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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

DARKNESS MIND(10)
後はエピローグを残すのみとなりました。鬼畜の筈が結局ラブラブかよ、と思ったりもしなくもないですが(口プレイ成分が足りない!)、やりたいシチュを全部やれたので私は満足です。
もう少しで私の延長戦も終わります。それが終わったらゲームレビューをさせていただいて、イベントシリーズの続きを書きたいと思います。エロは満足しきったので、もう暫くはいいや笑
 
ぱちぱち有難うございます。コメント返しは後ほどさせていただきたく思います。
いつも有難うございます。励みになります(*´∀`*)ノシ
 
P.S.ちょっと納得行かなかったので、色々と細部を直しました。(PM22:50)
<DARKNESS MIND>
 
 ストレッチ、筋トレ。毎日のルーティンとなったプログラムを終え、すべきこともなくなったマサキはベッドの上でテレビを眺めて過ごしていた。
 その間、シュウは長椅子に腰掛けて本を読んでいた。長く持ち込みを希望していた本の検閲《チェック》がようやく終わったらしく、昼下がりに何冊かの本が部屋に届けられたのだ。
「昨日の手土産の話をするのを忘れていましたね」
 手元の本から顔を上げたシュウが、今思い出したとばかりに言う。そして、上着の内ポケットから小さな袋を取り出した。ローテーブルの上に置かれたその袋を覗きに、マサキはベッドを下りた。袋の中には、赤、青、白の三色の錠剤がそれぞれ三錠ずつ詰まっている。
「赤は即効性、青は遅効性、白は先日の薬です。先日の薬より純度が高いのが赤い薬らしく、効果の持続時間は変わりませんが、効き目は強いとか……その代わり、軽い依存性があります。青い薬は経口摂取型。飲んでから三十分から一時間ほどで効果を発揮します。効果の持続時間は長めで、一時間半から二時間ほど。効き目としては白い薬と変わらないそうですよ。依存性もなし。先日の白い薬についての説明はいいですね」
「その説明を俺に聞かせていいのかね」
「全部試せと言われていますが、折角ですから、あなたに順番を選ばせて差し上げようかと思ったのですよ」
「記憶が飛ぶのは御免だぜ。何をしたのか忘れちまうのはちょっとな」
 言ってしまってからマサキは、はっとした。性行為に催淫剤を使われることを、何も考えずに受け入れてしまっている。
 白い薬を使われた日の記憶は相変わらずおぼろげだ。ただ、強烈な快楽を与えられたことだけは忘れていない。ぞわり……と、背中を這い上がってくる震え。途端にマサキの身体が猛烈な飢餓感を主張し始める。終わりのない快感、それが欲しいのだと強く訴えるように。
 ぼんやりとする思考。考えが奪われ始める。
 忘れろと言われて忘れてしまえるのなら、覚えろていろと言われたのだ。その通りにして欲しいものを。マサキは心の中で愚痴た。
 知ってはいるけれども、何をされてそうなったのかがわからない快感がマサキの全身を駆け巡る。そこかしこが疼き出して止まらない。何か違うことを考えなければ。だというのに、暫く考えてみても何も浮かんでこない。マサキはそういった情欲の表れを、自分の意思で押え付けることが難しくなりつつあることを悟った。
「マサキ、来なさい」
 マサキの様子がおかしいことに気付いたのだろう。呼ばれたマサキは長椅子の上、シュウの足の間に腰を沈めた。荒い息がマサキの口を吐く。「思い出したの?」聞かれて違うと首を振った。「なら、何故?」シュウの問いかけにマサキはどう答えていいかわからない。
 記憶は飛び石のように細切れだ。だのにそれを思い出そうとしただけで、いっそう深い快楽が身体を突き抜ける。突き抜けて尚、身体に残る。ああ……と喘ぎ声が洩れた。触られてもいない箇所が、どうしようもないほどの快楽を覚えてしまっている。
(暗示がおかしな方向に効いてしまったようですね。大丈夫ですよ、マサキ。深呼吸をして。先ずは落ち着きましょう。短期間に何度もそういった暗示をかけてしまうのは、良くない結果を残してしまうこともあるので、今直ぐという訳には行きませんが、それは必ず解いて差し上げます。あなたの日常生活がままならなくなるのは私の本意ではありません。大丈夫ですよ。健忘が薬の所為ではなかったことがわかってよかった。それでしたら私で何とかできる)
 マサキは腰に回されているシュウの手を強く握った。息を吸って吐く。吐いて吸う。ゆっくりと何度か繰り返す内に、思考がまとまりを見せ始めた。「――……すまなかった」マサキが呟くと、「何事もし過ぎということは良くない。彼に言われた通りですよ。あなたが謝ることではない」
 ローテーブルの上の袋を取り上げて、シュウが改めてその中身を見る。選ばなければ。マサキはぼんやりと思った。自警団とシュウとマサキの間で連携が取れ始めたとはいえ、作戦の中身はこれからだ。今、地方議会に不信を抱かせる訳にはいかない。モニカを盾に取られたらそれまでだ。
(しかし、薬の所為ではないとはいえ、今のあなたにこれを使ってしまうのはどうかと思ってしまいますよ。どうします、マサキ? あなたが嫌なら無理には使いませんよ。そのぐらいは何とかしてみせます。地方議会とてあなたが壊れてしまうのは本意ではないでしょう)
 一瞬、意識が飛びそうになり、マサキは大きく息を吸った。薬のことを考えることすら危うい。そこかしこにシュウの愛撫の感触が這い出してくる。昨日も多少危なかったとはいえ、こんな風に肌に感じることはなかった。何が違うのだろう? 薬の実物を目にしてしまったからだろうか? マサキは考えて、考えたところで自分では答えが出せないことに気付いて、シュウに身体を預けた。
「何なんだ、これ……どうにもならない……勝手に身体が……」
(薬と記憶と暗示が結び付いてしまったのでしょうね。だったらこれは取っておくことにしましょう。暗示を解くのに必要になりそうだ)
 シュウが上着の内ポケットに再び袋を収める。「大丈夫ですよ、マサキ。落ち着いて。薬のことは考えないようにしましょう。先ほどは大丈夫だったのでしょう?」マサキは頷いた。そう、シュウの手で達かされたときは、快楽を求めてしまうのは相変わらずだったけれども、それはいつものことと言える程度のものだったのだ。
「しかし、そんな切なそうなあなたの姿を見ていると、流石に私もよからぬことを考えずにはいられなくなりそうですよ」
 マサキのこめかみにシュウが口唇を押し当ててくる。それからままならなさに涙が滲む目尻を吸って、紅潮した頬を舐める。何度かそれを繰り返し、最後に耳介を口唇で喰む。「マサキ、駄目?」低く囁くように問いかけられて、身体の底から湧き上がってくる欲望の数々を持て余していたマサキは首を振った。
「駄目、じゃない……」
 首筋を吸われながら上着が、脇の下を舐められながらシャツが、腰を撫でられながらジーンズと下着が、それぞれマサキの身体から剥がされてゆく。それが終わると、長椅子にひとり座らされる。覆いかぶさってくるシュウの背中や髪に指を埋めて、その愛撫をマサキは一身に受けた。
 鎖骨から腿の付け根まで。ゆっくりと下半身に向かって下りてゆく舌が、時々、啄むようにマサキの肌を吸う。特に弱い部分を念入りに舐《ねぶ》られては、マサキは長い喘ぎ声を響かせた。吸っては舐め、舐めては吸う。そこかしこに刻みつけられた紅斑の跡をよりいっそう深いものとするように、シュウの口唇がマサキの全身を這う。
「足を開きなさい、マサキ。可愛がって欲しいのでしょう?」
 マサキはそろそろと足を開く。何度こうして肌を重ねても、シュウの目の前に自分の一番弱い部分を晒すことは慣れない。「もっとちゃんと開きなさい、マサキ」マサキの足首を掴んだシュウが、そのくるぶしに口付けながら言う。マサキは腿を外側に倒して足を開いた。
 足の付け根の内側。男性自身に触れそうで触れない位置を、シュウの舌が執拗に責める。焦れったくもあり、もどかしくもあり、けれども心地よい愛撫。マサキはシュウの髪に埋めた指を立てた。些細な刺激の積み重ねは、直接的な刺激がなくとも、マサキを快感に導いてくれるものでもあるのだ。
「ふふ……こんなに濡らして。どうされたいの、マサキ?」
 洩れ出た精液がマサキの男性自身を濡らしている。それをそうっと包み込むように掴んだシュウが、マサキの耳元で囁いた。マサキはシュウの背中にしがみ付く。朝に一度、その手で達している。だったらして欲しいことなど他になく。
「挿《い》れて……シュウ、挿《い》れて……」
 懇願するマサキの下でシュウの手が動く。緩く扱《しご》かれて、あ、とマサキは声を上げる。長い愛撫の果ての些細な刺激は、例えようもない快感をマサキの身体に運んでくる。まだ達きたくない。マサキは首を振った。
「やだ……シュウ、挿れて……まだ、達きたくない……」
「目を潤ませてそんな風に懇願するあなたの顔を、私が独り占めするのは勿体ない。来なさい、マサキ。ほら、ちゃんと掴まって」
 足を抱えられて部屋の中を運ばれる。風が抜ける窓。その前にシュウはマサキを下ろすと、身体を返し、その手を鉄柵に掴ませた。「ねえ、マサキ。そんなあなたの一番可愛い顔を、ちゃんと見てもらいましょう」背後から伸びた手が顎を掴み、面を上げさせる。うっすらと開いた目の向こう側に、施設の番をしている一般兵の姿がある。彼はまだマサキの姿には気付いていないようだ。
 強い衝動がマサキを襲う。見られたいし、見せ付けたい。ここに来てから覚えてしまった欲望のひとつ。そう、マサキは見せたいのだ。シュウを独り占めしている自分の姿を。そしてそれを見られているのを確認したいのだ。
 マサキは鉄柵を掴む手に力を込めた。姿見に映された自分の顔が脳裏を過《よ》ぎる。甘く切なく、シュウを求めて好がるあの顔。今の自分もああいった表情をしているのだろうか?
 シュウの手が腰を抱える。マサキは少しだけ足を開いた。足の奥にあてがわれたシュウの男性自身が、ゆっくりとマサキの身体の中に押し入ってくる。「ああ……」びくん、と腰を跳ねさせて、マサキはその全てを受け入れた。
「挿れられただけで好がってみせるなんて、本当に感じ易い身体ですよね、マサキ」
 シュウはそう言って、少しずつ腰を動かし始めた。緩く、浅く、ときに深く……突き上げられる度に何かがマサキの脳裏を過ぎる。身体と頭が何かを思い出そうとしている。マサキは全身から這い出してくる感触に気付いて、また腰を跳ねさせた。シュウの愛撫の感触。その手がマサキの腰を掴んでいるのにも関わらず、身体中のそこかしこにある。
 少し前にマサキを混乱させた快感の数々を、けれども今のマサキは拒もうと思えない。全身をくまなく快感に支配されたマサキは、わけがわからないまま、嬌声を上げつつ腰を何度も跳ねさせた。
「いい……いい、シュウ。おかしく……な、る……」
「なりなさい。いいですよ、マサキ。ほら、もっと好がって」
 声が届いたのかも知れない。番をしている兵士がマサキを見た。暫く呆然とマサキの様子を目にしていた彼は、少しもすると頬を赤らめつつ慌てて顔を背けた。そんな兵士の様子に気付いたのだろう。クク……と、シュウが喉の奥で嘲笑《わら》う。
「彼は今夜どんな夢を見るのでしょうね、マサキ。あなたのこんな姿を見て」
 マサキの背中にじん、と走る強い疼き。こんな姿を晒しているのに、それに強い快感を覚えてしまうようになってしまった自分。いたたまれないほどの羞恥と限りないほどの悦楽。びくんとまた腰が跳ねる。背中をしならせて、マサキは鉄柵にしがみ付いた。
「ほら、もう少し腰を上げて。奥まで挿れて欲しいのでしょう、マサキ」
 濡れた舌の感触が首筋にある。指先が這う感触が乳首にある。口唇で吸い上げる感触がマサキの男性自身にある。腰も、背中も、耳朶も、指先も、肌という肌の全てを舐《ねぶ》られている感触の底で、ひときわ、強くマサキを縛り付けるシュウの男性自身。
 シュウに突き上げられ続けたマサキは、昇り詰めては果て、また昇り詰めては果てた。鉄柵を掴みながら身を捩らせて、全身に蘇る記憶を受け止めながら果て続けた。
 何度目かの快感。ふと浮かび上がってくる記憶。暗い闇の中で終わらない快楽に身を委ねたあの日。その一部始終がマサキの脳裏を駆け巡った。すとん、シュウと繋がっている身体の奥の一番感じ易い部分の力が抜けた。あれだけの快楽を刻み付けられたのに、それでも尚、知らない快楽がその奥に潜んでいる。それは暴虐にマサキの身体中で牙を剥いた。
 声が形を失う。涙で前が見えない。
 果てのない快感に犯されているマサキを容赦なくシュウが責め立てる。マサキの鉄柵を掴んでいる手から力が抜けた。もう、立っているのもままならない。くるぶし、膝裏、肘の内側に、脇の下。マサキの身体のそこかしこを嬲る愛撫の記憶は、まだ尽きそうにない。それがどうしようもなく気持ちいい。
 その太く長い快感の果て。シュウの男性自身がいっそう深くマサキを貫く。ぷつん、とマサキの中で何かが切れた。身体の奥でシュウが吐き出した精を受け止めて、自身もまた果てながら、そのまま支えを失ったマサキは崩れ落ちた。
 床にへたり込んでいるマサキをシュウがそのまま抱き締めてくる。震える腕をマサキはその背中に回した。腕だけではない。マサキの全身が快感の余韻に震えている。そんなマサキの瞳から零れ落ちた涙をシュウの口唇が吸う。吸って、舐めて、そして口唇を重ねる。
「今日はもうこれでいいでしょう、マサキ。こんなに震えて、そんなに良かったの?」
 声はまだ戻りそうにない。マサキはただ頷いた。
 
 ――あのー……。
 
 そこに頭上から降ってくる声。聞き覚えのある声は見るまでもない。窓の桟《さん》に止まって眼下を見下ろしている|青い鳥《ローシェン》は、次の瞬間、部屋に飛び込んでくるとシュウの肩に止まった。
「もうお邪魔ではありませんよね、ご主人様?」
「待ちましたよ、チカ」
「待った!? こんな爛れた生活をしておいて、待った!? 今の台詞聞きました、マサキさん? 絶対にご主人様はあたくしの存在なんて忘れ果てていらっしゃったに違いないですよね!」
 
 
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