暫くは続けます。
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<夜を越えて>
お題:yuriさんには「私に少し足りないものは」で始まり、「どんな夜も生きていける」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字)以上でお願いします。(診断メーカー)
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お題:yuriさんには「私に少し足りないものは」で始まり、「どんな夜も生きていける」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字)以上でお願いします。(診断メーカー)
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――私に少し足りないものがあるのならば、それは他者への共感能力だ。
自らの在り方を存分に気に入っているシュウにとって、突然に湧き上がってきた内観の衝動は途惑いを齎すのに充分なものであった。
自らの在り方を存分に気に入っているシュウにとって、突然に湧き上がってきた内観の衝動は途惑いを齎すのに充分なものであった。
目の前に屹立している白亜の鳳。勇猛さと優美さを兼ね備えたその姿を眺めながら、今日もその風格は健在だと感心していたのも束の間。その操者にしては些か品格に欠けるきらいがある少年は、苦々しい表情でシュウの愛機の通信機能モニターに顔を映していた。
「何でてめえはいつもそうかな。顔を合わせるなり説教じみたことを口にしやがって……」
今更に風の魔装機神の立場を求めるほどシュウは愚か者ではなかったものの、果たして何故風の精霊が未熟さを抱えた少年を選んだのかという自身の問いには、納得出来る答えを出せずにいた。きっとそういった気持ちが態度に出てしまっているのだ。ラングランの北端で偶然にも顔を合わせてしまった少年に、恐らくは迷うか流離うかしていたのだろうと、その迂闊な姿勢を咎めるような台詞を吐いてしまった。
馬鹿々々しい。
少年は既にラングランの戦神として相応しいまでの功名を上げていた。世界の各地で戦果を上げ、比類なき力を内外に誇示している。ラ・ギアスに召喚されたばかりの右も左もわからないからこその無謀さもなりを潜めた。彼はもう、あの頃の鼻っ柱が強いだけの少年ではなくなったのだ。
「これは失礼。あなたに操者としての姿勢を問うなど愚かなことでしたね」
「それが嫌味だって云ってんだよ。お前さ、もう少しでいいから、物の云い方ってものを考えろよな。それだからそこかしこで誤解を受けるんじゃねえか」
「私は他人に理解を求めている訳ではないのでね」
そう、シュウは他人に自身を理解してもらおうなどとは思っていない。膨大な知識を処理出来るだけの知能を生まれ持ったシュウは、それがどれだけ不可能に近いことであるのかを、その人生で存分に思い知ってしまっているのだ。
何故、人という生き物は、感情で結論を捻じ曲げてしまうのだろう。
常に理性が感情を上回るシュウにとって、世界とは掌の上の玉のようなものだ。そこで起こる様々な事象の本質――もしかするとそれは、世の摂理と呼ばれるものであるかも知れなかった――が、見たくなくとも見えてしまう。そう、希望よりも絶望を数多く感じて生きてきたシュウにとって、世界とは予定調和に支配されているものでしかなかったのだ。
あの日、までは。
自身が一度の死を迎えたその瞬間、限りない解放感に満たされながら、シュウはこの世の全てが予定調和に従って動いているのではないことを知った。不測の事態を起こす存在が、この世には確かに存在している。その事実はどれだけシュウの心を慰めてくれたことだろう。
「理解を求めているんじゃないって云ってもな、相手に伝わるように話す努力は必要だろうよ」
「それは確かに」
「努力を惜しむんじゃねえよ。お前はそういうところ、諦めてるのか何だかわからねえ態度を取りやがる」
絶望に足を止めることはあっても、諦めることを知らない少年。シュウの過ちを正してくれた少年は、時にこうして、まるでシュウの心を見透かしているかのような言葉を吐く。
――そうですよ、マサキ。私は、色々なことを諦めてしまっている。
他人に理解を求めること、他人に伝わるように言葉を選ぶこと、他人に自分の立場を共感してもらうこと……数え上げたら際限がないくらいにシュウは自身に関わる様々な欲を諦めて、そうしてようやく今の自由に辿り着いた。それを時として平然と指摘してくるこの目の前の少年。何故、彼はこうも世の中と関わることを諦めずにいられるのだろう。戦場で幾度も絶望に晒されただろう少年の強かで逞しい精神は、シュウの心をそうっと慰めてくれることがある。だからこそシュウは自身でも余計なことをと思いながらも、手を差し伸べずにはいられないのだ。
「そうですね、マサキ。努力を惜しむのは善くないこと。私ももう少し、自分を省みることにしますよ」
「何だよ、素直じゃねえか……まあいいか。俺は行くぜ。今日は用があって出てきてるんだ。時間に間に合わないと色々とな」
「今度は迷わないように、気を付けて」
「こっちだろ。わかってるよ……」
そう云って、マサキはサイバスターを駆り、東へと向かって行った。行き先も教えずに向かう方向が正しいとシュウに判断しろと云っているのか。最後に残した台詞に、思わずシュウは笑みを零してしまう。
きっと彼は、簡単には目的地に辿り着けないに違いない。
さて、自分はどうするか……シュウは考えて、舵を西に切った。わざわざ追いかけて、目的地を確認して道を教えてやるほど自分は優しくはない。それに、そうして迷いながらも、最終的には目的地にたどり着く方が、如何にも彼らしいではないか。
マサキ=アンドー。彼はあの日からずっとそうだ。シュウにとっては行き先を照らし出してくれる道標。きっと彼は、道の果てにある栄光をいつの日か必ず掴み取るだろう。シュウは嗤った。その日の訪れを自分が見ることはあるだろうか?
どちらでもいい。
闇に差し込む、ひときわ強い救済の光。それさえあれば、自分はどんな夜も生きていけるのだから。
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<引き合う力の法則>
お題:
書き出し「俺とシュウは今無重力の中を漂っている」
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<引き合う力の法則>
お題:
書き出し「俺とシュウは今無重力の中を漂っている」
終わり「突如復旧した重力によって、俺はシュウに抱きつく格好となってしまったのだった」
(リクエスト)
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<蜘蛛の糸>
お題:@kyoさんには「探し物はここにあるのに」で始まり、「どうか許さないでください」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。(診断メーカー)
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(リクエスト)
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俺とシュウは今無重力の中を漂っている。
宇宙の最中でならともかく、中天には太陽が煌めき、大地には草が青く繁っていた。辺り一面に広がる呑み込まれそうなまでの雄大な自然。地底世界ラ・ギアス。日常を過ごしている筈の世界で、俺たちは宙に浮かんでいた。
「……どういうことなんだよ」俺は云った。
いつものようにサイバスターを駆り、いつものようにラングランを気ままに疾《はし》り、いつものようにサイバスターを降りて、いつものように平原で身体を休めようとしたその時だった。いつも通りとは行かない、けれども稀に起こる遭遇。神経質《ナーバス》な外見からは想像も付かないほどに無骨な形状《フォルム》の機体、グランゾンを操って、シュウが姿を現した。
どうやら暇を持て余していたのは、あちらも同様だったらしい。
気紛れにもグランゾンを降りて来たシュウの手には一振りの剣。如何です? と尋ねられて、面倒臭え。そう答えはしたものの、どうせすることなど昼寝ぐらい。だったら身体を動かすのも気分転換にはなるかと、俺もまた剣を手に立ち上がって――。
その次の瞬間。剣を抜いていざ打ち合おうとなったその時に、何の前触れもなく足が宙に浮いた。
「ラ・ギアス世界ではアレか。こうやって突然重力が失われるのも日常なのか」
「さあ、どうなのでしょうね。少なくとも私は生まれてこの方、経験したことのない現象ですが」
「それは異常事態って云うんじゃないのか」
「そうかも知れません。ただ……」
ラ・ギアスの風が身体を攫う。地上からたった一メートルほどの高さ。だのに遠く感じられる地面の上を、滑るようにふたりで流されながら、少しの間。ほら、と差し出されたシュウの手を俺は取った。
「ただ?」
「古い文献で読んだことはありますよ。外宇宙を彗星が通り抜ける影響で、ラ・ギアスの重力が消失する現象が稀に発生することがあると」
「稀にって云う割には、お前はこれが初めての経験なんだろ」
「文献によれば、前回の重力の消失は千年ほど前。そのぐらいの周期で起こり得る現象らしいと書かれていましたね。とはいえ、時代の移り変わりとともに、識者たちからは眉唾だと思われるようになっていったようです。それが証拠に、もしこれが現実に起こり得る現象であると彼らが認めていたであれば、練金学士協会《アカデミー》から何某かのアナウンスがあった筈」
「科学を超えてもわからないことはあるってことか」
「私も読んだ当時はまさか、と思いましたしね」
どうかすると更に上空へ。風に吹き上げられそうになる俺の身体を、シュウの手ひとつが低空に留めている。きっと、魔術を発動させたに違いない。あらゆる意味で危機に柔軟に対応出来る能力は、こういった時にも役に立つようだ。
有難くはあったものの、いつまでこの体勢でいればいいのだろう。
先の見えない時間を考えると、俺の気持ちは落ち着きを欠いた。こんな風に触れ合う機会がない相手の手を掴んでいる。思ったよりも温かい。その現実が、訳もなく俺の心を騒がせる。
「ところでいつまでこの現象は続くんだよ。半日とかいう答えはナシだぜ」
「五分ほどですよ、マサキ」
「五分? なら、そろそろ……」
そう云った瞬間だった。ずしりと身体に重みがかかった。
何かを考えている暇もない。そのまま、突如として取り戻された重力によって、俺はシュウに抱きつく格好となってしまったのだった。
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<蜘蛛の糸>
お題:@kyoさんには「探し物はここにあるのに」で始まり、「どうか許さないでください」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。(診断メーカー)
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「探し物はここにあるのに」
差し出されたマサキの手が右胸に触れる。きっと深い意味はなく、ただ手を伸ばした先がその場所だっただけなのだとシュウは思いながらも、その下に眠っている傷痕が疼くのを止められなかった。
伏せた顔の下にあるマサキの表情は窺い知れない。視線の届かないそこにある表情が、果たして自分の想像通りのものであるのか。それが見たい――激しい衝動に駆られながらも、絞り出すようにして言葉を吐いたマサキに対して、無理を強いるのは躊躇われた。
自尊心が高いのはシュウに限らない。気安く生きているように見えても、心の奥底に絶対的な自信を飼っている少年。本来、こうした弱みを晒すような真似は、誰に対してだろうとしたくはなかっただろうに。
「何を探しているかはわかりかねますが、あなたが探しているものの答えは私ではありませんよ、マサキ」
「こうして口にしても、お前は俺が見たいものを見せてくれないんだな」
細く頼りない蜘蛛の糸の上を綱渡りしているような距離感で、ずうっと。いつからか、追い追われるだけの関係はその形を変え、貸し借りを作る仲となり、更には時に並び立つまでに至るようになった。
その危うさをシュウは自覚していなかった。
距離を詰めるのはいつだってシュウだ。手を差し伸べずにはいられない。それもこれも、マサキが見せてくれるだろうラ・ギアスの未来が、シュウにとっては待ち遠しいものに感じられたからだった。
悪しき怨念に心を支配され、道を違えてしまった自分。そんな自分に救いを与えてくれた少年は、恐らくは望む望まないに係わらず、世界に必要とされる存在となるだろう。それは必然の理だ。技術に行き詰まりを迎えたこの世界が生み出した魔装機という力。その最高峰に位置する魔装機神の操者に選ばれたマサキに、用意された道と云っても過言ではない。
「あなたの言葉は抽象的だ。らしくない。いつものように明瞭りと口にしては如何です」
わかっているのだ、シュウには。マサキが探しているものの答えが。
けれども彼の弱さに付け込むように言葉を吐くことしか出来ない。その答えを形にしてしまうことで変わってしまうものがあることを知っているからこそ、尚のこと。
限りない、衝動。変えられないのならば、せめてその表情を見たい――。
黙り込んだマサキの伏せたままの顔にシュウは手を掛ける。ぴくり、とその肩が震えたような気がした。嗚呼、恐れているのは自分だけではないのだ。そう察しはしたものの、シュウの手は止まることを知らず。
「どうか許さないでください」
※ ※ ※
今回の分は以上です。
さあ、今日は昨日寝て過ごした分、いっぱいテキストを書くぞー!
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今回の分は以上です。
さあ、今日は昨日寝て過ごした分、いっぱいテキストを書くぞー!
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