@kyoさん20周年おめでとう記念祭
今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。
同じわんこ系ということで、前作のテリウスとの違いを楽しんでいただけたらと思っていますが、思いっきりシュウを絡ませに走る辺り、@kyoさんのザッシュへの愛情は相変わらず歪んでいるなあと思うことしきりです。
でも今回は「私が私を祝う為に私の為だけの話を書く」のが目標なので、やりたいことをめいっぱい詰め込みますよ!@kyoさん今回は日和りません!笑
と、いうことで、では本文へどうぞ!
今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。
同じわんこ系ということで、前作のテリウスとの違いを楽しんでいただけたらと思っていますが、思いっきりシュウを絡ませに走る辺り、@kyoさんのザッシュへの愛情は相変わらず歪んでいるなあと思うことしきりです。
でも今回は「私が私を祝う為に私の為だけの話を書く」のが目標なので、やりたいことをめいっぱい詰め込みますよ!@kyoさん今回は日和りません!笑
と、いうことで、では本文へどうぞ!
<I must be change my love and love for me.(2)>
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シュウは静かに怒りを湛える人間だ。
怒れば怒っただけ冷静になり、理知的に言葉を紡ぐようになる。
決して気紛れに怒りを発露するような真似をしない彼を、そこまでマサキが怒らせてしまったのは、この場に居ることでもわかるように、ザッシュとの付き合い方でマサキが問題を起こしてしまったからだった。
元々、マサキがザッシュと付き合いを重ねていることを、シュウは面白く感じていなかったようだった。当たり前だ。マサキに好意を抱いていると公言して憚らないザッシュと、マサキは変わらぬ付き合いを続けていたのだから。それでも、正魔装機の操者同士である以上、ある程度の付き合いが生じてしまうのは避けられない。だからこそ、シュウはマサキに対して寛容であり続けてくれていたし、マサキはその信頼を裏切ってはならないと感じていたからこそ、ザッシュとの間に起こったことをシュウに逐一報告したりもしていたものだった。
けれども。
マサキは越えてはならない一線を越えてしまったのだ。ただの操者同士の付き合いでは有り得ないまでに、ザッシュに誘われれば食事に買い物。アクティビティとてこなしたものだ。
それは年齢が近いからこその気安さでもあった。年上ばかりが幅を利かせる魔装機の操者たち。彼らの興味の向く先とマサキたちの興味が向く先には、どうしたって歳の差相応の開きが出る。それは酒ひとつ取ってもそうだった。彼らはほろ苦く強い酒を好んだものだったけれども、マサキたちはまだまだ舌触りが柔らかく甘い酒を好んだものだ。
どれだけマサキたちが大人びていても、中身は年齢相応。だからこそ、同じ目線で話が出来る年の近い操者たちと、より多くマサキは行動をともにした。ミオしかり、リューネしかり、ザッシュしかり。特にザッシュと気が合ったという訳ではなかったけれども、マサキに好意を抱いている彼は、他の誰よりもマサキに寛容で、多少の我儘ぐらいは広い心で受け止めてくれたものだ。
その居心地の良さに、マサキは甘えてしまった。
口煩くあれこれと自分の在り方に口を挟んでくる女性陣と比べると、ザッシュはマサキのやること為すことをほぼ全てにおいて肯定してくれる。――尊敬と愛情、そして羨望。ザッシュはラングランの内乱を治めたマサキを自分にとっての絶対無二の存在として認識しているからこそ、マサキに対して危険なまでの傾倒をしてみせたものだったし、そしてだからこそ従順でもあった。
――マサキさん、美味しいですか?
あの日、ひとりで食べるのには勇気が要るからと、ザッシュに誘われて行ったオープンカフェ。目的は店の一番人気のチョコレートサンデー。女性ばかりで埋まっている周囲の座席の状況を目の当たりにして、「これは男ふたりはもっと気まずくなるヤツだろ」マサキは云ったものだった。
「安心してください。ちゃんと奢りますから」
「そういう問題じゃ」
マサキがそう云いかけた矢先に、テーブルにふたつのチョコレートサンデーが届けられる。
チョコレートアイスに生クリームがたっぷりと乗ったサンデー。トッピングはナッツとバナナだ。そこに、これでもかとかけられているチョコレートソース……見た目は甘そうだが、ビターな味わいのチョコレートアイスと甘さ控えめの生クリームのお陰で、後味はさっぱりとしているらしい。
どうやらここのチョコレートサンデーは、その上品な味わいが受けて、女性を中心に人気らしい。
そのチョコレートサンデーを食べに行こうと云い出したのは、当然ながらザッシュだった。どうも彼は流行り物には取り敢えず手を出したいタイプらしく、ラングランが発行している観光情報マップをチェックしては、頻繁にマサキを誘ってきたものだった。恐らく、当人としては、デートのつもりなのだろう。それをマサキはただ暇を持て余して日々を送るよりは、と予定がない限りは受けたものだった。
それはザッシュに限ったことではなかった。余程のことでない限り、誰の誘いでもマサキは気安く受けたものだ。
そもそも正魔装機の操者たちは、誰もがひとりで居ることを好むのだ。滅多なことではマサキとてそうそう誘われることはない。マサキの為にラ・ギアス世界に残ることを決めたリューネからしてそうなのだ。だからマサキは自分の時間と他人との付き合い、そしてシュウとの付き合いの均衡《バランス》を保った生活を送れていた。
ただひとり、ザッシュを除いては。
そのザッシュにしても、彼自身が節制することで、マサキとの程良い距離感を保ち続けてくれていたのだ。毎日のように会う訳でもなく、かといって、突然音信不通になることもない……好意を露わにすることはあれど、好意を返すことを強いる訳でもない……だから、それまでのマサキは、ザッシュに勘違いをさせるような真似を決してしてこなかった。
そもそも、ザッシュが自分の気持ちを、一番マサキの身近に居るテュッティとプレシアに打ち明けた時、テュッティはこう云ったのだという。
――でもあの子、多分付き合っている人がいるわよ。それでもいいの?
気付かれているとは思っていなかったマサキは、ザッシュから告白された時に、それでも諦めきれないのだと云われたことよりも、テュッティとプレシアが気付いているらしいことに焦ったものだ。
――あの子が帰って来た時に、偶にいい匂いがすることがあるのよ。
そう云って、テュッティは思わせぶりな笑みを浮かべたのだそうだ。
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