ごめんね@kyoさんエロが書きたくなっちゃったのごめんね。
そういう話です、はい。
そういう話です、はい。
<それは理性を失った獣のように>
――んっ……ん、んっ……ぅう、んん……
――んっ……ん、んっ……ぅう、んん……
口元を覆った両手の指の合間から声が零れ落ちる。大樹の幹に背中を預けながら、マサキは首を左右に振った。馬鹿、あんま動くな……小声でそう訴えかけてみるも、菊座の奥で暴れている男性器は動きを止めない。
――やめ、やめろって……ホント、声出る……
たった一点で繋ぎ留められている身体。絶え間なく襲い掛かる快感の激しさに、立っているのもやっとになりながら、マサキは幾度も身体を震わせた。
ふふ……と、マサキの腰を抱え込んでいるシュウが嗤う。獰猛な光を宿している瞳。彼はマサキと性行為に及ぶ時には、いつも同じような眼差しを向けてきたものだ。嗜虐を堪えきれないような表情。それは獲物を屠る獣の冷酷な表情にも似て。
それを恐ろしいものとマサキは感じたことはなかったものの、かといって好意的に受け入れられるものでもなかった。この男は自分を制圧したいのだ。直感はそうマサキに囁きかけていたものの、欲望に抗えない愚かな身体。誘いかけられれば応じずにいられない。そうして欲望の渦へと身体を攫われてゆく。
――あ、はあっ……無理。無、理、だって……
深く突き上げられては、緩く抜かれる。彼は規則的にマサキを責めようとはしなかった。いつだって時に思いがけない動きをしては、マサキが快感に慣れるのを防ごうとする。そう、まるで快楽でマサキを自らに縛り付けようとしているかの如く。
口惜しくて仕方がない。だのに跳ね除けることが出来ない。マサキは口元から手を離した。はあはあと荒い息が溢れ出てくる。あ、駄目だって……より深く突き上げられたマサキは、だらしなく落とした腕を大樹の幹に沿わせながらそう言葉を放った。
「声が、出ちまう……」
「どうして、マサキ。こんなに気持ちいいのに。あなたのここは熟れた果実のように私を包み込んでくれる。ほら、もっと締め上げて。そして私に綺麗な声を聞かせて」
「馬鹿……人の話を聞けよ、お前……こんな場所で、声を上げる訳には、行かな……っ」
「あなたも気持ち良くて堪らないのでしょう。ねえ、マサキ。無理は良くありませんよ。もっと素直に私を受け入れてくれませんか」
そういう問題ではないのだ。マサキはシュウの言葉に、背後で展開されているキャンプを思った。
軍の水上での戦闘を想定した野戦訓練の指揮を任されたマサキは、移動に二日の道程を師団を引き連れて行軍していた。一週間を予定している大規模な演習。途中で無許可で稼働している戦闘用魔装機と遭遇したこともあり、スケジュールに多少の遅れが出ていたものの、その後は何事もなく。無事に指定された訓練区域に辿り着いたマサキたちは、そうして、翌日から始まる訓練に備えてキャンプを張った。
行軍の様子をレーダーで観察していたのだという。
兵士たちとともにキャンプで炊き出された食事を取ったマサキは、ふとキャンプ地を取り囲む木々の向こう側に何かの気配を感じた。獣だろうか、人だろうか……いずれにせよ、その気配はこちらの様子を窺っているようだった。もしかすると敵方のスパイかも知れない。その可能性を案じたマサキは反射的に森へと足を踏み入れていた。
ラ・ギアス最大国家にして最大の軍備力を誇るラングランの軍事データを欲しがっている国は多いと聞く。実際にデータが流出した結果、技術を転用された上位魔装機が製造されてしまったこともあった。不埒な輩が小遣い稼ぎにデータを取っているとも限らない。だからこそ、マサキは発作的にも気配の主を確認しようと思ってしまった。
――……ッ!
背後から抱え込まれるようにして口を塞がれたのは、その直後。悲しいかな。マサキはその瞬間に、身体を包み込んだ温もりで気配の主が誰かわかってしまった。お、前。マサキよりもひと回りは大きな手。それを口元から払い除けて、振り向きざまにマサキが声を上げると、不埒な闖入者は自らの口元に指を当てて、静かにと囁いた。
シュウ=シラカワ。
彼はそうしてマサキの顎に手を掛けてくると、ゆっくりとその口唇を吸ってきたのだ――……。
時としてマサキの行く先々に姿を現してみせる男は、何を思ってか、今回は軍のキャンプ地にまで足を踏み入れて来た。そうしてそれがさも当然とばかりに、マサキの身体に手をかけてきた。抵抗しようと思えば出来ないこともなかったものの、最終的にマサキが彼との野外での性行為を受け入れてしまったのは、その行為が久しく絶えていたものだったからだ。
「そもそも、もうひと月もあなたの身体を味わっていない。こんなに敏感に反応するあなたの身体をね。どうです、マサキ。久しぶりに|菊座《アナル》に男性器を受け入れるのは? 少しきつく感じますけど、何もせずに過ごしていたの?」
「そんな暇があったら、お前に会いに行ってる、だろ……」
「だから会いに来てあげたのですけどね」
「時と、場所を、考えろよ……盛りの付いた、猫じゃないんだぞ」
「その割には素直に身体を開いてくれた気がしますよ、マサキ」
ぐ、と奥まで押し込まれた男性器に、声が詰まる。蕩けそうな快感が腸の奥に溜まっていく。そのもどかしさに焦れずにいられない。|達《い》きたい。ひと思いに達してしまいたい。だのにシュウはそんなマサキの性急な欲望を見透かしているかのように、またも緩く男性器を引き抜いてゆくのだ。
そうじゃない。マサキは心の中で声を上げた。何度も、何度も。快感がせめぎ合う程に、連続して突き上げられたい……けれども、自らの望むものに忠実なこの男のすること。マサキが素直に声を上げるまでは、決してそうした刺激を与えてはくれないのだろう。
ほら、とシュウが腰を動かし始める。ゆっくりと菊座を嬲る男性器。マサキは口唇をきつく結びながら、大樹の幹に指を立てた。ずるずると抜き取られては身震いし、ゆるゆると差し入れられては肩をひくつかせ、そうして不意に洩れそうになる声を必死に飲み込んで、襲い来る快感をただ耐える。
「最高に気持ちがいいですよ、マサキ。私のことを忘れていないこの身体。少し動いただけでもこれだ。だから声が聴きたくて堪らなくなる。それなのに、あなたときた日には。とはいえ、そんな風に必死に声を出すのを堪えているあなたの殊勝な姿を見ていると、流石に我慢がきかなくなりそうですよ」
そうしてシュウはマサキの菊座から自らの男性器を抜き取ると手首を取った。くるりと返される身体。腰に回された手がマサキの下半身を引く。マサキは大樹の幹に腕を突っ張らせて、前に倒れそうになる身体を支えた。反れる腰。臀部を突き出す形となったマサキの双丘の奥へと、シュウの男性器が入り込んでくる。そうして、再び|抽迭《ちゅうてつ》を始める男性器。はあはあと息を上げるマサキの背中に覆い被さってきたシュウの手が、捲り上げたシャツの下。胸元を探り始めた。
「や……、それ、やめろって……」
程なくしてシュウの両の指先が、マサキの両の乳首を捉える。止めませんよ、とマサキの耳元で笑い声を上げたシュウが、指の腹で乳首の先端を摩った。それと同時に押し込まれる男性器。腸の奥と乳首が線で繋がったような快感が全身に走る。あ、ああっ。マサキは思わず発してしまった喘ぎ声に、咄嗟に片手で口を塞いでいた。
「ほら、マサキ。鳴いて」
「や……だ……聞こえちまう、って……」
「強情な人ですね、あなたも」
シュウの口唇が、マサキの耳朶を食む。そうして差し入れられる舌。ああ、とマサキは腰をしならせた。腸に乳首、そして耳。三点を同時を責められたマサキの身体を、暴虐なまでに快感が駆け抜けてゆく。
――もう、どうしようもない。
マサキは手を解くと辺り憚らぬ声を上げた。あ、ああ、ああ、シュウ。そして自らもまた腰を振った。より深く、より強く、より激しく。その猛々しいまでに反り返った男性器を身体の奥へと収める為に。
快感に浸りきった身体が火照って仕方がない。マサキは視線を大樹の幹の向こう側に向けた。細めた視界の先に点々と、小さく兵士たちの姿が映っている。彼らはマサキの姿には気付かぬ様子で、めいめいキャンプ地での自由時間を過ごしているようだ。
声が届くには遠い距離だとわかってはいても羞恥は限りない。
だのに快楽を貪ることを止められない。
マサキは喘ぎ続けた。もっと、もっと突いて。そうしてシュウを求める声を上げた。次第に動きを早めてゆくシュウの腰に、マサキは幾度も背中をしならせて応えた。ああ、ああ、ああ。まるで生き物のようにマサキの身体を侵し続ける熱い肉の塊に、もっと、もっと。マサキは我を忘れてよがった。
追い詰められてゆく理性。絶え間ない快感に、不意に糸がぷつんと切れた。
もう、言葉が形にならない。
いい、と、イク、ばかりが口を衝いて出る。もう少しだけ待って。いっそう激しさを増した男性器の荒ぶる動きにマサキは首を振った。あっ、あ、ああっ。次の瞬間、マサキは身体を硬直させると、ぶるぶると腰を震わせながら、身体の中に溜まり切った精液を宙へと放っていた。
「あれ、マサキ様。テントで休んでいたのでは?」
「あれ、マサキ様。テントで休んでいたのでは?」
キャンプに戻ったマサキを見るなりそう声をかけてきた兵士たちを、曖昧に言葉を濁して遣り過ごしたマサキは、そのまま自分に割り当てられているテントに潜り込んだ。
菊座を濡らす精液の感触。シャワーを浴びたくて仕方がなかったものの、キャンプ地では清拭が精一杯だ。後で湯を貰いに行かなくては……考えただけで憂鬱になる後始末の手間に、マサキは盛大に溜息を吐いた。
我儘にも限度がある。
けれどもそんな我儘な男の態度を増長させてしまっているのは、紛れもなくマサキ自身であるのだ。シュウに口付けられた瞬間に、その身体を払い除けられていれば……やれる気がしねえ。ぽつりと呟いて、マサキはテントの中に寝転がった。
自らが不謹慎な行いに及んでいる自覚はあるらしい。一度で終わらせてマサキを解放した男は、今頃森を抜けて、帰路に付いていることだろう。物足りない。マサキは口唇を舐めた。何者にも阻まれることのない場所で、重いっきっり恥戯に耽りたい。シュウに火を点けられた欲望が、身体の中で燻ぶっている。
――ああ、もう。
やることは山積みだ。一週間の軍事訓練の指揮を執った後には、セニアへの報告だの、軍部に提出する報告書の作成だのが待っている。それだけではない。暫く開けてしまった家の掃除や、使えなくなってしまった冷蔵庫の中身の補充だってしなければならなかった。
それだけで三日はあっという間に過ぎて行くことだろう。
マサキは諦めた。訓練が終わったら、そのまま師団から離脱してシュウの許を訪れることにしよう。報告書の作成なんて雑務のことなんか知ったことか。どうせ自分は風の魔装機神の操者だ。風の向くまま、気の向くまま。そんな生き方の何が悪い。
そう考えながら目を閉じた。そうして先程済ませばかりの性行為に思いを馳せた。そのまま身体に残るシュウの温もりの痕跡を辿るように、自らの指先を身体に這わせて、燻ぶっている欲望を解放させてゆく。足りない。今一度の射精を迎えたマサキは、気だるい倦怠感に身を任せながら、テントの天井を見上げた。
そしてまんじりとしない夜を――長く続くだろう孤独を、ひとり寝で過ごしてゆく。
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