次回、感動(?)の最終回!
本当ですよ?本当に終わります!!!!
なんだか続きがありそうな感じですが、本当にこのシリーズは今回で終わります。
エロを中心にするなら、もっとエロ振り切った方が楽なので!!!なので!!!!
拍手有難うございます!励みとしております!
では、本文へどうぞ!
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<インモラルオブザーバー>
それからの展開は早かった。
翌朝、ラングランとバゴニアは合同で正規軍を自治区に派遣。自治区の治安維持の任に就くとみられた彼らは、その足で自警団本部に監査に入り、証拠品を押収した上で団長以下三名の団員の身柄を拘束。バゴニア本国へと移送した。
罪状は国防保安法違反。
彼らには、故意に自治区の情報を第三者機関に流出させていた疑いがかけられているのだという。
寝耳に水の展開をマサキが知ったのは、仮眠の最中。仮眠室の簡素なベッドで眠りに就いていたところを副団長たる例の男に起こされて――だった。自警団のトップが軍に拘引されている状況に、彼自身、詳報が出ていない状況でもあり、混乱している様子ではあったが、団長の代わりを務められるのは自分しかいないことを理解しているようだ。シュウの扱いに関してマサキに後を任せると、一足先に自治区へと。自警団の指揮を執る為に戻っていった。
「一体、何が起こってやがる……」
眠気も吹っ飛ぶ展開に、急ぎ仮眠室を出たマサキは、そこで施設管理を担当している自警団の部隊長に呼び止められた。何でも、今しがた、セニアから専用通信回線《ホットライン》を通じて連絡がきたのだという。用件は聞かされていないようだが、自警団団長の身柄拘束に関係する話であるのは間違いない。
マサキは食事を取ることもなく管理室に向かった。
管理室には男に命じられてモニターの監視に当たっている自警団員が三名いたが、如何に彼らがマサキと顔馴染みであっても、副団長たるあの男ほどには信頼は寄せられない。マサキは彼らを管理室から退出させた。敵方への密通者が自警団内部にいたことが判明してしまったのだ。今回の拘引者は団長と三名の団員だが、今後数が増えないとも限らない。用心をするに越したことはなかった。
「あら、マサキひとり?」
だのにモニター画面に姿を現わしたセニアは、呑気にもそう云ってのける。
「そりゃそうだろうよ。団長が捕まったってのに、他の面子を立ち会わせられるか」
マサキはモニター群に目を這わせた。施設の入り口から、独房に続く廊下まで順繰りに眺めてゆく。
団長の拘束という事態に、施設の管理と保安に当たっている自警団員たちが動揺しているのではないかとは思ったが、見た感じでは忠実に任務を遂行しているようだ。それならばいい。マサキは最後にシュウがいる独房の様子を確認して、セニアが映し出されているモニターに視線を戻した。
「昨日のあの人ぐらいはいるんじゃないかと思ってたのだけど」
「副団長な。奴なら本部に戻ったぜ。自警団の指揮を執らないとならないからな」
「ああ、あの人が噂の副団長。相当な切れ者だって聞くけど、確かに只物じゃない雰囲気を発してたわね」
「昔は軍属だったらしいぜ」
「バゴニアの?」
「詳しい所属までは知らねえが、そうだったって話だ」
マサキは手近な椅子を引き寄せて座った。
今日の混乱を知ってか知らずか。その発端となった魔法陣を作り上げた男は既に起床しているようだ。膝に書物を乗せて読書に勤しんでいる。嫌になるぐらいに冷静な姿に、訳もなくマサキは苛立った。
「――で? 流石にあの魔法陣に何が書かれていたのか、説明してくれるんだろうな」
「昨日は悪かったわ。彼らに逃亡されない為にも、秘密裏にことを進めないとならなかったものだから」
「いいさ。それは仕方がねえ」
こういった形でなければ、恐らく今回の一件は解決が出来なかったのだ。マサキは腹の底に溜まった遣る瀬無さを飲み込んだ。
「あの魔法陣はね、完成させると暗号文になるのよ」
「暗号ねえ。つーても、ただの暗号じゃないんだろ。簡単に解読出来るような暗号をあいつが俺に渡す筈がない」
「そりゃそうよ。いつだったか、いざって時の為にって、あの男から乱数表を貰ったのよ。それをデュカキスに記憶させておいたってわけ。だから即時に解析が終わったのよ」
「何で魔法陣なんて回りくどい方法を使うかねえ」
マサキは呆れると同時に、それを当たり前のこととして受け入れているセニアに対して嫉妬した。
従兄妹として血の繋がりがある両者は、口ではああだこうだと云いながらも、互いに信頼を寄せているらしい。いざとなると理解があるような口を利いてみせる両者は、取り立てて連絡を取り合っているようには見えないのにも関わらず、妙に連携が取れているような動きをしてみせることがままあった。
それがこうした日頃の根回しの賜物であるのだとしたら――蚊帳の外に置かれたような扱いの我が身に、だからマサキは云いようのない孤独感を覚えた。シュウと自分は対等《イーブン》な関係ではない。それはもうずっとマサキがシュウに対して抱いているコンプレックスであったからこそ。
「乱数表を使った暗号文の解析は容易だからねえ。だから彼らが解析を進める時間を遅らせる為に魔法陣にしたんじゃないかしら。解かなきゃ解析にかけられないんだし」
成程。マサキは唸りながら天井を睨んだ。
頑なに口を閉ざし続けたシュウは、自警団内部から敵方に情報が流れることを怖れていた。
セニアに情報を渡す方法について、彼は相当に頭を悩ませたに違いない。何せ彼には味方がいなかった。彼の仲間や使い魔がどうしているかマサキはわからないままだったが、独房に入れられた以上、連携を取るのは不可能に近かっただろう。
文字通りの孤軍奮闘。何も役に立たなかったな。マサキはぽつりと呟いた。
「何云ってるの。これからがあなたの出番よ、マサキ」
「敵方を叩くってか。奴らが口を割るかねえ。何となくだが、昨日今日で寝返ったって話じゃなさそうだしな」
それに、その戦いにシュウはマサキを連れては行かないだろう。
前回の時もそうだった。シュウは自らと自らの仲間たちで情報収集に当たるとマサキに宣言した。それきりだ。その後の動きがどうなったかについても、全く聞かされていない。
マサキは溜息を吐いた。
流石に今回はマサキたちも動くことになるだろうが、あの独立独歩な男は、恐らくマサキたちに協調することはない。自らに対する無礼は、自らの手で返す。そういった方法論が身に付いてしまっているのがシュウ=シラカワという男だ。
「どうしてそう思ったのよ」
セニアの言葉にマサキは視線を戻した。溜息混じりに言葉を継ぐ。
「こんな辺境の小さな街だぜ。その割には起こる出来事の規模がデカすぎるってな」
「その通りよ。でも彼らが口を割ろうが割るまいがどうでもいいのよね、その辺は」
「何だ? 敵方の目星が付いたのか」
「どの国が動いているかはわからないままだけど、背後で動き回ってる組織の目星は付いたようなものね」
流石は従兄妹だけはある。セニアのシュウを彷彿とさせる勿体ぶった口振りに、マサキは顔を盛大に顰めた。
「明瞭《はっき》り云えよ。面白くねえ」
思いがけず不貞腐れたような声が出る。
わかっている。マサキは口唇の端を噛んだ。自分はまだ拗ねている。
物事が解決の方向に向き始めたとはいえ、マサキがしていたことには限りがあった。シュウを監視しながらも、愛欲に耽る日々。それは事態の解決には何ら役には立たなかった。ただ、シュウに置いて行かれた寂しさを埋めただけ。
その不満がマサキの気持ちを腐らせているのだ。
「サフィーネが邪神教団で動き回っているのは知ってる?」
「知らねえよ。全く情報らしい情報がねえんだ、こっちには」
「情報収集かと思っていたんだけど、どうも本気で教団の手足となって動いているようなのよね。それが不思議だったんだけど、それもあの男からの連絡で納得がいったのよ」
「洗脳でもされたか?」
「ビンゴ。サフィーネを教団に人質に取られているから、シュウは今身動きが取れないのよ」
「って、ことは、教団を潰せば全部解決するんだな?」
それが一朝一夕にはいかない問題であることをマサキは理解していた。
それでも、この溜まりに溜まった鬱憤をぶつける先をマサキは他に持たなかった。今度という今度こそぶっつぶしてやる。気持ちを滾らせたマサキは椅子から立ち上がった。
邪神教団。シュウを立場や生活雁字搦めに縛っているあの組織がこの世から消えれば、彼の生活は確実に安定する。そうすれば、自治区に根を生やして生活をするのも不可能ではなくなるだろう。そう、マサキはシュウとの終わりのないふたりきりの生活を望んでいた。
気付いたら彼の姿がない、などといった状態には二度と陥りたくない。それはマサキの偽らざる本音だった。
彼をこの掌中に収める為であれば、どんなことでもしてみせる。その、マサキの決意を察したのか、それとも只ならぬ精神状態にあることを読み取ったのか。待ちなさいよ。苦笑いを浮かべたセニアがマサキを制した。
「あなたを自由に動かす為にも、することが幾つかあるのよ」
「何だよ。魔装機神操者には自由裁量権がある筈だが」
「そこの男を放置して、あなたが自由に動くもへったくれもないでしょ。バゴニアの了解は取ったわ。シュウをラングランに移送して頂戴。勿論、グランゾンごとね」
「俺が、か?」
マサキは視線を独房内のシュウに向けた。
確かにシュウをここに置いたままではいられない。セニアの言葉にマサキは我に返った。団長たちに続く拘束者が出ないとも限らない現状で、この場にシュウを置いて行くのは彼を餌食にしろと云っているようなものである。
「自警団の人たちは自治区の警備に戻らせるわ。あなたが留守の間にまた連中が攻め込んでこないとも限らないしね。ジノを筆頭に何人か正魔装機を派遣もする。だから、覚悟を決めてきて頂戴。今度という今度は教団の息の根を止めるわよ」
「望むところだ」
マサキは力強く頷いた。
大人しく自治区に囲われている生活はこれで終わりだ。自分を押さえ込み、偽るようにして生きた日々。マサキはシュウに従順に身体を与え、そして彼に徹底的に甘やかされてきた。
その幸福を、とてつもなく甘美なものとして享受してきたマサキではあったが、けれどもけれどもそうした生き方は、魔装機神サイバスターの操者であるマサキには不釣り合いなものであった。
対等に生きたい。
邪神教団を壊滅させた先にこそ、マサキとシュウの始まりはある――自らの幸福を自らの手で獲得することを決めたマサキは、セニアとの通信を終えると、先ずは例の男に今後の動きを伝えなければと、自警団本部にコンタクトを取った。
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