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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

インモラルオブザーバー(7)
ご無沙汰しております!ようやく連載再開です!!!

いやー、エロに飽きたら終わらせると云ったんですけど、そもそものエロが最早これ以上の責め苦がどこにあるという地点に到達してしまっているので、新しいネタが思い浮かばない!!!!仕方がないので、取り敢えずエロはそこそこにして真面目に話を進めることにします。羞恥を捨てて独占欲を取った白河は強かった。あとマサキも。

ぱちぱち有難うございます。励みにして頑張ります。

ところで皆様的にシュウマサエロってどこまで必要なんでしょうね。私としては出来ればがっつり書きたくもあるんですけど、最近、「もしかしてそんなにエロは求められていない???」という空気を感じる次第でして……そんな悩める@kyoさんに励ましのお便りを出そう!@kyoさん全裸で正座して待ってます。笑


<インモラルオブザーバー>

 独房に繋がれていてあまり動いていないからだろうか。食が進まないらしいシュウに、仕方なしにマサキは自分の口に残った食事を放り込んだ。
 元々、食欲旺盛というタイプではないのだ。
 動かなくともそれなりの食事を摂るマサキと異なり、動かなければ食べる量が減るシュウは、例えば読書といったちょっとした頭脳に対する刺激だけでも食事という行為の一切を放棄してしまう。彼にとって知的好奇心を擽られることは、何にも勝る快感であるのだ。だからだろう。目の前にそうした御馳走を差し出されたが最後。本能を削ってでもそうした活動に取り組んでしまう。
「今度からは自分の分の食事も持ってくるのですね」
「そしたら食べるのかよ」
「量にもよりますね。ここにいる限り、身体を動かす機会には恵まれませんし、もう少し減らして欲しくはありますが」
 マサキはシュウに差し入れた数冊の書物にちらと目を遣った。さして時間もない中で例の男が手配した書物に、それほどの効果があるものなのだろうか。空になったトレーを扉の向こう側にいる見張り兵に渡したマサキは、改めて差し入れの数々を検めた。
 書物は大分読み進めたようだが、ノートや筆記具を使った形跡はない。マサキはノートと筆記具を元の場所に戻した。真っ白なノートが、まるで本心を明らかにしないシュウのようにも映る。
「見てもそこには何もありませんよ」
「わかってるよ」
 マサキたちとの意思疎通を図りたいとシュウが望んでいるのであれば、この機会を逃したりはしないだろう。マサキは微かに落胆した。
 シュウが敵に力を貸している理由や事情がまるで見えてこない。
 彼に嵌めた首輪のお陰で彼を失うのではないかといった不安を感じることはなくなっていたが、進展を見せない事態に対する焦りは変わらずにマサキの胸にある。正体不明な敵。敵に与しているシュウ。青天の霹靂の如く自治区に突如として襲いかかった災厄。だのにマサキはその事態にどう対処するのが正しいのか見出せぬままでいる。
 それもこれも本心を明かすことのないシュウの所為だ。
 風の魔装機神が操者であるマサキ=アンドーという人間は、そこまでシュウ=シラカワという人間にとって頼りにならない人間なのだろうか。右も左もわからずにラングランの戦役に身を投じていたあの頃ならいざ知らず、今のマサキにはそれとは比べ物にならないくらいの知識と経験があるというのに。
 マサキはつい口を衝いて出そうになる溜息を飲み込んだ。
 前回の自警団による自治区の占拠にしてもそうだ。マサキは捕虜として囚われていただけで、進展する事態に対処をしていたのは主にシュウであった。確かに、自警団の副団長たる彼の本心を聞き出したという意味ではマサキの存在価値も多少はあっただろうが、逆に云えばあの捕虜生活でマサキが役立てたシーンはそれしかない。ましてや、魔装機神操者としての責務を果たせたのは自警団たる彼らが蜂起した後である。全く面目が立たないとはこのことだ。
 それもこれもシュウ=シラカワという男がアウトサイダーな性質を有しているからだ。
 自らに関わる事態を自らの力でのみ処理しようとする男は、確かにそれに見合うだけの能力を有してはいたが、それだけにマサキには脆くも危うく映る時がある。社会規範を無視してでも自らの目的を達成しようとする傾向にある男。何がそこまで彼の心を頑なにさせているのか。事情さえ打ち明けてくれれば出来ることは必ずある。マサキとしてはそう信じるより他ないからこそ、彼に救いの手を差し伸べたいのだ。
 だというのに。
 この期に及んで、シュウは自らの拘りを捨てるつもりはないようだ。続く沈黙にふと意地悪めいた笑みを浮かべてみせると、マサキの顔に欲望があからさまとなった視線を注いできながらこう迫ってきた。
「ところで、約束を果たしてはくれないの」
「食欲を満たした後は性欲ってか。お前、相変わらず本能の赴くままに生きてやがるな」
「あなたを口説き落としたいのですよ、マサキ」
 差し伸べられた手。マサキはその手を取り、シュウに導かれるがまま彼の膝の上に乗った。早速とばかりにジャケットの合わせ目が解かれ、シャツの中へと彼の骨ばった手が忍んでくる。
 腹を辿って乳首を探り当てたシュウが、指を立ててゆるゆると乳首を撫でてくる。
 考え事に注力する余裕もない。じわりと染み出してきた快感にマサキの身体がぶるりと震えた。私と一緒に来ませんか。頭上から降ってくる声の魅惑的な響き。ここは一度シュウの誘いに乗ってみせるべきなのかも知れない。マサキはふと脳裏を過ぎった考えに懊悩した。
 腹芸の得意ではないマサキにとっては難易度の高い戦法ではあったが、膠着した事態を打開するにはそのぐらい思い切った方針転換が必要なのではないだろうか。如何に自警団が戦力として優秀であっても、彼らが攻勢に打って出るのは難しい。彼らは街の治安維持が最大目的である組織なのだ。
 いつまでも自治区にばかり構ってはいられない立場のマサキとしては、そうした事情を加味した上で、なるべく短期で決着を付けたいと考えていた。もしかすると自治区への攻撃は陽動で、本丸が他に存在している可能性もある。疑い出しては際限がないとはいえ、それもまた戦争の本質だ。どうしたものか――シュウの愛撫に身を任せながら、考えること暫し。けれども、そういった搦手は自分には似合わない。やるならやはり正面突破だ。マサキはシュウに抵抗を示すようにふるふると首を振った。
 自治区の独立性は保たれなければならない。
 政治的意図を過分に含んでいるとはいえ、自治区の扱いに際してラングランとバゴニア両国の間でコンセンサスが得られている以上、どういった主張であろうとも手を出してくる組織は全て敵だ。それを敵の正体を探るためとはいえ、一時的にでも与するなど、魔装機神操者としての誇りが泣く。何よりあの高潔なサイフィスが許してくれたものか!
「本当に強情な人だ。そういったあなただからこそ、泣かせたくなる」
 そう囁きかけてきたシュウが、次いで、「ほらマサキ。気持ち良くしてあげますよ。思い出しなさい」
 明瞭《はっき》りとした響きで耳孔に潜り込んできた言葉に、瞬時にして全身が快楽に浸される。それは、快感神経に直接電流を流されているかのような刺激だった。触られているのに舐られてもいる。それも複数の手や舌によって。
 ――あ、あああっ。ああ、ああ、ああっ。シュウ、シュウ……
 髪の毛の先から爪先に至るまで、うねるような快感に包み込まれている。マサキはシュウの腕の中でよがり狂った。逃げ場のない責め苦。催眠暗示を解く気のないシュウの支配は、敵味方と別れた今になってもマサキを彼のものとして強く拘束している。




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