風邪で心が荒み切ったので書きました。
大分良くなってきた感があるので。
体調を気遣うメッセージありがとうございます。今日半日ほど身体を休めた甲斐あって、明日は仕事に行けそうです!
大分良くなってきた感があるので。
体調を気遣うメッセージありがとうございます。今日半日ほど身体を休めた甲斐あって、明日は仕事に行けそうです!
<トロフィーワイフ>
「どうですか、マサキ。肉体以外の物質に身体を嬲られた気分は」
シュウは三つの魔力の塊をマサキの身体から剥がした。瞬間、マサキの顔に浮かぶ微かな安堵。最悪だ。続けてそう言葉を吐いた彼にシュウには憎らしさを感じずにいられなかった。
プラーナにせよ、魔力にせよ、シュウを源として放出されているもの――即ち、シュウの根源だ。
存在エネルギーたる魂。
活動エネルギーたるプラーナ。
そして、循環エネルギーたる魔力。
細胞の死は肉体の死を意味する。即物的で三次元的な肉体には実在に限りあったが、精神的で多次元的な流動体エネルギーにはそれがない。次元を超え、時空を超え、永久に巡り続ける生命。流動体エネルギーとは個々人の本質であるのだ。
それをマサキは否定し続けている。
腹立たしい。シュウは無言で、まだマサキの体内経路に残したままの己のプラーナを震わせt。
あ……と、なめかましい声を発したマサキの口が開く。シュウはその口内に指を挿し入れた。舌を嬲ってやりながら、額からこめかみ、耳朶へと口唇を滑らせてゆく。ん、く。魔力よりは安心出来るようだ。声を殺そうとしているのは相変わらずではあったが、抵抗らしい抵抗が見られない。
「最初から大人しく身を委ねていればよかったものを」
シュウはマサキの耳元近くで、クック……と声を潜めて嗤った。
あまり使われることのない資料室に、用があるとマサキを呼び出したのはシュウだった。対するマサキは情報交換が目的だと思っていたようだ。何か手に入れやがったのかよ。そう尋ねてきた彼にシュウが目的を告げた途端、表情を変えた彼は即座に資料室からから立ち去ろうとした。
切迫した状況にある情勢下で、肉欲に溺れるのは、彼の|道徳心《モラル》が許さなかったようだ。
それがシュウには小憎らしく感じられた。
シュウが過去を清算するのには相応の時間がかかる目算だ。ゲストの首魁、テイニクェット=ゼゼーナン。邪神教団が始祖、サーヴァ=ヴォルクルス。王室に強い影響力持つ旧元老院議員たち。上げていけば際限がなくらいに、シュウは因縁でその身を縛られていた。
真なる自由を得る為に戦わなければならない我が身に、シュウは特段の感情を有してはいなかった。それは生存本能だった。戦わなければ生き延びられない。敵の多いシュウは、安息を得る為にも戦わなければならなかった。
その生活に疲れているつもりはなかったが、どこかに癒しを求めていたのかも知れない。マサキと同じくロンドベルに属することになったシュウは、だからこそ、彼を近くするその生活を好機の到来と捉えた。
単純な肉欲。彼を抱きたい。否、制圧したい。
だが、その欲望は簡単に叶えられるものではなかった。ロンドベルでのマサキは常に仲間に囲まれていて、そこにシュウが入り込める隙はないに等しい。それでもシュウの執着心は衰えなかった。知ってしまった彼の顔。本能と欲に塗れた安藤正樹を知るのは、恐らく世界広しといえどもシュウだけだ。
それはようやく得られた機会だったのだ。
だからシュウはマサキを拘束した。そして彼の身体の奥底に眠っている性欲を呼び覚ますように、その身体を嬲った――……。
――あとどれだけ戦えば、この戦争も終わるかねえ……
ドアの向こう側から聞こえてくる談笑の声をBGMに、弱っているマサキの身体を慰めてやる。本質的なエネルギーには関心の向かない様子のマサキだったが、器に過ぎない肉体での愛撫には性欲をそそられるようだ。シュウが耳介を吸い上げるだに、覇気に満ちていた瞳が弱ってゆく。
――は、あ……そこ……
口内から抜き取った指が、資料室の薄明りを受けて煌めく。それで乳首を慰撫してやると、マサキの口から物欲しそうな声が上がった。
どうされたいのですか、マサキ。シュウはマサキの耳を舐りつつ囁きかけた。
察しろよ。まだ意地を張れるだけの理性は残っているようだ。マサキの返事に、わかりませんね。シュウは愛撫に硬さを増した乳首を抓った。そうして視線をそうっと彼の股間へと落とした。早くも熱を持ち始めている男性器に、残虐な欲望が湧き上がってくる。
これ以上とない快楽を与えたい。
そして辺り憚らぬ声で欲しいと自分を求めさせたい。
シュウはマサキの手首を拘束している魔力拘束具を外してやった。そしてジャケットとシャツを脱がせて、ドアに身体を凭れさせてやる。長い時間負担の大きい体勢でいたからだろう。ふうっと息を吐いたマサキの身体から力が抜けてゆく。
もう少しだ。シュウはプラーナを揺らしながら、マサキの身体を隅々まで愛撫していった。耳介から首筋、肩口を回って二の腕。肘に肘窩、前腕。そこから手首を経て指先へ。そして口内にその指を収める。
一本、また一本と、丁寧に指を吸われたマサキは、その感触に酔いしれているようだ。目を潤ませてうっとりと、シュウにされるがままでいる。
「気持ちいいですか、マサキ」
「ん……」
シュウはマサキの腕を上げ直すと、腋窩へと口を付けた。側胸部を回って、胸の下の窪みを吸う。うっすらと赤く浮かび上がる口付けの痕は、艶やかに咲き誇る薔薇の花びらのようにも映る。シュウはマサキの抵抗がないのをいいことに、彼の腹部に幾つもの痕を刻んでいった。
人目に付かない場所に付けられたキスマークを、シャワー時の彼はどう説明するのだろう。
その瞬間のしどろもどろなマサキの様子を想像するだけで、胸が弾む。きっと彼はその時のことをあとでシュウに愚痴ってくるに違いない。それが彼との関係を周囲に知らしめたいシュウを悦ばせるのだとも知らずに。
密やかな充足感で満たされたシュウは、そこから更に下へと口唇を這わせていった。
臍回りから脇腹、脚の付け根。内腿へと舌を辿り付かせたシュウは、口付けを繰り返しながら、彼の膝に溜まっているジーンズと下着を脱がせた。そして膝、脛と丹念に舌で愛撫を施してゆく。その都度、ぴくぴくと震えるマサキの肌。肝心の乳首への愛撫はまだだったが、全身に及ぶ愛撫に酔っているようだ。くるぶし、足の甲と愛撫を進めてゆく頃には、すっかり息が荒らいでいた。
出来ればいつでも、こうして穏やかに抱いてやりたいのだ。
シュウはマサキの脚の指を口に含みながら、ぼんやりとした思考に身を任せた。
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