終わらなかった!!!!!
聞いてくださいよ。今日ね、朝、いつも通りに勤務先に着いたんんですよ。9時始業に間に合うように!そしたら施設外で欠員が出たらしく、出てくれないかって云われて!10時からなんですよ、施設外!
行きましたよ!最近施設外がない所為で給料が減ってるんですもの。この機会に行かずにいつ行く!
と、いうことで通勤時間込みで10時間ほど拘束されたので、今日は執筆時間があまりなく……白河祭りの作品は明日、拍手コメへのレスも明日になります。申し訳ありません。
聞いてくださいよ。今日ね、朝、いつも通りに勤務先に着いたんんですよ。9時始業に間に合うように!そしたら施設外で欠員が出たらしく、出てくれないかって云われて!10時からなんですよ、施設外!
行きましたよ!最近施設外がない所為で給料が減ってるんですもの。この機会に行かずにいつ行く!
と、いうことで通勤時間込みで10時間ほど拘束されたので、今日は執筆時間があまりなく……白河祭りの作品は明日、拍手コメへのレスも明日になります。申し訳ありません。
<クリスマスの後に>
「何をしに来たのです」
まるで親の仇のように打ち鳴らされた玄関ドアにシュウが急ぎ顔を出してみれば、ナップザックを片側の肩に掛けているマサキが立っていた。
その足元には彼の二匹の使い魔たち。主人に似ず、しっかり者の彼らは、主人が言葉を吐くより先に自分たちが事情を説明してしまうわけにはいかないと考えているのだろう。大人しくその場にしゃがみ込んで、事の成り行きを見守っている。
「何しにって。これが喧嘩をしに来たように見えるか?」
「見えないから尋ねているのですよ。その荷物は何です」
荷物を手に訪れることを滅多にしないマサキが荷物を手にしているということは、それなりの日数をここで過ごすつもりだということである。一瞬にして状況を理解したシュウは、どうせ訪れる人間も限られた家だからと彼を室内へと招き入れることにした。
とはいえ、彼が何故ここを訪れたのかという理由は明瞭りとしないままだ。ちゃんと話せばいいんだニャ。足元で声を上げた使い魔に、ちょっと黙ってろ。マサキは云うと、「で、入れてくれるのか? それとも帰れってか」
「家に入れないとは云っていませんよ」
シュウは玄関を塞いでいる自身の身体を退けた。出来た隙間にマサキと二匹の使い魔が身体を滑り込ませてくる。限界なんだよ。マサキの口元からぽつりと洩れ出た言葉が、彼の思いの丈であったのだろう。シュウはその言葉を聞き逃さなかった。
「限界?」
「あいつらは頭がおかしい」
「何があったのです」
リビングへと一直線に向かってゆくマサキの後を追いながらシュウが続けて尋ねてみれば、どかどかと派手な足音を立てて歩いていたマサキはソファにどさりと腰を落としたところで話す気になったようだ。クリスマスパーティだったんだよ、昨日。そう口にすると、ナップザックを床に置いて長く深く、そして重い溜息を吐いた。
それでシュウは何となく察しが付いた。
日頃、マサキが聞かせてくる話からするに、彼の仲間は、どうやら酒が入る席となると盛大に羽目を外してしまうようだ。樽で消費される酒、だけなら、まだ飲んべえの集まりで済む話だったが、その結果が脱ぎ捨てられる服だの宙を舞うナイフだのであるらしいのだから、相当な乱痴気騒ぎであるのは間違いない。
「また服だのナイフだのが宙を舞ったのですか」
「それについてはもう諦めた」
「諦めた」
シュウは自分でも間が抜けた声を出していると思いながらも、マサキの言葉を復唱せずにいられなかった。
彼の仲間は仲間内でマサキが比較的に若輩に当たるからか。リーダー役を押し付ける割にはあまり彼の云うことを聞く気がないようだった。幾度かともにした戦場でもそうだ。マサキの指揮よりは自身の経験と、隊列など関係なしに敵に向かって飛び出してゆく。
そうした振る舞いは戦場に限った話ではなかったらしい。シュウはマサキの隣に腰を下ろした。マサキ。名前を呼びながら髪を撫でてやる。それで彼は少しばかり気持ちを落ち着かせたようだ。悪い。そう謝罪を口にしつつも、でも――と言葉を継いだ。
「俺にどうしろって? 俺が止めようが止めまいが結果は一緒なんだぞ」
「まあ――、それは確かに。しかしそれとあなたがここに来たことに何の関係が」
「ニューイヤーまで飲むって始まったんだよ。あの蟒蛇どもはよ」はあ。と、再び盛大に溜息を吐いたマサキが、シュウの肩に頭を置いた。「ニューイヤーまであと何日あると思ってるんだ。一週間だぞ。一週間もあの乱痴気騒ぎが続くのかと思うとぞっとする」
「凄かったのよ、ホントに」
「大変だったんだニャ」
そこで黙って床で寝そべっているのに限界がきたようだ。ソファの空いたスペースに身体を滑り込ませてきたシロとクロが、シュウの顔を見上げながら次々と言葉を吐いてくる。
「庭に火の手が上がったのよ」
「ついでに画鋲も飛んだんだニャ」
「仮面は人を変えるのね」
「鞭の後に水風呂だったんだニャ」
彼らの話に耳を傾けたシュウは、顔を顰めずにいられなかった。何を云っているのか微塵も理解が及ばないのに、起こってはならないことが起こっていることだけは伝わってきてしまう。だのに彼らの話は止まらないのだ。しかも続く話も、今年はナイフの本数が増えただの、リンゴが宙で四散しただのと物騒なものしか聞こえてこない。
「少し待ちなさい。話には順序というものがあるでしょう。あなた方の話では、何が起こっているのかさっぱり」
困り果てたシュウは彼らの話を片手で遮った。これ以上聞かされようものなら、頭がおかしくなりそうだった。庭に火の手が上がり、画鋲が飛ぶ。どう優しく見積もってもシュウが知っているクリスマスではない。
「詳しく聞きたいか? 聞きたいなら俺が改めて話をするが」
「結構です」シュウはマサキの頭をやんわりと引き離した。「しかし、何となく予想は付きました。そういったことでしたら、きちんとしたクリスマスをしませんか」
「……今から、か?」
「そうですよ。落ち着いたクリスマスの晩餐を楽しむ。何が食べたいですか、マサキ。街に出たいというのであれば付き合いますよ」
弾かれたようにシュウの肩から頭を離したマサキが、満面の笑顔を浮かべる。「あのさ、俺、食ってみたいもんがあってさ――」シュウはマサキの要望を聞きながら、胸の内で彼の仲間たちに感謝を捧げた。
一日遅れのクリスマスを彼と過ごせる幸運。
しかもニューイヤーまでの逗留も付いて来る。これでどうして感謝を捧げずにいたものか。街に出たいと云ったマサキに、ソファから腰を上げたシュウは、持つべきものは破天荒な仲間かな。ひっそりと口の中で言葉を吐いた。
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