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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

偶にあること
某さんの某所での発言を見て、昔を思い出したので。

今のCADはそんなことはないと思うのですが、昔のCADは(システムによっては)頂点がくっつかないってことがあったんです。目視で繋げようとするとね、拡大した時に「ひゃっ!?」ってなるんですよ。縮尺一倍だと繋がって見える頂点が繋がってないんですね。だからきちんと計算して正しい数値を入力しないといけなかったんですね。そういう懐かしさを込めました。



<偶にあること>

 実験室に篭りっ放しになったシュウの様子を見に実験室に下りてきた直後のことだ。マサキの呼びかけに空返事ばかりだったシュウに、呆れかえったマサキが作業台を利用して読書に励むこと暫く。う。と、滅多に出ない声がシュウの口から洩れた瞬間、マサキは彼の様子を窺わずにはいられなかった。
 万能な彼は溢れ出る自信家の側面を嫌味と感じさせないくらいには、何でも確実にこなせしてしまう。|総合科学技術者《メタ・ネクシャリスト》の称号を有する学術方面にしてもそうであったし、人型兵器の操縦にしてもそうだ。剣術に魔法と、ラ・ギアス社会で必要とされる技能のほぼ全てを獲得している男。その才能は人の身でありながら神に匹敵させるのではないかと感じさせてしまうほどである。
 そういったシュウであったが、稀にはミスをすることがあるようだ。
 だからこそ、今度は何だとマサキがシュウを振り返れば、何だか珍妙な物体を目の前に額に手を置いている彼の姿がある。
 巨大な歯車のようにも見えなくもないが、一部分の出っ張りが、恐ろしいほどに飛び出て鋭角化している。それでも、そういうものだと云われればそういった|部品《パーツ》に見えなくもない物体に、「これは何だ?」とマサキが尋ねてみれば、心当たりがあったようだ。パーツを切り出すのに使用している切削機の制御モニターに飛びついたシュウが、ポインターを動かして何事か確認している。ややあって、マサキを振り返ったシュウの顔に浮かんでいる世界滅亡の危機に瀕したような凶悪な表情。自分のミスを許せない彼らしい表情に、マサキははあ。と、溜息を吐きながら再び尋ねた。
「何があったんだよ。てか、お前、自分のミスを許せないの相変わらずなんだな」
「初歩的なミスに対して怒りが湧いてこないのであれば、戦う理由を見付け出すことは不可能ですよ」
「極論だな」マサキは首を横に振った。「で、何をミスったって」
「CAD図面の頂点を繋げるのを忘れていました」
「その結果が、この一点の頂点だけが人を殺せそうな勢いで突き出た歯車か」
「人を殺す前に折れますよ」
「物の例えだろ」
 マサキはシュウが目の前にしている珍妙な形をしている歯車の前に立った。
 本体部分はマサキの身長の半分ぐらいの大きさではあるが、突き出た棘部分が異様に長い。最終的には糸かと見紛うほどに先端が細くなってしまっているが、そこだけで三メートルは優に超えている。よくぞここまでになる前に気付かなかったものだと感心するぐらいの長さ。呆れればいいのか笑えばいいのかわからなくなったマサキは、シュウを振り仰いだ。そして、そろそろ隈が目立ち始めている下瞼に、「もう寝ろよ」と、徹夜作業が三日目に突入したシュウに云った。
 流石にシュウも、自身の有り得ないミスに潮時だと感じたのだろう。そうします。と、珍しくしおらしく同意してみせる。
「なら、さっさと寝室に行けよ。片付けぐらいはやってやっから」
 計算用紙が散乱する実験室の悲惨な有様にマサキがそう云えば、「そうしたいのは山々なのですが」と、シュウがそうっとマサキの腰に手を回してくる。
「何だよ」
「抱き枕が欲しいと思いまして」
「お前、眠くなると我儘になるよな」
 マサキはほらとシュウの腰に手を回した。そうして、彼とともに眠りを貪るべく、実験室を後にした。






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