昨日吃驚する程眠れなかったので、今日は短めです。
ところでわたくし、時間がなくてしれっとお品書きに追加したんですけど、砂さんが作品を描いてくださったんですよ!もうホント踏まれたいですねこの白河に!!!!!←
以前の白河祭りに御参加くださった時の作品も飾っていただけて!懐かしい半面、「え、もうそんなに歳月が過ぎたの……?」と驚くことしきりです。いやー、もうどっちの白河にも踏まれたいですね!私は彼の家の壁か床になりたい!!!!
とっても嬉しいです!砂さん有難うございました!
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とっても嬉しいです!砂さん有難うございました!
<記憶の底 ReBirth>
「そうなのかもな。実際、俺は自分の名前もわからない状態だったしな」
期せずして戻ってきた話題に、マサキは再び当時の状況を思い返した。
二匹の使い魔は、頭を強く打って倒れていたマサキの傍で意識を失った状態で発見されたのだという。彼らはマサキが意識を取り戻しても目を覚ますことがなかった。記憶のない主人は主人ではないとでもいうかのように昏々と眠り続けた彼らが意識を取り戻したのは、マサキが記憶を取り戻してからだ。
恐らくチカも同じような状態にあるに違いない。
シュウがこのまま記憶を取り戻すことがなければ、目覚められない彼は使い魔としての役割を持たなくなる。使えなくなった使い魔がどういった道を辿るのか。マサキは詳しくなかったが、命を持たない魔法生物だ。恐らくは、処分されることになるだろう。
「僕としては面白い性格をしていると聞いたので、彼と話をしたくあったのですが」
「止めとけよ」マサキは即座にシュウをいなした。「お前、実際にあいつが喋るところを聞いたら、絶対に後悔するぞ」
チカと長い付き合いである筈のかつてのシュウですら、彼の歯に衣着せない達者な物言いに辟易していたのだ。彼よりも潔癖な傾向の強いこちらのシュウでは、拒否感を覚えかねない。
「てか、あいつら絶対適当なことをお前に云ってるだろ。あれのどこが面白い性格なんだ?」
「そうかも知れませんね。僕はこういった状態ですから、何を云われてもそうだと受け入れるしかありませんし」
「あいつらの話も、俺の話も、話半分に聞けよ」
決して性格が悪い人間ではないものの、人の悪さが目立つことも珍しくない彼らは、物事に余裕を持って挑むことと茶化すことを混同している節がある。場を弁えず巫山戯始める彼らは、シュウが記憶を失おうとも、そうした態度を改めることはないだろう。むしろ、ここぞとばかりに都合のいい嘘を吹き込んでいる可能性だってある。
「お前から見た世界の真実は、お前の中にしかないんだ。他人の言葉に頼り過ぎると今の自分も見えなくなる。自分を大事にするのは悪いことじゃない。気を付けるんだな」
彼らにかかっては、記憶を失ったシュウをあしらうことなど赤子の手を捻るようなものだ。だからこそ釘を刺すようにマサキが言葉を吐けば、その言葉に何某かの感銘を受けたのだろうか。シュウはふふ……と、眼差しを緩めて笑った。
「あなたは想像していたよりもずっと、他人に真摯に向き合ってくれる人なようですね」
「あいつらが巫山戯過ぎなだけだろ」
「親しい仲でもない僕の為にここまで足を運んでくれているのに?」
「珍しくテリウスが深刻な様子だったからだ。あいつがいつも通りだったら、どうかな……それでも俺はここに来ちまったかも知れねえ。義を見てせざるは勇なきなりってな。俺にだってそのぐらいの優しさはあるさ」
その言葉にシュウが言葉を返してくることはなかった。
ただ、温かな眼差しがマサキを捉えている。
中身が9歳児であるとはいえ、外見はマサキが良く知るシュウのものだ。見慣れた彼の顔は、けれどもマサキが見慣れない表情をしているように感じられた。
心砕けた顔。それは彼が他人と居る時に、稀に見せる表情だ。
マサキ相手だと頻繁に嫌味や皮肉を吐いてみせるシュウは、他人相手だと面倒見の良さを発揮することもあるようだ。惜しげなく知識を与え、惜しげなく技能を伝授する。各所で彼が頼られているのは、そうした懐の深さに惹かれてのことであるのだろう。
他人に慕われることに嫌な思いをする人間はそういない。それはシュウも同様であるのか。以前と比べるとふとした瞬間に表情を緩めることが増えた男に、マサキはだからこそ、そういった表情を自分にシュウが見せてくることはないと思っていた。
そう、例え中身が9歳の子どもであろうとも。
落ち着きを欠いた心臓が、鼓動を速めている。マサキはゆっくりとシュウからを視線を外し、努めてさり気なく壁に掛かっている電波時計へと目を遣った。
シュウの視線から逃れたい。その一心だった。
デジタルで時を刻んでいる時計は、昼も大分過ぎた時間を指している。それを目にしたマサキはふと腹具合が気になった。
寝ているところにテリウスの来訪を受けたマサキは、取るものも取らずにここに駆け付けている。そこからここまで腹に入れたものと云えば紅茶にカフェオレ。飲み物で誤魔化し続けた胃袋は、そろそろ空腹の限界を迎えようとしていた。
このまま朝も昼も食事を抜くことになっては、どれだけ若さが盛りにあるマサキとて身体が持ちそうにない。いい加減、何か腹に入れなければ。あのよ。マサキは口を開いた。「俺、朝食を食べずにここに来てるんだが――」
※ ※ ※
自身も昼食がまだだと云うシュウの分の食事を用意したマサキは、彼と向き合って食事を取っていた。
※ ※ ※
自身も昼食がまだだと云うシュウの分の食事を用意したマサキは、彼と向き合って食事を取っていた。
将来を見据えてだろう。料理ぐらいは出来るようになりたいとマサキの手伝いを申し出てきたシュウに、マサキは黙ってみているように伝えた。ケルトからポットに湯を注ぐのですら見ていて危うい手付きな状態だ。包丁を握ったりするのはもう少し日常の動作に慣れてからにした方が、本人の習得が早まるに違いなかった。
「美味しいですね、これ」
「材料がいいモンだからだろ。失敗しなきゃこんなもんだ」
マーケットで見たことはあるものの、値段が三倍になることから、買うまでには至らなかったミートソースの缶詰。棚の中にあったそれを目にしたマサキは、この機会にと、それを使って料理を作ることにした。
パスタを茹で、ミートソースに絡め、チーズをたっぷりとかけてオーブンで焼く。どれもそれなりにいい食材であったのだろう。マサキが普段作る同じ料理よりは味に深みとコクがある。
インスタントのスープはシュウが用意したものだ。
本人はそれだけと不満に感じているようではあったが、それだけでも危うい手付きを指摘してみせれば納得したようだ。先ずはこの身体で動くことに慣れないと、ですね。ほとほと困り切った様子でシュウは云った。
長く施設を空けることを見越してか。冷蔵庫に入っている野菜は、今日明日で使い切れるくらいの最低量なようだ。その後の食事は缶詰や冷凍食品、乾物で賄えということらしい。仕方のないこととはいえ、味気ない食卓となりそうだ。マサキは明日以降の食事を思って、少しばかり憂鬱になった。
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