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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

【LUV 4 U】被虐の白日(六)【R18】
お楽しみシーン回です。笑
次回で終わる予定ですが、終わる気配がまるでないですね!笑



<被虐の白日>

「煩えな……さっさとやれよ」
 また明日も、自分は倦怠感を抱えることになる。
 わかっていても止められない。マサキはシュウの手を引いた。引いて、操縦席へと腰を下ろした。覆い被さってくる彼の身体の重みが心地いい。額に、こめかみに、頬に、耳にと、ところかまわず口付けられながら、ジャケットとシャツを脱がされてゆく。
 続けて吸われる首筋。甘やかな愛撫に紛れて微かに走る痛みは、シュウが紅斑を刻んでいるからだ。
「あんま……見えるところに、付けるな……」
 いつからかはもう忘れてしまったが、シュウは当たり前のようにマサキの肌に紅斑《キスマーク》を残すようになった。首筋に、胸、腰ときて、太腿。鏡を見て確認出来る部位に付けられる分にはまだいい。それと気付かず背中に付けられた時は酷いことになった。シャワーを浴びようとした際に、プレシアが脱衣所に入ってきてしまったのだ。稚い彼女は悲しいことに、兄の背中の惨状を目の当たりにして、毒性の強い虫に刺されたのだと思い込んだようだ。お陰でマサキは暫くの間、病院に行くようにとしつこく彼女に云われ続ける羽目に陥った。
「御冗談を。それが醍醐味なのに」首筋から鎖骨へと、舌を滑らせていたシュウが顔を上げて微笑《わら》う。
「確信犯かよ。救えねえ」
「あなたが誘ったのですから、その手の文句は封じておくのですね」
 その表情が意地悪めいたものに映るのは、彼の目が滅多なことでは閉じないことと無関係ではないだろう。
 そう、シュウは笑う時に目を閉じることがなかった。稀に目を細めることはあるが、その程度。視界に必ず相手の顔を収めて笑う彼は、まるで寝首を掻かれるのを恐れているようにも映る。けれどもそれは恐らくマサキの思い込みであるのだ。頭脳は勿論のこと、ピーキーで癖のある|青銅の騎士《グランゾン》の操者が務まるほどの運動神経にも恵まれている。反則的な能力を有している彼が、何を恐れることがあるものか。ただ、無意識の癖には違いない。いつぞやマサキが彼の表情を薄気味悪いと評してみせると、思いがけない指摘であったのだろう。まるで今初めて知った事実とでも云わんばかりに、彼は目を瞠っていた。
 ――あっ、あっ、シュウ……
 すいとシュウの手が動く。
 操縦席の肘当てに置いていた腕を取り上げたシュウが、マサキの手首を掴んで背凭れに押し付けてくる。いつしか身を捩っていたようだ。左右への身動きを封じられたマサキは、あっあっと喘ぎながら腰を緩く前後に振った。まだ首筋を舐られているだけだというのに、股間を揉まれているかのような快感がある。
「昨日の今日でこの有様とは、あなたは随分と性欲を溜め込んでいたようだ」
「お前も……人のことは、云え、ないだろ……」
 肯定するしかないからだろう。苦笑いを浮かべたシュウが鎖骨から胸元へと口唇を滑らせてくる。暫く肌を啄み続けていた彼に、マサキの我慢は限界だ。早く。と、声を上げると、ややあって、クックと嗤いながらもシュウが乳首に吸い付いてくる。
 口腔内で蠢く彼の舌。乳頭を転がされたマサキは、びくん――と、腰を跳ねさせた。
 最初からある程度感じる乳首ではあったが、シュウとの行為の回数が増えるにつれ、感度を増すようになっていった。触れられれば即座に情欲に火が点くまでに敏感となった乳首。こと最近に至っては、シャツと擦れただけでも妙な気分になることがある程だ。そういった日の夜に、マサキは自分で自分を慰めた。乳首を弄りながら、菊座《アナル》を掻き回す。いつの間にか覚えてしまったアブノーマルな自慰の遣り方は、けれども男性器《ペニス》を扱くだけの自慰よりも深い悦楽をマサキに与えてくれた。けれども、矢張りシュウとの性行為《セックス》には及ばない。少しもすれば疼き始める身体をマサキはここ数か月もの間、持て余し続けていた。
 実際のところはどうか理解《わか》らないが、シュウとの逢瀬の大半は偶然の邂逅に支えられたものだ。何故、実際のところ――であるのは、彼が故意にマサキの居所を探して姿を現しているのではないかと思われる節があったからだ。今日にしてもそうだ。偶然行き交っただけにしては、王都から離れ過ぎている。マサキに限らずシュウも行動範囲が広い人間ではあるが、シュウのそれが計画的であるのに対して、マサキのそれは気分に加えて方向音痴の導きでもあったりするのに、だ。それがどうすれば、二日も連続で顔を合わせられたものか。
 確かに、長期に渡って顔を合わせない時もある。けれどもそれは、戦争や研究など、シュウによんどころない用事があった時に限られていた。この二日を除けば三か月もの間、彼がマサキを放置していたのもそういった理由からであるようだ。
 だからマサキは、性欲を持て余していたのだ。
 シュウと離れた時間の分だけ、夜泣きを始める身体。せつなさともどかしさが一緒くたになって襲い掛かってくる。あまりにも自分の手指に物足りなさを感じるものだから、玩具を使うことを考えたぐらいだ。だが、流石のマサキもそこまではと踏み止まった。リューネやウェンディの未来を引き受ける気で以上、一線を引く必要がある。
「シュウ、も、やだ。苦しい」
 長く続く乳首への愛撫にマサキは声を上げた。膨らみ切った男性器《ペニス》をジーンズが圧迫している。そろそろ飽きてきていたようだ。脱がせて欲しいの? と、揶揄い混じりに尋ねてきたシュウがマサキの手の拘束を解く。
「脱げって云うなら脱ぐ」
「冗談ですよ」
 身を屈めたシュウがマサキの足からブーツを抜いた。次いでソックス。そして最後にジーンズと下着が脱がされる。たっぷりと時間をかけて舐って気が済んだのだろう。彼の口唇が乳首に戻ることはもうない。脛を床に着けた姿勢のまま、今度は口唇を腹回りへと忍ばせてきた。
 脇腹に、臍。腿との付け根と遮二無二口付けられる。
 昨日付けられた跡が薄らぐよりも先に、新たに刻まれる紅斑《キスマーク》。視界の端に映り込む色鮮やかな輝きを、薄らぼんやりとした意識の下で眺める。あっ、シュウ。そこ。脚へと侵襲してくる愛撫。内腿を吸われたマサキは仰け反った。会陰に触れるか触れないかの位置は、数多い性感帯の中でも特に気に入っている部分のひとつだ。
 シュウに抱かれることがなければ、知らなかった性感帯の数々。
 そういった意味では、シュウがマサキの身体を作り変えてしまったとも云える。
 膝を通って脛、そして足の甲。持ち上げられた足をじとりと舐ってくるシュウの舌が、マサキに例えようのない陶酔を齎してくる。マサキは目を細めた。滲んだ視界の奥で色の塊と化すシュウの姿が胸を高鳴らせる。決して他人に跪くような性格ではない男が、性行為《セックス》の最中であるとはいえ、自分の前に跪いて足を舐めているのだ。他はいざ知らず、今この時のシュウだけは、マサキに奉仕を厭わない従者である。その現実が、マサキを陶然とさせてゆく。
 足の指を舐られ、内果を吸われる。
 彼が愛撫を始めると長くなるようになったのは、この一年ぐらいのことだ。同時に爆発的に増えた紅斑《キスマーク》。痛々しいくらいに身体に刻み付けられた鮮やかな跡に、けれどもマサキは一種の誇らしさを覚えいる。
 まるで自らの所有物のようにマサキの身体に跡を残すシュウを、マサキは口で云う程嫌ってはいなかった。当然だ。嫌いな相手に身体は差し出せない。始まりこそ非同意ではあったが、それを理由に憎むには、それまでの記憶が鮮烈過ぎた。幾つもの死を乗り越えたのちに辿り着いた未来は、変わらず戦火に見舞われてはいたものの、それまでと比べれば格段に平穏な関係をシュウとマサキに築かせていった。そう、仲間としてともに戦うことも珍しくなくなる程に……。
 好意と嫌悪。どちらに自分の感情が寄っているかと訊かれれば、好意であると答えるぐらいには、マサキはこちら側に戻ってきたシュウを歓迎している。だからマサキはシュウを受け入れるようになった。嫌がる素振りをみせることもあるが、本音の部分では欲しがる自分を止められなかった。それを賢しい人間は愛だのと口走るのだろう。でも、違うのだ。
 長い愛撫が終わる。
 シュウに手を引かれたマサキは、上手く力の入らない足腰に、身体をふらつかせながら操縦席から立ち上がった。そして、彼に導かれるがまま背凭れに手を突いた。双丘を割ってくる彼の手に、ついにその瞬間がきたことを覚る。
「力を抜いて、マサキ」
 続けて菊座《アナル》に挿し入れられた男性器に、マサキの口から溜息にも似た長い吐息が溢れ出る。待ち望んだ時間の到来だ。長い愛撫を耐えたマサキの男性器がより熱を孕む。シュウ、早く。早く、動けって。そのまま動きを止めたシュウに、マサキは恥も見栄も捨てて強請らずにいられなかった。
「そんなに欲しいの?」
「当た、り、前だろ……ど、れだけ、俺が、焦らされたと思、って……」
「こうした時間も至福だと、思うのですがね」
 クックと嗤うシュウの声は余裕然としていて、それがマサキには気恥ずかしい。
 かといって、これ以上待てる程の余裕はもうマサキにはない。いいから早くしろよ。マサキは自ら緩く腰を振った。ひとりで達《い》かれては敵わないとでも思ったのだろうか。抽送を始めるシュウの男性器《ペニス》の先端が、前立腺を抉ってくる。
 あ、あ、シュウ……ッ。マサキは辺り憚らぬ声を上げた。
 背面から突いてくるのが好きなようだ。後背位に背面座位と、シュウは殆どの性行為《セックス》で、マサキを背後から突いてきた。正常位にしても抱き合うような真似はしない。膝を抱え込んでの対面座位であったりと、より深く挿入出来る体位を選ぶ。それに不満を感じることはマサキにはない。欲で繋がり合っていることを認めている以上、どうして不満を覚えたものか。快感を欲しがっているのは、お互い様であるのだ。
「そんなに腰を振る程に欲しかったの、マサキ」
「う、るさい……黙れよ……」
 シュウに突かれる度に、マサキの男性器《ペニス》の先端から染み出した精液が操縦席のシートに散る。あっ、あっ、もっと。奥。声を上げながらマサキは前後に腰を揺すった。菊座《アナル》の奥に嵌まり込んだシュウの男性器《ペニス》が、小刻みに振動を繰り返し始める。あ、それ。それ。声を上げ続けるマサキに物思うところがあるのだろう。「人に黙れと云う割には、鳴き声の煩い人だ」嘲笑混じりの声が頭上から降ってくる。
「お仕置きが必要なようですね、マサキ」
 抱え込まれた膝が、操縦席のシートに乗せられる。腰を掲げさせられたかと思うと、上から叩き込まれてくるシュウの男性器《ペニス》。前立腺を掠めてゆく亀頭が気持ちい。あっあっ。と、マサキは断続的に喘ぎ声を放った。それを封じたいのだろう。シュウが顎に手を回してきたかと思うと、口の中に指を押し込んでくる。
「ん、ふ……んん……っ」
「私から主導権を奪おうなど、百年早いのですよ。ねえ、マサキ……」
 その後のことは良く覚えていない。ただ、意識が飛びそうな快楽の中で、がむしゃらにシュウの指を食んだような記憶があるばかりだ。そう、腰を揺すりながらシュウの男性器《ペニス》を引き込んで、我欲の赴くがままに快楽を貪った記憶ばかりが――……。
 ――ほら、達《い》きなさい、マサキ。
 この世の富を全て手に入れたかのようなシュウの声。それを聞きながら、絶頂《オーガズム》を迎えたマサキは、溜め込んだ精液を一気に吐き出した。






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