何か綺麗に纏まっているように見えて、その実、酷い話を書いた自覚はあります。
許してください。(土下座)
うちの白河のSはサディストのSであり、且つサービスのSでもあります。そういう話です笑
いただいたリクエストをリストに追加しました。リクエスト有難うございます。明日、明後日と二連休ですので、そこで書き上げられたらいいなと思っております。ということで本文へどうぞ。
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<It's Show Time!>
「あー……気持ち悪い……」
洗面所から戻って来たマサキはソファの上に仰向けに伸びた。下腹部に残っている圧迫感。この何とも表現しがたい感覚は、きっとこの男にはわからない。そう思いながら首を動かして、隣のソファのシュウを見上げる。
膝の上に本を広げているシュウは、マサキの体調不良の原因たる自覚はあるらしい。その頁の進みは珍しくも遅い。時々、マサキの様子を窺うように視線を向けてくる。
「薬でも飲みますか」
シュウがおもむろに口を開いた。
「それで効くなら飲むけどな。そういう気持ち悪さじゃないしな……」
マサキは下腹部を撫でた。
昼食を終えたあとに、ふとした弾みで始まった性行為《セックス》。それ自体はマサキも合意の上。今日は夕方までしか時間がないのだ。そうである以上、文句を云える立場にはなかったけれども、この気持ち悪さは別だ。常々マサキが頼んでいたことを、それもプレイの一環とばかりに無視したシュウが悪い。マサキはそう思っている。
「内臓の位置を正せばいいのでしょうかね」
手元の本を閉じたシュウは自らが座っていたソファを離れると、マサキが伸びているソファの端に身体を滑り込ませてきた。ほら、とマサキの手を引く。彼は自らの膝の上にマサキを座らせると、肩を開かせてその腹部を撫で始めた。
「それで戻るのか」
「効果の程は不明ですが」
その手の温もりが心地よく感じられはするものの、シュウが目的とするような意味で変わったことが起きているようには感じられない。はあ、とマサキは大きく息を吐いて、シュウの肩に頭を預けた。
「だから云ったのに。食べた後にやる時は奥まで挿れるなって……」
「そんなに苦しく感じるものですかね」
「当事者は俺だぞ。その俺が云ってるのに、お前は」
「普通だと思うのですが」
云われたマサキは最初、その言葉の意味がわからなかった。苦しくなるのが当たり前なら、この男はマサキに苦痛を与える為だけに性行為に及んでいることになる。そんな馬鹿な……確かに嗜虐嗜好のきらいがある男ではあったけれども、敵だ敵だと騒いでいた頃を昔と呼べる程度には付き合いも長くなった。この後に及んで、ただ苦痛を与えたいもあるまい。考え直したマサキは、もしや、と口を開いた。
「何と比べてるんだよ」
「あなたに限った話ではありませんよ。それともあなたはしない、マサキ?」
「いや、まあ、そりゃするけどさ……公衆トイレに入った時とかさー……温泉行った時とかさー……」
ほら、と云いながらシュウがマサキの下腹部を軽く押す。う、とマサキは呻いた。食べた物が戻る訳ではないにせよ、やはり気持ち悪く感じる。それに対してシュウは、「ここまでは入っていないと思うのですけれどね」と真顔で云ってのける。
「そういう問題じゃないだろ。っていうか、お前でも比べるのかよ」
「意外でしたか」
「そりゃあ、まあ……」
散々、マサキの物言いを下品だなんだと云ってくれた割には、まさかの行動の暴露である。あからさまな比べ合いではないにせよ、マサキが驚かない筈がない。そのまま二の句が続かずにいると、シュウはふと何かに気付いた様子で、
「ですが、マサキ。あなたが比べることに意味はもうないのでは」
などと云いだしたものだから、流石にマサキとしては、頭のひとつでも引っ叩きたくなったものだ。反射的に手を動かしかけて、「煩えな。習慣だよ、習慣」その衝動をどうにか押さえ込んだところで、シュウの効果があるのかないのかいまいち不明な腹部マッサージに再び身を委ねる。
「何で気になるんだろうな」
「私は理由あってのことですよ」
「本当かよ。ただ大小の差が気になるってだけじゃないだろうな」
このままずっとシュウに身を委ねていたい。その程度には心地よく感じるマッサージを受けながらマサキは訊いた。この我が道を往く、が常態の男に、他人と比べることを良しとさせるからには、それなりの理由があって然るべき。
もう少しもしたらここを出なければならなかったマサキだったが、シュウの人となりに関わることとなれば話は別だ。多少の遅刻ぐらいはやむなし。興味のある対象に対してだったら、マサキは幾らだって貪欲になれる。
「まさか。気になる程度で他人と比べていたら身が持たないでしょう」
「だったら何で」
「王宮の侍女たちは明け透けなのですよ。王宮仕えに娯楽が少ないからでしょうね。休暇以外で遊びに出られる職でもない。だから、なのですよ。彼女らは噂話の類がとても好物だ。その中にはそうした品の良くない話も数多く含まれている。大きいのは痛いだの、長いのも困りものだの」
「そういうものなのか? 何か、女がそういう話をするのって想像できないんだけどな」
「人に拠るのでしょうね。したがらない人は絶対に話に加わりませんし。私が幼かった頃は酷かったものですよ。子供だからわからないと思っていたのでしょう。誰々は一方的に出して終わりだとか、誰々は愛撫に時間をかけてくれるとか……」
成程、とマサキは納得した。
他に性行為を知っている訳ではなかったマサキだったけれども、シュウが自分の満足よりもマサキの満足を優先してくれているらしいということには、薄々ならずとも勘付いていた。マサキ自身も男の性を持っているからこそわかる。それは相当な努力によってなされる技だと。
子供の頃から侍女たちの明け透けな会話を耳にして育ったシュウは、だからこそ、彼女らの言葉を金言として、先ず相手に不満を感じさせないように行動するようになったのだ。
「そういった話を山ほど聞かされてしまってはね」
「あー、つまりアレだ。お前が見るのは大きさを比べてるんじゃなくて、逆に自分のが普通の範疇に収まっているかっていう確認の為なんだな」
「そういうことですよ」
マッサージの手が止まる。そのままマサキの腹部の上で両手を重ねたシュウが、「あなたが嫌気がさすのでは意味がない。そこはやはり気持ちよくなって欲しいでしょう。私ひとりで楽しくなってもね」と、殊勝な言葉を吐く。
「だったら、俺の云うことを聞けよ。食後にやる時だけだって云ってるだろ。それ以外だったらいいんだよ。それなのにお前はいつだって構わず奥まで突っ込みやがって……」
「それはそれ。あなたと深く繋がっていたいからですよ」
面倒臭え。マサキが思わずそう言い放つと、楽になりましたか? シュウがその腹部を摩《さす》りながら訊ねてくる。どうやら、状況に合わせろというだけのマサキの要望をシュウは聞く気がないようだ。
「なったよ。なったけどさ」
「これからはマッサージを付けることにしますよ。それでは駄目?」
本当に極々偶にのこと。今日とてお互いに用事がなければ、こんなに忙しなく昼食後に事に及ぶこともなかった。そうである以上、我慢すべきなのはマサキの方なのかも知れない……マッサージひとつに釣られてしまう自分を安いと思いながら、マサキは「わかった、わかった。その代わり、ちゃんとやれよ」シュウの膝の上から立ち上がる。
「お前、そろそろ支度しなくていいのかよ。俺はもう出るぞ」
今日は王立軍の壮行会だ。共にラングランを守ってきた顔馴染みの兵士たちの栄転を祝うパーティに、大幅な遅刻はできない。マサキは壁に掛けてある上着に手を伸ばす。
シュウは旧い友人の誘いで歌劇を見に行くのだそうだ。開演は夕方から。格式あるホールで開催される歌劇はそれなりのドレスコードを求められるらしく、内容そのものや友人に会うことは楽しみとはいえ、準備に時間がかかるのが難点だとシュウにしては珍しくも愚痴たものだ。
「そうですね。では気を付けて、マサキ」
「お前もな。最近また物騒になってきてるし……」
きっと、次に会う時には、その話をするところから始まるのだろう。マサキは上着を羽織ると、シュウに見送られながら玄関を出て、自らの愛機である風の魔装機神に乗り込んだ。
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