@kyoさん20周年おめでとう記念祭
今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。
うちのマサキは肉欲に弱い!(挨拶)
まあ、そういう趣旨のお祭りなので仕方がないのですが、シュウマサを遵守しながらマサキが他の男とってなると、どうやっても誰かしらが狡い男にならなくてはいけない訳ですよ。
これまでそれは、フェイルロードであったり、ゼオルートであったり、テリウスであったりした訳ですが、@kyoさん滅茶苦茶ザッシュ好きじゃないですか!? 今回に限ってはマサキが悪い、と本気で思い始めてるんですけど皆様その辺どう思いますッ!?笑
と、いったところで本文へどうぞ!
今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。
うちのマサキは肉欲に弱い!(挨拶)
まあ、そういう趣旨のお祭りなので仕方がないのですが、シュウマサを遵守しながらマサキが他の男とってなると、どうやっても誰かしらが狡い男にならなくてはいけない訳ですよ。
これまでそれは、フェイルロードであったり、ゼオルートであったり、テリウスであったりした訳ですが、@kyoさん滅茶苦茶ザッシュ好きじゃないですか!? 今回に限ってはマサキが悪い、と本気で思い始めてるんですけど皆様その辺どう思いますッ!?笑
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<I must be change my love and love for me.(7)>
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鼓動が矢鱈と波打ち、立ち上がると眩暈がする。
嫌な予感のする汗が、額から噴き出してきて止まらない。
料理を殆ど胃に収めずに飲み干した二杯のジントニック。照れ隠しに景気付けと流し込んだたったそれだけの量の酒で、どうやらマサキは悪酔いしてしまったようだ。とにかく気持ちが悪くて仕方がない。マサキはゆっくりと酒を飲みながら料理をつついているザッシュを置いて立ち上がった。
「悪い。ちょっと、トイレに行ってくる」
「さっきも行きませんでしたか?」
「悪酔いした」
喉の奥に引っ掛かっているジントニックの塊は、思った以上に厄介で、何度飲み下しても胃から込み上げてくる。このまま堪えきれるものではなさそうだ。それだったら、店の中で盛大に失態を晒すよりは、みっともなくともトイレで倒れた方がいい。マサキはザッシュにそれだけ言い残すと、急いで店の奥まったところにある個室トイレへと駆け込んだ。
そしてひたすら吐いた。
便座に両手を付いて、ままならない身体を支えながら、胃の中に溜まっていたものを一気に吐き出す。チョコレートサンデーに紅茶、そしてジントニック……城下に出て来てから胃の中には大した量を収めていない。あっという間に空になった胃袋に、マサキはトイレットペーパーで口を拭った。
だのに収まらない眩暈。真っ暗になった視界に、冷汗を掻きながらマサキは床に膝を付いた。
幸い、激しい動悸は少しずつだが、治まる様子をみせている。ここでこうして休んでいれば、この不快な体調もじきに収まるだろう……そう思いながら、綺麗に整えられた狭いトイレの中。マサキは壁に凭れて、しばらくそのままの体勢で身体を休めていた。
暗闇に包まれた視界は直ぐに回復したものの、眩暈の方はそうはいかない。まともに動くこともままならないまま、少しの間。目を伏せていたマサキの耳に届く、コンコン、とドアをノックする音。次の客か、とマサキは腰を浮かしかけて、「水、持ってきましたよ、マサキさん」ザッシュの声に再び床の上。腕を動かすのも億劫で堪らない中、それでも内側から掛けていた鍵を開けた。
「大丈夫かよ、席を離れて」
「店員には云ってありますから大丈夫ですよ。ほら、先ずは水を飲んで」
ザッシュから渡されたコップの中の水を一気に飲み干すと、少しばかり気分が良くなったように感じられた。この調子なら数分もすれば立てるぐらいに回復するだろう。そう思いながらマサキは目を伏せる。
「もう一杯、飲みますか?」
「いや、もういい。大丈夫だ、ザッシュ。少しもすれば良くなるだろ。お陰で大分楽になった」
「僕は何もしてませんけどね。水を渡しに来ただけで」ザッシュの手がマサキの腕を取る。「取り敢えず席に戻りましょう、マサキさん。このままだと他のお客さんの迷惑になりますし」
マサキはザッシュに腕を引かれるがまま立ち上がって、やはりまだ収まらない眩暈に壁に背を預けた。どうにか男ふたりが入れる程度の大きさの個室の中。ほら、と、扉の内側に入り込んできたザッシュがマサキの肩を担ごうと奮闘を始めるものの、眩暈の酷いマサキは迂闊に身体を動かせないままで。
「マサキさん、ちゃんと僕に身体を預けてください。そうでないと担げないですよ」
「眩暈がする」
「大丈夫です。ちゃんと支えますから」
「悪いな、迷惑かけちまって……」マサキはザッシュの肩口に顔を沈めた。
いつの間にか追い越されてしまった背。初めて会った頃のザッシュは、軍服に着られているように見えるほど、マサキよりも小柄で華奢な体付きをしていたものだったのに。過ぎ去った歳月、その重みを身長差に感じながら暫く。マサキはザッシュの腕に抱き留められていた。
「……ザッシュ?」それきり、中々動こうとしないザッシュにマサキは顔を上げる。
僅かに見上げたザッシュの顔は、どこか寂しそうに見えた。
少しだけ、とザッシュの口唇が動く。直後、彼は両の手でマサキの頬を包み込んで仰がせると、覆い被さるようにして口付けてきた。
よもや起こるとは思ってもいなかった事態――、マサキは反応出来ずにいた。
重ねた口唇を軽く啄むようにして何度か。ただそれだけの口付けを繰り返したザッシュは、名残惜しさを感じさせないまでに、あっさりとマサキから口唇を離した。
それがあまりにも優しくも軽い口付けだったものだから、マサキはきっと気を許してしてしまったのだ。途端に物足りなさを訴え出す口唇に、マサキは焦ったものだった。自分にはシュウがいるのに何故、と。
「行きますよ、マサキさん。ちゃんと付いてきてくださいね」
ザッシュは何事もなかったかのようにマサキの肩を担いで、元居た席へとマサキを連れ帰ってくれた。その頃にはマサキも調子を戻していたものだから、取り立てて先ほどの出来事を騒ぎ立てるでもなく。きっと、気の迷いだったのだ――と、ザッシュの行動の理由を自分に納得させて、今度は彼のペースに合わせて料理と酒を嗜みながら二時間ほど。のんびりと他愛ない会話を交わしながら、酒場での時間を過ごした。
そして連れ立って酒場を後にし、送ると云って聞かないザッシュを好きにさせた帰り道。
ゼオルートの館近くになって、ザッシュは不意にその話を蒸し返してきたのだ。
――抵抗されなかったってことは、期待してもいいんですか、マサキさん。
彼はそして狂ったようにマサキの口唇を求めてきた。最初の口付けでの穏やかさはどこへやら。力任せにマサキの口唇を奪ったかと思うと、無理にその口唇を割って自らの舌を差し入れてきた。そして荒々しくマサキの舌を攫うと、深く口唇を合わせてきたのだ。マサキが感じてしまった物足りなさに気付いていて、それを埋めようとするかのように。
マサキは抵抗しなかった。
そこからはなし崩しだった。顔を合わせれば当然のように口唇を求めてくるザッシュに、マサキは自らの口唇を与え続けた。時にはその口付けに、自ら応じてみせたりもした。それは増々、ザッシュの中のマサキへの恋情を煽り立てているようだった。
街角の人気の絶えた一角で、或いは公園の片隅で、或いは任務先の雑木林の中で。決してそれ以上の一線を踏み越えてこようとはしなかったザッシュと、マサキは口付けを交わし続けた。とはいえ、如何に人目を憚ろうとも、これだけ頻繁にふたりきりでどこかに姿を隠していれば、要らぬ誤解とて招こうというもの。
ましてや人の口に戸は立てられない。
いつの間にか、相当な範囲に噂は出回ってしまっていたらしい。それを耳にしたらしく、「困ったこと」と、テュッティは苦笑しきりでマサキに云いはしたものの、マサキに恋人がいると信じて疑わないからだろう。「あまり誤解を受けるような真似をしては駄目よ」と、それだけ。よもやそれが真実であるとは微塵も思っていない様子だった。
だからマサキは油断しきってしまったのだ。
自らが抱えていた問題が解決したらしいシュウが、ようやく連絡を寄越すようになっても何も云わなかったものだから、余計に。況《いわん》や、その愛情に胡坐をかいた結果がどうなるかなど考えもしない。少しでも彼の気性を顧みていれば、マサキは自らを律しようと思えていただろうに。
自らが抱えていた問題が解決したらしいシュウが、ようやく連絡を寄越すようになっても何も云わなかったものだから、余計に。況《いわん》や、その愛情に胡坐をかいた結果がどうなるかなど考えもしない。少しでも彼の気性を顧みていれば、マサキは自らを律しようと思えていただろうに。
恋愛とは成就してからが、努力と忍耐の本番なのだ。
それなのに。
マサキは理由もなく、大丈夫だろうと高を括ってしまっていた。
マサキは理由もなく、大丈夫だろうと高を括ってしまっていた。
それが回りに回った結果、どこに届くかなど考えもせず、その後もマサキはザッシュと付き合いを続けてしまった。それが普通の友人関係では有り得ない付き合い方であると、承知していたのに。
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