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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

DARKNESS MIND(7)【追記あり】
申し訳ございませんでした! 私、昨日、月に一度の通院の日でして……そこにですね、月に一度のアレが重なってしまって、三連勤の疲れも相俟って、帰宅してから延々寝てしまったのですよ。
 
ということで飼いならされきってるマサキの巻。好奇心で飛んで火に入るなんとやら。
ぱちぱちメッセージ有難うございます!励みになります!(*´ω`*)
 
P.S.なんか納得行かなかったので、更に伸ばしてみました。(11/7 AM8:42)
<DARKNESS MIND>
 
 食事を取りながらシュウの説得を受けたその後、マサキはテレビを見たり、軽い筋トレをしたりして過ごした。シュウはキャビネットに詰まったファイルに綴じられている書類を読んで過ごすことにしたようだ。書類の内容をマサキが訊ねると、以前、この施設が監獄として使われていたときの囚人の監察記録であるという。
「元々、この部屋は看守たちが詰める事務所であったそうですよ」
「書類ぐらいは片付けておきゃあいいものを」
「膨大な記録をデータ化している最中だとか。倉庫の書類もまだ片付いていないようですしね。あなたが出歩ける範囲は限られていますが、施設の全容を見て回れば、そこかしこにその名残りを見て取ることが出来ますよ」
 テレビにも飽きた。筋トレも終わった。マサキはシュウの隣に腰を下ろして、その手元の書類を覗き込む。堅苦しい文章。箇条書きで情報が列挙されている。少しだけ読んでみたものの、余り好んで読みたいと思える内容ではなかった。
 シュウの肩に寄りかかる。考えても答えの出せない問題を抱えてしまっている。自分の身の置き場をどこにするのか。ラングランとバゴニア。そして地方議会。今のままでも自分には人質としての価値があるのだ。無理にバゴニア地方議会に与する必要はない。時間を稼ぐ為にも、もう暫く態度を保留すべきか――……。
「どうしました、マサキ。可愛がって欲しくでもなりましたか」
「そうじゃねえよ。暇なんだよ。|あいつら《シロとクロ》と離れる機会って滅多にないからな。それに、地底世界《こっち》に来てから、話し相手がいないって経験があんまりないもんだから」
「私では話し相手には不足だと?」
「お前は敵じゃねえかよ」
「その敵に寄りかかって、あなたは何を言っているのでしょうね」
 シュウの腕がマサキの腰に回され、身体を引き寄せる。肩から首元へ。マサキは頭を預ける場所を変えた。そして腰に回された手に自分の手を重ねる。答えの出せない問題に不安を抱えてしまっているマサキにとって、こうして好きに寄り添える人の温もりがあることは有難い。
「そのファイル、お前にとっては面白いものなのかね」
「面白いか面白くないかは別として、記録としては貴重だと感じますよ」
 それでも長時間読むのに適している内容ではなかったのだろう。それほど時間を置かずにファイルを閉じたシュウは、それをローテーブルの上に置く。
「そういや、結局、土産って何だったんだ?」
「後で使って差し上げますよ。あなたがどう反応するか見たいですし」
 予想はしていたものの、やはりそれはそういった類の品であるらしい。反射的にどくん、とマサキの鼓動が跳ね上がる。身体が歓喜の咆哮を上げるのがわかる。その感情が心を支配するのにそう時間はかからない。
 ――昼下がりには、暫くいいと思ったばかりなのに、もう|こ《・》|れ《・》だ。
 マサキがどう答えたものか悩んでいると、シュウの手が頬にかかった。顔を上げさせられると、そのまま口付けられる。緩く舌を絡められては口唇を舐められ、繰り返し。その思ったよりも優しい口付けに絆《ほだ》されたのかも知れない。
「そういった扱いは嫌?」
「嫌、じゃない……」
 息がかかるほどに近い距離で、喉の奥から消え入りそうな声を絞り出す。自分の声を自分のものでないように聞くことは何度もあったことだったけれども、性行為以外の場面でそれをマサキが感じるのは初めてのことだった。
「本当に?」
「何だよ、躾けるって言ったくせに……」
「跳ねっ返りの強いあなたを、そう簡単に躾けられるとは思っていないのですよ。来なさい、マサキ。シャワーを浴びましょう」
 そのまま、シャワールームに連れて行かれたマサキは、兵士に捕縛縄で繋がれた状態のまま、身体の隅々までシュウの手によって念入りに洗われた。腕、足、胸回りに腰回り……時々、マサキの情欲を煽るように、性感帯を弄られる。その都度、マサキは吐息とも喘ぎ声とも付かない声を上げた。
 常に人の視線のある捕虜生活で、もしマサキが最も晒したくない姿があるのだとしたら、それはこうした扱いをされている姿ではなく、拷問に耐え兼ねて無様に命乞いする姿なのだろう。髪を洗い流される間、マサキはふとそう思った。
 きっとシュウはそれを見越して、マサキに催眠術をかけたのだ。
 シャワーの間、マサキがシュウへの奉仕を強いられたり、性行為を求められることはなかった。飴と鞭で言えば、飴の時間。それが終われば、今度は鞭の時間だ。
 部屋に戻るなり、服を脱いでベッドに上がるように求められたマサキは、シュウが目の前にかざして見せた小さな袋の中に何錠と詰まっている白い錠剤を、身体の奥に先ずは一錠と押し込まれた。
「即効性の催淫剤ですよ。今度のは粘膜摂取型で、持続時間は一時間程度と短めですが、効果が出るスピードが五分程度ととにかく早いのが特徴です」
 両手を拘束具で後ろ手に拘束された状態で、マサキはその説明を聞いた。催眠術の効果なのか、それとも、薬の効果なのか。頭がぼうっと靄《もや》のかかった状態になったかと思うと、どちらともつかない欲望がマサキの中から湧き出てくる。
(今度のは恐らく本物ですよ、マサキ。偽薬を用意する時間がなかったのでね。地方議会の一部から、あなたをこちら側に引き入れる為に徹底して落とせと言われています。覚悟をしてください)
 そうして目隠しをされたマサキは徹底していたぶられた。自ら望んだことでもあったとはいえ、本物の催淫剤の効果は違う。僅かに触れられただけでも、身体が敏感に反応する。しかもどこを触られるのか、次に何をされるのかわからない状態。期待と不安は、けれども期待が勝った。
 首筋を撫で上げられたかと思えば、足の指を舐められる。腰を吸われたかと思えば、口唇に指を差し込まれる。まともに口が利けない。マサキは口唇を戦慄《わなな》かせながら、シュウの愛撫を全身に受けた。
「素直に薬を盛られて、素直に拘束されて、素直に目隠しをされて。こんな格好で欲望を果たすあなたの姿を見たら、あなたの仲間はどう思うでしょうね?」
 羞恥を煽る台詞すら快い。乳首を吸われつつ腿を撫でられながら、マサキは果てた。ただ全身をくまなく愛撫されただけで、どうにもならない快感に打ち震えてしまう。
 また一錠と足の奥に薬を押し込まれる。
 まともな思考が何ひとつ浮かんでこない。そこには激しい渇望だけがあった。満たされても満たされても直ぐに鎌首をもたげてくる欲望が、シュウを求める気持ちを以外をマサキの中から消失させた。もっと、もっと、もっと。もっと自分を奪い尽くされたい。支配されたい。心の隅にある空白を埋められたい。マサキは泣いた。伏せた身体をシュウに貫かれて、泣きながら果てた。
 果ててはまた一錠。
 次第に何もわからなくなっていく。そこにあるのは強烈な快感だけ。シュウに繋がれているその一点。突き上げられる度に身体の奥に感じたことのない快感が走る。これは危険なモノだ。咄嗟にマサキは思った。思ったところでマサキの身体を拘束する拘束具は、マサキをこの状態から解放してはくれないのだ。
「や、あ、ああ……やめ……」
 言葉が言葉の形にならないまま、口を吐いて出ては宙に溶けていく。知らない快感はマサキを縛り付けて離さない。「いく……も、いく……」顔を枕に、肩と膝をシーツに埋め、腰を高く浮かせながら、マサキは三度果てた。
 だのに欲望は尽きないのだ。
 まだ、もっと。注ぎ込まれる精液の生温い感触さえ、今のマサキには激しい刺激となる。マサキは震えた。この生活に頭まで溺れてしまいたい。偶の逢瀬ではなく、ずっと。何も考えずに快楽に溺れて、一生飼い慣らされていたい。激しい渇望がマサキを襲う。
「仲間になる気になりましたか、マサキ?」
 思わず頷きかけて、慌ててマサキは動きを止めた。「なら、もう一錠、ですね」押し込むついでにと、シュウの指がマサキの身体の中をかき混ぜる。抜き差ししては、指先で感じ易い一点を押す。マサキは枕を噛んで声を堪えることすらできない。だらしなく開いた口が、喘ぎ声とも泣き声ともつかない声を発した。
 耳朶を噛まれて、あ、と声を上げる。背筋を舐められて背中を震わせる。腰を抱え込んでいたシュウの手が、マサキの男性自身に伸びる。身体の中と外で緩く蠢く指にマサキは思う。足りない。
 それを訴えようにも、マサキの口唇は思うように動かないのだ。
 自分はどこまで貪欲になっていくのだろう? 時折、ふっと身体が楽になったと感じた瞬間に、様々な思いが浮かんでは消えていく。モニカのこと……自治区の自警団のこと……セニアのこと……そしてシュウのこと……敵と味方、シュウは自分にどちらを選んで欲しいのか。薬を使われ続けたマサキにはもうわからない。
 また一度、深く貫かれてマサキは果てた。
 けれども、薬の効果はマサキを簡単には解放してくれない。少しもすればまた、マサキは快楽を求めて腰を振り出してしまう。欲しい。欲しくて堪らない。全身がシュウを求めている。シュウによって与えられる快感。その先にある絶頂《オーガズム》を。
「ふふ……そんなに腰を振って。達《い》きたいのでしょう、マサキ。先ほど達したばかりで、もう。何度だって達かせてあげますよ。あなたが仲間になると言うまでね」
 言ったからには、そうするつもりでいるのだろう。また一錠と押し込まれながら、上手く働かない頭の片隅でマサキは思った。
 昼下がりに三度、そしてシャワーを浴びて、立て続けに四度。流石に白濁とした精はその色を薄くして、僅かな量を放つぐらいとなった。身体が快感を感じているのに、出るべきものが出ない。不思議な感覚の中、シュウに貫かれたまま、マサキは更に何度か上り詰めた。
 立てた膝が震え始める。抱え上げられた腰の向こう側で、シュウの男性自身が抜かれる感触。マサキはベッドに倒れこんだ。はあ、はあ、と荒い息が絶え間なく口から吐き出る。
「やはり、あなたにとって、こうした扱いはご褒美なような気がしますよ」
 空気が淀んでいる。クック……、と不愉快な笑い声が室内に響いた。今の自分の姿は、さぞ、シュウには扇情的に映っていることだろう。目隠しに首輪に拘束具。そして催淫剤。どれひとつ取っても、まともな性行為からは程遠い。だのに……マサキはその光景を想像するだけで、身体の芯が熱くなるのを感じるのだ。
 もっとだ、もっと。そう思ってしまう。願ってしまう。そうした自分をマサキはもう押し留めることができない。人前での恥辱に塗れた扱いは、それだけ、マサキの敷居《モラル》を下げてしまった。
「まともに口が利けないでしょう、マサキ? こうした薬には少量の弛緩剤も含まれるものなのですよ。どうです。終わりの見えない性行為《セックス》は。気持ちいいでしょう。でも、そんな扱いもこれまでですよ。少しは奉仕することも覚えさせないとね」
 シュウの手がマサキの腕を掴む。腕を引かれるがままベッドを下りて、膝を付いて座る。シュウの手がマサキの顎を軽く掴んだ。「ほら、口を開きなさい。ちゃんと出来たらご褒美ですよ」言われるがまま口を開き、舌を軽く差し出す。舌の上に感じるシュウの男性自身の重み。それがゆっくりと、マサキの口腔内に収められていく。
 奥まで咥え込まされたところで、前髪を掴まれて顔を仰がされる。ほら、とシュウに急かされて、マサキはゆっくりと顔を動かし始めた。
「いい眺めですよ、マサキ。そんなに物欲しそうに咥えて。美味しいですか?」
 舌で支えるようにして、口唇を窄《すぼ》め、喉近くまで咥え込んでは、手前に引く。何度かマサキの中に放たれた精液の絡むシュウの男性自身。まだ温く柔らかみの残るその昂ぶりを口の中に収めたまま、マサキはシュウの問いかけに頷いた。
 不自然な格好でできることには限りがあったけれども、マサキはひたすら、シュウの男性自身を咥えては喰《は》んだ。舌を絡ませ、這わせ、口腔内に擦り付け、そうして次第に熱を帯びてゆく昂ぶりを口の中に収めたまま、髪を掴むシュウの手に導かれるがまま、顔を何度も動かした。
「どちらがいいですか、マサキ。顔と口、どちらで受け止めるのがあなたは好きですか?」
 どっちでもいい。マサキは思った。その先にあるものが同じならば、どちらでも。その先の行為を想像したマサキの喉の奥が鳴る。これが欲しい。身体の奥に、これが欲しい。そう思いながら、奉仕を続けること暫く。
 靴音が響いてくる。あの兵士だ。そうでなくとも熱を持つマサキの身体が更に火照った。
「無粋な真似をしているのは承知だがね、あんまり手荒な真似は如何なものかと思うよ。貴重な戦力になる可能性もある。それが壊れてしまっては元も子もない」
 開口一番。室内で繰り広げられている様子を目にしたのだろう。呆れ果てた調子で彼は言った。
「落とせと言われているのですよ。だったら徹底して躾けるまで」
「それで戦力になってくれるのなら願ったりではあるが、抑制が利かないのではね」
 こうした時間に感じている感情が、羞恥なのか独占欲なのかマサキには判断が付かなくなってきていた。見せ付けたい。そうも思う。見られたい。そうも思う。そうした感情がマサキの抑制を利かなくしているのは間違いない。緩く顔を動かしながら、マサキは兵士の言葉を振り切るようにその行為に没頭した。
「大丈夫ですよ。ねえ、マサキ。仲間になる気になりましたか?」
 その瞬間、頭の片隅が冷めた。マサキは小さく首を振る。ほらね、とシュウが笑った。
「最低限の判断力は残っている。それに何か問題でも?」
「だからやり方を変えた方がいいと言ってるのだよ。上にも困ったものだ」
 それにシュウは答えない。ただマサキの口元に、何度も何度も自身の昂ぶりを押し込んでくる。押しては引き、また押し込んでは引き抜く。その繰り返しを兵士は黙って眺めているのだろう。言葉はない。
 やがて、喉の奥にいっそう深く押し込まれたシュウの男性自身が精を放つ。「飲んで、マサキ……そう。ちゃんとね」口の中から溢れ出そうになるその液体を、どうにか口腔内に収めて、自分でも理由のわからない悦楽の中、マサキは舌にその味を感じながら飲み干した。
「独占欲が強いのも考えものだな。君が味方でいてくれてよかったよ」
 ベッドの上に戻されたマサキは手枷の重みを背中に感じながら、仰向けに寝転んだ。その足をシュウが広げる。されるがまま開いた足の奥に指を立てられて、またぞろ這い出てくる快感に、マサキは身を捩らせて喘いだ。
 そこから先のことは良く覚えていない。兵士がいつ立ち去ったのかも、いつ自分がシュウから解放されたのかも。ただひとつだけ覚えているのは、終わりのない快楽の中でシュウがマサキの耳元で囁いた言葉。
 
 ――今度は忘れろとは言いませんよ、マサキ。覚えておきなさい、今日のことを。あなたが自分で求めたことを。
 
 マサキはその言葉に、強く頷いた。 
 
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