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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

チョコレイトキス(終)
いやー、エロって難しいですね!(挨拶)

もう30万字くらいはエロを書いているような気がするんですけど、未だに慣れません!ふと読み返すとあまりの酷さに消えてしまいたくなるのに、書きたいという衝動を抑えることが出来ない!

この鳥頭め!(@kyoさん自身への精一杯の罵倒)

寛容な目で読んでいただけますと幸いです。


<チョコレイトキス>

 直後、すとんと全身の力が抜けた。
 後ろ孔から抜き取られた舌と入れ違いに挿し込まれる指。節ばった彼の指が蕾を押し広げてゆく感触に、待て、と、マサキは声を上げて半身を起こした。
 弛緩しきった脚の間で蠢いているシュウの手。一定のリズムを刻みながら、マサキの肚の底を刺激してくる。ああっ。程なくして彼の指先が探り当てた箇所に、マサキは顎を仰け反らせた。
 後ろ孔の奥で膨れ上がっているしこりのようなもの。擦られるだけでも男性器に突き抜けるような快感が走る。
 自慰では決して届くことのない場所にある弱点《ウィークポイント》が、前立腺であるとシュウに教えられたのはいつだっただろう。絶え間ない刺激に身体を痙攣させながら、マサキは更に高くなった感のある声を上げ続けた。
 ――あ、あ。イク、イク。シュウ……
 伸ばした腕でシュウの身体にしがみ付く。達《い》きたい。ひっきりなしに口を衝く喘ぎ声を、気恥ずかしいと感じる余裕など、最早マサキにはなかった。強烈な欲望がマサキの雄としての本能を煽っている。理性を失ったマサキは、その衝動のままに激しく腰を振った。
 時折、重ねられる口唇がマサキの譫言《うわごと》を飲み込んでゆく。
 喉に溜まった言葉の数々がもどかしい。やだ、イク。イク。も、イク。剥がれた口唇に、マサキはひときわ大きな喘ぎ声を上げた。そして爪先をシーツに立てながらシュウにしがみ付いている腕に力を込めた。
 熱を持って漲りきったマサキの男性器は、いよいよその欲望を吐き出そうとしていた。
 瞬間、シュウの指の動きが止まった。
 今まさに快感が絶頂に向けて登り詰めていた矢先の出来事に、やだ、やだ。イカせろって……いやいやと首を振ってシュウに遣る瀬無さをぶつけるも、つれなく抜き取られる指。無言のままマサキの身体をベッドに伏せさせたシュウが、耳元に口唇を落としてくる。
「そろそろ我慢も限界ですよ、マサキ。挿入《いれ》させて」
 そう囁きかけてきた彼は、マサキの双丘を片手で割ってみせると、谷間の奥で緊縮している蕾目がけて自身の男性器を滑り込ませてくる。
「無理、だって。そんな簡単に挿入《はい》るかよ……」
「大丈夫ですよ、ほら……」
 蕾に押し当てられた男性器の先端が、皺を寄せている後孔の入り口を開かせた。や、め……思ったよりもすんなりと挿入《インサート》を果たしそうなシュウの男性器に焦りが募るも、彼の腰が止まる気配はなく。
「力を抜いて、マサキ。そんなに硬くなられては動けませんよ」
 そもそもこの事態を招いたのは、マサキ自身でもあるのだ。マサキは下半身に篭る力を逃がすべく、顔の脇に置いた両手でシーツを強く掴んだ。ゆっくりと体内に押し入ってくる男性器に感じる異物感。すっぽりと腹の中に収まったそれを押し出したくて仕方がない。
 はあはあと荒らぶった息が耳にかかる。彼でも息を乱すことがあるのだとマサキが意外に感じた刹那、動きますよ。弾むような声でそう云ったシュウの腰がゆるゆると動き始めた。
 あっ。マサキは短く声を上げて、シーツに頬を埋めた。
 膨れ上がった前立腺が亀頭に擦られている。滑らかな肉の感触が心地良い。
 断続的に腹の底から突き上がってくる快感がマサキの口を開かせた。あっ、ああっ。続けざまに口を衝く喘ぎ声。気持ちいいいの? シュウに訊ねられたマサキは激しく混乱した。けれどもその混乱は長くは続かなかった。
「やだ、やめ……っ、あ、ああっ。い、く……っ」
 突き上げられる度にじりじりと、陰嚢の奥から快感がせり上がってくる。恐らくは、寸でのところで刺激を加えるのを止められたからだろう。呆気なく射精を迎えそうな勢いで駆け上がってゆく快感に、マサキは首を振ってシュウに絶頂《オーガズム》が近いことを訴えた。
「イク、イク。シュウ、も、イク、イク……」
「達《い》って。ほら、達《い》って。マサキ、ほら」
 壊れたレコードのように同じ言葉を吐き続けるマサキに、シュウもまた同じ言葉を繰り返して応えてくる。
「やだ、ホントにイク。イクって……」
 段階を追って強まってきていた快感が、ステージを駆けあがるように一気に跳ね上がった。
 喉が引き攣り、声すら上手く放てない。爪先でシーツを掻いたマサキの脳がスパークする。白く弾ける視界。同時に男性器を鋭い快感が貫く。次の瞬間、マサキは全身を突っ張らせながら、シーツの海に白濁とした精液をぶちまけていた。

 ※ ※ ※

 時刻はそろそろ0時に差し掛かろうとしていた。バレンタインの終わり際、ようやく抜き取られたシュウの男性器に、支えを失ったマサキは弛緩しきった身体をベッドに沈めていった。
 押し広げられた蕾の奥から、シュウに注ぎ込まれた精液が流れ出ている。けれどもそれをどうにかしようとは、今のマサキには思えなかった。何より初めての経験だ。どう処理すればいいかといった知識そのものがない。
「シャワーが浴びてえ」
 そう口にしてみるも、喘ぎ疲れた喉は掠れた声しか発させてはくれなかった。
「後で一緒に浴びに行きましょう」
 マサキの胸にシュウが頭を預けてくる。乱れた息。マサキの身体を味わい切った男は、暫く身体を休めるつもりであるようだ。伏せた目の際から睫毛が覗いている横顔を真下に眺めながら、まあ、いいけどよ。そう呟いてマサキもまた目を伏せた。
 目を開くと明け方近くだった。
 気配で起きたらしいシュウとともに彼のキャビンを出たマサキは、なるべく人目に触れぬように通路を往き、幸いにして使用者のいなかったシャワールームに入り込んだ。
「ほら、マサキ。ここに立って」
 めいめいシャワーを浴びるのかと思いきや、自らの手で洗い上げるつもりでいるようだ。シュウに招かれるがままやわーコーナーのひとつに彼とともに身体を収めたマサキは、いつになく優しい男の手で隅々まで身体を洗い上げられることとなった。
「お前、もうちょっと真面目に洗えよ……変な気分になる……」
「これでも真面目に洗ってあげているつもりなのですがね」
 一線を超えてしまえば、後は雪崩を打つようだ。自身の過剰なスキンシップに煽られたマサキが、シュウの目には情欲をそそる存在に映ったのだろう。どちらからという訳でもなく再び彼と性行為に及んだマサキは、そこでシュウと別れて自らのキャビンに戻ることにした。
 ――おはようございます、マサキ殿。
 ――お早いですね、マサキ殿。
 流石に昨日の余韻を引き摺るほどアマチュアでもないようだ。通りがかりに顔を合わせた乗組員《クルー》たちの顔付きは、戦時を生きる者の表情を取り戻している。今日はいつも通りの日常を過ごせそうだ。胸を撫で下ろしながら、マサキは自室に続くドアを開いた。
「ニャにしてたの! 心配してたニャのよ!」
「寝ずに待ってたんだニャ!」
 疲労困憊な身体と脳に堪える二匹の使い魔のけたたましい喚き声。こめかみを押さえながらベッドに潜り込んだマサキは、「バレンタインに決まってるだろ」と云って、ブランケットを深く被って目を閉じた。
 眠るつもりである主人に追い縋って疑問を問い質してくるほど野暮な二匹でもない。直後にはしんと静まり返った室内に、あっという間に睡魔が襲いかかってくる。
 ――最低で最高のバレンタイン。
 マサキというプレゼントを得たシュウにとって、昨日のバレンタインは一生ものの記念日として記憶に刻まれることだろう。俺にとってはどうなんだろうな。シュウとの関係にまだ途惑いを残しているマサキは、それ以上の答えを出すこともないままに。疲労に引き摺り込まれるように深い眠りへと落ちていった。




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