@kyoさん20周年おめでとう記念祭
今回のリクエスト内容は「シュウマサ前提のテリウス×マサキ」となっております。
お待たせしました!
やっと話が本題(エロ)に向かって進みましたよ!
デートの締めはやっぱりHですよね!そしてI(愛)が生まれるのですよ!って、これはシュウマサ前提なので、そんなことは天地が引っ繰り返ってもない訳ですが!笑 ということで、本文へどうぞ!
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デートの締めはやっぱりHですよね!そしてI(愛)が生まれるのですよ!って、これはシュウマサ前提なので、そんなことは天地が引っ繰り返ってもない訳ですが!笑 ということで、本文へどうぞ!
<アカイイト(4)>
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ラングランの城下をふたりで巡り終えるころには、もう夕刻。山と買い物袋を抱えたマサキは、酔ったまま買い物を続けていた所為か、疲労がピークを迎えていた。
長い遠征から帰って来たばかり。その疲れも取れない内に、テリウスの剣の相手をし、酒をしこたま飲み、これだけの買い物袋を抱えるほどに歩き回ったのだ。体力がなければ務まらないのが戦士という職業とはいえ、さしものマサキにも体力には限りがある。
対して、テリウスは飄々としたもの。
緊張感のある生活という意味では、頻繁に教団に狙われているらしいテリウスの方があるに違いない。そう、精神的な疲れが溜まる方が、肉体的な疲れが溜まるよりも、身体には堪えるのだ。にも拘わらず、マサキと顔を合わせた時と変わらない歩調で先を往くテリウスに、もしかすると彼はその生活すらも楽しんでいるのかも知れない……そう思ったマサキはそろそろ限界も近いと声を上げた。
「なあ、テリウス。今度の金は俺が出す。どこかでちょっと休まないか。もしお前に用事があるっていうなら、ここで解散でもいい。いい加減、疲れ過ぎて歩くのが辛くなってきちまった」
「疲れた? 君が?」テリウスは振り返り、買い物袋を地に下ろして足を休めているマサキを見た。「そんなに歩いたかな、僕たち」
「俺が疲れるのがそんなに悪いか。こっちは任務から帰って来たばっかなんだよ。それをお前は剣の練習に付き合わせるわ、酒に付き合わせるわ、仕舞いにゃ買い物まで」
「あー、ごめん、マサキ。そうだった。君たちには魔装機操者としての任務があるんだっけ」
まるで普段の自分たちは優雅に日常を過ごしているとでも云いたげなテリウスの言葉に、マサキは面白くなさを感じたものだったが、それをここで云っても仕方がない。
実際、シュウなどは、優雅に日々の暮らしを送っているように見えたものだった。
独りで気ままに過ごしているシュウとマサキは何度も顔を合わせていた。それは魔装機を疾《はし》らせている時であったり、剣の修行で山に籠っている時であったり、こうして街で買い物をしている時であったり、或いは彼の家であったり……シチュエーションは様々だったが、用事があってその場にいるマサキと異なり、シュウはただ当てもなく日常を過ごしているだけなことが多かった。
教団に命を狙われている上に、地底に限らず地上でも指名手配犯《おたずねもの》扱いをされている男にとっては、ただの散策もリスクを伴う行為である筈なのに。その割には自由に各所に出入りしている感のあるシュウ。もしかするとシュウはマサキが考えているよりも自由な日々を送っているのかも知れない。
現に彼は気紛れにマサキを誘ってみせたものだ。
先程の店にしてもそうだ。誘われてともに食事をした店。城下にはそうしてふたりで行った店がそれなりにある。
今となってはマサキの方が城下には通じている筈であるのに、シュウはマサキの知らない店を数多く知っているようだった。どれもが品の良さや居心地の良さを感じさせるものばかりであったのは、彼の嗜好がそうしたものであるからだろう。その中には、日頃から城下に出入りしていなければ気付けないような隠れ家的なものも数多く、もしかすると彼は日常的に城下に足を運んでいるのかも知れないなどとマサキは思ったものだった。
頭《かしら》であるシュウからして、そんな気ままな生活を送っているのだ。彼に従っているテリウスたちが、気ままに生きていないとどうして云えたものだろう。
「じゃあ、君のその荷物、ひとつ僕が持つよ」
片手で巨大な買い物袋を抱えているテリウスは、マサキの前に立つと、空いている手を差し出してきた。「流石にそれは」とマサキは固辞しようとするも、テリウスは大丈夫と云ってきかない。
「大丈夫だよ。ちょっと歩く程度だから。身体を休めるのに丁度いい場所を知ってるんだ」
棒になりつつある足に、マサキは折れた。
荷物のひとつをテリウスに渡し、大通りを折れて、ひとつ奥に入った通りへと。マサキはテリウスの後を付いて行った。
たったひとつ大通りから入っただけの道であるにも関わらず、人影は大分数を減らしたものだ。城下で暮らす人間にとっては、こういった通りこそ日常であるのだろう。庶民的な店が多い。
そこからまた道を折れて、細い通りの一角。細々とした造りの店が軒を並べる区画は、マサキも以前足を運んだことがある場所だった。それもひとりではなく、シュウに連れられて――。
大衆酒場と酒屋に挟まれたこじんまりとした入り口。そうと知らなければ民家と間違えてもおかしくない平屋根の三階建ての建物は、余程の年数を使い込まれてきたと見えて、壁も屋根も煙突も煤《すす》が目立ったものだった。
その建物の前でテリウスが足を止める。マサキは見覚えのある建物に嫌な予感がしたものの、まさかと即座に打ち消す。
――シュウが自分とこういった建物に入る時の目的は、彼らと入る時の目的とは異なっている筈だ……。
フロントが見えるようにという配慮からだろう。通りに面した壁にガラス製の扉。年季を感じさせる鉄製のプレート看板を脇に掲げて営業を続けている建物の正体は、食事の提供のない安宿《モーテル》だった。
以前、シュウと来た時と変わらず、余計なことを一切喋らない愛想のないフロント。テリウスは手早く先払いの会計を済ませると、「ほら、マサキ」と悪気を一切感じさせない表情で、渡された鍵をマサキに渡してきた。そして両手に荷物を抱えたまま、割り当てられた部屋に続く階段を上って行く。
まさか、そういった思い出のある宿だから入りたくない、とも云えない。
きっと、テリウスは疲れたマサキが少しでも寛いで休める場所を、と思って宿を選んだだけなのだ。他意はないに違いない。マサキはテリウスの後ろを少し離れて歩いて、その部屋の前。先に着いて待っているテリウスの目の前で、渡された鍵を使って扉を開いた。
きちんと整えられてはいるものの、狭く、埃っぽい室内。ベッドがふたつに、テーブルと二脚の椅子。そこに洗面所とシャワールーム、そしてトイレがあるだけの簡素な部屋。最低限の設備しかないのは、金に乏しい若者や、その日暮らしの労働者といった、金銭的な事情を抱えた者たちがメインの客層だからなのだと、シュウはマサキに語って聞かせたものだった。
「シャワーを浴びるかい、マサキ。さっぱりすれば疲れも取れるかも知れないよ。それともベッドで少し仮眠を取るかい。この後に魔装機の操縦もあるんだろ?」
恐らくは情報収集などで地方などに行った際に、こうした宿泊施設を利用することもあるのだろう。テリウスは簡素な室内に慣れた様子で、窓際にあるテーブル近く床の上に抱えてきた買い物袋を下ろしながら云った。
「ああ、ならシャワーでも浴びさせて貰うかな……酒が残ってるのか、頭がぼんやりする」
「眠いんじゃないかな」
「そうかもな。悪い、先にシャワー貰うぜ」
人ひとりが立って身体を洗うのがやっとのシャワールーム。洗面所の籠に脱いだ服を突っ込み、マサキはシャワールームに入った。シャワーのコックを捻ると、ここにはきちんとお金を掛けているようだ。早速とばかりに熱い湯が流れ出てくる。
何度か利用したことのある宿に、まさかテリウスと一緒に来ることになるとは。
ふと気が緩むと思い出してしまいそうになる淫靡な感覚。シュウと食事や買い物をともにした後は、必ずと云っていいほど身体を求められたものだ。
部屋のタイプは違えど、そうした目的で足を踏み入れたことのある宿。そこに相手を違えて自分が居る。マサキはシャワーに頭を突っ込んだ。柔らかく髪を撫でる手や、肌を伝う指先。濡れた舌に硬く反り返った男性器――……ここに居れば居ただけ、様々なことを思い出してしまいそうになる。
――ほら、マサキ……。
身体はどうしようもなく疲れを訴えているのに、醒めてしまう意識。これは一度仮眠を取らなければ収まりそうにない。マサキは手早く髪と身体を洗い流して、少しだけでも仮眠を取ろうと部屋に戻った。そしてそのままベッドに倒れ込む。
椅子に身体を休めていたテリウスが、そうしてベッドに横になったマサキに「寝るのかい?」と訊ねてきた。
ああ、と生返事をしてマサキは目を閉じた。「なら僕もシャワーを浴びて来ようかな」部屋の中を動く足音が、窓際から洗面所へと。程なくして聞こえてくるシャワーの音。それを子守歌代わりに、マサキは深い眠りへと落ちて行った。
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