私は割と(どころじゃなく)古い腐女子ですので、好きなアーティストの曲が推しカップルのイメージソングに聴こえてくる人です。
何が言いたいかと申しますと、この回のテーマソングは安全地帯の恋の予感だったって話なんですけど。笑 いや、二番良くないですか?「何故 何故 あなたは好きだと言えないの? 届かぬ想いが夜空に揺れたまま 風は気まぐれ あなたを惑わせるだけ 恋の予感がただ駆け抜けるだけ」うちの女々しい白河にはぴったりだな!と。笑
何かいいシュウマサソングがあったらお教えください。
というこで、ちょっぴり女々しい白河の巻です。
何が言いたいかと申しますと、この回のテーマソングは安全地帯の恋の予感だったって話なんですけど。笑 いや、二番良くないですか?「何故 何故 あなたは好きだと言えないの? 届かぬ想いが夜空に揺れたまま 風は気まぐれ あなたを惑わせるだけ 恋の予感がただ駆け抜けるだけ」うちの女々しい白河にはぴったりだな!と。笑
何かいいシュウマサソングがあったらお教えください。
というこで、ちょっぴり女々しい白河の巻です。
<その後の操縦者たち ~シュウとマサキ(2)~>
顔を合わせ難い。
念願だったシュウのプライベートな空間にいるのに、マサキが落ち着かないのは、結局あのあとシュウに破嵐財閥の情報網を使って例の女性の信用調査に及んだことを話してしまっていたからだ。
待ち合わせの場所に珍しく少し遅れて姿を現したシュウは、それまでどう聞いてもはぐらかされてばかりだった自分の家に来ないかと容易く言ってのけると、望外な申し出に頷くことしか出来なかったマサキの手を引いて、そこからそんなに離れていないアパートメントの一室にマサキを連れ込んだ。
「ここは私がひとりで時間を過ごす為に借りた部屋ですよ。ひとりと言っても、大抵はチカも一緒ですけれども」
ラングランの街中でマサキの手を引くという人目を憚らないシュウの行動に驚きもあったけれども、人気のない場所でのこと。静かにひとりで過ごしたいと望む言葉を口にすることも多いシュウにとって、恐らくこの辺りはその望みを叶えるのに適した場所であるのだろう。そう思ったマサキは引かれた手に指を絡めて、短い距離をシュウと歩いた。
「本当はあちらの家に招きたかったのですが、あちらの家にはサフィーネたちもいますしね。あなたにとっては不満かも知れませんが、邪魔者がいるよりはいいでしょう? それともあちらの家にも行ってみたい?」
キッチンやバス・トイレを除けばリビングと寝室の二部屋しかないアパートメントの一室。リビングの壁一面には天井まで届く本棚があり、そのどれにも隙間なく本が詰められている。空いたスペースにカウチソファとミニテーブル。必要最小限の機能しかない部屋は、この部屋にシュウが何を求めているかを端的に表していた。
きっと、シュウにとってこの部屋は、ひとりでくつろげる大事な空間なのだろう。
そういった場所に自分が足を踏み入れることを許してくれた。舞い上がりたい気持ちがある反面、暴かれてしまった隠し事に対する気恥ずかしさもある。マサキは顔を伏せたまま、シュウの言葉に首を振った。
「ふふ……そうは言っても、嫉妬深いあなたのことですしね。その内、機会を見付けて連れて行きますよ。心配でしょう、マサキ?」
ほら、とソファに座ったシュウが手を広げてマサキを招く。マサキはおずおずとその膝の上に乗る。乗って、足をソファに投げ出す。そのマサキの身体を抱え込んで、シュウがマサキの顔を覗き込んでくる。
寂しさは嫉妬の裏返しでもあるのだ。そのことをマサキは知った。
時間の許す限り一緒にいたいと望んでも、お互いの立場がある以上はどこかで我慢をしなければならない。その会わない時間のシュウの日常生活には、自分以外の他人が存在しているのだ。当たり前のことであっても、その現実に思いを馳せたとき、マサキの寂しさは募る。
だからといって、誰にでも嫉妬を感じてしまうほど、マサキは狭量に出来てはいないのだ。シュウにサフィーネたちという仲間がいるように、マサキにだってテュッティたちという仲間がいる。
世の中の恋人や夫婦たちと一緒だ。お互いの生活を大事にしつつ、その上に自分たちの関係を成立させてゆく。マサキが例の女性の存在に危機感を感じたのは、それが自分の知らないシュウの生活に関わってくる女性だったからだ。だからこそ、マサキはシュウの仲間と過ごす時間までも奪ってしまいたいと考えたりはしない。
「お前にとっては大事な仲間なんだろ? だったら別に。俺にだって仲間はいるしな。そこにまで嫉妬してたら、どうにもならなくなっちまう」
「私は心配ですけれどもね、マサキ。あなたの周りには女性が多いでしょう。しかもあなたは流され易い。これで心配にならない方がどうかしている」
「仲間は仲間だろ。それ以上になんてなるもんか」
「どうでしょうね。気の迷いが起こらないとも限らない」
マサキの身体を抱えていた手が、伸びて頬にかかるまでになった髪を掬い上げる。耳にその髪を掛けると、シュウはそっとマサキの口唇に口唇を重ね合わせてきた。僅かに沈黙が流れる。乾いたマサキの口唇を舐め、少しだけ舌を絡めたシュウの口唇が、触れた時と同じくらいのさりげなさで離れる。
「人間というものは、ひとつ欲を叶えれば次を望んでしまう生き物なのですよ。今ある幸せだけに満足出来る賢者など、そんなには存在していない。大抵の人間は不足にこそ目が行き易く、だからこそ、それを埋めようと躍起になってしまう。あなたが戦う理由の本質もそれですよ。わかりますか、マサキ?」
「そうかも知れないな。ささやかな幸せで皆が満足出来ていれば、誰も力を求めてまで戦おうとは思わないだろうし」
「あなたの友人が新しい女性を獲得しようとするのも、そういうことでしょう? 今ある幸せよりも不足に目が行ってしまうからこそ、行動に移さずにいられない。私はね、マサキ。私自身もそうであると言いたいのですよ」
まさか、シュウ自身もマサキではない他の誰かに目移りすることがあるとでも言いたいのだろうか。微かな不安にマサキの身体が強ばった。その不安を即座に打ち消す。だったらわざわざ自分の部屋にマサキを招いたりもしないだろう。
だったら何だ? シュウの言いたいことの意味がわからないマサキは、シュウの顔を見上げたまま、その次の言葉を待つ。
そのマサキの口唇に、再びシュウの口唇が触れる。口唇の隙間から差し込まれた舌に、マサキは口を開いて自ら舌を絡めた。今度の口付けは長い。時々、口の端で息を吸い込みながら、マサキはシュウの求めに応じて舌を絡め続けた。
「あなたの初めてが欲しかった。最初はそれだけだったのですよ、マサキ。そうすればあなたと顔を合わせなくなったとしても、私の記憶は初めての相手としてあなたの中に残り続けるでしょう。それなのに、今は。
手放したくない。帰したくない。あなたと会う度に私はそう考えてしまうようになってしまった。少しだけあなたとの付き合いを我儘にしてみただけで、これだ。私はもう、これだけのものを手に入れてしまっているのにね」
そして背もたれを倒すと、抱えていたマサキの身体をソファに横たえる。
「させて、マサキ」
耳元で明け透けに欲望を訴える言葉に、わかっていてもマサキの頬が熱くなる。シュウはマサキに重ねた身体を起こすと、額から瞼、こめかみから頬へと口付けてきた。「したくない?」その目が真っ直ぐにマサキを見凝《みつ》めている。吸い込まれそうな濃紫の瞳。「したい」マサキは言って、その服を掴んだ。
脱がされてゆく服の下で、露わになった肌を舌が這う。
会えは会ったで、こうした行為に耽るのは相変わらずだったけれども、以前ほどマサキがそうしたふたりの関係に抵抗を感じなくなったのは、会う回数が増え、ふたりで他のことをする時間を充分に持てるようになったからなのだろう。
ましてや今日は、望んだ場所に足を踏み入れているのだ。
気紛れに会い、戯れに身体を重ねる。それが当たり前だった頃から比べれば、たった数ヶ月でのこの変わりよう。初めて口付けを交わしたあの日から、随分と年月は経ってしまったけれども、ここまでふたりの関係は変わることが出来たのだ。だったら、この先も変わり続けてゆくに違いない。
その未来には、シュウが望むふたりの生活があるかも知れない。それを叶えるのは、お互いの努力だ。一歩を踏み出せば、世界は変わる。マサキはそれを知ってしまったからこそ、シュウほどに悲観的にはなれない。
それに、シュウが望むように、マサキにも望んでいることがあるのだ。
一生、シュウとの付き合いを続けていきたい。それも、ただ続けるだけではない。同じものを見て、聞いて、味わって、そしてそれについてふたりで話し合いながら、人生を愉しんで生きて行く。
「なあ、シュウ……先のことはわからないけれど、俺はずっとお前と一緒にいられたらいいなって思ってる……」
吐息の合間にそっと言葉を吐く。マサキのささやかな、けれども過ぎた願いをシュウは笑顔で黙って聞いていた。きっとその未来はある。なければ自分で作ってみせる。シュウの返事はなかったけれども、マサキはそう思った。
「出させて、マサキ」
「うん……」
シュウの愛撫を一身に受け、その欲望を受け止めたマサキは、我が身を支配する倦怠感に身を任せて、ソファの上に身体を伏せた。マサキの中に自分を残したまま、シュウもその上に身を伏せてくる。
マサキの髪を梳くシュウの手。「大分、伸びましたね」暫くの間、そうして性行為の余韻に浸るように、マサキを撫でていたシュウが身体を起こすと、床に散らばっていた服を拾い上げながら、
「ところで、あなたの友人たちのその後はどうなったのです」
「そう。その話を今日、しようと思ってたんだよ」
マサキはソファの上に身体を起こした。ソファの背もたれを直し、背中を預ける。自分にも服を寄越しながら服を着るシュウを眺めつつ、予想外の展開を迎えてしまった甲児とさやかと例の娘の関係について口にする。
「甲ちゃん、例の娘との付き合い止めちまったんだって」
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