もうちょっとで終わると思います、多分。
多分というのはですね、この話エロが目的なので、それ以外のあれこれはそこまで深くは掘り下げない訳ですよ。本来だったらそっちがメインになる部分が添え物!なんです!笑 なので、どこまで書いてどこで〆るかって問題がある訳でして……
なのでもう暫くお付き合いくださいませ!
いやー、しかし今回も結構エロを書きましたね!もう暫くエロはいいや!笑
多分というのはですね、この話エロが目的なので、それ以外のあれこれはそこまで深くは掘り下げない訳ですよ。本来だったらそっちがメインになる部分が添え物!なんです!笑 なので、どこまで書いてどこで〆るかって問題がある訳でして……
なのでもう暫くお付き合いくださいませ!
いやー、しかし今回も結構エロを書きましたね!もう暫くエロはいいや!笑
<インモラルオブザーバー>
そこからの記憶は途切れている。
ふと気付くと、シュウの肩に顔を伏せていた。どうやら抱き抱えられているようだ。
マサキは身体を動かそうとした。瞬間、そこかしこに走る飛沫のような余韻。快感の残滓が全身に散らばっている。
暫くの間、まともに動くことも叶わずに、マサキはシュウの膝の上にいた。身体の中に残る精液が腸を伝い落ちてくる感触でさえも、身体に障って仕方がない。荒らぶる呼気を収めることも出来ぬまま、シュウに全身を預けて興奮が鎮まるのを待つ。
ひとつだけわかったことがある。
手土産にマサキを連れて行くと云う割には、その行使に催眠暗示を遣う気がないらしいシュウ。そもそも、マサキに新たな性的快感を与えるのに使うぐらいであるのならば、マサキを敵方に寝返らせるのに使った方が余程話が早く片付くだろうに。何より、あの瞬間のマサキには隙があった。マサキはそれを自覚していたからこそ、その瞬間に自分を『制圧』しなかったシュウに逃走の意思がないことを読み取った。
「取れよ」
散漫な考えがひとつの柱となる頃には、滾っていた脳内は冷静さを取り戻していた。マサキは身体をシュウから離し、彼の目の前に胸部を突き出してみせた。
独房内の絞られた光を受けて不穏に煌めくニップルリング。もういいの? 一度で済ませるのを惜しいとでも感じているのだろうか。張ったままの乳首を軽く噛んでシュウが云う。
「充分だろ。それともお前、まだやり足りないって云うのかよ」
「場所がここでなければ」
「なら、今日のサービスはここまでだ」
熱の冷めた身体に刺激や拘束は不要だ。マサキはシュウの手を取った。白く節ばった手を胸元に導いて、自らの乳首に嵌まったままのニップルクリップを外させる。次いで、尿道に差し込まれたプラグを抜かせる。
「浪漫に欠ける物云いですね」
「お前、自分の立場ってもんを理解してるのか? 捕虜なんだぞ。それをここまで至れり尽くせりしてやってるんだ。これがサービスじゃなきゃ何がサービスだと思ってやがる」
「私と一緒にここを出る気はないと?」
「当たり前だ」
マサキは立ち上がった。視界の端で無機質な床の上に置かれた無機質な三種の玩具が煌めく。それに捕らわれて、シュウから与えられる快楽に泣き喘いだ自分はもういない。
彼は確かにここにいる。
マサキはこうしてシュウを繋ぐことで、彼の気持ちを確かめたいのだ。強烈な快感でマサキを支配する男は、それだけマサキ=アンドーという人間に執着している……百万回の|性行為《セックス》よりも、マサキを恍惚へと誘ってくれるたったひとつの真実。それさえわかれば充分だ。だからマサキは、一度で今日の|性行為《セックス》を終わりにしようと決めた。
床に散乱する衣服を身に纏う。
そして、ほらよ。と、靴下を履いた足をシュウの前に突き出す。
我儘な人ですね。と、微笑を浮かべながら、シュウがマサキのブーツを手に取った。手荒な扱いも多い男ではあるが、マサキに奉仕するのを厭ってはいないらしい。むしろそう扱われることを喜んでいるのか。手慣れた様子でマサキにブーツを履かせたシュウが、その爪先に口付けてくる。
「こんなにあなたを愛しているのに」
「愛してるって云うなら、碌でもないことに首を突っ込むのは止めるんだな」
今となっては遠い昔のことのように思えるが、ふたりで生活をともにしていたあの日々、シュウは様々にマサキを甘やかした。食事の支度は勿論のこと、入浴時の洗身に洗髪。性行為の後にはマサキを抱き寄せて、眠りに落ちるまで背中や頭を撫で続けてもくれた。彼を所有しているという悦び。誰かと心を通わせて生活することの幸福を、マサキはシュウと一緒になったことで知った。
だから、彼が自分を置いて出て行ったという事実が――どうしようもなく耐え難かった。
身体を使ってでも繋ぎ止める。最初にマサキの脳裏に浮かんだ考えはそれだった。激しい嵐のようだった彼との性行為《セックス》。自分以上に彼の欲望を受け止められる人間はいない。数限りなく彼の欲望に応え続けたマサキは、だからこそ強い自信を持っていた。
けれども彼には、マサキ以上に大事にしているものがあるのだ。
それが何かはマサキにはわからない。けれどもそうでなければ、彼はマサキを置いて正体不明の敵方に身を寄せはしなかっただろう。もしかするとそれは、ふたりで過ごしたあの部屋に立ち入らせることのなかった彼の仲間であるかも知れない。前回、捕虜になった時のことを思い出したマサキは、それならばシュウが口を噤み続けているこの状況にも納得がゆくと、床に転がったままの三つの玩具を拾い上げた。
「服の替えを持って来てやる。少し待つんだな」
せめて、チカとだけでも合流出来れば。そう思うも、いつ敵襲が起こるとも限らない緊急時。自治区から離れられないマサキは独房を後にすると、事態の打開が見込めない現状に深い溜息を吐いた。
※ ※ ※
替えの衣装を持ってマサキが独房に戻ると、思いがけず事態が動く気配をみせた。
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替えの衣装を持ってマサキが独房に戻ると、思いがけず事態が動く気配をみせた。
シュウが一枚のメモを渡してきたのだ。
ノートを切ったようだ。何種類かの数理的魔法陣が書き付けられているメモ。暇なら解いてみては如何です。そう云って悪戯めいた笑みを浮かべたシュウに、マサキは緊張感を隠せずにいた。
「魔法陣ってあれか? どの列でも同じ数になるって……」
「あなたには難しいかも知れませんね」
メモを開いてみれば、マスの中に収まっている数字は三桁。これをヒントに魔法陣を完成させろだと? マサキはまじまじとシュウの顔を見た。笑顔が貼り付いたポーカーフェイスは、言葉以上のことを覚らせない。
とはいえ、これまで筆記具を使わなかった男がわざわざ用意したものである。何もないとは考え難い。
「彼と一緒に解いてみては如何です? 私をただ監視するのも退屈でしょう」
「どうかね。奴がこういった問題に強いとは思えないんだがな……」
根っからの軍人気質である自警団の副団長が数字に強いという話をマサキは聞いたことがない。うーん。と、手の中のメモを眺めて唸れば、シュウは読書に精を出すつもりであるようだ。床に積まれた本の中から一冊を取り上げた。
「なら、セニア辺りからヒントを貰うのですね」
シュウの言葉にマサキは刮目した。
このメモはセニアに渡すことで意味を持つものである。と、いうことは自警団では解決出来ない規模の問題が起こっているということだ。そう解釈したマサキは努めて自然に見えるように、わかったと頷いて独房を後にした。
そうして管理室に向かった。
直ぐにでもセニアに連絡を取りたくはあったが、監視カメラの目がある以上、メモの存在を隠し通すことは出来ない。少なくとも、要らぬ不審を自警団の人間たちに抱かせない為にも、あの男にだけは最低限話を通す必要があるだろう。そう思いながらマサキが管理室に足を踏み入れれば、一部始終をモニターで見ていたようだ。メモを見せてはくれないか。と、早速と男が手を出してくる。
「あんた、これ解けるか?」
「魔法陣か。二桁ぐらいならやれなくもないが、三桁ともなると一筋縄ではいかないな」
「あんたと一緒に解いてみたらどうだってさ」マサキは手近な椅子に腰掛けた。「ヒントを貰ってもいいらしいぜ。|セ《・》|ニ《・》|ア《・》に」
マサキのひと言に、男の顔が引き締まる。
自警団の副団長という立場に見合わぬ洞察力を有する男は、マサキの伝えたいことを読み取ってくれたに違いなかった。ふむ――と、少し考える素振りをみせると、マサキを振り返って、「君の助力が必要だな」そう重苦しく言葉を吐いた。
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