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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

クリスマスの後に(後)
これで今年の更新は最後になります。お付き合いくださり有難うございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

夜には多分、日記を書くとは思います。もしよければそちらもお付き合いください。
拍手、コメント有難うございます。ではよいお年を!


<クリスマスの後に>

 ひとりで歩けないほどに酔ってしまった身体とあっては、シャワーを浴びさせる訳にもいかなかった。とはいえ、マサキとしては諦めが付かなかったのだろう。シャワー。と、シュウがその身体をベッドに横たえようとすると、強くしがみ付いてきてながらぼそりと言葉を吐く。
「後でにしましょう。そのままでは危ないですよ、マサキ」
「やだ」
 酔いが回りきると、それまでの逞しさは何処にやら。途端に子どもっぽくなるマサキに、シュウはやんわりとその腕を外していった。マサキも抵抗し続ける気はないようだ。シャワーを浴びずに行為に及ぶのは今に始まったことでもない。きっと今更だと思ったのだろう。けれども素直にシュウに従うのは癪に障ると見える。シュウは自身の腕の下で不満そうな表情を浮かべているマサキの頬に口付けた。
 こめかみに、額。口唇。彼の顔の輪郭を確かめるようにゆっくりと口唇を伝わせていくと、その感触で少しは機嫌が直ったようだ。表情を和らがせたマサキがうっとりと目を細めてみせる。まるで誘いかけているようにも映る眼差し。シュウは耳朶に下顎と、更に舌を伝わせていった。
 微かに息を上げたマサキが行為の先をねだるように、口唇を合わせてくる。シュウがその口腔内に舌を忍ばせるよりも先にさっと舌を滑り込ませてきたマサキは、続けてシュウの舌を探り当ててみせると深く舌を絡めてきた。
 一度目は長く。そうして二度目からは短く、細かく。幾度も口付けてくるマサキの伏せた瞼の下で、睫毛が微かに震えている。
 うっすらと上気した頬。アルコールが顔に出難い性質のマサキは、滅多なことでは顔が染まることはない。けれども口付けられれば別なようだ。幾度口付けを交わしてもその行為に恥じらいを失わないマサキは、照れ臭さを押し殺すようにして瞼を伏せるのが常だった。そうした自分の表情がどれだけ扇情的に映るのか、きっとマサキ本人は気付いていないのだろう。
 シュウはマサキの腰の下に腕を差し入れた。
 腰を浮かさせたマサキの身体から、シャツを脱がせにかかる。けれども鎖骨にシャツを溜めたところで、全部脱がしてしまうのが惜しくなった。
 シュウは顔を上げて露わとなったマサキの肢体を見下ろした。暗がりに浮かぶ白い肌。筋の浮かんだ腹筋がしきりと上下しているのは、繰り返した口付けで彼の欲望が高まっているからであるのだろう。
「中途半端にするなって……」
「先程まではシャワーを浴びせろと煩かったのに」
 シュウはベッドサイドのシェードランプに手を伸ばして明かりを灯した。ぼんやりとした明かりに照らし出されたマサキの肢体は、シュウの目にはとてつもなくなめかましいものに映る。この身体をこれから自分は蹂躙するのだ。シュウは何とも表現し難い高揚感に背中が震えるのを感じた。魔装機神操者であり、一流の戦士でもあるマサキ。彼が乱れ喘ぐ姿を見られるのは、世界広しと云えども自分だけであるのだ――……。
「せめて下は脱がせろよ……もう、きつい……」
「まだ何もしていないようなものなのに」
「煩えよ……いいから、脱がせろって」
 自ら脱ぐのには躊躇いを感じるようだ。シュウの不躾な視線に晒されながらも、ベッドに身体を沈めたまま。甘えたような口振りでねだってくるマサキは、相変わらず自分のそうした態度がシュウの目に扇情的に映るとは思っていない様子でいる。
 シュウはマサキからジーンズと下着を剥いだ。硬く張った男性器が、下着から顔を覗かせるなり彼の股間の中央にそそり立つ。シュウは顔を落とした。手のひらにすっぽりと包み込めるやや小ぶりなサイズ。その男性器の先端に舌を這わせる。やだって。声を上げたマサキを無視して、更に舌を下へと向かわせる。
 そろりと手を肌に這わせて乳首へと伸ばしてゆく。陰茎を舐めてやりながら乳首を指の腹で撫でてやると、その腰が大きく跳ねた。アッ。短く声を上げたマサキが、身体を逃がそうともがきはじめる。けれども酔いが回り切っているからか、その動きは力なく。
「やだ、やだって……そこ、舐めるな」
「どうして? キツイのでしょう。こんなに硬くして。ほら、達《い》っていいのですよ、マサキ」
 時に口付け、時に吸い上げ、気の赴くがままに彼の男性器を舐め尽くす。何だと云いつつも快感には逆らえないようだ。はっ、ああっ。忙しなく喘ぎ続けるマサキの声だけが辺りに響き渡る。シュウは部屋を満たす彼の甘ったるい喘ぎ声を聞きながら、その性器と乳首を弄り続けた。
「やめ、ろって。本当に、ホントに、イク……」
 時間をかけてじっくりと快感を仕込んだ身体は、今では些細な刺激にも強く反応するようになった。シュウはマサキの足を大きく開かせた。双丘の谷間で伸縮を繰り返している蕾は、まるでシュウから刺激を受けるのを待ち侘びているようだ。
 小さく口を開いては、きゅっと窄んでゆく。その内部の温もりを思い出したシュウは、自身の胸の内に湧き立った感情をぶつけるようにやおらマサキの蕾へと口を付けた。びくりとマサキの身体が大きく揺れる。やだ、やめ。そこは。手を伸ばしてシュウの髪を掴んできたマサキに構わず、シュウは口を開いた蕾の中へと舌を滑り込ませていった。
 やだ、シュウ。マサキの言葉に構わず、舌でひだを押し広げてゆく。
 前立腺も勿論のことだったが、彼は入り口付近を刺激されるのが最も感じるようだった。なだらかな岩盤のように緩く隆起を繰り返しているひだの中、丹念に舌を這わせていると次第にマサキの手から力が抜けていった。あっ、ああっ、シュウ。自身の名前を呼ぶマサキの声が、どうしようもなく劣情を煽る。愛撫に時間をかけないのはシュウの主義に反するが、時にはそうした手順を無視して彼の身体を貪り尽くしたくもなる。シュウはマサキの後孔から舌を抜いた。そうして身体を起こすと、緩く孔を開かせている蕾に自身の男性器の先端を押し当てた。
 続く行為に期待を寄せているようなマサキの眼差し。熱く濡れた瞳を真っ直ぐ見下ろしながら、シュウは彼の体内へと自らの高ぶった男性器を押し込んでいった。
 喉を詰まらせたマサキが顎を仰け反らせる。ずるずると後孔の中に挿入《はい》り込んでくる男性器の感触に、彼は快感を覚えてしまっているようだった。あっ、あっ。シュウがその全てを収めきるより早く、天を仰いでいる彼の男性器の先端から僅かに汁が噴き出る。
 シュウはマサキの乳首へと再び指を這わせていった。
 硬さを増しきった感のある乳首を軽く揉んでやりながら、腰をゆっくりと動かしてやると、あ、ああっ。逆手でシーツを掴んだマサキが、瞳を潤ませながら腰を前後に振り始める。シュウはうっすらと笑みを口元に湛えた。どれだけ気恥ずかしそうにしていても、挿入されればこうだ。
 勿論、それはかけた時間と手間の成果でもある。すっかり慣れ親しんだ身体が自分好みに染め上げられていく。シュウはマサキに軽く口付けた。欲望に忠実に快楽を貪り続けるマサキが、奥、奥に。と、声を上げる。浅く入り口を刺激され続けるだけでは物足りなくなってきたようだ。シュウは深く自身の男性器を彼の後孔の奥へと突き立てた。そうして乳首から手を離し、マサキの手を取った。
 腕を引きながら、叩き込むように。彼の中で男性器を抽迭させる。陰茎に感じる彼の肥大した前立腺の膨らみ。そこを擦り上げるように亀頭を滑らせてゆく。あ、ああ。ああっ。わななくマサキの口唇から、今一度甘ったるい喘ぎ声が放たれた。
「いく、イク。シュウ、も、イク……」
 マサキの薄く開かれた瞳が、懇願するようにシュウを見上げた。もっと突いて。彼の言葉にシュウは理性を手放した。引き攣った叫び声が彼の喉奥から放たれる。それに構わずシュウは腰を振った。
 あ、あ、いく。いく……っ! マサキの足が一気に突っ張る。爪先をシーツに引っ掛けるようにして、それでも腰を振り続けていた彼は、そこから程なくして不意にその動きを止めた。アアアッ。細く高い声が空気を裂くように響き渡る。
 次の瞬間、彼の膨れ上がったら男性器の先端からどろりと大量の精液が吐き出された。
 シュウはマサキの後孔から自身の男性器を抜き取った。そうして快感の余韻に震えている身体を手荒に返す。ちょっ、待てって……少しばかり抗う様子を見せたマサキの膝をベッドに付かせるようにして、身体を起こさせる。
「次は私の番でしょう。達《い》かせて、マサキ。あなたの中で」
 再び埋められた男性器に、あ。マサキが腰を引くような気配をみせるも、ここで逃がそうとは思えない。シュウはマサキの胸部に腕を回した。しっかりとその身体を引き寄せながら、自身の欲望の全てをぶつけるように腰を振る。
「あ、やだ。やだって……今、いったばっか……」
 云いながらも満更ではない様子のマサキに、シュウはひたすら己を叩き込んだ。背後から突かれると、前立腺を強く刺激されるらしい。程なくしてマサキが甘ったるい声を上げ始める。
 シュウはそろりと彼の手を乳首へを導いた。自分で弄って。シュウが囁きかけた言葉に、潤み切った瞳が振り向く。
「ほら、弄って。そして私を気持ち良くさせて」
 駄目押しのように言葉を吐くと、躊躇いがちにその指が動き始めた。あっ、あ、んん。乳首に刺激を与えられる度に、蕾が収縮を繰り返す。ああ、最高ですよ、マサキ。シュウは彼の指の動きに合わせて腰の動きを速めていった。
「も、いいだろ……また、いくって……」
「一緒に達《い》くんですよ、マサキ。ほら、ちゃんと弄って」
 絶え間なく喘ぎ声を発しながら、マサキが腰を振り始める。そろそろ二度目の射精が近そうだ。シュウは彼の腰を強く引き寄せた。そうしてその肚の底を叩くように腰を動かし続けた。
 も、無理。程なくしてマサキが短く言葉を発した。シュウの男性器を包み込んでいた蕾がぎゅうっとその口を窄める。シュウは彼の後孔の最奥へと自身の男性器の先端を滑り込ませた。それが後押しとなったようだ。
「――――ッ!」
 声にならない声を上げたマサキが、再び精液を迸らせる。それと同時にシュウもまた、彼の体内へと精液を放っていた。

※ ※ ※

 目を覚ますと、マサキはまだ眠っている様子だった。シュウはベッドから抜け出すと、消すのを忘れていたリビングのテレビの様子を窺いに寝室を出た。ところが何故かテレビが消されている。知恵を絞って何とかしたのだろうか。テレビの前で三匹の使い魔が並ぶようにして眠っているのを眺めながら、シュウはソファへと身体を落ち着かせた。
 起き抜けの頭はまだ明瞭りとは働かない。昨日マサキにプレゼントしたジャケットをソファから拾い上げたシュウは、それを畳みながら今日をどうマサキと過ごすかを考えた。折角、暫く居ると云っているのだ。時間を無駄にするような真似はしたくない。
 畳んだジャケットをソファに置き直し、テーブルの上に残っているシャンパンとグラスを片付けようとしたシュウは、そこで部屋の中に更なる違和感を覚えた。あれは? そう思ってオーナメントを飾り付けた観葉植物へと目を遣る。
 鉢の前にプレゼントボックスが置かれている。
 シュウはソファから立ち上がった。リボンに挟まれているメッセージカードを開くと、決して上手くはないマサキの字で『シュウへ』と書かれていた。どうやら街に出た際にシュウの目を盗んで買ったようだ。これを置くついでにテレビを消してくれたに違いない。彼にしては憎いぐらいの心遣いにシュウは即座に包みを開いた。中には紋章のような形をした細やかな細工のラペルピンが入っている。
 きっと彼は相当に頭を悩ませながらこれを選んだことだろう。
 そう思ったら居ても立っても居られなくなった。シュウは寝室へと取って返した。そしてまだ眠りに就いているマサキの口唇へと口唇を落としていった。なんだよ。口付けを終えると、その温もりで目が覚めたようだ。マサキがうっすらと目を開く。
「メリークリスマス、マサキ」
 シュウはラペルピンを彼の目の前に差し出した。いいよ、別に。気にするな。そう云いながらも、シュウがプレゼントの存在に気付いてくれたことを喜んでいるようだ。マサキの腕がシュウの背中に回される。
 そうして彼はシュウでさえもはっとするような艶やかな笑みを浮かべてこう云うのだ。メリークリスマス、シュウ。続けて静かに触れてきたマサキの口唇に、シュウは来年も同じ時間を過ごせたらと思わずにいられなかった。





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