お前がそうならない保証なんてどこにもないんだ、ザッシュ」
「言いますね、マサキさん。そりゃあ僕だって人間ですからね。欲はありますよ。あなたが欲しい。あなたの全てが欲しい。あなたを好きな以上、そう望んでしまうのは仕方のない事です。でもね、マサキさん。僕がどれだけの歳月、その欲望を抑えて生きてきたと思ってるんです? これでも僕はヴァルハレビア家の人間だ。前将軍カークスの嫡男で魔装機ガルガードの操者だ。その自尊心《プライド》を甘く見ないで欲しいものですね。僕の自制心はそんな簡単に壊れてしまうようなものじゃない」
 いつしか流れ出る涙は止み、ザッシュの視界を明瞭なものとしていた。途惑い、困惑するマサキの表情がありありと瞳に映っている。しまった、とザッシュが思ったところで時既に遅し。感情の赴くままに言葉を吐き過ぎた――。言葉を失ってただ立ち尽くすだけのマサキに、ザッシュは自らの手をその肩からそっと剥がす。
「僕はあなたに僕の気持ちを認めさせてみせます。そうでなけれればこの恋心に意味はない」
 そしてザッシュはマサキに背を向けた。テーブルの上に広がったままの家系図を折り畳む。
「申し訳ありませんが、今日は帰って頂けませんか、マサキさん。今日の僕は感情的なようです。でも、僕はあなたに謝るつもりもないんです。こんな状態では話を続けられないでしょう」
 その家系図をマサキの手に掴ませる。これはもう必要のないものだ。マサキに暗にそう伝えるようにザッシュは家系図を掴ませたその手を握った。「無くしたりしないで下さいね、マサキさん。これだってゼノサキス家の大事な財産なんですから」
 ザッシュは自分の気持ちを決めたのだ。進むべき道も、やるべきことも。
「済まなかった、ザッシュ。出過ぎた真似をした」
 そう言い残して部屋を後にするマサキの背中が扉の向こうに消えて行くのを、ザッシュは黙って見送った。これだけの啖呵をマサキに対して切ってしまった以上、もう後戻りは出来ないのだ。一抹の不安が胸を過ぎる。けれどもそれを上回る清々しさがある。
 穏やかな秋の陽光が、室内に差し込んで、辺りを照らし出している。
 ――もっと自分自身の気持ちを大切にして、足掻いてみてもいいんじゃない……。
 諦めきれないのならば、とことん自分の気持ちと向き合うまでだ。その果てに待っているのが例え絶望でしかなくとも、足掻けるだけ足掻いてやる。ザッシュはセニアの言葉を思い返しながらそう思った。
 
 
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