前半ちょいエロで、後半は真面目回です。設定を吐き出す回とも言います。
後は真剣にただエロやるだけよー!
地雷感満載のモブを加えた3Pとかも考えていたのですけど、3Pのお楽しみは二十周年企画にとっておきます。そこで思い切り憂さを晴らす&晴らさせるのですよ……ふふふ……
後は真剣にただエロやるだけよー!
地雷感満載のモブを加えた3Pとかも考えていたのですけど、3Pのお楽しみは二十周年企画にとっておきます。そこで思い切り憂さを晴らす&晴らさせるのですよ……ふふふ……
<DARKNESS MIND>
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マサキは自分でも驚くほどのスピードで絶頂《オーガズム》を迎えた。
シュウに跨《またが》ったその短い時間の間、マサキは狂ったように腰を揺り動かした。既に相当に自身の指で刺激を与えていたからだろう。三日に渡って燻り続けていた欲望は、僅かの間しか忍耐力を保たせてくれなかった。
「ふふふ……そんなに我慢を重ねていたとは知りませんでしたよ、マサキ」
シュウの手がマサキの腰を抱え込む。より深く、より奥に、その凶器をマサキの体内に押し込む。
「待てよ……まだ、達ったばかり……」
「こんなに奥まで咥え込んでおきながら? 大丈夫、直ぐに具合が良くなりますよ」
腰を進められて、嗚呼と声を上げる。こちらの都合などお構いなしだ。マサキはシュウの背中にしがみつくようにして、耳元に口を寄せた。まともに話せる好機《チャンス》は、快感から解放された直後の今くらい。
(いつも来ている兵士から取り引きを持ちかけられた。俺のこの状態が、あの兵士には呪《まじな》いをかけられている状態に見えているらしい。自分たちの味方になればその解呪をすると言われた。お前、モニカを捕らえている結界は呪術的なものだって言ってたよな。そのやり方で背後関係を絞り込むことはできないのか?)
(その現場に私が立ち会えればいいのですが、そう上手く話が進むとは考え難いですね。解呪のついでにあなたに新たな呪いをかける可能性もある。私としては、その話に乗るのはお勧めできない)
(それが聞きたかった。それとこの首輪だ。シャワーのときに兵士が一時的に外してくれた。ってことは、手順を守れば外せるってことだよな)
そろそろと這い上がってくる欲望が、マサキの思考を判然《はっきり》としないものにしてゆく。まだだ。もう少しだけ話をしたいことがある。マサキはシュウの背中に爪を立てた。
(その首輪には受信機が付いているのですよ。認証用信号を送信することで、一時的に動作を止めることができます。私はその信号の送信機器を持たされていません。そこまで信用される立場でもないのでね。とはいえ、道具さえあれば解体は容易です。内部構造の予想はもう付いている。ただ、そういった工具をこちらに持ち込ませてもらえないのですよ)
(わかった。それと、好きに振舞っていいって言ったな。だったら俺がこちら側の味方になっても?)
熱い吐息が口から洩れた。欲情する身体がその欲求を抑えきれなくなり始めている。「やめ……シュウ、また、また……」マサキは喘いだ。
(あなたとだったらこの急場を乗り越えられると思ったからこそ、セニアにあなたを寄越させたのですよ、マサキ。あなたならひとりでもここからの脱出を図れるでしょう。ただ、彼らが解呪を目論んでいるとなると――)
シュウが言葉を切ると同時に、扉の向こうに靴音が響く。気配を察知するのが早い。それとも、シュウはあの兵士が出現するタイミングがいつになるか、マサキより長いこちら側での生活で既に把握してしまっているのか。
「達きたいのでしょう、マサキ。私と繋がったまま」
シュウのマサキの扱いが手荒になった。腰を強く押さえつけられると、ひたすらに突き上げられる。マサキはシュウの肩に頭を埋め、次第に強さを増してゆく快感に、顔を捩らせるとその首筋を噛んだ。
扉が開く。マサキからはあの兵士の姿は見えない。
ただ靴音だけがその存在を伝えてくる。
「それがあなたの職務であることは理解しているつもりですが、それにしても無粋な真似ばかりされますね。愉しみの最中ばかりに姿を現す。私としては願ったり、ですがね。できればマサキの相手が務まる兵士を寄越して欲しくもありますが、壊すなと言われていますし」
「君は意外と嫉妬深いタイプだと思うのだがね。でなければこんな真似には及ぶまい」
「さあ、どうでしょうね」やんわりとその手がマサキの顔を首元から剥がす。「ねえ、マサキ。偶にはあなたも違った快楽に身を委ねてみたくはありませんか?」
羞恥と恥辱で打ち震える身体。強烈な快楽に支配されたマサキはまともな思考が働かない。それでもシュウのその台詞の言わんとしていることは理解できた。そもそも、シュウはこの兵士にだって乱交《それ》を持ちかけているのだ。それは流石にこんな状態でもあっても、拒否したい気持ちが湧き出てくる。マサキはいやいやと首を振った。
「あまり趣味の悪いことを聞いてやるな。何事もやり過ぎは良くないだろう」
好がるマサキを彼はどんな気持ちで眺めているのだろう。マサキは霞みがかった頭の片隅で、見えないその表情を想像する。いつも通りに面白味のない表情なのだろうか。それとも、微かに眉を顰めてみせたあの表情なのだろうか。
暫くの沈黙。突き上げられながらマサキは何度もシュウの背中に爪を立てた。服を掻く指先が、稀にその下にある肌に引っかかるのを感じながら。マサキはがむしゃらに爪を立てては、声を上げて好がった。
「さて、無粋な真似とまで言われてしまっては、私が長居をする理由もない。上には少しばかり待つように伝えておこう。終わったら来たまえ。話がある」
「わかりました。とはいえ、手早く済ませられるとは限りませんがね」
その瞬間、空気が震えたように感じた。マサキは目を見開いた。いつでも職務に忠実な男といった面白味のない雰囲気を放っているあの兵士が、少しだけ声を上げて笑ったのだ。
「そのぐらいは私も男だ。理解しているつもりだよ。では、失礼した」
兵士が去り、シュウの精を身体の奥底で受け止めるまでの間、マサキは更に二度、絶頂《オーガズム》を迎えた。それだけ思った通りの快感を得られずにいたことに抑圧感を感じていたのだろう。事が終わる頃には、二日もの間、マサキを燻らせ続けた物足りなさはすっかりなりを顰めていた。
疲労感に身体を横たえたマサキはブランケットに包まって、マサキに汚された服を着替えてから部屋を後にしたシュウを見送った。テレビを見ながらその戻りを待つ間、一般兵がシーツとブランケットの交換に訪れる。
「シャワーは必要ではありませんか?」
寝具の交換に訪れている時点で察しは付いていたこととはいえ、そこまで口を挟まれては、マサキも簡単には言葉を返せなくなる。「……いや、今はいい」服を着替えるのも億劫なのだ。余計なことをいう必要もない。短くそうとだけ答えると、一般兵は濡れタオルを手に帰ってきた。
ハッカ油の香り。身体を拭くと独特の涼感がする。マサキは顔から肩、腕に胴体周り、脛と順繰りに拭いて、最後に腿の内側に垂れて乾きつつあるシュウの精液を拭った。タオルを一般兵に返すのは気が引けたが、返さない訳にもいかない。彼は表情一つ変えることなく、そのタオルを受け取ると部屋を去った。
もうこれで暫くはいい。ベッドの上に寝転ぶ。この施設に来て、マサキは初めてそう思った。
「国境問題に対する国の対応に鬱憤を感じているのですよ」
部屋に戻ってきたシュウはマサキに服を着るように促すと、ローテーブルを挟んで食事を取りながら話を始めた。
「とは言っても、融和政策の結果だろ。あの自治区の成り立ちは」
長い歴史を誇るラ・ギアスの世界史の全てを把握し切ることは容易ではない。任務の都度、さわりで聞いた範囲しか、魔装機神の操者であるマサキですら知らないのだ。今回の件についてもそうだ。少なくともマサキがセニアから受けた説明ではそういう話だった。
「ラングランからバゴニアが独立を果たしたときから、あの場所は国境問題を抱えていた場所でした。とはいえ、そういった地域が出来てしまうのは仕方がないことでしょう。全ての人間が同じ方向を向いて行動出来ない以上、新天地を求めてバゴニアに属することを選ぶ街もあれば、ラングランに残ることを選んだ街もある。その結果、街が二つに分断されてしまった場所も多かった。あの地域だけが特別だったという訳ではありません」
「国境問題の原因は鉱山と炭鉱の利権争いだって聞いたが」
「その通りです。だからあの地域では紛争が耐えなかったのですよ」
「で、五十年ほど前だったか。偶々両国ともに穏健派が主流になったとかで、バゴニアとラングランの間で、あの地域に関しては互いに不可侵にしようって話になった。国境が走る鉱山や炭鉱なんて不便で仕方がないって」
「鉱山と炭鉱のいずれかを取り合おうといった案も出たようですが、国境の形が複雑化し過ぎてしまうことから、採択には至らなかったのですよ。で、融和政策も兼ねて、自治区が制定された。元々、鉱山や炭鉱のお陰で栄えてきた街でしたからね。住民にとって、それらを奪われることは死活問題に等しい。どちらかが総取りという訳には行かないのが実情です。とはいえ、地方行政の管理の手続きは煩雑になる。しかも、古くから住んでいる住人の間では考え方の相違も激しい。だのに肝心の融和については地方行政同士でやれときたら、それは鬱憤も溜まろうというものでしょう」
「だけどな、融和政策の結果が出るには長い歳月が必要だって」
「ラングラン側の自治区住人とてデモを行う程度には鬱憤を感じているのですよ。五十年経ってもそれだ。期待する結果に落ち着くまであと何年の歳月が必要になるのでしょうね。その間に、ゼツのような人間が何人出るかわからない」
ラングランとバゴニアの戦役の間、自治区には厳戒態勢が敷かれたのだという。街の中央に走る国境周辺は立ち入り禁止区域とされ、地方へ避難せざるを得なくなった住人が数多く出た。それだけではない。ゼツの強攻策は地方行政にも飛び火した。行政はその機能を果たせなくなり、自治区は半無法地帯と化した。
このままでは自治区が崩壊する。危機に瀕した自治区の秩序を守るべく結成されたのが、現在のバゴニア私設軍の母体となっている自警団だ。彼らの活躍により、自治区は完全な無法地帯化を避けられた。
「成程な。だから退かないのか」
「彼らからすれば、自治区を守ったのは自分たちだという自負がある。それはラングラン側の住民からすれば偏向授業を行う教師も出るでしょう」
これは思った以上に根深い問題だ。セニアに聞かされた通り一遍の説明だけで納得していい問題ではない。マサキは悩んだ。バゴニア側に付いているシュウの説明は、ラングラン側にとっては正しくない情報も含んでいるだろう。それをマサキは自分の知識だけでは見抜けない。
「いかがです、マサキ。少しはこちら側に来ようという気になりましたか」
「……考えさせてくれ」マサキは素直な心境を吐露した。
シュウは先ほど少し話した内容からして、呪術的支配を気にしているからこそ、マサキが仲間にならない方がいいと考えているようだ。とはいえ、説得に手心を加える訳にはいかない。だからこその詭弁もあるだろう。
それを差し引いたとしても、マサキには、今の段階で仲間にならないという選択肢がない。
例の兵士はマサキを賓客と言った。壊すな、とも言った。だったらシュウのその手の懸案は思いすごしの類になるのではないだろうか。マサキとしては、もしモニカの防衛戦があるとしたら、その現場には立ち会っていたい。その方が、単身での脱出劇より、シュウやセニアの負担が少なくて済む。
その為に手っ取り早い方法は、バゴニア地方議会側に与することだ。
食事がやけに重く感じられる。マサキは、迷ってしまっていた。
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