ところで、皆さん。今年のクリスマスどうするつもりかそろそろ気になったりしてません???
クリスマスが大好きな@kyoさん。もしや今年は白河祭りでお茶を濁すのかって。
やる気だけはありますよ!SSを落とすだけにはなりそうですが!
もう滅茶苦茶甘いシュウマサを書きたいのですよ私は!!!!この話との温度差が凄いってものを書こうと思っております。ってことで、残すところあと30000字くらいですかね、この話も。山場は超えました。後は記憶を取り戻してもらうだけ!でもそこまでまた長いんですけどね……
クリスマスが大好きな@kyoさん。もしや今年は白河祭りでお茶を濁すのかって。
やる気だけはありますよ!SSを落とすだけにはなりそうですが!
もう滅茶苦茶甘いシュウマサを書きたいのですよ私は!!!!この話との温度差が凄いってものを書こうと思っております。ってことで、残すところあと30000字くらいですかね、この話も。山場は超えました。後は記憶を取り戻してもらうだけ!でもそこまでまた長いんですけどね……
<記憶の底 ReBirth>
背後を振り返り、挑発的に言葉を吐けば、ややあって土を噛む靴音が響き渡った。その数、12。木立の向こう側から姿を現わした兵士たちは、質の良い鎧と兜に身を包み、きちんと手入れされた剣を腰に下げている。恐らくはこの街の治安維持を務めている衛兵だろう。シュウがややこしいことになると声を上げたのは、だからだ。
しかしだからといって、彼らにシュウを捕らえさせる訳にはいかない。それは彼の意思を尊重し、自由に行動させることとしたセニアの意思に反することだ。
とはいえ、如何にセニアが手を回して抑え込んでいるとはいえ、ラングラン正規軍の規模は世界でも類を見ないものだ。国土の広さに比例して膨れ上がった巨大組織。上層部はまだしも、末端に属する兵士ともなれば、そういった事情に通じていないのも無理はない。
事情を知らぬ彼らをどう退かせたものか。マサキは剣の柄を握る手に力を込めながら、彼らの様子を窺った。
「魔装機神サイバスターが操者、マサキ=アンドー様ですね」
彼らの先頭に立っている男が声を発した。
背後に立つ衛兵たちの何人かが剣を抜く。流石に衛兵クラスともなると構えに隙が少ない。「シュウ、後ろに」マサキはシュウを庇いながら彼らに向き直った。
「お待ちください。我々はあなたと争うつもりでここまで足を運んだのではありません」
この一団を率いているのは、どうやら先頭に立つこの男であるようだ。とはいえ、彼の言葉を受けても背後で剣を構える衛兵たちが剣を収める気配はない。彼も彼らを無理に抑え込もうとは思ってはいないのだろう。淡々と言葉を紡ぐ。
「そんな戦いたがってるような部下を率いておきながらか。笑わせるじゃねえか」
いつ飛び出してこないとも限らない戦意に満ちた部下を率いておきながらの言い草に、ふん。と、マサキは鼻を鳴らした。
「云った通りです。我々はあなたと戦うつもりはありません。用があるのは背後の重罪人です」
「その重罪人とやらは俺の連れだ」マサキは剣を抜いた。「そうである以上、お前らが剣を向けている相手は俺になるんだがな」
戦いの金科玉条《セオリー》はその集団の中で強い立場の者、或いは実力者を先ず墜とすことにある。マサキは固まって自分たちに向き合っている衛兵たちを見遣った。剣の構え方から察するに、彼らの実力は団栗の背比べであるようだ。
ならば、初撃で先頭に立つ男を墜とすまで。
マサキは剣を抜くタイミングを見計らった。誰かひとりでも動けばそのタイミングでマサキも剣を抜いたものだが、流石に訓練を積んだ衛兵たちだけあって、闇雲に突っ込んでくるような真似はしないようだ。剣を構えたままその場を動かぬ彼らに、面倒臭い奴らだ。マサキは心の中でごちた。
彼らが交戦を仕掛けてこないうちから剣を抜いてしまっては、反魔装機派の権力者たちに余計な口実を与えかねない。その突き上げを食らうのは他でもないセニアである。彼女の立場を守る為にも、マサキは動きどころを間違えてはならなかった。
今は我慢のしどころだ。自身にそう云い聞かせたマサキは、根気よくそのタイミングが訪れるのを待った。
「剣聖ランドールに敵うとは思っておりません。どうかお引き渡しを」
「わかっているなら退くんだな。お前らじゃ俺には勝てない」
「そういう訳には参りません!」凛と響く声が、次いで悲痛な叫びに変わった。「そこの男はこの平穏なるラングランの大地に動乱を齎し、陛下のお命を奪った者にございます! 国の柱を失った我々がどれだけの苦境に置かれたか、地上に赴かれたマサキ様はご存じないでしょう!」
「お前らこそわかってない!」マサキは声を荒らげた。
邪神教団とサーヴァ=ヴォルクルス。彼らはシュウを表に立たせることによって彼をスケープゴートとし、そしてラングランという強国に楔を打ち込んだ。彼らの目論見は絶大な効果を上げたのだろう。民や兵士たちは今もシュウの影に怯え、疑心暗鬼に陥り続けている。
「全ては邪神教団によって謀られた策略だ! 追うべき相手を間違えるな! また国が割れるぞ!」
「しかし――それでは、我々は」マサキの剣幕に気圧されたようだ。男が言葉を詰まらせる。
無為な戦いに時間を割きたくないのはマサキも男も同様であるのだろう。迷いを見せた男に、ここぞとばかりにマサキは言葉を継いだ。サーヴァ=ヴォルクルスが人間の精神に潜める思念体であること……それを利用して邪神教団が暗躍を続けていたこと……地上にシュウを追った旅立ったマサキがそこで何を見たのか……シュウの命が一度失われている事実に、彼らは少なからず衝撃を受けたようだ。
「我々は……どうすればいいのです」
力なく言葉を吐いた男に、マサキはもうひと押しと言葉を重ねた。
「俺がここに居ることが答えだ。二度とは云わない。退け。手足を犠牲にする覚悟があるならかかって来い」
「わかりました。今回は退くこととします。ですが、我々は納得をし切った訳ではありません。いずれまたそこの男がラングランを蹂躙するようなことがあれば、その時には……」
「好きにしろ。こいつが道を間違えたら、俺もこいつの敵になるだけだ」
その言葉が決定打となったようだ。剣を構えていた衛兵たちが腕を下ろす。次々と鞘に納められてゆく剣に、小さく頷いた男が退却を命じる。来た時と同じく土を噛むようにして歩を進めて去っていった彼らに、マサキはようやく剣から手を離してシュウを振り返った。
シュウの瞠目した瞳は、虚空を凝視《みつ》めていた。
シュウ。と、マサキが声をかけると、彼ははっとなった様子で、僕は……と絞り出すように言葉を吐いた。
「僕は確かに叔父を好ましくは感じていませんでした」
「シュウ。お前、何を」
「叔父は僕を立場で押え付けるような人でもありました。僕はそれが嫌だった。でも、だからって、死んで欲しいなどとは思ったことはなかった!」
忙しなく振られる首。目にしてしまった現実をどう処理すればいいのか。動揺を露わにしている彼は、現在の自分の記憶と未来の自分が置かれている立場との乖離に理解が追い付かないのだろう。
マサキは9歳のシュウの胸中を慮った。繊細《センシティブ》な彼にとって、この過酷な現実はやはり受け入れ難いものであるようだ。だからといって、このままの状態でいていい筈もない。慰めになるかはわからなくとも、何か言葉をかけてやって落ち着かせる必要がある。
「大丈夫だ。誰もお前が心から望んでやったことだとは思ってない。だから、落ち着け」
「だったら僕は何故こんなことをしでかしたんです!」
「それがサーヴァ=ヴォルクルスの力なんだ」マサキはシュウの背中に手を置いた。「そういう存在なんだ」
シュウが教団を殲滅させようと決意したのは、彼の中にあるこうしたままならない感情を昇華させる為でもあるのだろう。
マサキは過去のシュウの反応を見ることで、現在のシュウの感情が理解出来ているような気持ちになった。自身の感情に対しては寡黙を貫き通す男は、こうして様々な感情を胸の奥に押し込んで、長く果てのない戦いに身を投じる決心をしたのだ。そう考えると、彼がどれだけ生きることに苦悩を抱えながら、現在の生活に身を置いているのか窺い知れる。
罪を罪として受け入れた男は、罰として自らに戦いを科した。
それがどれだけ苦難の道であろうとも、達成しないことには終われない。恐らく、生涯に渡って彼の戦いは続くことになるだろう。その道がマサキたちと交わることがあるかはマサキにはわからない。けれども、彼と対立することはもうないのだろう……マサキは自身がシュウに対して抱いている蟠りが解けてゆくのを感じていた。
「そういう存在……なの、ですね……邪神というものは……」
許し難い……と、続けて呟いたシュウが俯いて口唇を噛む。肩を震わせて黙り込んだ彼は、涙を堪えているようにも、怒りを抑えているようにも映る。それでいい。マサキはそうっと背中に置いたままの手を押し出した。「行こう。バスの時間に遅れる」
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