忍者ブログ

あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

I must be change my love and love for me.(3)
@kyoさん20周年おめでとう記念祭

今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。

エロ書きたーい!
エロの前にデートはテリウスでもやったんですけど、あちらはあんまり絡みがないからこそのデートだった訳ですよ。ザッシュに関しては私もう充分過ぎるほどマサキと絡ませたので、別にデートはすっ飛ばしても良くない?と、欲望が滾るからこそのいい加減っぷり!!!!

さっさと絡めよオラァ!

最近、思ったんですけど、私元々「小説は書き手の経験した内在世界を超えることは出来ない」が持論だったんですよ。でもですね、エロネタ色々考えていると、「これ余裕で超えられない?」と思うことが増えて。
だから私に早くエロシーンを書かせろ、ということで、本文へどうぞ!
<I must be change my love and love for me.(3)>

 テュッティの云わんとするところを察したらしいザッシュは、それでもマサキに告白することを選んだ。そして、ザッシュの気持ちを受け入れることは出来ないと云ったマサキに、それはわかっているから、せめて友人としての付き合いをして欲しいと頼み込んできたのだ。
「マサキさん、美味しいですか?」
 そのザッシュと、こうしてふたりで何処かに出掛けるのも当たり前となってしまった。
 ――いつもこんな表情をしている。
 マサキはザッシュの慈しむような眼差しを受けながら、スプーンにすくった生クリームを口に運んだ。見た目と違ってかなり甘さが抑えられた味。濃厚だけれども、甘くはない。「これなら俺でも食べられそうだな」チョコレートアイスもきっとそんな味なのだろう。そう思ったマサキが云うと、ザッシュはそこでようやく自分もスプーンを手にしてサンデーに口を付けた。
「甘さ控えめとは聞いてましたけど、それでも思ったほど甘くないんですね」
「もうちょっと甘くてもいいかもな」
「そうかも知れないですね。でも、この生クリーム、僕は好きですよ。仄かに甘くて……濃厚って云うんですか? その日の朝の搾りたてのミルクを使ってるとかって話ですけど、確かにちょっといつも食べている生クリームとは味が違う気がします」
「そういうのって、実際云われなきゃ感じなかったりするんだぜ」
 マサキが笑いながら云えば、「それはあります」ザッシュも笑った。
 面映ゆい子犬のような笑顔。その顔立ちに男らしさが垣間見えるようになったのは、ここ最近だ。
 父である将軍カークスを喪った時のザッシュは、引き締まった表情をしてみせるようになったものだ。身内を反乱罪で失ったからこその、それは当然の変化であっただろう。とはいえ、最近のザッシュはマサキへの好意を隠そうとしなくなったものの、それ以外に目覚ましい心境の変化が起こるような出来事があった訳ではなさそうだ。
 きっと、単純にそういった時期を迎えたのだ。
 青年期。
 マサキの面差しも徐々に変化を感じさせるようになってきた。成長期の急激な大人への変化とはまた異なる緩やかな加齢による変化。面差しが長くなり、髭は濃さを増し、鼻が逞しく、そして口唇の幅が広がる。お互いに逞しさを増した顔立ちになったものだったけれども、それでもザッシュが元来持つ、甘くも幼い表情をすっかり様変わりさせるとまでは至らなかった。
「どうしました、マサキさん」
「お前、また背が伸びたか」
 対面に向き合って座っていて感じる座高の差。目線がまた少し、高くなった気がする。
「そうなんですよ。少しずつなんですけど、まだ伸びてるみたいで……」
「いいよなあ。俺、もう止まったみたいでさ」
 今日のラングランの気候も温暖だ。爽やかな陽気。心地良い風が吹き抜けている。
 オープンテラスに男ふたり。居心地の良くない喫茶店で、溶けない内にとマサキはチョコレートアイスにスプーンを進める。ほろ苦さの目立つ味。トッピングのバナナはきっと、このアイスの甘さを補う為にあるのだ。そう思いながらひとすくい、またひとすくいと食べ進めてゆく。
「いいじゃないですか。少しぐらい低い方が、僕の好みですし」
「お前なあ……そういうの、あんまり外で云って歩くなよ」
 告白直後はそうでもなかったザッシュは、最近とみに明け透けにマサキへの好意を口にするようになっていた。あれからもう半年は経つのか……マサキは過ぎた月日を思って、変化しつつあるザッシュとの関係に、良くない、と感じたものだった。
 こうしてともに何処かに出掛けるのも当たり前になったし、こうした台詞を耳にするのも当たり前になった。「また今度」といった別れ際の台詞に、「好きですよ、マサキさん」と、好意を伝える台詞が付け足されるのも当たり前になった。そうやって、少しずつ伸びてゆくザッシュの背のように、マサキ自身もザッシュの好意に慣らされていたのだろう。
「別にいいじゃないですか。疚しいことをしている訳じゃないですよ」
「だからってこうやって人が居るところで、そういう台詞を口にするのは」
「他人は自分が思ってるほど、自分に注目はしてないものですよ、マサキさん」
 ほら、とザッシュが紙ナフキンを差し出してくる。「口の端、付いてますよ。チョコレートソース」マサキは慌ててザッシュから紙ナフキンを引っ手繰ると、口元を拭った。
 ――どうして、と聞いてしまった。
 告白された瞬間、マサキは無理だと云うより先に、自分を好きな理由を訊ねてしまっていた。
 真っ直ぐなところ、照れ屋なところ、精神的な逞しさ、不器用な優しさ、幼さ残る顔立ち、少しハイトーンな声……幾つもの項目を上げてみせた後に、「つまり、全部です」ザッシュは云い切ってみせたものだった。
 ――でも、人の心はそう簡単には変わりませんし、他人が変えられるものでもありません。僕が勝手に想っているだけのことなんですから、マサキさんがどうこう感じる必要はないですよ。
 そうまで云うのであれば、告白をする必要はなかっただろうに。
 時折、ふたりで向き合って話をしている時に、息を潜めるようにしてマサキの顔を窺っていることがあったザッシュ。さりげなく肩に手を置いて、中々それを離そうとしなかったザッシュ。不自然な態度の数々に、マサキはもしやと思わないこともなかったけれども、男と男。まさかと思う気持ちがマサキの勘に蓋をしてしまった。
 それはザッシュが抑え込んでいた欲望でもあったのに。
 ザッシュの内面での葛藤に気付いていなかったマサキは、ザッシュのそうした態度に、それならいい――と安心しきってしまっていた。そして、だからこそこうした付き合いを続けてしまっていた。
 それが全ての間違いの元だったのに。


.
PR

コメント