私は私の読みたいものを書くね!笑
アクションを書きたがる割には書き慣れていない@kyoさんは、こういうのを書くと物凄い時間がかかる人なのですが(あとエロ)、それでも読みたいものは読みたいですし、書きたいものは書きたいのです。ということで、アクション回です。
もうちょっと膨らませたくもあったんですけど、山賊相手だしこんなものかなーと。変に強くしすぎるとパワーバランス崩れますし、私が最初に想定していなかった陰謀が発動してしまうので。笑
では、本文へどうぞ!
アクションを書きたがる割には書き慣れていない@kyoさんは、こういうのを書くと物凄い時間がかかる人なのですが(あとエロ)、それでも読みたいものは読みたいですし、書きたいものは書きたいのです。ということで、アクション回です。
もうちょっと膨らませたくもあったんですけど、山賊相手だしこんなものかなーと。変に強くしすぎるとパワーバランス崩れますし、私が最初に想定していなかった陰謀が発動してしまうので。笑
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<すれ違いのSt.Valentine.>
坑内に入り、斥候が進んだ道を往く。程なくして出た逆Y字路の分岐点。集中している賊の群れは、それだけでその先に重要な拠点があると知らせてくれるものだった。
マサキたちが来たのは右手前側の道からだった。
暫く観察を続けてみるものの、左手前側の道と上に続く道。どちらからも賊の出入りがある。
順当に考えるのであれば、片方は賊の拠点に続く道で、もう片方は人質が捕えられている場所に続く道になるだろう。ここで判断を間違えては人質に危害が及びかねない。マサキは確認の為にと試しに足元の小石を取り上げ、彼らの視界の陰から、その近くの岩盤に投げつけてみた。
物音を立てられればと思ってのことであったが、人の多さが災いして、思ったような効果が得られない。
「火薬を使いますか、マサキさん」
「ちょっと気を逸らす程度の物音でいいぞ。あんまり大きな音になると、そのまま戦闘になりかねない」
「見張りの数が多いですからね。この位置で鳴らせば、向こうにはそこまで大きな物音には聞こえないと思いますよ。彼らの動きを見たいんですよね。なら、このぐらいで充分かな」
何度か一緒に人質救出任務に当たったことのあるザッシュは、マサキの遣り方を覚えていたようだ。
物音を立てて、彼らの動きを見る。人質の方へ向かってくれればしめたもの。訓練された軍人は、そのぐらいの陽動には引っ掛からないことも多いが、相手は所詮は山賊風情。上手く行けば人質が捕えられている場所の警備が手薄になる可能性まである。
ザッシュはナイフを器用に使って、薬莢《カート》から火薬を取り出した。懐から取り出した手巻き煙草紙の上に火薬と芯棒――軍服の裾をほぐして取り出した繊維を撚《よ》ったものを乗せて巻く。これで即席の爆竹の完成だ。
「お前、煙草を吸うのか」
「まさか。こういった時に便利だから持ち歩いているだけですよ」
「ライターと手巻き煙草紙の両方を持ってて、云う台詞じゃねえな」
マサキの台詞にザッシュはただ微笑んでみせただけだった。「下がってください。点火します」そしてマサキとミオが離れたところでいつでも戦闘に入れるように構えたのを確認すると、ザッシュはライターで爆竹に点火した。
少しの間。ぱんと乾いた音が響く。
何人かの賊が周囲を窺うように首を左右に振った。その中のひとりが、近くの賊に耳打ちをする。どうやらどこかの警備を厚くするつもりのようだ。耳打ちされた賊は何人かの賊を引き連れて、左手前側の道の奥へと姿を消した。
「普通に考えれば、あっちが人質のいるエリアだが」
「山賊だしねえ。そこまで深く考えて行動はしないんじゃない?」
「動きがかなり荒いので、軍属の経験者もいないと思いますよ」
「そういうことなら」マサキは鞘から剣を抜いた。「さっさと片付けようじゃねえか」
彼らの武装量がどのくらいになるかはわからなかったが、戦いは物量だけで決するものでもない。それを扱う側の質の問題でもある。そういった意味でだったら、ミオにザッシュ。負けることは絶対にない。マサキはそう考えて、「じゃあ、行くとするか。|5《ファイブ》カウントだ。遅れるなよ」
ふたりが頷くのを確認したマサキは、カウントダウンを開始した。5……4……3……2……1……そして大きく息を吸い込み、ゼロと云うと同時にマサキは賊の群れめがけて駆け出していた。
賊の中心に躍り出る。
瞬時にしてマサキたちが現れたことに動揺している彼らに、これも好機とマサキは立て続けに攻撃を繰り出した。
右に左に剣を振り、その衝撃波で賊を吹き飛ばしてゆく。討ち漏らした敵はミオとザッシュの出番だ。声を上げさせる間もなく、ミオは彼らの懐深くに潜り込んで肘で鳩尾《みぞおち》を打った。這いつくばる賊。その更に後方から、ザッシュはマサキ同様に剣技を放ち彼らを薙ぎ払っている。
十数名の賊が片付くまでには、そう時間はかからない。
五分もしない内に、マサキたち以外に立っている者の存在はなくなった。地面に折り重なるように倒れ伏す賊の群れ。至近距離から剣技での攻撃を受けたのだ。今の彼らは、治療を受けねば立つことすらままならない状態だ。
「暫く大人しくしてるんだな。人質を救出したら病院へ連れて行ってやる」マサキは彼らを見下ろして云った。
方々から低い呻き声が聞こえてくる中、マサキたちは左手前の道へと入った。一本道の坑道となっているようだ。明かりが行き届いてないのか、数メートルもしないうちに暗がりとなる道を、マサキたちは手持ちのライトで照らし出しながら進んだ。けれども、騒がしい音が届いたのか、それとも不穏な空気を感じ取ったのか、奥で番をしていると思われた彼らとは意外にも早く鉢合わせした。
相手は五人。さしたる手間がかかる人数でもない。すれ違いざまに片付け、奥へと進む。
その先は特に何事もなく進めたものだ。
どうやら、彼らの総数は二十から三十といったところなのだろう。残党にしては多い数ではあったが、これまで散々悪事を重ねてきた巨大な山賊組織だ。裁判でもその全容は明らかになっていないとも聞いた。度重なる戦争が彼らをそうした稼業へ追い込んでしまったのか、それとも元からそれが彼らの本質であったのかはわからないが、だからといって他人の利益を搾取して利を得ていい筈もない。
「命があるだけ、充分だと思っていただかないと」
そんなことを口にしてみれば、思いがけずザッシュから返事があった。全くその通りだ。彼らが強奪を繰り返した陰で、どれだけの人間が肉体的にも被害を被ったことか。反論する余地もない。そうだな、と呟いてマサキは更に奥へと進んた。
五分ほど歩いた先。坑道の奥まった場所に、トロッコなどの道具が置かれている開けた空間がある。恐らくは採掘場の跡地なのだろう。どうやら人質たちはこの空間に集められているようだ。ロープで繋がれた彼らは、空間の隅で身を寄せ合うようにしてしゃがんでいた。
番をしているのは三人。彼らはライトの明かりを味方のものだとでも思っていたのだろうか。マサキたちの接近に警戒はしていなかったようだ。ほぼ一瞬で付いた勝負に、マサキは何の感慨も抱かない。
ただ、やっぱり山賊風情だったと思うだけだ。
「人質救出の任を受けて来た。風の魔装機神、サイバスターの操者マサキ=アンドーだ」
王都では顔を知られていたマサキたち魔装機操者も、神聖ラングラン帝国領の地方になればなっただけ、認知度は落ちてゆく。名前は知られていても、顔までは――といった国民が増えるのだ。
国土を縦横無尽に活躍しても、その大半は王都周辺に集中している、重要施設の少ない地方に出る機会は稀だ。そうである以上は当然のこと。マサキが念の為と名乗りを上げたのも、だからだった。
人質たちの口から安堵の溜息が洩れる。
ミオとザッシュと三人で手分けをしてロープを解いてやる。「いいか、固まって俺たちに付いて来るんだ。絶対に広がるな。広がったら命の保証は出来ないからな」マサキはそう告げると、彼らを背後に元来た道を引き返そうとして、「ミオ、ザッシュ! 人質を守れ!」広い空間に乗り込んできた十名ほどの賊に向かって走りながら剣技を放った。
三人が吹き飛ぶ。
地に転がった彼らの中のひとりが立ち上がり、他の賊たちと一緒に一斉に射撃を繰り広げて来る。「ザッシュ! 前に出ろ!」マサキはそれを剣で弾きながら、ザッシュを呼び込んだ。
一陣の風。マサキの背後から飛び出して来たザッシュが、彼らに向けて剣技を放つ。至近距離からの強烈な一撃で四人が吹き飛んだ。「銃に頼るような甘ったれた攻撃で、僕らを倒せると思わないことですね!」続けざまにザッシュが振り回す剣から風撃が飛ぶ。マサキもその隣に躍り出て、同時に剣を一閃。凄まじい衝撃波に、残っていた賊は銃弾ごと弾き飛ばされた。
「ミオ、今だ! ザッシュと一緒に人質を連れて先に行け!」
「了解! ほら立って、行くわよ!」
恐らくこれで賊はほぼ全員だろう。マサキはそう読んで、ミオとザッシュを先行させる。このふたりを先に進ませれば、道を間違えられることもない。それに広範囲をカバー出来る攻撃を持っているマサキの方が、人質の護衛には向いている。
後は出て来たとしても数名の筈。そのマサキの読みは外れていなかった。暗い坑道を往くこと三十分ほど。太陽の光が眩く照らし出している廃坑の出入口に、マサキたち一行は辿り着いていた。
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