お詫びのSS第二弾。
自分でお題箱に投下したお題「嗜虐と被虐の立場が逆になったシュウとマサキ(但しシュウマサ)」を消化しようとしたんですけど、全然消化出来てない……!
そんなお話です。
いつも通りに駄目なふたりとなっております。対よろです。笑
自分でお題箱に投下したお題「嗜虐と被虐の立場が逆になったシュウとマサキ(但しシュウマサ)」を消化しようとしたんですけど、全然消化出来てない……!
そんなお話です。
いつも通りに駄目なふたりとなっております。対よろです。笑
<渇望>
ベッドの柵にシュウの手首を繋いだマサキは、ようやく訪れた機会に、高鳴る鼓動を止められなかった。
ベッドの柵にシュウの手首を繋いだマサキは、ようやく訪れた機会に、高鳴る鼓動を止められなかった。
――一度でいいから、俺の好きにさせろよ。
それはほんのちょっとした悪戯心でもあったし、ささやかな好奇心でもあった。
性行為《セックス》の際にいつもシュウに翻弄されてばかりのマサキは、一度でいいから自分が主導権を握るという経験をしてみたかった。訳がわからなくなるまで啼《な》かされる。快感に限りのない性行為《セックス》をマサキは決して嫌ってはいなかったし、むしろ好ましいものと捉えていたけれども、いつも一方的に自分ばかりが責め立てられる状況には思う所があった。だからこそ、少しばかり自分の願望も叶えてみたい。してみたいことが溜まっていたマサキは、けれどもそれを自尊心《プライド》の高いシュウ相手に、ストレートに口に出すことは出来ぬまま。
――いいですよ。何をするつもりです?
マサキの目論見に、気付いてい入るのかいないのか。あっさりとマサキの申し出を受け入れたシュウに手を出させ、偶に彼がマサキに対して使ってみせる手枷を使って、彼の手首をベッドの柵を繋いだ。悠然と――それは余裕綽々といった態度と表現するのに相応しい微笑み。ベッドに横たわってマサキを見上げているシュウの身体に先ず口付けたマサキは、次いでゆっくりとその口唇を肌に沿って滑らせていった。
首筋から鎖骨。鎖骨から胸に走る傷跡を、時に吸い上げては舐めてゆく。
溜息にも似た吐息が、微かにシュウの口元から洩れた。
シュウはこうしてマサキに傷痕を触れられるのが好きらしい。稀に自らマサキにこの行為をせがんでみせては、こうして微かに息を弾ませながら、慈しむような眼差しでマサキを見下ろしてきたものだ。
誰にも見せたがらない場所に触れている。それはマサキに狂おしいほどの愛しさと、終わりなき悦楽を運んでくる。ああ、もっと聞きたい。マサキは自らが求めるものを形にするように、傷痕を舌先でなぞった。
シュウの吐息混じりに洩れる喘ぎ声がマサキは好きだった。繋がったマサキの身体を激しく責めながら、堪えきれない快楽に押し流されるようにして、そっと洩らされる声。それはふたりで及んでいる性行為に快感を感じているのは自分だけではないのだと、マサキに改めて感じさせてくれる声だった。
聞きたいのだ、途切れなく。だからこそマサキは舌先を更に、その薄い胸板の頂点へと滑らせていった。
既にその動きでマサキの目論見に気付いてはいたらしい。したいの? とシュウが尋ねてくる。マサキはその意味するところに気付いてはいたけれども、簡単に答えるのも癪に障る。されたこと、あるのかよ。と尋ねて、シュウの乳首に舌を這わせた。ぴくり、とシュウの身体が震えるのを、肌越しに感じる。
「世の中には様々な嗜好を持つ女性がいますからね。経験がないとは云いませんよ」
その言葉を耳にすると同時に胸の中で猛り出す嫉妬心。女嫌いである所のシュウは、どうも女性経験がそれなりにあるようだった。それを彼は折に触れては、こうしてマサキに憚ることなく語って聞かせてくる。
腹立たしいこと他ない。
何故、好意どころか嫌悪を抱いている性別を持つ相手を抱こうと思ったのか。マサキには理解が及ばなかったが、そうした相手に対するシュウの無情《ドライ》な感性は、指を絡め、肌を重ね、深く身体を繋げ合わせた相手であるからこそシュウに執着してしまっているマサキとしては、ひと差しの不安や疑惑を生じさせるのに充分なものだ。
長く手放されることがないまま繰り返し愛を囁かれた日々。それがなければとうに挫けてしまっていただろう。年嵩の男相手に無茶を望んでしまっていることはわかっている。それでも、マサキは自分がそうであったように、自らもまたシュウにとって初めてでありたかったのだ。
何もかもを誰かに奪われているような気がして気に入らない。それでもマサキはシュウに依存してしまうのだ。戦場で背中を預ける相手として、或いは恋愛の相手として、また或いは性行為の相手として……他の誰にもこの身体を任せられないと思う程度には、マサキはシュウを想っている。
だからこそ他人の知らない顔を見たかったし、だからこそ他人が触れないだろう場所に触れたかった。マサキがしたかったことは、たったそれだけの単純な欲でしかない。時折洩れ出る彼の呻き声にも似た喘ぎ声を聞きながら、その乳首を舐る。たったそれだけの。
どうやらシュウはマサキと異なり、口に含まれたままで舐られるのが好きなようだ。自らの唾液で濡れたシュウの乳首に指先を這わせながら身体を起こしたマサキは、とうに腹の下で昂っている彼の男性器を、自らの菊座の奥へと収めていった。あ、馬鹿、動くな……っ。直ぐに身体の中で暴れ始めるシュウの男性器に抗議の声を上げるも、性行為の最中にそうした抗議を聞くことのない男。ほら、マサキ。あなたも腰を振って。云いながらマサキを突き上げてくる。
――お、前……人に好きにさせるって云っておきながら……!
――こんな風にあなたが奉仕をしてくれる。その事実に大人しくしていられるような人間ではないのですよ、私はね。ねえ、マサキ。そろそろこれを外しませんか?
やだ、とマサキは声を上げた。胸に置いた手で身体を支えながら、自らもまた腰を振る。より深く、より奥へと。その昂ぶりを飲み込むように。
裏切るなよ。マサキは熱い吐息が混じり合う最中に、思いがけずそう言葉を吐いていた。裏切ったら殺してやる。それに対してシュウはただただ満足そうな笑みを浮かべてみせた。情のこわい人ですね。そしてそう口にしながら、ほら、達《い》って。まるでマサキの口を封じるかのように、激しくマサキを突き上げてきた。
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