@kyoさん20周年おめでとう記念祭
今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。
先に云っておきますが、今回は修羅場回です。
ふと書いていて思ったんですけど、うちのシュウマサはアレですね。マサキはシュウに家族のような愛情を向けていて、シュウはいつまでもマサキに恋をしている。そんな感じなんだなー、と。
だからこういうことにもなり得るんだなあって、自分で書いていて自分で納得しました。って、やっぱうちの白河女々しい性格な気がひしひしとしますね……。これって、皆様的に大丈夫なんですかね。
と、いうことで本文へどうぞ!
今回のテーマは「シュウ&ザッシュ×マサキ」となっております。
先に云っておきますが、今回は修羅場回です。
ふと書いていて思ったんですけど、うちのシュウマサはアレですね。マサキはシュウに家族のような愛情を向けていて、シュウはいつまでもマサキに恋をしている。そんな感じなんだなー、と。
だからこういうことにもなり得るんだなあって、自分で書いていて自分で納得しました。って、やっぱうちの白河女々しい性格な気がひしひしとしますね……。これって、皆様的に大丈夫なんですかね。
と、いうことで本文へどうぞ!
<I must be change my love and love for me.(8)>
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――な、んで……ここに、ザッシュが。
そうして、ザッシュと口付けを交わすようになってからひと月。いつもと変わりなくシュウの元を訪れたマサキを待っていたのは、テーブルを挟んで談笑しているふたりの男たちだった――……。
「今日、あなたをここに呼んだ理由は、云わなくともわかるでしょう」
腹芸が出来ない自分がマサキは恨めしかった。動揺を露わにしてしまってから誤魔化そうにも、時既に遅し。穏やかながらも刺々しさを感じさせる物言いからして、シュウがマサキに対して怒りを覚えているのは明らかだった。
マサキが到着するまでの間、シュウとザッシュがふたりで何を話していたのかはわからないままだったけれども、ただ、マサキの姿を目にしたザッシュは、それまでの穏やかな表情から一変。後悔とも気まずさとも取れないような複雑な表情をしてみせたものだった。
「私はね、マサキ。彼には怒っていないのですよ。好意を抱いている相手と親しくなれれば、当然その次を求めたくなる。それは仕方のないことでしょう。そもそも、この世で思い通りにならないもののひとつが他人の気持ちですから。そうである以上、私がどうにかしようとしたところで、彼の気持ちが止まる筈もなし。だから私は彼には怒ろうとは思わない」
そして、ふたりを目の前に立ち尽くしているマサキにシュウは座るように促す。そうは云われたところで、この修羅場での自分の身の置き場がマサキはわからない。仕方なしに空いているソファに座る。
流石にこの状況で、いつも自分が腰を落ち着ける場所に座ろうとは思えない。
シュウの左隣。何事もなく日々が過ぎていれば、今日もそこに座れた筈だった――。後悔をしても時は戻らないのだ。ただ、この先伝えられるだろうシュウからの言葉がマサキは怖かった。
そのマサキの気持ちを察しているのかいないのか、マサキがソファに腰を落ち着けると同時に、早速本題とばかりにシュウは言葉を次ぐ。
「彼はあなたにきちんと好意を伝えている。でも私はあなた方が付き合いを続けるのを止めようとは思わなかった。あなた方は立場を同じくする仲間ですからね。それは、あなたが私にサフィーネたちとの付き合いを制限できないのと同じことでしょう。それに……」
そこでシュウは一度言葉を切った。まるでその続きの言葉を吐くのを躊躇うかのように……。
「その結果、あなたが私の元を去ったとしても、それはそれで仕方のないこと。人の気持ちだけは思い通りにはならないものですし、してはならないものですからね。けれどもマサキ、あなたは何をしましたか?」
その瞬間にマサキが感じた泣き出してしまいたくなるほどのいたたまれなさ! 真正面にマサキを見据えてくるシュウの視線は、まるで矢のようにマサキの心を射る。そう、シュウはどっちつかずの態度を取ってしまったマサキを責めているのだ。
当然のことだ――。マサキは言葉を返せない。
「それは私だけなく、彼に対しても失礼でしょう。違いますか、マサキ」
「違わ、ない……」マサキは首を横に振った。
今回に限って云うのであれば、全面的にマサキに非があった。拒まなければならないものを、拒まずに過ごしてしまった。マサキはもっと毅然と無理なものは無理だと、ザッシュを突き放すべきだったのだ。
余計な期待を抱かせるような真似を続けてしまった。
では、それが何故かと問われると、これがマサキ自身にも説明出来ないのだ。シュウと離れ難く感じるのは勿論のことだったけれども、ザッシュは仲間だ。拒否を続けたところで顔を合わせなければならない時は絶対に来る。マサキとザッシュは16体の正魔装機の操者なのだ。
その時に、お互いに気まずい感情を抱えたままで、どうして正常に任務がこなせよう。
いや――。マサキは首を振った。そんなのは言い訳だ。
自分はいいとこ取りをしようとしてしまった。シュウとザッシュを、自分の醜い欲望で都合よく扱ってしまった。彼らとそれぞれ過ごす心地の良い時間を失いたくないが為に。
それがマサキが目を背けたかった現実、なのだ。
申し開きなど出来る筈もない。マサキは無駄な言葉を吐くのを止めた。決めるのは自分ではなくシュウだ。
そうして、シュウを見た。
シュウは珍しくも細くも長い溜息を吐いている。それはマサキの扱いに苦慮しているように、マサキの目には映った。
「他人の気持ちどころか、自分の気持ちにも鈍感な人だ。ザシュフォード、マサキに選ばせるというのは、この通り、ある意味とてつもなく困難なことなのですよ」
「だったら、僕は待つだけです。その日が訪れるまで」
間髪入れずに云ってのけたザッシュに、シュウは小さく声を上げて嗤ってみせた。
「私も人のことは云えた義理ではありませんが、それにしても勿体ないことだ。マサキ、あなたに好意を寄せる人たちというのは、揃いも揃って皆、鋼のようにしなやかで強固な意志を持っている。それがどれだけ恵まれたことであるのか、あなたは考えてみたことはないのでしょうね」
「……だったら、どうすりゃいいんだよ。俺は……」
選べない。とは云えなかった。
シュウはマサキがその先に、どんな言葉を発しようとしていたのかを察していたのだろう。呆れ果てた様子で、「彼が待つというのであれば、私も待ちましょう」と、云って、但し――、と言葉を継ぎ足した。
「現状、彼と私の立場はフェアではない。同じく待つと宣言した以上、きちんと同じ土俵の上で戦う必要があるでしょう。その為には、先ず条件を|イーブンに《等しく》しなければならない。違いますか、マサキ」
「等しく……って、どうするんだよ」
マサキにはシュウの云っていることの意味がわからなかった。普通に考えれば、マサキが同じような時間を、同じような密度で彼らと過ごすことを指すのだろう。
しかし、云い出したのがシュウである以上、そう簡単に事が済む筈がない。
マサキには考えも付かない理屈を持ち出す、捻れた頭脳を持つ男。彼の考え方は、長く付き合いを続けているマサキでさえ、相容れないと感じるまでに独特だ。
右に進むかと思いきや、後ろに下がって飛んでみせる。西に進むかと思わせておいて、地下に潜る。逆張りでもなければ、斬新的でもない。与えられたデータから、予想の斜め上の更に三歩先をゆくような結論を導き出す男。どうやら、シュウとザッシュ、どちらを選ぶかの選択権はマサキにあるようだったけれども、マサキにわかったことはそれだけ。
「俺に等しくお前たちと付き合えっていうのか」
「近いですが、ハズレです。云ったでしょう、マサキ。条《・》件《・》を《・》等《・》し《・》く《・》す《・》る《・》と」
そしてシュウはソファから立ち上がり、斜向かいに座っているマサキに手を差し出すと、
――来なさい、マサキ。
いつものように、そう、いつものように彼はマサキに命じてみせたのだ。
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