白河祭りがやりたい。
やる為にも頑張って書きかけの話を片付けます。って、ちちち違うんですよ。飽きたとかそういう話じゃなくてですね、一応伏線を張りながら書いているのもあって、このシリーズ、書くのにホント時間がかかるんですよ!
あと、私にとってのご褒美シーンが少なすぎry
もうちょっと頑張ればご褒美シーンなので、そこまで踏ん張ります。
と、いうことで本文へどうぞ!
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やる為にも頑張って書きかけの話を片付けます。って、ちちち違うんですよ。飽きたとかそういう話じゃなくてですね、一応伏線を張りながら書いているのもあって、このシリーズ、書くのにホント時間がかかるんですよ!
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もうちょっと頑張ればご褒美シーンなので、そこまで踏ん張ります。
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<春|幽《かそ》けき日にありったけのお返しを>
Scene 2.ゼフォーラ姉妹の奇跡
全部で100人余りとなった観客がステージ正面にひしめきあっているホールの中で、マサキは前列から三列目にファングやザッシュとともに並んで座っていた。
「思ったよりいい席を確保出来たな」
「ステージには近いですが、首は疲れそうですね」
「贅沢を云うな。これも任務の一環だ」
坂を描くように前方に向かって下ってゆく座席の配置では、前列に近くなればなった分だけ、顔を上げてステージを見なければならなくなる。だからだろう。ステージを見下ろす形になる中ほどの席の埋まりは良かったが、それ以外の席の埋まりはまばらだ。
マサキは後ろを振り返った。
中ほどの席より後方、正面から少し左側に外れた席にシュウが座っている。流石にホールの中に入ってまで本を読む気はないようだ。さりとて、ただ待っているだけでもないらしい。マサキの視線を受けて不敵に笑んでみせたシュウに、気付いたのかよ。と、マサキが口だけ動かして伝えれば、微かに頷いてみせた。
あの位置からであればステージは勿論のこと、観客席も見渡せるだろう。
恐らくは、ステージに目を遣った際に、マサキたちの姿が目に入ったに違いない。不敵な笑みを浮かべているシュウに、相変わらずだとマサキは苦笑しつつ顔を戻した。偶然にせよ、こうして同じ場に居合わせることとなったからには、マサキとしてはシュウに話を聞きたくもあったが、今回の一連の事件を自分の問題と云って譲らぬシュウのことだ。果たしてどこまでの情報をマサキたちに流してくれたものか。
そもそもセニアに連絡をすると云っていた割には、シュウはゼフォーラ姉妹の情報さえもセニアに伝えていない。仮に彼らの間で連携が取れていたのであれば、ファングの情報を待つまでもなく、セニアはマサキたちを動かしていただろうに……やったことといえば、預言書を見せただけ。クリティカルな情報をマサキたちに渡すのを避けているようにも映るシュウの行動は、依存心の薄い彼にとってはいつものことでもあったが、現実に預言に即するように被害が出ている以上、このまま放置しておけるものでもなく。
情報を入手出来るかはさておき、スタンドプレーに関してはひと言云っておくべきだろう。
マサキは開演迫るステージに視線を向けた。見ればわかるとファングは云っていたが、果たしてゼフォーラ姉妹の能力とはどういったものであるのだろう? 先程、目の前で起こったばかりの男の自殺というべき死について考えを巡らせる。あの状況下で名前が出てくるぐらいであるのだ。奇跡の双子の二つ名は伊達ではないのだろう。
胸が騒ぐ。マサキにシュウと揃うべき人間が顔を揃えたホール。そこに預言に関わるとみられる幼い姉妹が加わるのだ。彼女らが教団の人間であるかはわからないが、預言への関りが真実であるのだとしたら、このまま何も起こらずに済むとは考え難い――マサキは自らが感じてしまった不安を宥めるように、左手の小指に嵌まっている指輪を撫でた。
――私はそうなったときに、様々な外的要因や内的要因に抵抗しきれる自信がない。
クリスマスの夜にマサキにこの指輪を渡してきたシュウは、そう語りながらマサキに約束をするように迫った。
――私はそうなったときに、様々な外的要因や内的要因に抵抗しきれる自信がない。
クリスマスの夜にマサキにこの指輪を渡してきたシュウは、そう語りながらマサキに約束をするように迫った。
自分に何かあった際にはマサキに引導を渡すようにと。
太々《ふてぶて》しいまでの自信家である彼が、日常生活の範囲で簡単に窮地に陥るとは到底考えられない。特異点を愛機に抱え込んだこともある男の予測だ。きっとそれなりの事態を想定していることだろう。
自ら口にしたその要因の数々が何であるかについてシュウは語らなかったが、マサキにはそれが彼の心を今以て拘束しているサーヴァ=ヴォルクルス、或いはそれを神として祀っている邪神教団であるように思えてならなかった。
――私はあなたより先に逝く。どんな形であろうとも、先に。
そう思っているのなら、何故。マサキは思う。何故、シュウは先を急ぐように、教団に関わり続けるのか。決着を付けたい気持ちはわかる。裏切り者を許さない教団によって命を狙われる日々。彼が自らの決して長くない人生を実りあるものとする為には、教団の殲滅が必要不可欠だ。
――私はあなたより先に逝く。どんな形であろうとも、先に。
そう思っているのなら、何故。マサキは思う。何故、シュウは先を急ぐように、教団に関わり続けるのか。決着を付けたい気持ちはわかる。裏切り者を許さない教団によって命を狙われる日々。彼が自らの決して長くない人生を実りあるものとする為には、教団の殲滅が必要不可欠だ。
けれどもそれを彼はいつもの如く、自らの力で成そうとしている。
それほどまでに、彼にとって魔装機操者というものは頼りない存在であるのだろうか? それとも、それほどまでに、彼は自分の能力に自信を持っているのだろうか? 少なくはない修羅場をシュウとともにしてきたつもりでいるマサキは、だからこそ年月を経て尚変わることのない彼の意固地なまでの孤立主義に焦れったさを感じてしまってしまっていた。
「光あるところに闇あり。闇あるところに光あり。幸いあれ!――か」
「何です、マサキさん。突然妙な呪文みたいな言葉を唱え出して」
「どういう意味なのかって考えてたんだよ」
何を思い、何を考えて、シュウはこの文言をマサキに与えた指輪に彫り込もうと思ったのか。ある種の救済を約束という形でマサキに求めた男のしたことだ。思い付きで彫り込まれたものにせよ、意味があるに違いない。
なあ、ザッシュ。こういった時には他人の知恵を借りるに限ると、マサキはザッシュにに話しかけた。ウエンディに調査を頼みにくい品である以上、関わりの薄い仲間に尋ねるぐらいしか手立てがない。なんです――とザッシュが怪訝そうな表情でマサキを見た瞬間、開演のブザーがホールに鳴り響く。
はっとなったマサキは居住まいを正した。今はセニアに与えられた任務という名の好機をものにすることに集中せねば。
一瞬にして静まり返ったホールの、どこか張り詰めた空気。観客の視線がステージに集する。
「お待たせいたしました! ゼフォーラ=シーシャ&ミーシャの奇跡のステージの開幕です!」
誰も彼もが奇跡の双子の登場を待ち望む中、ステージ中央に進み出て来た進行役と思しき男が、声も高らかに宣言した。それと同時にステージ両脇のスピーカーから流れ出るポップなBGM。調子のいいリズムに合わせて、手拍子を求められた観客が、オーバーアクションで手を打つ男の動きに合わせて手を叩き始めた。
仕方なしにマサキも手を叩く。
やがて全ての手拍子の音が重なり合い、強く光を放つスポットライトが、煌々とステージを照らし出した。シーシャ、ミーシャ! 観客の歓声がステージに波となって押し寄せる。高まる期待。それが最高潮に達した瞬間、ステージ中央のせりから、ついにふたりの少女が姿を現した。
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