@kyoさん20周年おめでとう記念祭
今回のリクエスト内容は「ゼオルート×マサキで『一夜の過ち』的な話」となっております。
脱稿したーッ!
いやいや書いている間中、「いつ終わるのこれ……」状態だったんですが、続けていればいつかは終わるものですね!わたくし、今は充実感でいっぱいです。
後々ちょいちょい直す(既にこっそりやってはいますが)と思いますが、今はこれまで。マサキとゼオルートはあんまり幸せになれそうにないなあ……という私の思いが思いっきり出た作品になってしまいましたが、それをある意味書ききれたので個人的には満足しています。どこかでゼオルートのことをきちんと書きたいとも思っていましたし。
次回はリクエストの最後。「シュウマサ前提のテリウス×マサキ」です。少しばかりお時間をいただいて(まだ細部まで詰め切れていないものですから)、書き始めたいと思います。
と、いうことで最終章。本文へどうぞ!
今回のリクエスト内容は「ゼオルート×マサキで『一夜の過ち』的な話」となっております。
脱稿したーッ!
いやいや書いている間中、「いつ終わるのこれ……」状態だったんですが、続けていればいつかは終わるものですね!わたくし、今は充実感でいっぱいです。
後々ちょいちょい直す(既にこっそりやってはいますが)と思いますが、今はこれまで。マサキとゼオルートはあんまり幸せになれそうにないなあ……という私の思いが思いっきり出た作品になってしまいましたが、それをある意味書ききれたので個人的には満足しています。どこかでゼオルートのことをきちんと書きたいとも思っていましたし。
次回はリクエストの最後。「シュウマサ前提のテリウス×マサキ」です。少しばかりお時間をいただいて(まだ細部まで詰め切れていないものですから)、書き始めたいと思います。
と、いうことで最終章。本文へどうぞ!
<愛しい君へ(了)>
それだけは、とマサキは思った。
それをしてしまったら、本当に引き返せなくなる。それは本能的な恐怖だった。男である自分が、男の愛撫に屈して、欲望を叶えるように懇願する。それはマサキの男性性の敗北を意味した。
だからマサキはどれだけ欲望に流されてしまっても、それだけはすまいと決心したのだ。
蠢く指先に、舐《ねぶ》る舌に、翻弄されながらも、マサキは耐えた。本音を云えばなりふり構わず懇願してしまいたくあったものの、いずれは解放される時が来る。それまでの辛抱と云い聞かせて、マサキは喘ぎ、ゼオルートの背中を掻いた。
蕩《とろ》けるように甘く喘いでいたマサキの恍惚は、長くは持たなかった。
当然ながらマサキも雄。欲望の行き着く果てに何があるのかわからない年齢ではない。触れられれば次、またその次と、欲望は新たに顔を覗かせてくるものであることぐらい知っている。経験はなくとも、妄想を身を委ねる年頃。マサキとて、どれだけそうした想像を重ねて自慰に耽ったものか。
けれども、その現実を、立場を変えて目の前に突き付けられた時、マサキが感じてしまったのは絶望だった。
「達《い》かせて……お願いだから、もう達《い》かせて……」
ひとつ間違えば泣き出してしまいそうになるほどの快楽の中。ついにマサキは折れた。
身体中が切なさに震えている。
昇り詰めかけては焦らすように。ゼオルートは愛撫の場所を変えて、簡単にはそう絶頂《オーガズム》を迎えさせまいと、手練手管の限りを尽くしてきた。それに経験の乏しいマサキが、耐えきれる筈がなかったのだ。終わらない愛撫に啜り泣くように……ようやく求めていた言葉を吐いたマサキに、長くその身体を弄んでいたゼオルートはその手を休めた。
「そうですよ。良く云えましたね、マサキ」
束の間の解放感に、マサキはほっと息を吐いた。
喘いでも喘いでも終われない愛撫に、酔いは既に醒めてしまっていた。とはいえ、長い前戯の果て。それに昼間の稽古の疲れもある。ぐったりとベッドに沈み込んだ身体は、最早自力では動かせそうになかった。
「後は名前を呼ぶだけですよ、私の名を」
云って、再び。ゼオルートは緩やかな愛撫を仕掛け始めた。肌を指先で辿られるだけでも、最早、簡単に震えだしてしまうマサキの身体。それを彼は確かめるように撫で回した。そして、吐き出したい欲望が澱《よど》のように溜まっているマサキの男性器に指を這わせると、その先端から滲み出ている体液を掬《すく》う。
「もう、我慢も限界でしょう。違いますか、マサキ」
ほら、と頬に置かれた手。促されたマサキは、ゼオルート、と震える口唇でその名を呼んだ。
満足げな表情がマサキを見下ろしている。穏やかな養父そのままにマサキを慈しむ瞳は、何の迷いも感じさせなかった。まるで苦悩を告白したことなどなかったかのように、ゼオルートは澄みきった眼差しをマサキに注いで、
次の瞬間。
抱え上げられた両の足に、マサキはまだ自分が終われない現実に、絶望を抱いたのだった。
ただいまー! と明るい声が階下から響いてくる。
ただいまー! と明るい声が階下から響いてくる。
昼を迎えて尚、マサキはベッドの中にいた。微睡んでは起きてを繰り返しているだけで過ぎて行ってしまった午前。流石に今日のマサキに稽古は強いれないとでも思ったのだろうか。煩くせっつくような真似をしてこないゼオルートに甘えて、マサキは自室のベッドの中に居続けた。
節々が軋む身体は自由な動きをマサキから奪っていた。
――無理と何度も何度も云ったっけ……。
足を抱えられたマサキは抵抗も叶わず。力を抜くんですよ、と囁くゼオルートに、力なく首を振るだけだった。
――無理と何度も何度も云ったっけ……。
足を抱えられたマサキは抵抗も叶わず。力を抜くんですよ、と囁くゼオルートに、力なく首を振るだけだった。
双丘の奥に萎《しぼ》んでいる菊座に押し当てられたゼオルートの男性器が、入り口を叩いては一度離れてを繰り返している。「無理、だって……」緊張で凍ったように硬くなった身体。これで挿入できる筈がない。それでも諦めることなく、ゼオルートは何度も何度も無理だと重ねて口走るマサキに構わず腰を進めてきた。
「大丈夫ですから。ね、マサキ。力を抜きなさい」
云って、マサキの緊張をほぐすように、ゼオルートはマサキの耳を舐《ねぶ》った。膝に通した手がマサキの乳首に触れる。ふたつに折られた身体は、身体の硬いマサキにとってはしんどい体勢を強いたものだったけれども、仕掛けられた愛撫の効果は抜群で、快感に溺れるマサキから抵抗する力を奪っていった。
きっとマサキ以上にゼオルートは欲望に追い詰められていたのだ。
熱くも怒張した塊がその先端を、油断しきったマサキの菊座に収めた刹那。彼は性急にマサキの中へと残りを埋め、激しく腰を動かし始めた。
後のことは良く覚えていない。
苦しくて仕方がなかった筈なのに、快感を覚えていたような覚えもある。長かったのか短かったのかもわからないぐらいにマサキを混乱に陥れたその時間は、マサキがゼオルートの熱い体液を身体の奥で受け止めたことで終わりを告げた。
その後、マサキはゼオルートの愛撫で、自らもまた溜まった欲望を吐き出した。
ベッドの上で重なり合うようにして横になっていたのは、荒ぶった呼吸が鎮まりきるまでのささやかな時間の間だけだった。程なくしてゼオルートは身体を起こすと、自らの乱れた衣服を整え、そしてマサキに服を着せてやると、「寝ますか、マサキ?」と訊ねてきた――……。
――酷い男だったよな、あんた……。
墓所に収められたゼオルートの棺に、ひと掬い、またひと掬いと、スコップの土が掛けられてゆく。隣に立つプレシアは、これが父との真実の別れになることをようやく受け入れたのか、マサキが思ったよりも冷静な様子で埋められてゆく棺を見詰めていた。
――酷い男だったよな、あんた……。
墓所に収められたゼオルートの棺に、ひと掬い、またひと掬いと、スコップの土が掛けられてゆく。隣に立つプレシアは、これが父との真実の別れになることをようやく受け入れたのか、マサキが思ったよりも冷静な様子で埋められてゆく棺を見詰めていた。
あれから、ゼオルートがマサキに手をかけることはなかった。
些細な欲望ですらマサキに見せなくなったゼオルートに、マサキはきっと忘れたいのだと思うことにした。そして、それだったら、自分もあの日のことは忘れるべきなのだろうと、努めて考えないように日々を過ごすことにした。
――その顔が見たかったんですよ、マサキ。
快感に蕩けたマサキの顔を凝《じ》っと見詰めながら、そう言葉を吐いたゼオルート。彼は愛した女性の面影をマサキに追い求め、それを得がたんと欲望を形にしてしまった。
――その顔が見たかったんですよ、マサキ。
快感に蕩けたマサキの顔を凝《じ》っと見詰めながら、そう言葉を吐いたゼオルート。彼は愛した女性の面影をマサキに追い求め、それを得がたんと欲望を形にしてしまった。
でも……と、マサキは思う。それで良かったのだと。
彼がマサキ自身を求めるようになっていたら、今頃ふたりはどうなってしまっていたことだろう。プレシアを間に挟んで、秘密を共有し、隠さなければならない関係に怯え……恐らくその日々は、ふたりから笑顔を奪ってしまったに違いない。
温かな日々が温かなまま思い出として心に残っているのは、マサキとゼオルートがあの日のことを忘れ去ったからだ。
「お兄ちゃん、行こうよ」
「ああ……少しだけ、時間をくれ」
土の元に還った彼の身体。それを乗り越えて、マサキは墓標に手を伸ばした。
――ゼオルート=ザン=ゼノサキス。
深く刻み込まれたその名を指先で辿る。辿りながらマサキは誓った。
――ゼオルート=ザン=ゼノサキス。
深く刻み込まれたその名を指先で辿る。辿りながらマサキは誓った。
明日からはまた戦いの日々だ。小休止を挟んでは西へ東へ。この大地に平穏を取り戻し、世界から脅威を放逐しない限りマサキの戦いは終わらない。
――終わらないのであれば、終わらせるまでだ。
伝説の剣聖の名をマサキに与えたゼオルートが、どこまでマサキの素質を買っていたのかはわからない。けれどもその名は、未熟な自分に与えられるには早いものであったのだと、己を恥じる気持ちを持てるようになったマサキは思うようになった。
――終わらないのであれば、終わらせるまでだ。
伝説の剣聖の名をマサキに与えたゼオルートが、どこまでマサキの素質を買っていたのかはわからない。けれどもその名は、未熟な自分に与えられるには早いものであったのだと、己を恥じる気持ちを持てるようになったマサキは思うようになった。
けれども、如何にマサキがそう思ったところで、人々はマサキにその名を捨てることを許してはくれない。街で、戦場で、折に触れては呼ばれる名が、マサキには重く、そして窮屈に感じられて仕方がなかったものだ。
――なあ、なんであんたは俺にランドールの名を与えたんだ……。
もしかするとそれは、決してマサキの素質を買ったからではなく、愛した女性への追悼の気持ちの発露であったのかも知れないと、その瞬間、マサキは思った。
<了>
.
――なあ、なんであんたは俺にランドールの名を与えたんだ……。
もしかするとそれは、決してマサキの素質を買ったからではなく、愛した女性への追悼の気持ちの発露であったのかも知れないと、その瞬間、マサキは思った。
<了>
.
PR
コメント