早速、お題を頂きまして有難うございます。お陰で燃え尽き症候群から脱出できそうです。何でもやってみるものですね。創作意欲が湧いてきました。
今回のお題は「Hしなければならない部屋に閉じ込められてしまったシュウとマサキ」です。
辻褄を合わせようとしたら5000字に収まりませんでした。でも滅茶苦茶楽しかったです。昔から機会があったらやりたいと思っていたことも混ぜ込めましたし!(*´∀`*)長いのでお読みになる際はご注意ください。それでは本文へどうぞ。
今回のお題は「Hしなければならない部屋に閉じ込められてしまったシュウとマサキ」です。
辻褄を合わせようとしたら5000字に収まりませんでした。でも滅茶苦茶楽しかったです。昔から機会があったらやりたいと思っていたことも混ぜ込めましたし!(*´∀`*)長いのでお読みになる際はご注意ください。それでは本文へどうぞ。
<禁術の館>
篤志家として名高い半面、悪趣味な金満家という評価も根強い……そんなとある富豪主催のパーティにマサキが出席したのは、親しい付き合いのある貴族に強く頼み込まれからだった。
篤志家として名高い半面、悪趣味な金満家という評価も根強い……そんなとある富豪主催のパーティにマサキが出席したのは、親しい付き合いのある貴族に強く頼み込まれからだった。
――彼には家が傾きかけた時に随分と世話になってね……。
出席をしたくとも、当日はどうにも外せない用事があるのだと云う。大恩ある身とあっては、ただ欠席しますでは相手の面子が立たない。そこで、自分の代わりにパーティに参加してくれる相手を探していたところに、ふらりと訪ねて来たのがマサキだったという訳だ。
風の魔装機神の操者ならば、一族の名代である自分の代わりを補って余りある。そう云って頼み込んでくる貴族に、件の富豪について名前ぐらいしか知らないマサキは、参加する義理もないと一度は断ったものの、「パーティにはクリストフも来るという噂だよ」と云われては、断り切れる話でもなく。
――彼は穏やかでユーモアを解する性格だ。君の話をきっと興味深く聞いてくれることだろう。
富豪主催のパーティという堅苦しい場に躊躇いを感じはしたものの、そう云って後押ししてくる貴族の言葉に、稀に不審な動きをしてみせるシュウの人脈を把握しておいて損もないだろうと、マサキは代わりにパーティに参加することを承諾した。
後になってからよくよく招待状を見てみれば、礼装指定のパーティ。後悔はしたものの、紹介状を受け取ってしまった手前、断るにも断れない。「だったら滅多にない機会なのだし、これを着ていったらどうかしら」と、テュッティが出してきたのは、ラングランの祝典に参列する時用にと、セニアが操者に誂《あつら》えてくれた礼服一式。それぞれの魔装機のカラーに合わせた裾の長いナポレオンジャケットに、ストレートタイプのズボン。平帽。そして革手袋と革靴のセット。マサキのカラーは当然ながら純白だ。
マントや|肩掛け帯《サッシュ》もあったが、「王族の前に出るのでもなし。そこまでしなくてもいいでしょう」とのテュッティのアドバイスに従って、五点セットに剣を吊り下げたの上からコートを羽織っただけのマサキが、会場である富豪の館に着いたのは、パーティが始まってから少しの時間が過ぎた宵の口。
立食形式のパーティ。「参加者と会話をするのが面倒だったら、壁の花にでもなって、少し時間が過ぎたら退場すればいい」代理を頼んできた貴族のその言葉に従うつもりでいたマサキだったが、ラングランを平定に導いた英雄の登場とあっては、日頃付き合いのない上流社会の人間たちとて放っておいてくれる筈がない。ひとつ話が終われば、また次と、主催者の富豪やら次々訪れる参加者たちやらにせがまれるがまま話をし続けること数時間。マサキはパーティの終わる夜半過ぎまで、会場に居続けることとなってしまった。
今日はもう遅いので是非に。と、富豪に乞われて、酒も入っていることだし、とマサキはそのまま館に泊まることを決めた。人に囲まれ続けて様子を探るにも探れなかったシュウも、幸い未だ会場に残っている。目的はその人脈の把握だ。自分だけ先に帰ってしまっては、何の為にここまで足を運んだのかもわからない。
「今宵はちょっとした趣向を用意しました。参加者同士の親睦を深めていただくべく、くじ引きで同室者を決め……」
マサキと違って普段着が礼装のようなものであるらしい。見慣れた姿でパーティに姿を現したシュウは親しい参加者たちと一団になって話を続けている。その一団の顔触れをさり気なくチェックしながら、マサキは富豪の話を聞いた。
この館の客室は二人部屋《ツイン》が主なのだそうだ。その部屋に同室する相手をくじで決めるのだと云う。厄介な、とマサキは思ったものの、酒の入った身体は休息を欲している。相室になると云っても、もう夜が更けて大分経つ。どうせ他の参加者も似たような状態に違いない。先に寝てしまえば済む話だと、マサキは回ってきたくじを引き、使用人に案内された部屋に入った。
バスとトイレのある豪華なホテルの一室のような客間。暖炉にソファ、ローテーブルに脚のあるタンス。壁には絵画が掛けられ、その脇に大輪の花が活けられている。
壁際にふたつ並んだ広めのベッド。先に部屋に入ったのはマサキのようだ。後から来るだろう相手に挨拶ぐらいはすべきかとも思ったが、これ以上気を遣うのも面倒だ。少し待ってみて、来ないようなら着替えて寝てしまおう……そう思いながらバスローブが用意されているベッドの上に横たわる。
「着替えてから寝てはいかがです、マサキ。そのままでは、折角の礼服に皺が残る」
少しもしない内に微睡み始めたマサキを起こす耳慣れた声に、はっとなって目を開ければ、ベッドの脇に立ってシュウがこちらを見下ろしていた。「あなたにしては、珍しい場に珍しい格好でいるものだ」
「頼まれたんだよ、代わりに出てくれって」ベッドの上に身体を起こす。その縁に腰に掛けて、ソファへと向かったシュウを眺めながら、「お前こそ、人脈作りに余念がないみてえじゃねえか」マサキが云えば、
「興味深い場所ですからね、ここは」
「興味深い場所?」
「三百年ほど昔に栄華を誇った魔術師の館なのだそうですよ。館全体に術が施されていると聞く。その効果が今も生きているとか。ただ、どういった性質の術であるのかは、巷間諸説あって明瞭《はっき》りしない……その秘密を最近この館の所有者となった彼が手に入れたらしいと、巷では専らの噂です。だから、ですよ。噂の真実を確かめたくありましてね。そうでなければ、適当な所で切り上げて帰っています」
ローテーブルの上に置かれた手紙を取り上げて、それに目を落としたシュウは、ふふ……と嗤《わら》った。そして少し考え込む素振りを見せると、おもむろに立ち上がり、部屋の扉の前に立つ。「どうした?」訝しく感じたマサキが声をかけるも返事はない。
シュウの手が|回し手《ノブ》に掛かる。何度か回す。開く気配のない扉に、成程。と呟く声がした。「条件を設定すると、こうなる仕掛けですか」次いでそう言葉を吐き、シュウは扉に手を翳《かざ》した。
「|Взорви его.《爆破せよ》」
いきなりの魔術の発動にマサキは身構えるも、暫くしても辺りは静まり返ったまま。どういうことだ? 何が起こっている? マサキは考えを巡らせた。シュウの一連の動作から察するに、マサキとシュウはこの客室に閉じ込められてしまったようだが、パーティを主催した富豪とマサキは今日が初の対面。お互いにそれぞれ噂を耳にしているかも知れないが、閉じ込められるほどの因縁がある相手ではない筈だ。
「防御魔術《カウンターマジック》が施されているとなると、恐らくは物理攻撃も利かないのでしょうね。マサキ、あなた剣は持っていますか?」
「上流社会の人間が集まるパーティに実剣を持ち込める筈がないだろ。捧剣用の刃を潰した飾りの剣ですら持ち込み禁止だったんだぜ。全部、受け付けに預けたままだ」
「折角の効果の確認の機会だというのに、勿体ないことをさせるものだ。まあ、いいでしょう。私としてはこれで目的の半分を達したようなもの。後はさっさと解除を済ませて帰りたくもありますが、あなたは嫌がるでしょうね、マサキ」
ふふふ、と嫌な予感をさせる含み笑いを洩らしながら、シュウがソファに戻る。ローテーブルの上に置かれた一通の手紙。それを取り上げると、「読んでみますか、マサキ」マサキをソファへと招いた。
招かるがままマサキはシュウの対面に腰を落ち着け、手紙を受け取る。三行にも満たない短い文章。その文面に目を落としたマサキは、そこに記されている突飛な内容に言葉を失った。
――官能的な一夜を過ごした者たちにのみ、扉は開かれる。偉大なる魔術師の偉大なる福音をその身に受けよ。それでは、良い夜を。
「……こういう組み合わせは予想してなかったんじゃないか」
篤志家と名高いだけあって、人の良さをを感じさせる顔立ちに、温和を絵に描いたような穏やかな話しぶり。今日のパーティの主催者である富豪の姿を思い浮かべながら、まさか、と思い直してマサキは云う。
「あなたは知らないかも知れませんが、私は多少付き合いがあるのでね。彼の人の悪い一面を知っているつもりですよ、マサキ。このぐらいは想定の範囲内でしょうね。まあ、彼のことだ。魔装機神の操者であるあなたが来た事で舞い上がってしまったのでしょう。これでも彼としては、あなたという英雄をもてなしているつもりだと思いますよ」
マサキの手元から手紙を取り上げて、シュウが三度嗤う。「何でそう云えるんだよ」マサキが訊けば、「英雄、色を好むと云うでしょう。そういった言葉を額面通りに受け取る人間が、世の中にはいるという事ですよ」手紙を封筒に収めながらシュウはそう答えて、手紙をローテーブルの上に戻すと更に言葉を継いだ。
「篤志家として慈善事業への寄付や貢献を惜しまない彼は、悪趣味な金満家としての一面も併せ持っている。金と人脈にあかせて乱交パーティを開いているといった噂が彼に絶えないのは、彼がこういった悪戯心を抑えきれない性格だからでもあるのですよ」
「だとしても、朝まで何もしなければいいだけの話じゃないのか。いくら何でも本当に閉じ込めるなんてこと」
「さあ、どうでしょうね。もしかしたらそうかも知れない。私も彼のパーティに最後まで居るのは初めてですからね。あなたに代理を頼んだ人物もそうなのでしょう。でなければ、あなたをここに寄越したりはしない。それに彼としては、ほんの茶目っ気のつもりなのでしょう。従いたければ従えばいいといった程度の。ですが、マサキ。私としては確かめてみたいのですよ。偉大なる魔術師の英知がどれだけのものであるのかをね」
ゆったりとシュウがソファから立ち上がる。ローテーブルを回り込んで、マサキの隣へ。逃げ出してしまいたくなるのを堪えながら、マサキは口先での反抗をシュウに試みる。
「冗談じゃねえ。それで本当に扉が開く仕掛けだっていうなら、何をしたかわかっちまうって事だろ。そんな悪趣味な趣向に誰が付き合えるか」
「だから、でしょう? もし本当にそういった仕掛けが施されているのだとしたら、その謎を解明しなければ私の気は済まない。あなたがどう思おうが、私は試させて頂きますよ、マサキ」
それに、とマサキの手首を掴みながら耳元でシュウが囁く。「こんな貴い格好のあなたを犯せる機会は滅多にない。一生に一度あるかないかの好機を、私がみすみす逃すとでも?」淫靡に響く声。マサキがその手を払い除けようとするも、距離と体格差でままならない。「シュウ、やめ……っ」暴れるマサキとそれを押さえ込もうとするシュウの攻防が続く。
けれどもそれも暫くのこと。どこからそんな力が出てくるのかというくらいの力で、マサキの抵抗を捩じ伏せたシュウは、ソファに伏せさせたマサキの身体を自らの身体で押さえつけながら、その両手首を自らの肩に掛かっている飾り帯で縛り上げた。
「皺になるって云ったのはてめえのクセに、そう云った先から……」
ジャケットの留め具を全部外すのも勿体ないとばかりに、襟周りだけを残して早速とシャツの中に忍んでくるシュウの手が、マサキの胸元を探り始める。耳介を喰む口唇。這い出してくる舌が、しつこくマサキの耳を舐った。
縛られた両手首を解こうと両手を動かしてみるも、びくともしない。シュウに知られてしまっている弱点《ウィークポイント》。そこを責められ続けたマサキは、「……っ」じわりと腰から這い上がってくる快感に、抵抗が口先ばかりであることを知られたくないと、陶然と緩みそうになる顔を腕で覆った。
快感に馴染んでしまった身体。時折、腰が跳ねる。奪われてしまいそうになる自制心を、マサキは薄皮一枚のところで押さえ込む。もう、ストレートタイプのズボンの腰周りが、きつく感じられて仕方がない。
「そう云って抵抗しようとする割には、もうこんなに硬い」
乳首を捉えた指先がゆっくりとその形をなぞる。「本当はしたくて堪らないのでしょう、マサキ」マサキの腕がその顔から退《の》かされる。シュウの愛撫に快感を感じ始めている自分。慣らされた身体は正直だったけれども、状況が状況だ。このままいつものように、流されるがままと快感に身を委ねる訳にはいかない。口唇を重ねられたマサキは、その口を固く閉ざして首を振った。
「ふふ……この状況下では仕方がない事とは云え、強情なことだ。でもその意地もいつまで持つことでしょうね、マサキ。朝まではまだたっぷりと時間がありますよ」
薄目を開けて壁に掛かっている時計を見上げれば、夜明けまでまだ五時間以上はある。こうなった時にシュウの気が変わることなどないと知っているマサキは、絶望的な気分になりながらも歯を食いしばって抵抗を続けた。
「冗談じゃない。絶対に達《い》くもんか……」
「そう云われると、達《い》かせたくなるものなのですよ、マサキ。じっくり可愛がってあげます。あなたがきちんとした鳴き声を聞かせてくれるようになるまでね」
長く耳を舐っていたシュウの舌が、首筋を強く吸ったかと思うと、更に下りてきて乳首へと絡む。マサキの手を片手でその頭上に押さえ込んで、腰を抱えながら吸い上げては舐め、舐めては吸い。そうして、腰を抱いていた手を離すと、シュウはその手で服の上からマサキの股間を撫で始めた。
「…………や、め」
マサキの食いしばった歯の隙間から、荒い息が吹き出す。つい開きがちになる口元を何度も引き締めながら、マサキはシュウの愛撫に耐え続ける。
達《い》きたい。貫かれたまま果てたい。その先を望んでしまいたくなる本音が、胸の奥にちらりと顔を覗かせる。その思いを振り切るようにマサキは首を振った。今日だけは絶対に達《い》く訳にはいかない――……。
「止めて? それとも止めるな?」
「やめろ、に決まってるだろ……」
「こんなに切なそうな状態で、よく云う」
服の上からでもわかってしまうほどに硬く反り返ったマサキの男性自身を掴んで、シュウが嗤う。「ソファの上で愉しむのには勿体ない禁欲的《ストイック》な姿ですよ、マサキ。今日のあなたは」
抱き上げられた身体。そのままベッドへと運ばれる。「少しは云う事を聞く気になりましたか?」大人しくベッドに運ばれたマサキの身体をベッドに沈めながら、シュウが問い掛けてくる。抵抗したいのに、しきれない。その先の行為を期待してしまっている自分と、扉の鍵が開く条件を知ってしまっている自分との意志のせめぎ合い。負けてなるものか。「誰が……この状況で……」マサキがそう云った先から、そのベルトに手が掛かる。
「そうやって意地を張っていられるのも今の内だけだと思いますよ」
ベルトが外され、次いでズボンのフックとボタンに手が掛かる。「や、だ……」腰周りを舐めながら、シュウがマサキの男性自身をズボンの内側から引き出してくる。我慢に我慢を重ねてはちきれそうになっているそこに、少し口を吐けては離し、また口を吐けては離し……その繰り返しに、ついにマサキの口元から喘ぎ声が洩れた。
「達《い》きたいの、マサキ?」
堰を切ったように感情が溢れて出してくる。切なくて、もどかしくて、焦れったくて、もうどうしようもない。シュウに問われたマサキは一も二もなく頷いた。「最初から素直になっておけばいいものを」手荒に身体が返される。そうして枕に顔を埋める形になったマサキの腰を上げさると、シュウは腰周りに留まったままだったズボンを膝まで引き下げた。
「ここをどうして欲しいの、マサキ?」
その双丘を割って指を埋め、緩く動かしながらシュウが尋ねてくる。部屋の扉の鍵が開く条件。官能的な一夜を過ごした者たちにのみ、扉は開かれる。その文言がマサキの脳裏を掠めたものの、膨らみきった欲望はこれ以上マサキを我慢させてはくれないのだ。
「欲しい……挿《い》れて、シュウ……」
「何を?」
「お前の……を……」
「そんなに欲しいのだったら、自分で動いてもらいましょう」
ベッドに身体を横たえたシュウの手に導かれるがまま。半脱ぎのズボンから片足を抜いたマサキは、シュウの腰の上に跨ると身体を下ろす。そうして、少しずつゆっくりと腰を落としながら、身体の中にシュウの男性自身を受け入れていく。理性を剥ぐほどに欲しかったもの。その全てを受け入れた瞬間、マサキは何とも表現し難い悦楽にその身を貫かれた。
「ほら、どうするのがいいの? 自分のいいように動いてみせて、マサキ」
シュウに促されたマサキは縛られたままの両手をその胸に付いて、腰を動かし始めた。もう声を堪えようとは思わない。思うがままに声を上げ、その全てを貪り尽くすように、一心不乱に腰を振る。その都度、身体に走る快感。身体中を支配して止まないその強烈な感触が、更にマサキを貪欲にさせる。
「ふふ……いい眺めですよ、マサキ。魔装機神の操者として上級の礼服。それに身を包んだあなたがこんなに風に腰を振ってみせる。気の乗らないパーティでも出てみるものですね」
頬から口唇。口唇から乳首。乳首から腰へとシュウの手がマサキの身体を辿ってゆく。暫く腰周りを撫でていたその手が腰を掴む。次の瞬間、マサキの身体が上下に揺さぶられる。
「こうされるのがいいのでしょう、マサキ?」
浅く、深く、身体の中を動き回るシュウの男性自身に、マサキは途切れる暇もなく声を上げ続けた。「いい……ああ……いい、シュウ……」絶頂を迎える寸前の鋭い快感が、シュウを深く受け止める度に身体を貫く。
最早、緩みきった口は閉じることも叶わず、ただ吐息と嬌声を交互に発するだけ。「ほら、達《い》きなさい、マサキ」下から突き上げてくるシュウの男性自身に、揺さぶられる身体。なりふり構わず声を上げ続けたマサキの口元から、飲み込みきれない唾液が溢れる。
それが顎を伝った次の瞬間。
びくん、とマサキの身体が跳ねた。
細い喘ぎ声が、長く口を吐く。空を仰ぎ続けていたマサキの男性自身が、震えながら溜め込んだ精を吐き出す。「あ……ああ……はあっ……ああ……」その全てを吐き出しきったマサキは、身体から芯が抜けるような脱力感を感じながらシュウの身体の上に伏せた。
カチャリ。部屋の扉の鍵が開く音。
耳に届いたその音に、マサキははっと我に返るも時既に遅し。これから迎える朝、そしてここを退出する時のことに考えを巡らせるものの、やってしまったことは取り返しが付かない。
どうやってこの館の主と顔を合わせたものか。いたたまれないほどの羞恥に顔が染まる。そんなマサキの顔を胸に収めたまま、シュウはマサキごと身体を起こすと、その耳元に囁きかけてきた。
「満足し切った所で申し訳ないのですがね、マサキ。私は未だ済んでいないのですよ――……」
寝不足のまま朝食に預かったマサキは、先に帰路に着いたシュウから遅れること暫く。しらじらしいほどに恭しい態度の富豪に見送られて館を後にした。シャワーの手間さえなければ、もっと早くに館を離れられたものを……欠伸を何度も噛み殺しながら、忸怩たる思いを抱えたまま、マサキは二匹の使い魔に任せていた|風の魔装機神《サイバスター》の操縦席に身体を収める。
「私がいるにも関わらずのこの扱いを、知り合いとは云え、只で済ませるつもりはありませんよ」
散々マサキを弄んでおきながら、しらと言ってのけたシュウが、件の富豪に何を仕掛けるつもりなのかマサキにはわからなかったけれども、「あなたは心配しなくとも大丈夫ですよ。いいものを見させて頂きましたしね。後は私がやります」その言葉を信じる他に出来ることもない。紹介状を預かった貴族に文句を言いたくもあったが、内容が内容だ。黙ってなかったことにするしかないのだろう。
やたらと眩しく感じる太陽の光に目を細めながら、マサキはコートとナポレオンジャケットを脱いで、操縦席の端に引っ掛ける。腰に下げた剣をその脇に立て掛け、サイバスターの機動準備《セットアップ》を開始する。そして起動プログラムを走らせながら、眼下に広く建つ館を眺めた。
――二度とパーティなんかに参加するもんか。
どんな餌がぶら下がっていようとも、慣れぬ場所に足を運ぼうなどという気紛れを起こしてはならないのだ。マサキはひとつ舌を打つと、感情の赴くまま。サイバスターを疾《はし》らせて、ゼオルートの館への帰路に着いた。
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