またつまらぬ話を書いてしまった……。
エロが書きたかった筈なんですが、そこに辿り着く前に燃え尽きました。
エロが書きたかった筈なんですが、そこに辿り着く前に燃え尽きました。
<性欲の虜>
上がるぞ。と、玄関から聞こえてきた声に、どうぞ。と、答えたシュウは、リビングのソファで読書を続けながら、勝手気ままにシュウの許を訪れる来訪者《マサキ》が姿を現すのを待った。
「よう」
「ようこそ、マサキ」
開いた窓から室内に涼やかな風が吹き込んでいる。ひらめくレースのカーテンの向こう側に広がる青空。薄い雲が流れてゆくのを見上げたシュウは、手にしていた書をソファの肘掛けに置いた。
この好天だ。何処かに出掛けるのもいいだろう。
そう思いながら、マサキに今日の予定を尋ねるべく顔を上げる。
「街に出ませんか」
口を衝いて出た言葉と同時だった。視界に飛び込んでくる色鮮やかなボトルグリーンの瞳。どこかしどけなく感じるのは気の所為か。いや、気の所為ではない、マサキの瞳の奥に揺らめく情欲の炎。ひとりで目の前に立っているマサキをシュウが訝しく感じたシュウは、やけに静かな空気に辺りを窺った。賑やかな彼の二匹の使い魔の姿が何処にもない。
「シロとクロは?」
「サイバスターに置いてきた」
どうやらそういった気分であったようだ。云うなりシュウの前に跪いたマサキが、シュウのスラックスに手をかけてくる。慣れた手付きでホックを解き、ファスナーを下ろした彼に、彼と出掛けるつもりでいたシュウは微かに途惑った。
シュウと性行為《セックス》をしたい時のマサキは、二匹の使い魔をサイバスターに残してくる。当たり前だ。意志ある使い魔に見られながらの性行為など、性に対して俗物的《スノッブ》な面を持ち合わせるシュウであっても耐え難いのだ。シュウよりも羞恥心の強いマサキにとっては尚更だろう。
だが――。シュウは素直には、マサキの愛撫を受け入れられずにいた。
軍と騎士団の軋轢、アンティラス隊の運営問題、魔装機神を取り巻く情勢……とかくストレスに晒され易いマサキは、その手っ取り早い解消方法として性行為《セックス》を選択することが多い。数か月前にも、ヤンロンに説教されたという理由でシュウを求めてきたマサキ。また何かあったのだろうか。マサキが思わぬところでメンタルが脆くすることがあるのを知っているシュウとしては、彼の欲求に応えるよりも心配が先に立つ。
「待ちなさい、マサキ。何があったのです」
だからこそ理由を尋ねてみれば、返事をするのも億劫なほどに気が急いているのか。卑猥な瞳がシュウをちらと窺う。
とにかく性行為《セックス》をしたくて堪らないようだ。直ぐに顔を戻したマサキが、当たり前のように下着の口からシュウの男性器を引き出すと、まだ熱を帯びていない陰茎に手を添えて舌を這わせてくる。
「マサキ――」シュウはマサキの頭に手を置いた。「待ちなさいと云っているでしょう」
「何だよ。人がその気だってのに」
不満の色がありありと浮かぶ瞳。むくれた表情からは、精神的な不調を訴える要素は感じられない。
それでもシュウは訊かずにいられなかった。
「先ず何があったのか聞かせて欲しいものですね」
「何もねえよ」
「本当に」
「お前、俺に性欲がないと思ってるのか。もう一か月近くしてないってのに」
「それにしても」
気が早いにも限度がある――そう口にしかけて、シュウははたと思い留まった。前回、マサキがシュウの許を訪れたのは、二週間ほど前のことだった。王都で雑用に取り紛れている内に時間が経ってしまったとマサキは言い訳めいた言葉を口にしていたが、その言葉を裏付けるように、その日の夕方近くにセニアに呼び出されたマサキは、夜を待たずして王都にとんぼ返りをしている。
「後回しにしたら一生やれない気がするんだよ。それとも何だ? お前はもう俺の身体に飽きたってか」
「そんなことはありませんよ」
「じゃあ、何だよ。その表情」
シュウの口元に浮かんだ苦笑は、マサキのマサキらしい直情的な行動が原因である。少しはそれらしい雰囲気を出してくれてもいいものを、いきなり男性器にむしゃぶりついてきたのだ。これに途惑いを覚えない男性もそうはいまい。
「あなたは行動が直接的なのですよ、マサキ」
「仕方ねえだろ。こっちはやりたくて仕方がないってのに」
いつもシュウにリードを任せているからだろうか。加えて、情緒に欠ける性格でもある。どう雰囲気を作ればいいか、マサキにはわからないようで、口唇を尖らせると不満そうにシュウを睨み上げてくる。
「物事には順番があるのですよ、マサキ」
ほら。と、シュウはマサキの身体を膝の上に乗せた。そして、されるがままでいるマサキの耳元に囁きかけた。
「直ぐに挿入《いれ》るのも情緒がないでしょう。一か月分、たっぷり可愛がって差し上げますよ、マサキ」
呆気なく朱に染まったマサキの耳が、彼の期待の度合いを伝えてくる。
シュウはクックと嗤った。
自分を驚かせた罪は重い。その分をきっちり身体に思い知らせてやらなければ――ゆっくりとマサキのシャツの下に手を潜り込ませていったシュウは、久しく味わっていない彼のしなやかな身体を、そうして時間をかけて蹂躙していった――……。
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