公式がそうだからではあるのですが、私は比較的自分の書く話に女性陣を絡ませる方です。
ごめん、性癖なんだ。笑
元々好きなんですよー。男と男の友愛に女が絡む展開。障害が女というのがもう萌える。
もんの凄く古いジャンルの話になりますけど、黄土の奔流とか魔王伝とか本当にツボ。
でも逆にBLにありがちな「ドキッ☆男だらけの愛欲相関図」は苦手な性質で、腐女子の割にあんまりBLに触れていないのは、その辺が原因だったりします。偶に読むと面白いんですけど!
と、全く魔装に関係名のない私の性癖の話をして、では本文へどうぞ!
ごめん、性癖なんだ。笑
元々好きなんですよー。男と男の友愛に女が絡む展開。障害が女というのがもう萌える。
もんの凄く古いジャンルの話になりますけど、黄土の奔流とか魔王伝とか本当にツボ。
でも逆にBLにありがちな「ドキッ☆男だらけの愛欲相関図」は苦手な性質で、腐女子の割にあんまりBLに触れていないのは、その辺が原因だったりします。偶に読むと面白いんですけど!
と、全く魔装に関係名のない私の性癖の話をして、では本文へどうぞ!
<されど、物語は続く>
「浮かない顔をしているわね、マサキ。どうしたの」
教務課に戻り、指導記録や日報といった細々とした書類の作成をしていると、不安定な気持ちが表情に出ていたようだ。十年以上の歳月で少しは腹芸も得意になったと思ってはいたが、そう簡単に性格は変わらないということか。テュッティに指摘されたマサキは、「別に、たいしたことじゃねえよ」と言葉を濁した。
結婚とは人生を決める決定だ。誰かに相談したい気持ちもあった。
けれども、誰にアドバイスを求めたところで、最終的に選択をするのはマサキ自身だ。他人にああだこうだ口を挟まれた結果、自分の気持ちが見えなくなってしまっては本末転倒。自分の選択を他人の所為にしない為にも、ここは黙っておくべきなのだろう。そのぐらいの判断が出来る程度にはマサキは冷静だった。
「今日、テュッティは例の連中のカリキュラムは持ったのか」
「ああ、マサキが手を焼いていたあの子たちね。今日の最後の訓練で当たったわよ。大体の子たちは組み立ても難なくこなせるようになったけれど、一部の子たちがね。座学が済んでいる以上、適性がないでは済ませられないし。あの中の誰かがリーダーシップを取れれば、また違ってくるんでしょうけど」
「まとまりがないんだよな、あの連中。いがみあってるのか、競い合ってるのかわかりゃしねえ」
「そちらはそういうの出易いものね。助け合えとまでは云わないけれども、死なない為には結束力も大事。周りの足を引っ張らない程度には、自分の力を把握して貰わないと」
「あれは過剰に自分の力を過信してるのかねえ」
「あの子たちはあの子たちなりに反省はしていると思うのよね。組み立ても大分、スピードが上がっては来ているし。だからそこまで過信はしていないとは思うのだけれど……」
そこでテュッティは話題を変えた。
「ところでマサキ、昼間の来客は誰だったの?」
触れられたくないところに触れられたマサキの鼓動が跳ねる。しかし隠しても仕方のないことだ。他人の目のないところで会っていた訳ではない以上、どこかから話が耳に入る恐れもある。マサキは覚悟を決めた。ここで下手に応えることから逃げてしまえば、余計な腹を探られかねない。
「リューネだよ。父親の知り合いから俺たちが軍に入ったって話を聞いたらしくてな」
「それで飛んで来たのね。あの子らしい」
「地上と宇宙を行ったり来たりとは、忙しいことだ」
どういった理由でかはわからないが、破天荒な少女を気に入っているらしい。それまで黙って書類の作成に励んでいたヤンロンが、おもむろに口を開く。
「どうせ、自分も仲間に入れろとか、そんなことを云いに来たのだろう」
「どうなんだろうな。あたしを仲間外れにして、とは云ってたが……」
それ以上の話も出来ず、マサキは言葉を切る。他にあったことと云えば、求婚《プロポーズ》を得たことだけだ。突然に姿を現して、慌ただしく去って行った少女は、ただその為だけにマサキの許を訪れたのだろう。
――リューネとともに宇宙に出る。
新しい自分の力を得て駆ける宇宙はどういった景色に見えるのだろう。マサキは宙を仰いだ。手元の書類の作成は、半分ほどで止まっている。
リューネの人脈がどれだけの力を持っているかはマサキにはわかりかねたが、あれだけの科学力を誇った組織の上層部に食い込むものだ。きっと彼女が気楽に云ってのけるだけのものではあるのだろう……ふと、マサキの脳裏に同級生たちの顔が浮かんだ。幸せな家庭を築いている者、仕事で一定の地位を得ている者……現実世界で確かに時間を刻んで生きている彼らの充実した人生が、次から次へと思い浮かぶ。
――もしかすると自分は、それを羨ましく感じているのかも知れない。
生き甲斐を求めて軍に属することを選んだとはいえ、戦場で命の遣り取りをするのとはまた違った日々。生きているという実感が強かったラ・ギアスでの日々と比べれば、こうして教官として後進の育成に当たる日々は、あまりにも味気ないものだ。
リューネの申し出に、マサキが即答出来なかったのは、その申し出がある意味でマサキの目に魅力的に映ってしまったからだった。新しい愛機を得て、宇宙を駆ける。それは|風の魔装機神《サイバスター》という手足を失ったマサキにとって、失くしてしまった使命や自由を新たに得られる機会《チャンス》でもあったのだ。
戦闘狂《バトル・ジャンキー》になったつもりはなかったものの、十年以上もの歳月を戦いに費やしてきた。マサキが自らの居場所だと感じられる場所は、最早そこにしかないのかも知れない。
そっと目を閉じて、記憶を呼び覚ます。
唸り、煤けた匂いを吐き出す動力炉。身体を心地良く包み込む操縦席。精神が千切れるような緊張感に、世界を頂点から見下ろしているような高揚感。そして眼前に広がるラングランの豊かな自然。中天に座す太陽に、湾曲する大地。吹き抜ける風は地上を掠め、天に向かって果てしなく。
耳鳴りがした。
――誰かが呼んでいる。自分を、ずっと。
地上と地底で重なり合った次元が、判然としないももの強く呼びかけているとわかる声をマサキの耳に届けてくる。閉じた瞼の裏側に、浮かぶ光。その刹那。眩いばかりの白光の中央に、ラ・ギアスをともに旅した愛機の姿が浮かび上がったような気がした――……。
帰りがけに誘われたトレーニングを断って、マサキは帰路を行く。
帰りがけに誘われたトレーニングを断って、マサキは帰路を行く。
基地近くの駅からアパートメントの最寄り駅まで。あまり治安が良いとは云えない地下鉄に乗りながら、今後の自分の身の振り方について考え続けた。
たった三ヶ月の地上生活。それだのに広い世界が恋しくて仕方がない。アパートメントと基地の往復しかない生活。手足を奪われた元魔装機操者に、今の世界はあまりにも狭い。地底世界に戻る術を持たないマサキにとって、今の状態は心を引き裂かれるような状態なのだ。
人影まばらなホームに降り、ストリートアートと呼ぶには稚拙な落書きが目に痛い壁の前を通り過ぎる。機械的な動作でICパスを改札に押し当て、薄暗い階段を決して軽くはない足取りで上がってゆく。天に伸びるビルの群れ。その只中に出たマサキは、ネオンとスモッグでけぶった夜空を見上げた。
ただ月のみがぽっかりと浮かぶ空。
常に太陽が光り輝くラ・ギアスの空とは異なる空が、暗く天蓋を覆っている。
常に光差す世界で普通に寝られるようになるには、それなりの時間が必要だった。懐かしさを感じながら、マサキは往来に足を踏み出す。
夜本番の大通りにはそれなりの人が溢れている。その人波を抜けながら帰路を急ぐ。急いだところで何が待っている訳でもない無味乾燥な生活。どこかにに寄ろうにも、冷蔵庫はまだ充分な食料を蓄えている。帰りがけに買い物の必要もないまま、表通りから一本奥に入った道を折れ、マサキは自らの住まいであるアパートメントの手前まで足を運んだ。
その出入口にほど近く。マサキの帰宅を待っていたのだろうか。建物の光が薄く差す路上の片隅に、見覚えある長躯が、陰に身を潜めるようにして立っている。彼はマサキの姿を認めたのだろう。マサキの歩調に合わせるように、ゆったりとこちらに近付いてきた。
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