忍者ブログ

あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

江神二郎の洞察/有栖川有栖
を読んだので感想を。
ちなみに私はどちらかといわなくても江神派です。
1)瑠璃荘事件
 
「あれ?有栖川有栖ってこういう作家だったっけ?」と思ってしまった瑠璃荘事件。初期の作品なのだろうか。文章を読んでいて、やはり古めかしい学生像というのが抜けない。今でもそういった学生は少なからず存在しているんだろうと思うのだけれども、そういった学生と触れ合う機会がないからだろうか。
虚無への供物が入部のきっかけだったというのは面白い。(私が虚無への供物を読んだのは二十歳も後半に入ってからだけれども)
 
2)ハードロック・ラバーズ・オンリー
 
今では絶滅指定ジャンルな気がしなくもないハードロック。個人的には解釈の続きを書いて欲しかった作品。彼女は一体何者なのか?その解釈は正しかったのか?が知りたい。
 
3)やけた線路の上の死体
 
あるある的なトリックだけれども、だからこそ、有栖川有栖の作品は「解きながら読む」が正しいのだろうな、と思った作品。私は解かない人なので(何の為に読んでるんだと聞かれればそれまでなのですが、人間やその関係を読みたいのです)、今度からもう少し真面目に解くことを意識して読んでみようかな、と考えさせらえた。
 
4)桜川のオフィーリア
 
探偵役の命題にチャレンジ。その1。
あんまり詳しく書くとネタバレになってしまうので、ここまで。
 
5)四分間では短すぎる
 
こういう与太話大好きヾ(o´∀`o)ノこの短編集の中では一番のお気に入り。子供の頃は誰しもがやったことがあるんじゃないかと思うロジック&言葉遊びに満ちていて面白い。一番、彼らの学生らしさを身近に感じられた作品としても高評価。こういった話で盛り上がれていた学生時代が懐かしくなった。
 
6)開かずの間の怪
 
再読したくて、一緒に高田崇史の千波くんシリーズを借りてきていたのですが、困ったことに記述者が怪奇現象が苦手なパターンが被ってしまっていて、ちらちら脳裏を掠めて仕方がなかった。そういう意味で比べてみると、やはり年代で学生らしさというのは変節していくものなのだな、と。(ここからネタバレ)
江神が最初から決めつけで行動していたので、怪奇現象そのものを細かく読んでいなかった私は、「何で髪の毛の長さぐらいで怖い話になるんだ……それこそ錯視じゃないの?」と。読み返したら男だったのね……怪奇現象のパターンとしては女の子の人形だろうという、私の思い込みの所為で、最後のどんでん返しが全く怖くなくなってしまったという……
 
7)ニ十世紀的誘拐
 
自分にとっての二十世紀とは何だろうな、と訊かれたら、やはりパソコンだ。とにかく先が見えない勢いで技術が進化していった時代だというのは間違いない。今の世の中は過渡期にあると思う。その中でこれに目を付けたということは、やはり時代が古めなのかな、と思ったのだけれど、そもそもが彼らの学生時代が元号が変わる時期だった。それは意識にも差が出て仕方がない。二十世紀的というよりも、昭和的、と言った方が絞り易かったかも。
 
8)除夜を歩く
 
肝心のミステリの部分よりも、江神や有栖の素顔ともいうべき二人の語らいの部分の方が面白く感じてしまう辺り、私は歪んだ推理小説ファンだと思う。
江神シリーズの長編を読んだのは随分昔のことなので、すっかりあらすじを忘れてしまっていて、再読の必要性を感じた作品。
 
9)蕩尽に関する一考察
 
探偵役の命題にチャレンジ。その2。
何かをするつもりなのだろうけれども、何をするつもりなのかはわからなかったというか、そこを楽しみにして読んでいるので、ああ成程、と思ってしまうこの読み方をなんとかしないと。
 

 
有栖川有栖ももうそんな年齢なのかと後書きを読んで考えさせられた作品。ちょっとの世代差が意識差にも通じるので、年齢を重ねれば重ねるほどノスタルジーにも浸りにくくなるというか……。なんというか、最近の若い人の作品を読みたいな、と思わされた短編集だった。でも、若い推理作家って育ってるのかなあ。
 
意識差を埋めたくて、チャットで若い子と話をしたりしてみているんだけれども、チャットをする若い子がアレなのかわからないけれども、とにかく言葉が足りなくて困る。(こそあどで話が通じたら苦労は要らない)私はどちらかというと長文志向なので、チャットそのものに向かないと言われてしまうと仕方がないのだけれど。
PR

コメント