帰宅後、疲れから仮眠を取った@kyoさん。起きたらなんと23時。そこから慌てて文章を打ち始めたのですが、そろそろ寝ないと明日に障るので、短くはありますが今日の更新としたいと思います。
今回は温泉回です。次回も温泉です。
大丈夫です。ちゃんと入浴させます。
それだけは伝えておくこととして、では本文へどうぞ!
今回は温泉回です。次回も温泉です。
大丈夫です。ちゃんと入浴させます。
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<SilentNight.>
「量としては丁度いいぐらいでしたね」
例年に比べればささやかなクリスマスディナー。ローストターキーとローストビーフは明日一日をかけて食べきる予定だ。もし、来年もふたりきりでクリスマスを過ごすのであれば、このぐらいの量のクリスマス料理でいいのかも知れない。シュウの言葉にそんなことを考えながら、あっという間に空になったメインディッシュ用の皿を横目に、ケーキとジンジャークッキーを食べつつ、マサキは今年のグリューワインを飲んだ。
「来年のクリスマスはどうしようか」
「去年も今年も私のしたいことを優先してもらいましたしね。来年はあなたの希望を全面的に受け入れますよ」
流石にこの後に温泉が控えているからだろう。今日のシュウのアルコールの進みは遅い。食糧庫に山と用意されていたワインの一本を半分も空けたぐらいで、デザートも空となる。そこからアルコールで火照った身体が少し冷めるのを待って、マサキはシュウとともに、ロッジ群が建つ敷地の外れにある温泉が湧いている入浴施設へと向かった。
決して期待はしていなかったのだ。
けれども、所詮は異世界だと高を括っていたマサキの目の前に、それは風靡にも姿を現わした。見た目はロッジと変わらない建物。けれども中に足を踏み入れると、世界が一新した。まさかの和。よもやラ・ギアスに檜が存在しているとは流石にマサキは思わないが、造りはまさしく檜風呂。薬効の高そうな温泉と木の匂いに包まれた浴室は、ひと家族が余裕を持って入れる広さがある。
綺麗に剥かれた木で覆われている壁。すのこの敷かれた床。そして床と同じ高さに縁がある木製の浴槽。どれを取っても、よくある日本の温泉風呂。これに満足感を覚えない方がどうかしている。
しかも屋外にも風呂が存在していて、こちらは石造りの露天風呂となっている。
玉砂利が敷き詰められた坪庭に紅葉も美しい木々が植えられ、目隠しには竹のようにすべく木々を切り出したのだろう。すのこのように組まれた木が外界とのスペースを区切っている。そりゃ俺に感想を聞けって云う筈だ。マサキは所有者《オーナー》の自信が窺える温泉施設に感心せずにいられなかった。
「でもこれ、ラングランの人間には良さがわからないだろ」
とはいえ、風呂に浸かる習慣のないラングランの人間相手の商売である。どれだけ所有者《オーナー》が自信を持っていようとも、そもそもの入浴施設がどういった世界に映ったものかわかったものではない。ましてや温泉である。彼らにとって異文化の価値が伝わったものなのか――脱衣所で服を脱ぎながら、マサキが率直な感想を口にしてみれば、
「それなのですよ。シャワーに慣れきっている人間にとって、風呂に浸かる行為というのは、思った以上にハードルが高く感じられるようですね。折角のこの施設も利用者が少ないと、所有者《オーナー》が嘆いていましたよ」
「まあ、金持ちの道楽にしか映らないよな」
足元にはござ。その温もりが心地いい。マサキは木で織られた脱衣籠に衣類を収めて、檜風呂が待つ浴室へと足を踏み入れた。立ち込める湯気。熱気が肌を打つ。マサキは身体を洗うべく、浴室の隅にある洗い場に身を収めた。
そしてシャワーの蛇口を捻る。
どうやらシャワーにも温泉を引き込んでいるようだ。滑らかな肌触り。噴き出す湯に身体を打たせ、汗と埃を流し、身体に溜まった疲れを癒してゆく。今年も任務に励んだ一年だった……今日のこの日を迎える為に、魔装機神の操者としての責務を果たし続けたマサキは、懐かしい感覚に身体を浸しながら、こんなクリスマスも悪くないと改めて休暇の有難みを感じ入った。
カラカラとサッシの開く音。どうやらシュウも浴室に入ってきたようだ。
所有者《オーナー》の手厚い厚意のお陰で貸し切りとなった温泉は、明け方まで好きに使っていいとのことだった。マサキはのんびりと風呂を愉しめる有難みを噛み締めた。威光を暈《かさ》に我儘を通している彼ではあったが、稀には役に立つこともある。そのお陰で、こうして浴室を広々と使えているのだ。ロッジの他の客に申し訳なさはあれど、他人の目を気にせずに風呂に浸かれる安心感は何にも代えがたい。何より、折角の温泉。それを時間に追われるように気忙しく済ませるなど勿体ない。
「どうですか。久しぶりの温泉の湯は」
「気持ちいい。普段の風呂とはやっぱり違うな。水が滑らかだ」
「気に入っていただけたようで何よりですよ」
ねえ、マサキ。隣のスペースに身体を収めたシュウが、シャワーの湯を頭から被っているマサキの手を取った。洗わせて。甘ったるい囁き声がやけに淫靡に響いて聞こえるのは、マサキの気の所為ではないのだろう。
「お前、俺と一緒に風呂に入る度に、俺の身体を洗いたがるの止めろよな」
「どうして? 一緒に入らなければ出来ないことなのに」
「それだけで済まないのが嫌だって云ってるんだよ……」
普段は別にシャワーを浴びることが多いマサキとシュウだったが、偶には風呂をともにすることもある。大抵はシュウが口にしてのことだったが、それを彼がただ入浴するだけで済ませたことは一度もない。
だからこその抵抗。久しぶりの温泉をのんびり味わいたいと思っているマサキからすれば、今の彼が求めている過剰なスキンシップは、毒でこそあれど薬にはならないのだ。だというのに、シュウはどうあってもマサキの身体に触れたいらしい。ほら、と手を引いて、マサキに背中を向けさせると、早速とばかりにその背中を流し始めた。
「人の話を聞く気がないな、お前……」
首周りに腕、胸に腹と、洗われてゆく身体。やがて全身が泡に塗れたマサキは、もういいだろとシャワーに手を伸ばす。まだですよ。力任せに膝の上にマサキを引っ張り上げるシュウに、マサキは嫌だと首を振るも、こうした時の彼の力には勝てないのだ。すとんと収まった身体に絡む腕。頬を、首筋を撫でながら、シュウが耳朶を食《》はんでくる。
「馬鹿、お前、止めろって……ここを何処だと思って」
「どうせ他人は入って来ないのですから、いいでしょう?」
「そうは云っても、家の風呂とは違……」
びくんと腰が跳ねる。マサキの頬から首筋へ、そして胸元へと滑ってきた手が、そろそろと勃《た》ち上がっている乳首に触れた。やめ、やめろって。マサキは身を捩じらせるも、いつしか腰を抱え込んでいる彼の腕。押さえ込まれた身体はびくともしない。
「そうは云っても、気持ちいいのでしょう。ほら、大人しくして。念入りに洗ってあげますよ、マサキ」
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