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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

夢の頂(4-中)
本当に申し訳ございません!
エロに入らなかったばかりか、有言していたLottaLoveすら更新出来ない体たらく。

ち、ちちち違うんですよ。今日はね、個人的には比較的充実した一日だったんです。編み物もたっぷりしたし、文字も沢山打ったし、動画も山程見たし。ただその、何て云うんですか?あっちの作品は書くのに時間がかかるので、あれこれやってたらそこまで手が回せなくなったという……

( ´•̥ω•̥`)

今週末は二連休ですのでそこで頑張ります!
ということで、本文へどうぞ!
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<夢の頂>

 半日ほどの行程で辿り着いた地下遺跡。三層からなる遺跡は、不死族を祀る邪教の地下神殿であったようだ。
 由来が由来だけに禍々しい雰囲気ではあったもののも、今でも時折初心者冒険者たちが訪れているだけはあって、モンスターの数もそれほどではなく、探索時間を含めても一日ほどで最下層にある儀式の間に辿り着いた。
 きっと初心者冒険者たちが落としていったのだろう。拾い集めた薬草や魔力回復用の晶石、金貨は、合わせればそれなりの量になった。正直、マサキに限らず、彼としてもこの行為には思うところはあったようだが、今日の食事にも事欠く生活を送っている以上、背に腹は代えられない。これで一週間はまともな食事にありつける。マサキは収穫のあった枯れた遺跡探索に安堵しながら、来た道を戻ろうとした。
「待ってください」床に描かれている魔方陣を検めていた男がマサキを呼び止めた。「この魔方陣は生きているようです」
「まさか。今までどれだけの冒険者が潜った遺跡だと思ってるんだ」
「しかし生きているのは事実であるのですから仕方がない。誰かが後から書き加えたのか、それとも元々ここにあったものが無効化されずに残ってしまっているのかはわかりませんが、これを使えばかなり高位のモンスターが呼び出せる筈です。折角ここまで来たのですし、もうひと稼ぎしてから帰りませんか」
 辺境の地にある|魔術師の塔《ソーサラー・タワー》より来たらしい男は、子どもの頃から塔内で魔術の研究に励んできただけあって、こうした魔術の知識を必要とする事態に強い。
 彼曰く、この魔方陣は古代ガンビア語で書かれているのだそうだ。知識に乏しいマサキには全く聞き覚えのない言語であったが、どうやら三千年ほど昔に東の大陸で使われていた言語であるらしい。意思を記号で表す言語は魔術と相性が良いらしく、今でも一部の魔術師たちに好んで使われているのだとか。
「とはいえ、三千年前の言語ですからね。今となっては資料らしい資料も残っておらず、僅かに口伝で伝えられるのみ。希少な言語ですので、初心者冒険者は勿論のこと、熟練の冒険者であっても知らない可能性が高い。塔でも使える魔術師は一握りでしたし、ここまで見過ごされてしまったのも無理なき事かと」
「その魔方陣を動かすのか?」
「魔術教義の実践には丁度いいでしょう」
「失敗したら目も当てられねえな」マサキは宙を仰いだ。
 傑出した魔術の才能を有しているらしい男は、膨大な知識に見合うだけの経験を積んでくるようにと、塔で師事していた魔術師に命じられて冒険の旅に出ることになったのだそうだ。魔術師の塔は何重もの結界に守られており、多少の事故ではびくともしない。そういった環境でのびのびと研究に励んでいたからだろう。最初の頃の彼は、初歩的な魔法ですら何度も暴発させてみせたものだ。
 研究と戦闘では魔法の使い方は根本的に異なる。標的《ターゲット》に合わせて魔力を絞る必要に迫られることもあれば、残りの行程を考えて魔力の残量を管理する必要にも迫られる……多岐に渡ってコントロールを要求される冒険者の一員としての魔術師。その在り方に、近頃の彼はようやく慣れてきたようであった。
「私にとってはこちらの方が専門ですからね。そうそう失敗するようなことなどありませんよ」
 自信たっぷりに云ってのける彼に、少しぐらいなら――と、マサキは許可を出した。
 不死族が身に付けている装身具は高く引き取られることが多い。万が一、それよりも高位のモンスターが現れたとしても、この辺りはモンスター研究が盛んな地域だ。死体の一部だけでも持ち帰られればそれなりの金になる。聞き慣れない発音で呪文の詠唱を始めた彼に、稼げるだけ稼いでやるとマサキは剣を構えた。
 徐々に光を放ち始める魔方陣。遺跡を揺るがす轟音が上がる。次の瞬間、魔方陣の中央に巨大なシルエットが浮かび上がった。ふしゅー、ふしゅーと気味の悪い呼気音がする。静かに引いてゆく光に露わとなる姿。それはマサキが初めて目にするタイプのモンスターだった。
 巨木のような躯体から伸びる瘤の付いた触手。無数に蠢いている触手からは甘ったるい匂いを放つ粘液が滴っている。ミュカス、ですね。既にモンスターと距離を取った男が、片手にしている呪文書のページを捲りながら口にする。
「名前は知られていますが、生態には謎が多いモンスターです。倒せれば相当のお金になるでしょう!」
 マサキの髪を掠めて何発もの火球が飛んでゆく。同時にマサキも地を蹴った。ミュカスの胴体に火球が着弾するのを待って、先ずはモンスターの手数を減らすべく触手に切りかかる。どろり、粘液を引きながら、触手が床に転がる。
 グォォォォ、と、ミュカスが咆哮する。
 焦げた匂いが立ち込める中、恐ろしい現象が起きた。触手を切り落とした部位から、凄まじいスピードで新たな触手が生えてきている。何だって!? マサキは声を上げた。慌てて床に転がった触手に目を遣れば、こちらも切り口より胴体のようなものが生えてきている。
「成程、再生能力がある――と」
「呑気なことを云っている場合か!」マサキは迫り来る触手から逃げた。
 切っただけ数が増えるモンスターが相手とあっては、剣しか攻撃手段を持たないマサキでは迂闊に手が出せない。かといってこれだけの強敵を、既に初心者御用達と化している枯れた遺跡に残してしまうのも躊躇われる。資金的な問題もある。どうにかして倒したいところだが、それには魔法を使える男を主力として戦うしか方法がない。
「お前、何指を咥えて見てやがるんだ! さっさと魔法を放て!」
「このクラスのモンスターを魔法で一撃で倒すとなると、効果範囲を広く取らざるを得ない! 今の状態ではあなたを巻き添えにしてしまいます!」
 くそっ! マサキは儀式の間から外に向かった。
 ある程度逃げれば諦める可能性もある。高い扉を抜けて、通路へと出たマサキは、背後を振り返ることもせずひたすらに走り続けた。けれどもあの巨躯のどこにそれだけの素早さがあったものか。振り返れば無数の触手が未だマサキを捉えんと追い縋っているではないか。
 目にした光景に気を取られた瞬間、マサキの足が岩畳に取られた。
 派手に床に転がったマサキは慌てて立ち上がろうとするも、その好機を逃すようなモンスターではなかった。千恵雄這うようにしてマサキの腿や腕に絡み付いてくる触手。それは軽々と宙へとマサキの身体を持ち上げた。
 力を振り絞って払おうにも、粘液で滑って上手く行かない。あっという間に全身粘液塗れとなったマサキの身体に、更に何本もの触手が迫ってくる。何をするつもりなのか。全身を這い回る触手にマサキが恐怖を感じた矢先だった。
「あなたが困っている姿を見るのは楽しいものですね、マサキ」
 ようやく追い付いたようだ。ミュカスの脇から姿を現わした男が、宙に浮いているマサキの前に立った。
「もう大丈夫ですよ。今、魅了の魔法をかけました。これでミュカスがあなたに危害を加えることはない筈です」
「本当かよ。その割には俺を離す気がないようだが」
「あなたを起点に魔法をかけていますからね。ミュカスとしてはあなたに求愛しているつもりなのでしょう」
 求愛、とマサキが鸚鵡返しに言葉を吐いた瞬間、ずるりと口の中に触手が入り込んできた。甘い。マサキは喉を塞いでいる粘液を飲み下した。そして緩く口内で動き回っている触手を吐き出す。
 そういうことですよ。クックと嗤い声を上げた男が、呪文書を開きながら装備解除と声を上げた。その言葉とともにマサキが装備していた革鎧が床へと落ちる。
「お前、何を考えて……」
 味方である自分に呪文を放った男の行動の真意をマサキは問い質そうとするも、頭が酷くぼんやりとして上手く言葉が紡げない。ずるり。いつしかたくしあげられていたシャツの中に触手が入り込んでくる。あ。マサキは喉を仰け反らせた。肌に直接触れてくる触手に、経験したことのない快感が走る。
「好事家の間では、求愛期のミュカスの粘液は高額で取引されているのだそうですよ。それもその筈。あなたが今経験しているように、求愛期のミュカスの粘液は催淫効果に優れていますからね。空き瓶に二、三本も持って帰れば、それだけで一ヶ月は遊んで暮らせるお金になるでしょう」
 そう云うと男は既に触手に嬲られているマサキの乳首へと手を伸ばしてきた。
「気持ちいいのでしょう、マサキ。そんなに顔を緩ませて。あなたのそういった表情を拝めるなど、こんな機会はこの先ないでしょうね。ですから少し愉しませていただきますよ」


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