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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

帰ってきた140字にならないSSまとめ(2)

このシリーズ、需要は多分ないんですけど、それでもやらずにいられない。


<死ぬにはちょうどいい日に>

 そうだ、と、マサキは思った。あいつに会いに行こう、と。

 敢えて振り返ららないようにしていた過去。両親を失ったマサキが、その後に世話になることとなった施設には、同じように身寄りを失った子どもたちが集まっていた。そこで寝食をともにしていた仲間に会いに行こうと、マサキがようやく思えるようになったその日。ラングランには抜けるような青空が広がっていた。

 死ぬにはちょうどいい日だ。決して友人と呼べるような仲ではなかった施設の仲間のひとり、マサキが会いに行こうと思った少年は、職員室から盗み出して作った合鍵で上がり込んだ屋上で、寝そべりながら空を見上げてよくそんなことを口にしていたものだった。
 雲ひとつない晴れの日に、自ら命を終える選択をしたいのだ。一風変わった考え方をする少年と、マサキはつかず離れずの距離で付き合い続けた。施設に戻れば嫌でも顔を合わせる相手と意見が食い違った程度で喧嘩をしていては、無駄に精神力を消耗するだけだからこそ、少年に限らず、他の子どもたちともマサキは良好な関係を築いていただろう。
 身寄りを失った子どもたちというのは、周囲に大人になることを迫られたからからこそ、誰も彼もが気味が悪いくらいに大人びていたが、少年はその中でも更に抜きんでて大人びた振る舞いをしてみせたものだった。それは数多の孤児たちを見慣れてきた施設の職員をして、あの子は底が知れない――と云わしめるほどでもあった。
 子どもにとって世界とは、その精神年齢の如何に関わらず、見た目で年齢を押し付けてくるものである。息苦しくも甘やかで、そして限りない可能性を夢見させてくれるもの。けれども少年にとって世界とは、マサキたちの目に映るものとはまた異なった様相のものであるようだった。彼は学校の屋上にマサキを連れ出しては、フェンスに凭れながら、子どもに可能性なんてない。あるのは定められた道筋だけだ。と、いずれ訪れる社会人生活を的確に皮肉ってみせたものだ。
 もしかすると、少年はそうした世界にひとりで抵抗していたのやも知れない。彼はある日、いつものようにマサキを屋上に連れ出して、雲ひとつない青空を見上げながらこう口にした。
「凄い仕事を見付けたんだ。お前もやらないか、マサキ。金を溜めるんだ。そしてふたりで一緒に施設を出よう」
 マサキ自身は決して彼を友人とは思っていなかったが、彼はマサキを友人とは別の何かと認識していたようだ。そう、少なくとも先の見えない生活を、ともに抜け出そうと提案してくる程度には。
「金を溜めて施設を出て、何をするんだ。お前はもしかして、お前の云うつまらない大人にでもなるつもりか」
 そう尋ねたマサキに、まさかと答えた少年は、彼にしては豪快にも派手な笑い声を上げてみせた。
「お前とならやれる気がするんだよ、マサキ。俺と一緒にでっかい仕事をしようぜ」
「これから金持ちの家に盗みに入る泥棒みたいな台詞を云いやがる」
 マサキの例えを少年はいたく気に入ったようだった。腹を抱えて笑い転げた彼は、けれどもその誘いを実現することなくこの世を去った。
 学校が終わってから門限までの短い時間、少年は特殊な嗜好の男たちを客として取り、少なくない金を受け取る対価として、性的な奉仕をしていた。その客の中にまともではない人間が紛れ込んでいたのだ。徐々に門限を無視するようになっていった少年が、ついに施設に戻ってこなかった翌日。彼はホテルの一室で、無残な姿となって発見された。
 マサキを『仕事』に誘ってきてから、半年が過ぎた頃だった。
 警察は彼の秘められた生活と、それに関わる人間関係をおおっぴらにしてしまった。その途中ではマサキも疑われたこともあった。警察という生き物は、親しい関係にあった人間は、取り敢えず疑ってかかるものらしい。そう施設の職員に聞かされはしたものの、決していい気はしない。マサキは警察の決めつけた物言いが気に入らなかった。
 結局、捕まったのはしょぼくれた四十路のサラリーマンだった。
 少年は皮肉にも、自身が口にしていた『つまらない大人』の手によって、その人生を終えることとなったのだ。そう、彼が死ぬにはちょうどいい日と望んでみせた、抜けるような青空が広がった晴れの日のその夜更けに。
 ――世の中を上手く立ち回っているように見えて、お前は誰よりも不器用だったな。
 あの頃の仲間たちもまた社会に出る年齢となった。敷かれたレールの上を歩んでつまらない大人になるんだと思っていたマサキは、運命の奇禍に巻き込まれて、魔装機神サイバスターの操者となった。もしかするとその中身は少年の云う『つまらない大人』であるのかも知れなかったが、少なくとも敷かれたレールからははみ出した未来である。
 ――お前が知ったら卒倒するかもな。だってお前云ってたもんな。『何だかんだでマサキは定められた道筋の上を歩んでゆくのが好きなような気がする』ってさ。
 無縁仏として彼が眠る寺を訪れたマサキは、ひっそりと建つ卒塔婆を見詰めながら、胸の内で彼に何度も語りかけた。
 ――生きていたらお前とでっかいことが出来ただろうか。
 そうして、思う存分、少年と歩んだ日々を思い返したマサキは、また来るよ。と、彼に語りかけて寺を出た。
 寺まで続く一本道。その果てに制服姿の少年少女の一団がいるのが見えた。箸が転がっても可笑しく感じられる年頃の彼らは、何に気兼ねすることもなく笑い声を上げながら、きっと家に帰る途中であるのだろう。横断歩道を渡ってゆく。
 彼らが過ぎ去った道の上に、マサキはあの頃の自分の姿が見えたような気がした。
 少年とふたり、立ち入り禁止の屋上に上がって対話を重ねた日々。きっと、マサキも彼も、物分かりのいい子どもを演じるのに疲れていたのだ。だからこそ、ふたりは屋上に上がった。他の誰にも会話を聞かれぬ場所で、そうして様々に思いのたけを口にし合った――……。
 決して友人とは呼べなかった少年は、紛れもなくマサキの仲間であった。マサキは横断歩道を今再び見詰めた。道の上に立つあの頃のマサキは、これ以上となく屈託のない笑顔を浮かべていた。

※「深淵」で書くかどうしようか悩んで見送ったマサキの過去話でした。

kyoさんには「そうだ、彼に会いに行こう」で始まり、「あの頃の僕が笑っていた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字)以上でお願いします。
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<Good morning call>

「恋って偉大よね」
 テーブルを挟んだ向かい側で喫茶店のモーニングメニューを眺めていたミオが、何を思ったか、不意にそんな言葉を吐いたものだから、マサキとしてはようやくそういった日が来たのかと早合点もしたくなったものだった。

「何だよ。ついにお前にも春が来たってか」
「そうじゃないわよ。マサキの話よ。すっかり規則正しい生活が身に付いちゃって」
「それは元からだろ」
 うららかな陽気。朝も早くから、お腹が空いたから。という至極わかり易い理由でマサキの元を訪れたミオは、城下くんだりまで足を運んでみせると、「ここのモーニングメニューが美味しいのよ」と、三差路の角に建つ喫茶店へとマサキを引き込んだ。
 サンドイッチ、ベーグル、パニーニといった軽食に、サラダにフルーツヨーグルト、そしてスープが付いてくるモーニングメニュー。朝から豪勢だな。マサキが云えば、どうやらミオは既に朝のトレーニングメニューを消化し終えた後らしい。朝活よ、朝活。そんなことを云いながら、どのメニューにするかを延々悩み続けている。
「嘘。マサキ、前はこの時間はベッドの中だったじゃない。それが今はどうよ。ちゃんと起きちゃって」
 そして、シュウのお陰よね。そう続けたミオは、ようやくメニューを決めたようだった。マサキは決まった? メニューをテーブルの上に広げたまま、目を落とすこともなくなったマサキに尋ねてくる。決まったも何もメニューを見た瞬間にサンドイッチにしようと決めていたマサキは、ああ、と短く頷いて、ウエイトレスを呼んだ。
「サンドイッチとパニーニのセットとコーヒー、それとレモンソーダ」
 ふたり分のメニューを注文し、氷が溶けかかった水を飲む。シュウのお陰。ミオが先程口にした言葉が、やけに引っかかる。
 寝る時間も起きる時間も気紛れなマサキは、自分の生活リズムが不規則な自覚がある。だが、それに輪をかけて不規則な生活リズムを刻んでいるのが、シュウ=シラカワという男だった。そう、彼は研究や読書といった自らがやりたいことに専念するがあまり、日常生活の一切を放棄してしまう人間であるのだ。
 折り目正しい外での態度とは裏腹な生活態度。表と裏の顔を使い分けてみせる男の本性を知っているマサキとしては、何も知らぬ様子のミオの言葉には、大いに物を申したくもなったもの。
「そうは云うけどな、あいつだってこの時間はまだベッドの中だぞ」
「そうなの? じゃあ尚更シュウのお陰じゃない。マサキ、料理とかもちゃんと自分でするようになったもんね」
「人を通い妻みたいに云うんじゃねえよ」
「その通りだと思うけどなあ。っていうか、咄嗟にその返しが出てくるってことは、マサキ自覚あるんじゃない」
 料理に掃除、洗濯。ひとりで暮らしていれば嫌でも向き合わなければならない家事の数々を、シュウは当たり前のように無視してみせることがあった。それも頻繁に。恐らくは、サフィーネやモニカが片付けに来ていることが関係しているのだろう。怠惰な生活が日常である男は、昨日も自らの趣味である研究に没頭しているよう様子だった。
 そもそもマサキからして、見るに見かねて手を出してしまったぐらいであるのだ。何であいつはあんなに研究が好きかね。ぽつりとそう呟けば、何? マサキ構ってもらえなくて拗ねてるの? と、斜め上の言葉が返ってきた。
「そうじゃねえよ。あいつが家事をやらないって話をしてるんだよ」
「それはマサキに甘えてるんじゃないの?」
「あいつの場合、それ以前の問題な気がするけどな」
「でも、そのお陰でマサキの家事力は上がったんだし、結構なことよ。朝からおノロケご馳走様。あたしもうお腹いっぱい」
 その言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、テーブルに届けられるモーニングメニュー。そういや。と、マサキは目の前に置かれた思った以上にボリュームのあるプレートに、自分が今日をどう過ごそうとしていたかを思い出して、声を発さずにいられなくなった。
「俺、今日、昼までにあいつを起こしに行かなきゃいけなくてさ」
「あっらあ、お熱いこと」
「向こうで飯を食うつもりだったの忘れてた」
「何? 一緒に食べないと機嫌が悪くなるとかでもあるの?」
「そうじゃねえよ。ただ、何となくさ。相手が食べてるのをただ自分が見てるだけって気まずいだろ」
「マサキ、本当に変わったよね」
 ミオはそうしみじみと呟きながらも、食べ物の魅力に打ち勝てなかったようだ。次の瞬間には、大口を開けてパニーニにかぶりついてゆく。
 やっぱり美味しい。そうは云えど、しとやかとは云い難い食いつきぶり。それはミオが相当に腹を空かせている証拠でもあったのだろうが、見目が見目だ。お前、もう少しさ、女だって自覚を……女だ男だ関係ない話だとはわかっていても、マサキとしてはそう口にせずにいられない。
「お腹が空いてるのよ。マサキ、そういう話だったら、そのサンドイッチ半分あたしが貰うけど?」
「本当かよ。だったらやるよ。ほら」
 よもや本当にマサキがくれるとは思っていなかったのだろう。ミオは目を丸くすると、
「本当に変わったよね、マサキ。そんなにシュウのことが好き?」
「馬鹿じゃねえの。好きでもない相手と付き合うかよ」
「そりゃそうだ。でも、シュウはともかく、マサキはねえ。相手のどこが好きなのかわかり難いっていうか」
 などと云いながらも、食事をどんどん片付けてゆく。マサキから貰ったサンドイッチに、パニーニ。サラダにスープ……そしてデザートのフルーツヨーグルトに辿り着いた彼女は、ようやくひと心地付いたようだった。まだ半分も食事を片付けていないマサキを見詰めてひと言。
「ねえ、マサキ。マサキはシュウのどんなところが好きなの?」
 咄嗟に全部、と口にしそうになって、マサキは慌てて口唇を結んだ。
 そんなことを迂闊に口にしようものなら、魔装機の操者たちにどんなネタにされるかわかったものではない。だからマサキはミオに向かって笑いかけながら、こう答えてみせたのだ。謎は謎のままがいいだろ? と。

kyoさんには「恋って偉大だ」で始まり、「謎は謎のままがいい」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば13ツイート(1820字)以内でお願いします。
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<2U>

「一緒に暮らす?」
 その日、何の約束もせずに訪れたシュウの居所で怠惰な時間を貪っていたマサキは、研究がひと段落着いたらしい。奥の書斎から姿を現したシュウが出し抜けに吐いた台詞に、耳を疑った。
「誰と? 俺と?」
「あなた以外に誰がいるのです、マサキ」
 よもやそういった反応をされるとは思っていなかったようだ。シュウは笑えばいいのか、それとも怒るべきなのか――と、悩んでいるかのような微妙な顔付きでそう言葉を継ぐと、気付いたら知り合いの半分以上が所帯を持っている現実に最近ようやく気付いたのだと、突然のプロポーズの理由を述べた。
「それで俺と一緒に暮らしたいって? お前でもそういったこと、気にするのかよ」
「区切りを付けるのにはいい機会かと」持ち込んだ分厚い書物をソファの上で広げながら、「よくよく考えてみれば、ラ・ギアスでは15歳が成年ですしね。むしろよく今まで周りの環境の変化に気付かずにこれたものだと、我ながら不思議になりましたよ」
「そりゃお前、結婚ってものに興味がないからだろ」
 隣に居場所を定めたシュウの肩に凭れて、マサキはその手元を覗き込んだ。全く意味を解せない文字列。シュウは今日も今日とて難解な、しかし彼にとっては日常的に触れている知識の吸収に余念がないようだ。
 こいつと一緒に暮らすねえ。マサキはその生活を思い浮かべてみた。
 正直、何かが変わる気がしない。
 マサキがいようが思い付いたらお構いなし。すわ研究だ論文だ読書だと動き始めるシュウは、マサキの存在を空気や水に等しいものだと思っているのだろう。あって当たり前の存在。結構なことだとは思うものの、もう少し自分の存在に気持ちを向けて欲しいものだとマサキが思ったことは数知れない。
「確かに、結婚には興味はありませんでしたが」
 シュウは片手を書物から離すと、マサキの肩を抱いた。そしてこう言葉を続けた。
「あなたが側にいる生活に魅力を感じないほど、私は孤独に慣れている訳ではないのですよ」
「本当かよ。お前のその手の言葉はどうにも信用がならねえ」
「これは随分と拗ねた言葉を」
 さり気ないスキンシップ。肩を抱いていた手で今度は髪を梳き始めたシュウに、悪い気はしねえけどな。マサキはそう付け加えた。側に寄ってきてはこうしてマサキに触れてみせるシュウの温もりを、マサキとて求めていない訳ではないのだ。
 もし、マサキとシュウが一緒に暮らすことで何かが変わるのだとすれば、こうしてふたりで触れ合って過ごす時間が増えるぐらいだろうか。それだけでいい。と思えるほど、マサキは大人にはなれていなかったし、誰かとそういった意味で一緒に暮らすという現実的な問題に、夢を捨ててはいなかった。
「どうすれば一緒に暮らしてくれますか、マサキ」
 そういったマサキの心の動きを見透かしているかのようにシュウが言葉を紡ぐ。いや、彼としてはどうあってもマサキと一緒に暮らしたいのだ。けれども、そのきっかけは周囲の人間関係の変化にある。マサキとしては、それが面白くなく感じられて仕方がない。
 自分を求めてのことではないのだ。
 常人離れをしたステータスを誇るシュウは、やはり常人離れをした性格をしている。彼が他人や自分を見る目は冷ややかだ。本人にはそういうつもりはないらしいのだが、客観性を重視するがあまり、主観性が窺えない物言いをしてしまうからだろう。
 何を考えているかが読めない男。シュウはそうした自分の不足に自覚があるようだ。一般的な『普通』という枠組みに強い関心を寄せ、時にはそれを自ら体現してみせる。そう、シュウはマサキ自身を求めて同棲を提案しているのではなかった。それが『普通』の人間の『普通』の営み、或いは長く付き合った『普通』の恋人たちが辿り着くひとつの答えであるとと思っているからこそ、マサキを使って体現してみたいだけなのだ。
「夢がないんだよ、お前との生活って」
「夢、とは」
「もっとこう、恋人らしい生活っていうかさ――」
 マサキの言葉を愚痴とでも受け止めたのだろうか。髪を梳いていた手が動きを止めたかと思うと、そうっと顔を仰がせてくる。重なる口唇。日常的に交わされる口付けを拒む理由などマサキにはない。
 黙ってシュウの冷えた口唇の温もりを味わうこと暫く。顔を剥がしたシュウは、こういうことではない? と、マサキに尋ねてきた。
「どうなんだろうな。もっと劇的な変化があるもんじゃないか、同棲って。それまでひとりで生きてきた人間が、ふたりで暮らすんだろ。もっと、何か、こうさ……」
「甘やかされるだけでは不満ですか、マサキ」
「不満じゃねえけど……」
「なら、私はどうすればいい? 具体的に教えてはくれませんか。それがあなたの望みであるというのであれば、出来るだけ希望に沿えるように善処しますよ」
 そうは云われても、マサキにも良くはわからないのだ。
 この機会を逃したら、次はいつになるかわからないシュウからのプロポーズ。わかっている。人間性に乏しい彼がマサキとの関係を能動的に変えたいと望むことなど、滅多に起こらない奇跡であると。だからこそ、決めるのだとしたら今しかない。マサキはぼんやりとした形でしかなかった自らの不満を、具体化するべく頭を回転させた。
「――……一生だ」マサキはシュウを睨み付けて云った。
 結婚という形を取れないマサキとシュウにとって、一緒に暮らすということはある種のゴールに辿り着いたということでもある。そこまで辿り着いた以上、簡単に別れるような真似だけはしたくない。だからマサキはこう言葉を繋げた。
「一生、俺を捨てるな」
 勿論ですよ。シュウの腕がマサキを捉えた。強い力で抱きすくめられたのは、次の瞬間。
「あなたでなければならないことを頼んでいるのに、どうしてその願いを叶えられないものか」
 きっと世の中の恋人たちも同じような気持ちで、同棲に踏み切ってゆくのだろう。不安は多々あれど、自分の欲には勝てそうにない。なら、いい。一緒に暮らそうぜ、シュウ。マサキはシュウの肩に顔を埋めて、今度は自分から。彼との暮らしを誘いかける言葉を吐いた。

kyoへの今日のワンドロ/ワンライお題は【プロポーズ】です。
ワンドロ&ワンライお題ったー:https://shindanmaker.com/1068015



以上です。


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