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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

I must be change my love and love for me.(了)
@kyoさん20周年おめでとう記念祭

今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。

〆を悩みに悩んだ結果、書きたいことだけ書いて終わらせましたッ!
ある意味、いつも通りにザッシュが報われていない終わり方ですが、こんな話も稀には良しッ!次回は取り敢えず最後の話になるんですが(半年後の他の作品の進行具合では、もう二、三個リクを取りたいなあ、と思っていたりいなかったり)、これはどうしますかねえ。内容が内容なので、30の物語やバレンタイン作品と同時進行で書き下ろしてPixivで公開でいいかなあ、と思っています。

あ、そうそう。バレンタインのご希望がある方は、お題箱の方にリクを飛ばしておいてくださると有難いです。と、いうことで、本文へどうぞ!
<I must be change my love and love for me.(了)>

 互いに対する競争心か、それとも嫉妬心か。いずれにせよ、この特殊な状況が彼らの情欲を煽りたてているのは間違いなかった。それは媚薬の効果が切れる時間になって尚、マサキがふたりから解放されなかったことからも明らかだった。
「やだ、やめ……やめろって。達《い》く、達《い》くって……」
 何度、この言葉を吐いたことだろう。座位で、立位で、或いは側位で、また或いは後背位で、交互に男性器を挿入されてはその都度吐いた言葉を、マサキはまたも繰り返していた。
 ただただふたりを受け入れ続けた秘所《アヌス》は、既にひりつきを覚えてしまっていたけれども、それでもこうして触れられれば、どこからともなく欲望が首を擡《もた》げてくる。そして、男性器を欲しがっては、切なそうに入り口を窄《すぼ》ませるのだ。それだけ、初めて知った快感は、強烈な力でマサキを虜にした。
 決してシュウとだけでは、感じられなかった快感――……。
 寝室に置かれたキングサイズのベッド。マットレスに身体を深く沈めながらも、今のマサキに身体は休まる間もなく。両の乳首を分け合うように舐《ねぶ》るふたりに、腰を浮かせてひたすらマサキは喘ぎ続けていた。
「……あんまり暴れない方がいいですよ、マサキ。そう暴れては、あなたの愉しみが減ってしまうでしょうに」
 おもむろに顔を上げたシュウが、マサキの耳元に囁きかけてくる。そのついでとばかりに耳を舐られて、マサキは切なさに腰を捩じった。耳も乳首もどちらも弱い箇所。同時に責められて、感じない筈がない。
「凄いですね、マサキさん。今までで一番感じてるんじゃないですか?」
「そうは云えど、ザシュフォード。とうに薬の効果は切れているのですよ」ねえ、とシュウはマサキを凝視《みつ》めて言葉を次いだ。「そんなに気に入ったの、マサキ? だったらちゃんと、そうだと云わないと。やだ、ばかりでは可愛がり甲斐がないですよ。それとも、本当に嫌?」
 違う、とマサキは首を振った。そして、そのどうしようもない快楽に、震える声で、いい、と繰り返す。
「いい、から、もっと。もっと、して……達《い》きたい。達《い》かせて、シュウ」
 それに対して、シュウは微笑んでみせただけだった。けれどもその静かな微笑みが、例えようもなくマサキには美しいものに見えた。獲物を捕食する直前の獣の目。笑顔の下に押し隠している瞳に孕んだ光を、マサキは見逃さなかった。
 自分を求める凶暴な眼差しが、マサキは好きなのだ。
 余程の相手でない限り、自分を求められて悪い気はしない。その執着心が強ければ強いほど、それはマサキを縛ったものだ。だからマサキはシュウに自らを委ねたものだったし、そしてだからこそマサキはザッシュを拒めなかったのだ。
 堕落した関係に他人を巻き込んでも、自分を手放せないシュウ。
 堕落した関係に身をやつしてでも、狂ったように自分を求め続けるザッシュ。
 どちらも選ばなければ、この関係は続くのだろうか? ふと、マサキがその考えに至ってしまった刹那、再び滑り落ちてきたシュウの口唇がマサキの乳首を啄《ついば》む。瞬間、我を忘れたマサキは身体を跳ねさせ、ひときわ大きな声を放った。「こんなに感じて貰えると、男冥利に尽きますね」嗤いながら呟いたザッシュは、そうして再びマサキの乳首を食《は》んだ。
 そうして、そのままふたりがかりで乳首を責め立てられたマサキは、ただそれだけの刺激でこれまでにない絶頂《オーガズム》を迎えて果てた。
 後のことは良く覚えていない。
 もしかすると意識を失ってしまったのかも知れない。次にマサキが目を開くと、柔らかい日差しがカーテンの隙間から差し込んで来る寝室のベッドの上。右にシュウ、左にザッシュと、ふたりもまたマサキを挟んで眠りに落ちているところだった。
 それから、いつもシュウと過ごす時のようにベッドから這い出ると、軋む身体を引き摺ってキッチンへ向かい、へこんだ腹を満たすべく冷蔵庫を漁ったマサキは、それなりの食材を使って三人分の朝食を作り上げた。
「手伝いますよ、マサキさん」
 途中で起きてきたらしいザッシュの助力を要らないと断って、「まだ寝てるのか」とシュウの動向をマサキが訊ねると、どうやら朝に弱い面のある男はまだ夢の中らしい。
「昨日、あれから話をしたんですけど」
「あれから?」
「マサキさんが眠ってからですよ」
 眠ったというよりは、気を失ったような――と、思いはしたものの、それを今ここで口にしたところで、話が進まなくなるだけ。マサキは、それで、と話の続きを促しながら、沸かしたばかりの湯を使って淹れた紅茶を、ザッシュの目の前に出した。
「なんか、いいですね。こういうの」
 それをひと口啜って、ザッシュが云う。
「お前、昨日の今日で状況に慣れ過ぎじゃないか」
「正直に云えば、あなたのこういった姿を間近に見られるのでしたら、別に僕はこういった関係でも構いませんよ。多分、それは僕に限ったことではなく、あの人もそうなのでしょうけど」
 そして顔を伏せると、絞り出すように声を出した。
「今となっては、あなたから遠ざからなければならない方が辛い」
「ザッシュ……」
 自分は狡くて醜い人間なのだ。押し寄せる快楽の波に攫われて、どちらも選べないと思ってしまった。
 そんなマサキにどうして掛けてやれる言葉があるだろう。
 何も云えなくなったマサキに、話題を変えるように「月に一度」と、ザッシュは指を立てた。「昨日のように僕たちと過ごして貰います。マサキさんがどちらかを選ぶまで」
「ザッシュ、けれども、それは――」
「それに関しては、あなたに拒否権はありませんよ」
 朝に弱い男はようやくベッドから抜け出してきたようだ。気だるそうにキッチンに姿を現したシュウは、ザッシュの言葉を引き継いで愉しげに。口の端を僅かに歪めて嗤ってみせた。
「それとも、もっと期間を短くしましょうか。ねえ、マサキ」
「お前、怒ってないのか」
「怒ってましたよ」シュウはさらりと云い放って、「ですが、昨日のあなたの姿を見ていたらどうでも良くなった。どうせあなたのことだ。どちらも選べないと思っていたのでしょう」
「それは……」図星を刺されては、マサキとて黙り込む他ない。
 それに対して、ほらね、とシュウはザッシュを見た。そして嗤いながら、それが日常とばかりに食器棚から三人分の食器を取り出してくると、テーブルの上に並べ始めた。
<了>


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