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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

VIPPER白河~逆転のアポカリプス~<4>
何故白河がトドの画像を集めているのかというと、マサキに似ているからなのだそうです。ええ、主に腹回りが。(前回ネタ)きっとその辺のことで後々また痴話喧嘩をしたのでしょうが、今回はそういったことには全く触れないまま話が進むのです。
<4>
 
 マサキが慌てて振り返ると、そこにはシュウだけでなく、その影に隠れるようにして小さくなっている甲児の姿もあった。
「見た、なんてもんじゃないんだけどな……お前はさておき、どうして甲ちゃんが」
「ほら、見なさい」シュウが背後に隠れている甲児の肩を掴み、マサキの前に突き出す。「友情を微塵も疑わないこの態度を」
「これはこれは安藤正樹サマ。本日もご機嫌麗しゅう……」
 マサキの前に押し出された甲児は、背中を屈めて上目遣いで揉み手をしながら、マサキの機嫌を窺うように言った。この態度で甲児を怪しまない方がどうかしているというものだ。「まさか、甲ちゃん」
「そのまさかですよ。この不届き者は、シャワールームを覗くだけでは飽き足らず」
「いやいやでもですよ、御大尽様。例の画像はちゃんとマサキに許可を取って撮ったもので」
「あああああああ!? 思い出した! 甲ちゃん、新しいハンディフォンを買ったとか言って」
 それは三日ほど前の話である。補給に立ち寄ったコロニーの休憩時間を使って、甲児はバッテリーの調子が悪くなったついでと新しいハンディフォンを購入していた。それもただのハンディフォンではなく、海の中でも通話ができるというのが謳い文句の完全防水仕様。そのハンディフォンに付属している様々な機能を使いたくて仕方がなかったらしい甲児にどうしてもと頼まれて、マサキは何枚か写真を撮らせたのだ。
 完全防水が果たして真実なのか知りたいだけならば、別に被写体など必要ないといえば必要ないのだが、高解像度だの手ブレ補正機能だののあれもこれもの機能も一度に知りたいとのこと。甲児にだったら見られて困るものでもなし、とマサキはシャワールームでのヒトコマも甲児に撮らせてしまっていた。
 ところが本質的に大雑把で不器用な甲児のこと。出来上がった写真の数々は、手ブレ補正機能程度でどうにかなるような代物ではなく、折角の高機能ハンディフォンの無駄遣いとしか言い様のない有様。どこれもこれもピンボケ甚だしい写真ばかりだったのだから、マサキが今の今までその写真の存在を忘却していたのも無理はない。
「許可を取って撮ったものだからといって、それを使ってネットで小遣い稼ぎをしていい筈がないでしょう。今回は私が偶々気付いたからよかったものの、そうでなかったらと思うと」
「いや、しかしですね御大尽様。だからってメールアドレスまで変更させるなん」
 
「しかしも、もしもも、まさかもありません。やるなら他の操縦者《パイロット》でどうぞ」
 
 えー……マサキは何をどう言えばいいか迷った。
 
 
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