ということで、リクエストいただきました「精神的にマサキの中に入り込み、あたたかさと自由を感じるシラカワ」の前編です。
個人的な話で恐縮なのですが、私、本日三連勤の初日でして。昨日プロットを練り、本日より執筆開始というスケジュールという関係上、あまり文字数が進んでおりません。恐らく前・中・後の三回になると思いますが、どうぞご了承のほどをお願いいたします(*´∀`*)
個人的な話で恐縮なのですが、私、本日三連勤の初日でして。昨日プロットを練り、本日より執筆開始というスケジュールという関係上、あまり文字数が進んでおりません。恐らく前・中・後の三回になると思いますが、どうぞご了承のほどをお願いいたします(*´∀`*)
<心のままに>
吹き抜ける風の気持ちよさを肌に感じられそうな青々とした平原が目の前に広がっている。湾曲する大地の果てに薄くかかる白い雲。計器類の上には二匹の猫型の使い魔が、今日もいい天気だときゃあきゃあ騒ぎながら補助操作《サブコントロール》に忙しない。
風の魔装機神サイバスターの操縦席《コントロールルーム》だ。
どうやら無事にマサキの中に入り込めたようだ、とシュウはマサキが今見ている世界を、その精神を介しながら見渡してみた。シュウの愛機から覗くのとはまた違った景色。全てがめざましい。マサキにとってのラ・ギアスの自然はこんなにも色鮮やかなものであるのだ。
話は昨日に遡る。
旧《ふる》い知り合いから「面白いものを手に入れた」との連絡を受け、取り立てて急ぎの用事もなし、とシュウが足を運んだ先で譲り受けた一冊の魔術書。術者の精神体を他人に憑依させる為の術式が記されているその書をひと晩かけて読みきったシュウは、襲いかかる好奇心に打ち勝てず、仮眠を済ませたのちに早速と術を展開してみることにした。
当然ながら、憑依したが最後。自らの肉体に戻れないでは不都合が出る。
魔術書によると術の効果時間は二時間から八時間ほどだということだった。効果時間の幅が広いのは、術者や憑依する相手の精神力に拠るところが大きいかららしい。つまり、魔装機神の操者のように強い精神力を持つ相手の場合、憑依時間は短くなるということだ。
尤も、シュウもまた、自らの精神力には自信を持っている。長年、ヴォルクルスの支配を受け続けた過去。自我を乗っ取られて尚、廃人と化さずに済んでいるのだ。魔装機神の操者に比肩する精神力でないとどうして云えたものだろう。
どのくらい自分はマサキの精神に留まっていられるだろうか……その時間を思ったシュウは、戦意とはまた違った形の高揚感を感じずにいられなかった。
十六体の正魔装機の頂点に君臨する風の魔装機神の操者たるマサキは、年相応の感性を持つ等身大の少年だ。時に笑い、時に怒り、時に泣く。その才能と力に不釣合いな純粋さが、風の精霊たるサイフィスの眼鏡に適ったのだろう。人前に姿を見せたがらない彼女にしては、珍しくもマサキの前には進んで姿を現すような真似をしてみせたものだ。
そんなマサキの精神には逞しいという言葉が相応しい。決して不撓不屈《ふとうふくつ》とまではいかなかったものの、戦うことに怯えずに前に進み続ける強さを持ち、例え挫けるようなことがあっても再び立ち上がってみせる……どちらがどう、といった問題ではないのをシュウは理解していたが、折角こうした機会を得られたのだ。少しでも長く、彼が目にしている世界を見ていたいではないか。
――ああ、今日もいい天気だ。
どうやらマサキはサイバスターを降りて、平原に立ったようだった。いついかなるときも動くことのない太陽を見上げながら、雲の果てに吹き上げる風を全身に受けている。その豊かな恵みに胸を掻き立てられているのだろう。精神が騒いでいるのが伝わってくる。
その無邪気さに、思いがけずシュウは微笑《わら》った。
シュウにとってマサキは叶えたかった過去なのだ。心のままに自由に世界を駆け回り、精霊に愛されて生きる。まるでビー玉のように輝く少年時代。子供の頃にシュウが夢見ていた未来にマサキはいる。
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