リベンジ編です!
なのに簡単にはエロに入れない私を許して……!!!!
前後編の予定です。いやホントに二回で終わる予定です!笑
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<箱の中の悦楽>
魔の資材倉庫4-N。
別名『開かずの倉庫』と呼ばれる資材倉庫は、乗艦歴の長いクルーでさえも、何が仕舞われているのか把握出来ていない魔窟だった。
どうやらパズルのように内部で資材が上手いこと噛み合ってしまったようだ。隙間なく詰め込まれた資材が山となって床と天井を塞いでいる。噂によると、手前の資材にロープを引っ掛けて引っ張り出そうと試みたことがあったらしいが、成人男性が十人がかりでロープを引いたのにも関わらず、その一角すら崩すことすら出来なかったのだとか。
取り出すことも叶わなければ新たに置くことも叶わないのだから、それは開かずの倉庫にもなろうというもの。かくて難攻不落の魔窟は、今日も今日とて知る人ぞ知る恐怖スポットとして艦内に存在を続けている。
そこにマサキはいた。
ひとりではない。シュウとともにだ。
きっと扉が開く余裕を残しておこうと思ったのだろう。魔の資材倉庫の中には、人が三人ほど入り込めるか込めないかといった程度の広さのスペースがあった。それを知っていたに違いない。シュウはマサキをここに引き摺り込むと、いやらしくも扉を魔法で|施錠《ロック》してしまった。
「こ、の、変態……出、せって……」
せせこましいスペースとあっては、嫌でも密着せざるを得ない。背後からシュウに抱き寄せられる形になったマサキは、逃げ場がないのをいいことにマサキの身体を撫で回している彼の手を振り払えずにいた。
「どうして?」
揶揄い混じりに尋ねてくるシュウに、言葉が詰まる。
「キスに応じてきたのはあなたの方でしょう、マサキ」
魔の資材倉庫の前でマサキがシュウと鉢合わせしたのは、今から五分ほど前のことだった。
気心知れた仲間たちと食事を終えた帰り道。気付けば人けのないフロアに迷い込んでいた。
とはいえマサキは楽観的だった。果てのない道が続く外の世界と比べれば、戦艦という狭い世界には限りがある。それ即ち、歩き続けていれば、いつかは知っている場所に出られるということだ。
使い魔ともはぐれてしまったのは想定外ではあったが、彼らは傍にいたところでマサキと一緒になって迷うだけである。ならばひとりで迷った方がまだ効率的だ。彼らの道案内を根本的に信用していないマサキは、だからこそ逆に落ち着いてしまった。
諦め半分、散歩気分半分で艦内を歩き回る。
その目の前に姿を現したのがシュウだ。
どうやらフロアにある施設を利用していたらしい。通路の先から――ではなく、通路に面した扉から出てきたシュウに、ようやく人と出会えたマサキは、けれども絶望した。
シュウはマサキと異なり、几帳面な性格であるのだ。
ギブアンドテイクを信条とする彼は、ただでは他人の求めに応じない。その場では無償の親切心に見せかけても、いつか必ず別の形で借りを返させてくる。いつだったか、その理由を尋ねたマサキに、私は資本主義の申し子ですから。と、答えてきたシュウ。合理主義者な彼は、恩着せがましくマサキに迫ってくることがままあった。
――おや、マサキ。ここにはあなたが必要とする施設はなかった筈ですが……
マサキを目にした彼は、即座に置かれている状況を察したようだ。また、迷ったのですね。苦笑しきりでキャビンに続く昇降機の在処を教えきたシュウは、だが、矢張りただでマサキを帰すつもりはなかったのだ。
――借りは返せと教わりませんでしたか。
マサキの腕を引いた彼は、周囲を検めることもせずにマサキに口付けてきた。そしてその舌で呆気なくマサキの口唇を開いてみせると、深く口唇を合わせてくる。
躊躇いはあった。けれども欲が勝った。
マサキは口内を探っているシュウの舌に、自らの舌を絡めていった。
口唇越しに伝わってくるシュウのくぐもった嗤い声。それが癪に触りもしたが、だからといって力任せにシュウを引き離そうとも思えない。そもそもが滅多にない機会なのだ。これを逃せば次はいつになったものか。
そう、彼はマサキに執着心を露わにしてみせる割に、気軽にはマサキの前に姿をみせなかった。いつもそうだ。お互いにやるべきことを数多く抱えている以上仕方のないことではあったが、彼と顔を合わせるのは常にキナ臭い現場でだったし、逢瀬に至っては、差し迫った場で間隙を縫って行われるのが当たり前だった。
それに不満や怒りを覚えないマサキではなかったが、何故だろう。彼にこうして迫られることに、マサキは安堵を感じてしまうのだ。
膨大な|気《プラーナ》を上手くコントロール出来ないマサキは、仲間の幾人から口付け受けたことがあったが、それはあくまで|気《プラーナ》の補給の為。私的な行為とは隔たりがあった。
それを臆面もなく仕掛けてきた男。
だのに仲間がいる場などでは、完璧なほどに他人の振りをしてみせる男。
初めの頃のマサキは幾度かシュウに抵抗をしたものだったが、それをものともしない不屈の意思。明確にマサキを奪いにかかってくる彼からのアプローチに、マサキは次第に抵抗する意思を失っていった。
だからマサキはシュウの口付けに応じた。いつ誰かが通りかかるとも知れない艦の通路で。
口付けが止んだのは、二分ほどが経過した頃だった。ねえ、マサキ。マサキの頬に手を置いたシュウが、熱を帯びた眼差しをマサキに注いできた。マサキはどう返答すべきか迷った。先のことはみなまで云われずともわかっていたが、だからこそ、マサキは安易にシュウとの曖昧な関係に流され続けることに抵抗を感じていた。
その瞬間だった。
緩くカーブを描いている通路の先から複数の靴音が響いてきた。微かに耳に届いてくる話し声。どうやらこのフロアは、艦の技術者たちが使用する施設が固まっているようだ。そのひとつを利用しようとしているらしい。彼らの会話から窺えた事情に、焦ったマサキはこれが潮時とその場を離れる覚悟を決めた。
けれどもシュウは焦らなかった。ふふ、と小さく笑うと、マサキの腰を抱えて手近な扉の中へと身を潜めてゆく。
それが魔の4-N資材倉庫であることをマサキが知ったのは、せせこましいスペースに身を収めてからだった。得々と倉庫の由来を語って聞かせてきたシュウに、これが噂の――と、気を緩めたマサキが小声で応じた矢先。どうやら肝心の施設のロック解除ナンバーを忘れたらしく、仲間の内のひとりにナンバーを確認させにいった彼らが、資材倉庫の扉に近い場所に陣取って立ち話を始めた。
こうした機会を逃すシュウではない。
綱渡りに近い状況でもマサキを求めてくる彼は、もしかするとマサキとの関係を公にしたいという願望を持っているのかも知れなかった。
いざとなれば記憶改竄でさえもお手の物だからだろう。間近に人けがあろうともものともせず、マサキに迫ってくるシュウ。それは今回にしても同様であるようだ。ねえ、マサキ。出るに出られなくなったマサキを扉に押し付けてきながら囁きかけてくる彼に、やだって。マサキは首を振った。だが、それでシュウが止まるような男であるのなら、マサキは彼に絆されたりはしていないのだ。
腰からするりと上がってきた手が、さも当然とばかりにマサキのジャケットの留め具を外してゆく。
――何、考えてんだよ……この、馬鹿……
無論、マサキとてシュウのこうした横暴を簡単に赦したりはしない。やめろって、馬鹿。小声で抵抗の意思をみせながら身体を捩る。だが、僅かなスペースに引き込まれている状況では、思うようにシュウの手を振り解けない。
――あまり声を立てると、彼らに気付かれますよ。それとも、気付いて欲しい?
はだけた前襟に滑り込んできたシュウの手が、ぴったりと肌に張り付いているシャツを捲り上げてゆく。鎖骨の下に溜まったシャツの下で、骨ばった彼の手がマサキの肌を撫で始める。や、だ。どうかすると口を衝いて出そうになる喘ぎ声。久方ぶりの彼からの愛撫に、マサキの理性は風前の灯だった。
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