え、もう七回目?そんなに書いたんですね、この話。
私またヒロ戦やりたい病にかかってしまって、でも今回はお金がありますので、SFCの本体とかHDMI変換器とか購入してですね、それが届くのを待っている状態なんですけど、問題は本体のバックアップ用の電池が生きているか否かでして……
これが駄目だったら、交換してくれるところに依頼ししなきゃいけなかったりで、一体いつになったらプレイできるのようっきーっていう状態だったりします。ちな、ヒロ戦も今年で30周年なんですね。目出度い!
ということで、もうちょっとだけ続く予定ですので、よろしくお付き合いのほどを。
では、本文へどうぞ。
私またヒロ戦やりたい病にかかってしまって、でも今回はお金がありますので、SFCの本体とかHDMI変換器とか購入してですね、それが届くのを待っている状態なんですけど、問題は本体のバックアップ用の電池が生きているか否かでして……
これが駄目だったら、交換してくれるところに依頼ししなきゃいけなかったりで、一体いつになったらプレイできるのようっきーっていう状態だったりします。ちな、ヒロ戦も今年で30周年なんですね。目出度い!
ということで、もうちょっとだけ続く予定ですので、よろしくお付き合いのほどを。
では、本文へどうぞ。
<されど、物語は続く>
ぷん、と懐かしい風の匂いが香る。ラ・ギアスを吹き抜ける風の香り。太陽と空と草の香りが混じり合った匂いとともに姿を現したシュウは、そうしてアパートメントの前。足を止めたマサキの目の前に立った。
「遅いじゃねえか」
「色々とすべきことが重なってしまいまして」
地上を離れて未だ三ヶ月しか経っていないというのに、恋しさでどうにかなりそうだ。胸の内から湧き出てくる感情に、形振り構わず抱き付きたくなる。その例えようもない衝動を耐えながら、マサキは言葉を吐き出した。
「地上に出るのが面倒臭かっただけだろ。お前の一日ほど無為に過ぎるものはねえよ」
「信用のない」
直ぐに会いに行くような台詞を吐いておきながら三ヶ月の別離ともなれば、如何にマサキとて恨み言のひとつも云いたくもなる。あからさまな嫌味に、半分は図星だったのではないだろうか。シュウは少しばかり苦笑してみせた。
「食事はまだ?」
「今帰って来たばかりだぞ。これからに決まってるだろ」
「食べに行きますか。この辺りなら選べる店も多いでしょう」
「お前の料理が食べたい」
それが嗜好なのだろう。薄い味付けの病人食のような料理。シュウが作る料理は豊食に疲れた胃を休めるのにはもってこいだったが、日常的に口にするのには物足りなく感じられたものだ。
野菜がくたくたになるまで煮込まれたスープ。香草の詰まった蒸し鶏に、バターを控えた魚のムニエル。ひとつまみの塩で食べるサラダなどといった料理とは呼べないような品もあった。そんなシュウの作った料理を脳裏に思い浮かべ、マサキは僅かに目を伏せた。
どれもひとりで生きて行かなければならなくなってから覚えた料理なのだと云っていた……。
腹に入ればどれも一緒と文句を云わずに食べ続けた料理の数々さえも、懐かしく感じられて仕方がない。だからだろう。すんなりとそれらの料理を求める言葉が口を吐いて出たのは。
マサキは自分のことながら、その事実に驚きを隠せない。それはマサキに限らなかったようだ。マサキの要望を意外といった表情で聞いていたシュウは、 けれども、直後には口元を緩めてみせた。
「食材は足りますか。必要なものがあるなら買い足しに行かなければ」
「冷蔵庫の中にあるもので作れよ。使い切れなくて駄目にすることも多いんだ」
「買い控えればいいでしょうに。ラ・ギアスでの暮らしと比べたら、軍での仕事は忙しないことでしょう」
「まあな……でも、日々すべきことがあるっていうのもいいもんだ。だからだろ。やたらと腹が減って、何でも美味そうに見えちまう」
云いながら入り口のセキュリティを解除して、建物の中に足を踏み入れる。十階建てのアパートメント。七階にある自分の部屋に向かうべく、マサキはシュウを伴ってエレベーターホールに向かう。
子育てに仕事。日々の暮らしを謳歌している同級生たち。温かくマサキを受け入れてくれた彼らには、様々な人間と交わる日常生活があった。比べて自分はどうだった? マサキは何度でも自己を振り返ってしまう。今日は西へ、明日は東へ。気紛れに日々を生き、限られた人間たちとだけ付き合いを重ね、必要とあらば戦場へと赴く……それは彼らが営む平凡な暮らしと比べれば、とてつもなく異なものに映ったものだろう。
そんなことを語って聞かせながら、マサキはシュウとともにエレベーターを上がる。「今更、あなた方に普通の人生を送れというのも酷な話だとは思っていましたが、だからと云って軍に入ることもなかったでしょうに」
与えられた部屋の前。ドアを開ける直前、背後でシュウが溜息混じりにそう呟くのが聞こえた。
「そうは云ってもな」マサキは胸に蟠る感情を飲み下すように言葉を吐いた。「他にどう生きればいいかわからないだろ」
今更、畑違いの世界に、新たな技術《スキル》を身に付けて飛び込むのも躊躇われる。
同級生の彼らたちのような人生が、自分の前にも拓けているのではないかと思っていた学生時代。世界が一変するのは一瞬だった。ラ・ギアスへの召喚。それでもマサキにとっての世界は、常に自分に微笑みかけるものだった。けれども……風の向くまま気の向くまま。自由に生きたラ・ギアスでの十年間は、マサキから普通の人生を送るだけの根気を奪ってしまったのやも知れない。
――未知の世界に恐れを感じるようになる程度には、自分もきっと歳を重ねたのだ。
数足の靴しかない玄関を通り抜けて、キッチンへ。アメリカンサイズとは良く云ったもので、広いダイニングルームは二十畳近くもあった。マサキひとりでは身の置き場に困るリビングを兼ねたダイニングルーム。朝食と夕食を済ませたら、ほぼ寝るだけの生活では、カウンターキッチン周りで全ての用事が片付いてしまう。
仕事以外に彩りのない生活を送り続けていたマサキは、ここ一週間、窓の外に広がっている景色を見た覚えすらなかったことに気付く。しかし、今日ばかりはそんなこともなさそうだ。マサキはカウンターテーブルに腰を落ち着けると、早速と冷蔵庫にある食材を確認し始めた男の後姿を眺めながら、ポケットの中に仕舞い込んでいたスマートフォンを取り出す。
画面を開いてみれば、メールを一件受信している。
どうせフィルターを擦り抜けたスパムメールだろうと思いながら確認してみれば、発信者はミオ。テュッティたちから話を聞いたらしい。リューネとの会話の内容を尋ねるメールだった。
そうだった、とマサキはカウンターに食材を並べているシュウを見上げた。代り映えのしない取り澄ました表情が、マサキの視線に気付いたのか。少しばかり和らぐ。来訪が遅くなったことを、シュウはシュウなりに申し訳なく感じているようだ。
そんなシュウに今日マサキに起こった出来事を聞かせてもいいものか。
マサキは僅かの間、考えを巡らせた。次にいつ自分の許を訪れるかわからない男。その訪れを待つ間に、きっとリューネは答えを求めてくるだろう。それだったら――、とマサキは重い口を開いた。
「今日、昼間にリューネが基地に面会に来た」
「彼女は今は何をしているのです」
「さあな。宇宙に出て、父親の知り合いを頼るって云ってたんだがな。アポも取らずにいきなり来やがってさ、親父の知り合いたちの情報網から、俺たちが軍に世話になっていることを知ったらしい。自分だけが除け者にされている気分だったんだろ。責められたよ」
「彼女らしい」シュウの口元が歪む。「居ても立っても居られなかったのでしょうね」
剥き出しのまま冷蔵庫に突っ込んでおいた野菜の数々を水で濯ぎながら、それでとシュウが話の続きを促してくる。頷いたマサキは続きを口にするのを躊躇った。とはいえ、話さずに済ませていい話ではないのだ。喉の奥に溜まった唾液を飲み込んで、ゆっくりと口を開く。
「結婚しようって、云われた」
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