「リーダーは誰だ?(長尾一弘/あさ出版)」読了。
簿記の勉強をしている関係で、最近は会計学にも興味が出てきて、そういった本を探すことも増えてきたのですが、図書館だと会計・財務は経営と密接に関係しているということもあり、自然とそういった本が目に入る機会が増えました。
そこで、「もういい年齢だし、こういった本にも目を通してみるのもいいのではないか?」と試しに手に取ってみることにしたのがこの本。経営する会社の後継者を次世代社員から選ぶために、それぞれの部署から代表者を選出し、彼らの資質を見極める為に、月に一度、会社の将来のビジョンに対する企画経営会議をさせるという小説仕立ての経営コンサル書です。
小説仕立てですので、通常の経営コンサル書よりは格段に読みやすく、話の内容がすうっと頭に入ってきます。
まあ、単純に、私がいい加減違うジャンルの本も読みたいと思っただけの話なのですが。
リーダー候補として選出された社員は二十代から四十代まの男女社員と幅が広く、またそれぞれの部門に通じていることもあり、読んでいて多角的な視点から会社というものを見ることができます。
会社にあるあるな事件の数々、それに彼らがどう対応するのかといった日常的な部分もふんだんに盛り込まれており、テーマの硬さとは裏腹に「わかるわかる」と共感しながら読み進めることができます。そういった経験を通じて会社を背負うということについて考えを深めていく社員たちが、会社の将来にどういったビジョンを描いていくのかがこの小説の肝。
経営・経済小説にありがちな堅苦しい文体ではなく、誰でも気軽に読み進められる文体で書かれていることから、他人にも勧めやすい経営コンサル書だと感じました。実際のコンサルでもこういったわかりやすさを重視するものなんでしょうかね?
コンサルと聞くと、専門知識に通じたコンサルが専門用語を駆使してアドバイスをするような場面が思い浮かびがちですが、この小説にはそういった場面はありません。勿論、リーダー候補の彼らはその部門に通じている社員たちですから、多少はそういった専門知識が必要になる用語が出てくるともありますが、そこはリアリティの範疇。
数々の現場をコンサルティングしてきた著者の経験が如何なく発揮されているなと感じたのは、年代別の社員の書き分け方。若い社員はやはり若さがありますし、年齢を重ねた社員には年齢を重ねた分の重みが感じられます。役職に応じた考えの深度の違いもまた明確に書き分けられていて、非常に良質なビジネス小説だと感じました。
これは簡単なように見えて、実際には難しいことです。世に溢れる小説で、きちんとこういった世代差を書き分けられている小説は少ないのではないでしょうか。記号的な若者や年寄り、中年が出てくる小説は山ほどあれど、等身大のそれらをきちんとひとつの作品内で書き分けられている小説は中々ありません。(だからこそ小説はフィクション足り得るのですが)
この作品にはそれがある。
勿論それは作者の経験あってこそなのですが、例えば会議に参加させられた社員たちが何を喋っていいかわからずに黙り込んだり、ひとつの結論が出たことで議論が停滞してしまうシーン。これ、実際の会社ではあるあるですよね。でも小説でこういった場面が描かれることは中々ありません。場面が動かないからこそ数行で終わるシーンでもあるでしょう。
そこをきちんと書いている。そういった一般社員にも「ある」と思わせるリアリティは素晴らしいものだと感じました。できればこの会社の一年後、二年後、そして新たなリーダーが会社を牽引していく世界を読みたいと感じました。続編、若しくは、この形式でまた違った経営コンサルのリアルを書いていただきたいものです。
個人的には次世代のリーダーには玉田さんがいいかなーと思ったりもしましたが、吉沢社長が引退する頃にはちょっと年齢的に厳しいですかねえ。
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そこで、「もういい年齢だし、こういった本にも目を通してみるのもいいのではないか?」と試しに手に取ってみることにしたのがこの本。経営する会社の後継者を次世代社員から選ぶために、それぞれの部署から代表者を選出し、彼らの資質を見極める為に、月に一度、会社の将来のビジョンに対する企画経営会議をさせるという小説仕立ての経営コンサル書です。
小説仕立てですので、通常の経営コンサル書よりは格段に読みやすく、話の内容がすうっと頭に入ってきます。
まあ、単純に、私がいい加減違うジャンルの本も読みたいと思っただけの話なのですが。
リーダー候補として選出された社員は二十代から四十代まの男女社員と幅が広く、またそれぞれの部門に通じていることもあり、読んでいて多角的な視点から会社というものを見ることができます。
会社にあるあるな事件の数々、それに彼らがどう対応するのかといった日常的な部分もふんだんに盛り込まれており、テーマの硬さとは裏腹に「わかるわかる」と共感しながら読み進めることができます。そういった経験を通じて会社を背負うということについて考えを深めていく社員たちが、会社の将来にどういったビジョンを描いていくのかがこの小説の肝。
経営・経済小説にありがちな堅苦しい文体ではなく、誰でも気軽に読み進められる文体で書かれていることから、他人にも勧めやすい経営コンサル書だと感じました。実際のコンサルでもこういったわかりやすさを重視するものなんでしょうかね?
コンサルと聞くと、専門知識に通じたコンサルが専門用語を駆使してアドバイスをするような場面が思い浮かびがちですが、この小説にはそういった場面はありません。勿論、リーダー候補の彼らはその部門に通じている社員たちですから、多少はそういった専門知識が必要になる用語が出てくるともありますが、そこはリアリティの範疇。
数々の現場をコンサルティングしてきた著者の経験が如何なく発揮されているなと感じたのは、年代別の社員の書き分け方。若い社員はやはり若さがありますし、年齢を重ねた社員には年齢を重ねた分の重みが感じられます。役職に応じた考えの深度の違いもまた明確に書き分けられていて、非常に良質なビジネス小説だと感じました。
これは簡単なように見えて、実際には難しいことです。世に溢れる小説で、きちんとこういった世代差を書き分けられている小説は少ないのではないでしょうか。記号的な若者や年寄り、中年が出てくる小説は山ほどあれど、等身大のそれらをきちんとひとつの作品内で書き分けられている小説は中々ありません。(だからこそ小説はフィクション足り得るのですが)
この作品にはそれがある。
勿論それは作者の経験あってこそなのですが、例えば会議に参加させられた社員たちが何を喋っていいかわからずに黙り込んだり、ひとつの結論が出たことで議論が停滞してしまうシーン。これ、実際の会社ではあるあるですよね。でも小説でこういった場面が描かれることは中々ありません。場面が動かないからこそ数行で終わるシーンでもあるでしょう。
そこをきちんと書いている。そういった一般社員にも「ある」と思わせるリアリティは素晴らしいものだと感じました。できればこの会社の一年後、二年後、そして新たなリーダーが会社を牽引していく世界を読みたいと感じました。続編、若しくは、この形式でまた違った経営コンサルのリアルを書いていただきたいものです。
個人的には次世代のリーダーには玉田さんがいいかなーと思ったりもしましたが、吉沢社長が引退する頃にはちょっと年齢的に厳しいですかねえ。
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