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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

IN THE SILENT MOON.
拍手で感想とリクを頂きましたので書きましたッ!

きっと想定しているものとは大きくかけ離れたものになっているんだろうなあ、と思いつつも、ほら、この作品は「モブマサを超えろ」がスローガンでしたので……などと云い訳をして、思うがままに書き散らかした話を載せてみるのです。

レス不要ということでしたので、途中でお尋ねがあった点についてだけ、この場を借りて返答をしようと思います。
ああいった場面を書いている時というのは、自らの中に浮かんでくる彼らの感情をどう言葉で表すかに必死なので、そういった感情に引きずられたり流されたりといったことはないです。元々私は自らの感情や状態も俯瞰して眺めていることが多い人間な上に、恐らくなのですが、精神及び肉体の苦痛耐性も人より高く出来ているようなので、憑依型な割には、そういう時の自分自身は書いている内容に見合わぬほどに平静だったりします。
逆に読み返している時の方が感情を揺さぶられたりします。そういう時の私は読者目線というか、ぶっちゃけひとりの読者なので、自分で書いておきながら、新しい発見があったりしてですね……٩(*´︶`*)۶҉
げに人間とは面白く出来ていますよね。私、自分の分析だけで一生使えるほど、自分が面白く、また謎な存在に思えて仕方がないですもの!と、余計なことも付け足しましたが、これで答えになっているでしょうか……?|˶’ ‘˶)チラ

長文感想有難うございます。いつも励みとさせて頂いております。
その他の拍手も有難うございました。感謝しております。

では、本文へどうぞ!
あ、その後のふたりなので、未読の方は先ずは本編をお読みになって頂けると有難いです。
<IN THE SILENT MOON.>

 どうやらマサキのもうひとりの人格は、シュウの解呪によって消失したのではなく、マサキの人格との統合を果たしたらしい――自身の構築した術式に自信を持っていたシュウとしては、非常に認め難く感じる結論ではあったものの、その後のマサキという『答え』は厳然としてそこに在る。これでその結論を受け入れられなくては、真理を追究する科学者を名乗れもしまい。科学とは事実を受け入れ、その上で発展を求めるものであるのだ。自身の立場を重んじるシュウは、だからこそ苦渋の決断ながらも、今のマサキが以前とは異なる人格であることを受け入れた。
 幸いながらも、もうひとりのマサキという人格がマサキに影響を及ぼしたのは、あくまで性的な欲求の範囲に限られていた。サーヴァ=ヴォルクルスへの盲信、或いは傾倒といった邪なる信仰心は、恐らくは、マサキ自身に与えられていた強烈な快楽によって、本能的な欲望に上書きされてしまったのではないだろうか。マサキがシュウの許に身を寄せていたあの日々において、徐々に形を潜めていったヴォルクルスへの希求心。性的に煽り立てられ、予想を遥かに上回る刺激を受け、そうして解脱にも近い快楽を得てしまったもうひとりのマサキは、その果てしのない悦楽の中で、真理を見たのやも知れない。だからこそ、その傾倒心はシュウの解呪の咒文を以て、彼の中から消滅したのだ――……。
 シュウは隣で気だるそうに自身の肩に頭を預けているマサキを見遣った。
 親しい兵士たちと城下で酒を飲んできたのだそうだ。切なげに息を吐きながら、先程からしきりと自身の口唇を指先でなぞってくるマサキに、けれども酔っ払いのすること――と、シュウはしたいようにさせていた。
 この距離でも嗅ぎ取れる酒の匂い。きついブランデーの香りに、シュウとしては酔って箍《たが》が外れたマサキが、その共連れと間違いを起こしたりしないかと不安になりもしたものだったが、それでもその足で真っ直ぐに自分を尋ねてくる程には心を寄せてくれているのだ。そう自らに云い聞かせながら、シュウは膝に開いた雑誌に今一度視線を落とした。
 突然の来訪だった。全てを教えている訳ではないシュウの居所のひとつにピンポイントで訪れたマサキは、雪崩れ込むようにシュウに身体を預けてくると、まるで猫や犬が飼い主にじゃれつくように、ひたすらにシュウに纏わり付いてみせた。髪に頬を擦り付けてきたり、口唇を指でなぞってみせたり、襟元の匂いを嗅ぐような仕草をみせたり……きっと、酒の所為で人恋しくなっているのだろう。そうシュウは思いはしたものの、恋しい人のマーキングにも等しい行為。気にならないと云えば嘘になる。
 確かにマサキはシュウの解呪によって、絶え間ない性的な欲求の数々から解放されたものの、だからといって人並みな性欲までもを失ってしまった訳ではない。性急にシュウを求めることは先ず無くなったとはいえ、求められる、或いは誘いかけられれば、即座に反応してみせたものだったし、その後の恥辱に塗れた扱いにも悦びの声を上げては激しくよがってみせたものだった。
 先程からスキンシップを繰り返しているマサキの行動が、そうした意思表示でないとどうして云えたものだろう?
 いつしかシュウの口唇をなぞっていた指先はその行為を離れ、今は雑誌を手にしているシュウの手の甲を掻くように撫でている。本当に犬猫みたいだ。シュウは横目で再びマサキの様子を窺った。とろんとした眼差しで、シュウの手に目を落としているマサキの表情は、どこかしどけないものに映る。かといって、それが性欲を感じさせるものとは、必ずしも映らなかったりもするのであるから、人の表情というものは難しい。
 不意にマサキがシュウの手を掴んだ。マサキ? シュウはようやく言葉を発して、肩に預けていた頭を起こしたマサキの様子を見守った。ゆっくりと持ち上げられる手。その手の甲に自らの頬を擦り付けて、暫く。マサキは開いた口唇の中に、その指先を収めた。そうしてねっとりと舌先で、シュウの指を舐ってくる。
「何か嫌なことでもあったのですか」
 小さく首を振ったマサキの潤みがちになっている瞳が、口に指を咥えたままシュウを見上げてくる。ならばこれは人肌恋しさ故の行動であるのだ。強い酒に酔い切ってしまっているからこその飢えを、自分なりに消化しようとしているのだろう。シュウがそう思いながら、三度、マサキから視線を逸らそうとしたその時。どうやらマサキはシュウが自身のさせたいようにさせているだけでいるのが気に入らなかったようだ。明け透けにも口から吐き出したシュウの手をシャツの下へと導いてくる。
 そうして自らの手とシュウの手でシャツを捲り上げたマサキは、取ったままのシュウの手を自らの乳首の上で動かし始めた。ん……と結んだ口唇から、甘ったるい声が洩れ出る。自ら動かしておきながら、それが他人の温もりであるからだろうか。マサキは繰り返しシュウの手を動かしながら、次第に息を荒くしてゆく。それはシュウにいつかのマサキの姿を思い起こさせた。そう、マサキを元に戻すべく奮闘していたあの日々に、クローゼットの中の衣服を取りに寝室に入ったシュウの目に飛び込んできた痴態。ベッドの中で自慰に耽っていたマサキの身体を開かせたシュウは、マサキの指に自らの指を重ねて、彼を絶頂《オーガズム》へと導いていった。
 ――ああ、ああ、シュウ。
 熱を帯びた瞳が、今度こそ、物欲し気にシュウを見上げてくる。イク、早くしないと、イク。これまでのスキンシップで既に相当、マサキは自らの気分を煽ってしまっていたらしい。声を上げながら身を捩じらせ始めたマサキに、シュウはだからといって直ぐには行為に及ぼうとはしなかった。
 覚え込まされた快感で敏感さを増した身体は、淫紋の支配下にあった頃と変わらずに、些細な刺激でも絶頂《オーガズム》に至れるようになっている。このまま放置を続けたところで、そう遠からずにマサキは射精を迎えることだろう。シュウはマサキの股間に目を落とした。服の上からでもわかる程に、硬くなっている男性器。嬲りたい。どうしようもない嗜虐心がシュウの心を浚う。その肢体を思うがままに嬲って、快楽に溶けてゆくマサキが見たい。
 シュウはさせるがままにしていた手の動きを止めた。そうしてマサキの耳元に口唇を寄せながら、彼にしか届かない程の小声で囁きかけた。そうやって、酒席を共にした兵士たちにも絡んだのですか? ぴくり、とマサキの身体の動きが止まる。どうして、そんなこと……シュウにそうした疑いをかけられるとは思ってもいなかったようだ。
「酔った状態でそういった行為に及ばれれば、疑いたくもなるでしょう」
「そんなに自分の躾に自信がないのかよ」
「だったら今日は存分に躾けてあげますよ。そんな口が利けなくなるくらいにね」
 シュウは雑誌をソファの上に置いて、立ち上がった。そして寝室へと続く扉の前に、ひとり先に向かうとマサキを振り返った。
 決してないだろう展開を思い浮かべて、勝手な嫉妬に駆られている己の浅ましさ。それを胸の内で嘲笑いながら、期待に満ち満ちた眼差しを向けてくるマサキを見遣る。
「先ずはその衣装を替える所からですね。さあ、マサキ。来なさい。それとも先に首輪を付けられたいですか」
 どちらにしてもそれはマサキを――或いは彼と統合してしまったもうひとりのマサキを悦ばせる結果にしかならないのだ。そんなことはわかっている。シュウは自らの口元に浮かぶ笑みの意味を、正しく理解していたからこそ、ソファの上でどう行動すればわからずにいるマサキが愛おしく感じられて仕方がなかった。
 ――だからこそ自分は性行為の間だけ、彼の尊厳を踏み躙ることを許されているのだ。
 そんなに首輪を付けられたいのですね。シュウの言葉に、おずおずと。けれども確かな力で、マサキが頷いてみせる。自らの求めるものに正直となったマサキ。そのしおらしいまでの従順さに、果てしないまでの快絶を感じながら、シュウはマサキの首を飾るアイテムを得るべく、寝室へと足を踏み入れて行った――……。


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