なんとなく書きたくなったのと、今ならもう少し上手く書ける気がしたので。
色んなキャラの視点からシュウマサを書いた連作になる予定です。
マサキとシュウの想いが伝い合う話は何度書いてもいいですね!
色んなキャラの視点からシュウマサを書いた連作になる予定です。
マサキとシュウの想いが伝い合う話は何度書いてもいいですね!
<被虐の白日>
甘く口を衝いて出た吐息が空気に溶けゆく。
|風の魔装機神《サイバスター》のコントロールルームの操縦席の上で、背後にシュウの熱を感じながらマサキは喘いでいた。
乳首の上で踊る指。捲れ上がったシャツの中に差し入れられたシュウの手が、まるで旋律を奏でるように繊細に蠢いている。彼の指はマサキの背なを小刻みに震わせた。時折、耳朶を吸い上げられては恍惚に視界が滲む。ひんやりとした感触を伝えてくる彼の身体に、マサキの身体はすっかり馴染んでしまっていた。
先程、顔を合わせたばかりだった。
突如として精霊レーダーの範囲内に姿を現した|青銅の魔人《グランゾン》に、マサキが行き先を尋ねれば、特にあてもないとのこと。
声をかけられたことで調子に乗ったのだろう。|風の魔装機神《サイバスター》の隣に|青銅の魔人《グランゾン》を並び立たせたシュウは、さも当然とばかりに|風の魔装機神《サイバスター》に乗り込んでくると、これもまたさも当然とばかりにマサキを膝の上に乗せて操縦席に陣取り、直ぐ西にある森へと向かうように告げてきた。
何でも、研究を始めようとした矢先に、サフィーネとモニカが押しかけてきたのだそうだ。
仕方なしに適当な口実を設けて家を出たシュウだったが、敵もさるもので、ウィーゾル改とノルス・レイに乗って追いかけてきたのだという。そこに都合良く姿を現したのが|風の魔装機神《サイバスター》だったという訳だ。
――空席のグランゾンを残しておけば、彼女らも迂闊には動けないでしょう。
西の森は精霊が集まる地帯らしく、精霊レーダーが非常に利き難い場所であるのだという。そこに身を隠して、彼女らが諦めるまで遣り過ごそうという作戦なようだ。他人の心を揺さぶる術に長けているシュウらしいいやらしい遣り方だとは思うも、同じくリューネやウェンディに追いかけ回されているマサキとしては否定も出来ず。少しばかりの手助けならいいかと、彼が|風の魔装機神《サイバスター》に居座るのを良しとしてしまった。
その結果がこれだ。
木立生い茂る西の森に|風の魔装機神《サイバスター》を隠したまでは良かった。だが、長くなりそうだからと、彼がマサキの二匹の使い魔と自身の一羽の使い魔を森に放流したところで風向きが変わった。邪魔者が消えたところで愉しみませんか、マサキ。そうシュウに囁きかけられたかと思うと口唇を塞がれた。
口内を舌で犯されるほどに熱い口付け。余人が知れば、流されてしまうマサキこそを責めるに違いない。何といっても国家反逆罪に問われている男が相手だ。地底世界の秩序の守り人であることを期待される魔装機神の操者が関係を持っていい相手ではない。マサキも頭では|理解《わか》っている。だが身体がいうことを聞かない。マサキは続くシュウの愛撫に身を委ねていった。
――あっ、く……ぅん……
乳首を弄られつつ、耳を舐られること暫く。シュウの右手がするりと肌を伝い下りてくる。ジーンズにかかった手にマサキはぴくりと腰を跳ねさせた。やんわりと布の上から股間を撫でられながら、感じているの? と、尋ねられたマサキはこくりと頷いた。
欲望を素直に態度に表すマサキが面白いのだろう。コントロールルーム内にクックとシュウの嗤い声が響き渡る。それがマサキには口惜しくて堪らない。堪らないのに、理性を本能が突き破ってくる。彼から与えられる快感が欲しいと……。
無論、初めはこうではなかった。
遡ること二年ほど前のこと。ラングランの内乱が終結したのち、地上で起こった大戦にマサキが参戦した時のことだった。遅れて参戦してきたシュウは、マサキに協力を取り付けて新宿にロンド=ベルを集めておきながら、表向きにマサキに絡んでくることはなかった。それに不足を覚えていたのを見抜かれていたのかも知れない。ある時、眠れぬ夜を過ごしていたマサキが、|自室《キャビン》を抜けて|格納庫《バンカー》に向かうと、ひとり|青銅の魔人《グランゾン》の整備に励んでいるシュウの姿があった。
――丁度いいところに来ましたね、マサキ。少し、手伝ってはいただけませんか。
だだっ広い|格納庫《バンカー》にふたりきりと云えど、積極的に断る理由もない。マサキはシュウに続いてローリングタワーを上がった。そうして招かれたグランゾンのコントロールルーム。シュウに計器類を見ていて欲しいと云われたマサキは前方に陣取り、様々な数値を映し出している正面モニターを見上げた。
次の瞬間だった。
背後から強く抱き締められたかと思うと、こめかみに口付けられた。何が起こっているかわからずに振り返ると、続けて口唇が塞がれた。直後、シュウの舌がマサキの口内を探り始める。荒々しい口付けに慌てたマサキはシュウを振りほどこうと藻掻くも、思った以上に力が強い。そのまま、床の上に押し倒されたマサキはシュウの為すがまま。耳に首筋と、順繰りに舐られてゆく。
――待、てよ、シュウ。お前、何を考えて……
――さあ、何だと思いますか、マサキ。
恋愛事に疎いマサキではあったが、シュウが何を求めているかは即座に理解出来た。その行き付く先が何かも理解していた。だからこそ抵抗をしなければと思うも、執拗に肌を吸い上げられていては身動きもままならない。何よりマサキは性的に初心だった。ラ・ギアスに召喚されてからというもの、戦いばかり。私的な時間の大半は、仲間と過ごすのに使ってしまっていた。僅かな残り時間に至っては、ひとりでのびのびと、|風の魔装機神《サイバスター》で空を駆け回るだけ。同年代の男子が思春期の余剰エネルギーを自慰に費やしている中、孤独を好むマサキは、ひとりで自分らしく過ごす為にそのエネルギーを費やしていたのだ。
だからこその、陥落。
そういった意味での接触経験のない首筋を吸われ、愛撫をしたこともされたこともない乳首を弄ばれ、長く自慰さえしてこなかった性的に未熟な男性器を扱かれる。それらの愛撫は呆気なく、マサキの心を奪った。奪っただけでなく、その場にマサキを縛り付けた。
シュウはマサキの言葉に殆ど無反応だった。舌先から伝わってくる情熱とは裏腹に、崩れない面差し。怜悧な眼差しが、時にマサキを仰ぎ見る。額にうっすらと浮かぶ汗がなければ、マサキは自分が置かれている状況を夢だと誤認してしまっていたことだろう。
鎖骨から乳首、臍、|陰阜《いんぷ》と肌を伝って下りてくる愛撫に瞳が潤む。シュウから与えられる愛撫の全てに、マサキは泣き出しそうな歓喜を味わった。何故かはわからない。もしかするとそれはひとつの成就であったのかも知れない。地上と地底、そして宇宙を舞台にと長く続いたシュウを追う旅。ようやく終わったのだという安堵感がマサキに想像以上の快楽を与えていたのかも知れなかった。
――や、だ。そこは嫌だ、シュウ……!
それでも不安は残った。
既に天を仰いでしまっている男性器。亀頭にかかった熱い吐息にマサキは抵抗した。男性の一番大事な部分を他人――かつては敵だった男に預けることに、恐れを抱かない男はそういまい。ましてやこののちには、契りを結ぶ行為を控えている。引き返すのであれば今しかない。
――そう思うのであれば、もっと早く本気で抵抗をするのでしたね。
けれどもシュウは強引だった。マサキの抵抗を力で捻じ伏せると、躊躇うことなくマサキの男性器に口を吐けてくる。最初こそ抵抗を覚えたマサキだったが、壁を突破してしまえばあとは流されるがまま。これまで経験したことのない快感に、マサキは幾度も腰を跳ねさせて喘いだ。
亀頭を吸われ、陰茎を舐られ、睾丸を口に含まれる。
どれひとつ取っても、これまでの愛撫には及びもしない。身体の中心部を直接嬲られているかのような陶酔を覚えたマサキは、辺り憚らぬ声を上げ続けた。あっ、ああっ、あっ。ややあって、そろそろ頃合いだと思ったのだろう。喘ぎ疲れたマサキの身体から手が離される。
瞬間、シュウの顔に残虐な笑みが浮かんだように映ったのは、マサキの気の所為ではなかっただろう。
この時を待ち望んでいたとばかりに抱え上げられた脚に、マサキの意識は急速に醒めた。口を窄めている|菊座《アナル》に押し当てられるシュウの男性器。僅かな接地面から、その硬さと太さが伝わってくる。|挿入《はい》る筈がない。そう思うも、ここで抵抗をしなければ、頑固で意固地なこの男のことだ。無理矢理にでも本懐を遂げることだろう。
――やめろ、シュウ! そこは本当に、無理だ……!
形振り構ってなどいられなかった。手足をばたつかせてる自分の姿を、まるで死に際の昆虫のようだと思いながら、マサキは抵抗を試みた。いざとなったら顔に一撃だ。そう思いもしたが、シュウもシュウで退く気配がない。無駄な足掻きは止めるのですね。ぞっとするほどに凄絶な笑み。残忍な本性を露わとしたシュウの表情にマサキが息を呑んだ刹那、手足の自由が奪われた。
|強制捕縛魔法《ゲ・アス》だ。
身動きままならなくなったマサキを、シュウは強引に犯した。
まだ未熟な肛門を硬く張った男性器で無理に押し開いてきたかと思うと、躊躇なく深々と貫いてくる。あっ、嫌だ。嫌だ、シュウ。焼けた火箸を当てられているかのような痛みが走る。ままならない手足をそのままに、思う存分凌辱の限りを尽くしてくる男。その本性を忘れていた訳ではなかったマサキは、だからこそ口惜しさを覚えずにいられなかった。
時に膝の上に乗せられ、時に床に伏せさせられ、そして時に腹の上に乗せられてと、好き勝手に変えられる体位。延々と抜かれることのない男性器が、常にマサキの腹の奥で暴れ狂っている。引くことのない痛みにマサキは泣いた。己の甘さを悔いてただ泣いた。
けれどもそれは、新たな迷路への入り口でもあったのだ。
痛みは二日間引かなかった。
戦線にも影響を及ぼすほどのダメージに、マサキは二度とシュウに気を許すまいと誓った。けれどもその誓いが保ったのも、数か月ばかりだった。ねえ、マサキ。しましょう。そうシュウに囁きかけられると胸が弾むのだ。毒のように染み込んだ彼の愛撫が忘れられない――マサキは愚かにも、シュウに身体を許してしまうようになっていった。
「ほら、マサキ。腰を浮かせて」
シュウの言葉に意識を引き戻されたマサキは、その言葉がまま腰を浮かせた。
正面に広がる森を映し出すモニター。いつしかシュウの付けている香水が、汗を含んで匂い立っている。咽返るような甘い匂いに誘われるようにして、腰を落としたマサキはシュウの男性器を菊座に受け入れた。二人分の重みに操縦席がみしりと音を立てる。ややあって、動き始めるシュウの腰。抱え込まれた膝の奥で、彼の男性器を深々と咥え込んでいる自分に対する疑問はもうない。
二年という歳月は、マサキから正常な思考を奪い去ってしまった。
何故、男である自分を抱くのか。シュウから決定的な言葉を聞いたことはなかった。だからマサキはシュウを恋人などと考えたことはなかった。利害関係の一致したセックスフレンド。欲望を果たし合うだけの関係という現実に物寂しさを感じることもあったが、そこから先に進む勇気もない。孤独を好むマサキの気質が、特定のパートナーを作ることを拒否させるのだ。だからマサキはシュウに何も訊くことなく、彼と肉体関係を結び続けた。いつかは終わる関係だ。そう思いながら。
サフィーネがいる。モニカもいる。
ふたりの女性の恋情を今のシュウがどれだけ持て余していようとも、世間の風潮には逆らえまい。いずれ彼はふたりを娶る日がくる。リューネとウェンディというふたりの女性に懸想されているマサキにしてもそうだ。マサキは自身にも訪れるだろうその日に備えて、シュウとの距離感を一定に保ち続けた。遠からず傷付くことが|理解《わか》っているのであれば、最初から踏み込まない方がいいに決まっている。
「今日のあなたは少々気持ちがお留守のようですね、マサキ」
「あっ……そ、そんなこと、は……」
シュウの言葉にマサキは首を横に振った。
シュウとの性行為に不満足を覚えている訳ではないのだ。その気持ちを伝えるべく、マサキは小さく腰を揺すった。前立腺を擦り上げてくるシュウの男性器に、陶酔が滲み出る。全身を支配する恍惚感に、マサキは目を細めて喘いだ。
喘いで、貪った。
|風の魔装機神《サイバスター》のコントロールルームで淫欲に耽っている自分を、サイフィスがどう考えているかは|理解《わか》らない。けれども彼女はシュウを拒否してはいないようだ。柔らかに肌を撫でる小さな空気の動きに、もしかすると彼女はマサキとシュウの関係を肯定してくれているのかも知れない――そう思いながら、深くシュウに貫かれたマサキは一度目の|絶頂《オーガズム》を迎えた。
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