大変お待たせいたしました。白河祭り2023最後の作品になります。2024年になってしまいましたが、ある意味最後に相応しいこの作品で、今回の祭りを〆たいと思います。
前回もそうでしたが、今回も私が(エロに)飽きたら終わります。笑
自治区でのいざこざはおまけ要素ですので、なーんにも考えずただただエロをお楽しみください。
先ずはプロローグです。では、本文へどうぞ!
前回もそうでしたが、今回も私が(エロに)飽きたら終わります。笑
自治区でのいざこざはおまけ要素ですので、なーんにも考えずただただエロをお楽しみください。
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<インモラルオブザーバー>
マサキはひとり、硬質的な光に明々と照らされている白い通路を歩いていた。左側には壁、右側に鉄格子が嵌まった鉄扉が点々と続いている。かつて自身が捕虜として囚われた施設。そこを今度は逆の立場で歩くことになろうとは。兵士が見張りに立っている窓のない房の前に立ったマサキは、彼らに房の様子を伺いながらも中にいるだろう男を思った。
魔術に通じ、剣技に長け、知恵に優れる。剣聖として、また魔装機神の操者として、圧倒的な力を誇っているマサキといえども気が抜けない相手、シュウ=シラカワ。或る日唐突に自治区にあるマサキとの住まいから姿を消した彼は、その一週間後には所属不明の一軍を率いて自治区に侵攻を仕掛けてきた。
とはいえ、自治区は彼が決して短くない時間を過ごした場所だ。マサキに及ばずシュウからも指導を受けた自警団員たちは、その戦闘能力を大きく向上させていた。元来、叩き上げの腕自慢たちである。武器を用いた戦闘における立ち回りは勿論のこと、魔装機の操縦技術さえも正規軍に引けを取らない彼らは、マサキの指揮の下、さして時間も掛けずにシュウが率いてきた軍勢を退けることに成功した。
彼らに自治区の守備を任せたマサキは、単独でシュウを追った。書き置きひとつ残さず、自分の許から姿を消した男。このまま彼を逃すなど、あってはならないことだった。
――出来れば見逃していただきたいものですね、マサキ。
――それはてめえの態度次第だ。云え、何があった。
自治区から東へ50キロの地点。ラングランの限りない自然が広がる大地で、マサキはようやくシュウを射程圏内に捉えた。シュウがよんどころない事情によって姿を消したのは明らかであったが、ひとり残される形となったマサキとしては、だからこそ自分にだけは事前に事情を打ち明けていて欲しかったと思ったし、その為にも彼から直接事情を訊く必要性があると感じていた。
――それを私があなたに話せるとでも。
シュウはマサキと戦うつもりはなかったようだった。グランゾンという強力な武装と厚い装甲を誇る機体を扱いながらも、その力を揮う気配を見せない。それをマサキはシュウの情け、或いは自身に対する弱味と取ったが、彼自身はそうではなかったようだ。
それもその筈。彼にはマサキに対する切り札があった。モニターの向こう側からマサキを見詰めている紫水晶《アメジスト》の瞳。妖しく輝く彼の双眸は、マサキに対する欲を強く訴えていた。
――ひとりで私を追って来たことに対しては褒めてあげますよ、マサキ。けれどもそれは蛮勇でしたね。
ほら。と、彼が手を差し出した瞬間、電流が流れたが如き快感が貫いた。くっそ……マサキは操縦席に身体を沈めた。そこかしこに感じるシュウの熱。全身をくまなく彼に嬲られている感触は、催眠術の所為だとわかっていてもリアルだった。
――来なさい、マサキ。あなたがこちらに来れば、自治区に手を出すのは止めましょう。
――ふざ、けろ……お前、こんなことで俺が堕ちると思ってやがるのか……
ひく、と身体が揺れる。踏みしめた両の脚は震えっ放しだ。マサキは口唇を噛み締めた。こんなところでシュウの術中に嵌まる訳にはいかない。彼による調教の進んだ身体は快楽に従順であろうとしていたが、マサキは抵抗を諦めなかった。何より、マサキは魔装機神サイバスターの操者なのだ。明確な悪意を露わにしている男を目の前にして、尻尾を巻いて逃げ出すなど絶対にあってはならないことだった。
――行くぞ、シロ、クロ!
マサキは吠えた。そしてサイバスターの操縦《コントロール》を開始した。シュウもこうなってしまってはマサキと戦うより他ないと覚悟を決めたようだ。グランゾンの各部にエネルギーが行き渡り、その両目に光が灯る。
――マサキ殿! ご命令を!
そこに西部に駐留するラングラン正規軍の一団が、マサキも動いているのを見るのが初めてとなる魔装機を駆って姿を現わした。
青と白を基調としたカラーリングに、鋭角を多用した攻撃的なスタイル。セニアが手がけた新型の量産型魔装機に乗った彼らは、丁度近くで稼働テストを兼ねた野外演習を行っていたところだったようだ。
――両翼に陣を張れ! 目的はグランゾンだ! シュウを生かしたまま捕縛しろ!
即座に彼らに陣形を張るよう命を下したマサキは、その圧倒的な物量を生かしてグランゾンの武装を削り取ることにした。どれだけグランゾンが圧倒的な性能を誇っていたとしても、この世に存在している機体である以上、その武装や装甲には限界があった。一時間ほどの戦い。ヒットアウェイを繰り返したマサキたちは、ついに力尽きたグランゾンからシュウを身柄を確保することに成功した。
「中に入られないのですか、マサキ殿」
「すまない。少し考え事をしていた」
房の見張りに立っていた兵士に声を掛けられたマサキは、長い物思いから意識を取り戻した。消耗しきったシュウをこの房に放り込んでから半日以上が経過している。そろそろ彼の目も覚めた頃だろう。マサキは腰に下げた鍵を使って房の扉を開いた。「俺がいいと云うまで絶対に開けるな」そして、そう見張りの兵士に告げて中へと足を踏み入れる。
僅かな光が房内を薄く照らし出している。上部に換気口がひとつあるだけの独房は、脱獄を防ぐ為に、魔術の発動を防ぐ為の白魔法《ホワイト・マジック》でコーティングされた鉄壁で四方を覆われていた。その壁際に両手と両脚を鎖で繋がれたシュウが座っている。どうやら起きているようだ。房内に姿を現わしたマサキを見上げてふふと笑ったシュウに、マサキは冷ややかな視線を浴びせかけた。
「懲りない人だ。自警団に任せておけばいいものを」
「あいつらでお前の世話が務まるか」マサキはシュウの目の前で身を屈めた。「何も云わずに出て行きやがって。ただで済むと思うなよ」
端正な顔立ちの中で怜悧な瞳が輝いている。口元こそ笑ってはいるが、本心より笑っているのではなさそうだ。それでも憎まれ口をきくだけの元気はあるらしい。彼はマサキの顔を真っ直ぐに見上げつつも揶揄い気味に言葉を吐く。
「浮気をされた恋人のようなことを云いますね。そんなに私に出て行かれたことが気に入らないですか、マサキ」
「当たり前だ。さんざ人を玩具にしておいて、飽きたら出て行くなんざ、真っ当な人間のやることじゃないだろ」
「捨てたつもりはなかったのですがね」
「だったら理由を云え」
マサキはシュウの顔に手を伸ばした。勝手なことをしでかした相手だ。一発ぐらいは殴らなければ気が済まない。けれども、それ以上にこの男の温もりが恋しくて仕方がない。端正で、冷ややかで、整った顔。シュウの両頬を両手で包み込んだマサキは、その口唇に自らの口唇を重ねていった。
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