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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

安藤正樹の開発日記(一)
え?そんなにこっち更新してなかったの!?と日付を見て焦ったので、少し遅れで投下しようと思いました。

私のこと……忘れないで……

タイトル通りの悪い話です。エロに特化しているのでご注意ください。



<安藤正樹の開発日記>

(序)

 口付けを交わすことには直ぐ慣れた。
 きっと、プラーナの補給を受ける機会が多かったからだろう。マサキがシュウからの告白を了承したその日。当たり前のように交わされた口付けは、冷え冷えとした温もりを伝えてくるものではあったけれども、忌避感や嫌悪感を感じさせるものではなかった。
 むしろ、彼の丁寧な口付けは、マサキの感情を驚くほどに高ぶらせた。
 啄まれては舐め取られ、緩やかに吸い上げられては深く塞がれる。そして、力が抜けて開いた口唇の隙間へと差し入れられては、マサキの舌を掬い上げてくる舌。きっちりと噛み合った歯車のように合わさった口唇の奥で絡み付く。
 キスとはこういうものであるのだ。
 これまでマサキが経験してきた口付けは、意識が朦朧としていたこともあってか。性的な欲求を感じさせることがなかった。それがどうだ。家に帰ったマサキは、火照った身体を持て余して自慰に耽るより他なかった。
 呼び出されてはシュウの許に赴く日々。重ねた口唇の分、欲望は日々募っていったものだったけれども、自分もシュウも男であるという現実を前にしては、先に進むのには躊躇いがある。両手両足を使い切った回数、彼と口付けを交わしたマサキは、だからこそある時不意に口付けの最中に胸を弄ってきたシュウに、反射的に顔を離してしまっていた。
「怖い?」
 シュウに尋ねられたマサキは正直に頷いた。
 性欲はあった。けれどもそれをふたりで消化しているところがどうしても思い浮かばない。
 いや、思い浮かびはするのだが、それは彼の手で男性器を扱かれている――或いは彼の男性器を自分が咥えているといった姿でしかなく。そう打ち明けたマサキに、なら、少しずつ慣らしていきましょう。低く言葉を吐いたシュウが、口元にうっすらと笑みを浮かべてみせた――……。

(一)

 膝の上に乗せられた身体。捲り上げられたシャツの下でシュウの手が蠢いている。
 とうに硬くなっている乳首が期待の表れなのか、それとも既に存分に受けた愛撫の所為なのかはわからない。ただ、シュウが与えてくる愛撫は心地いい。マサキは鎖骨に溜まったシャツの下に微かに映っているシュウの手の甲を眺めた。
 揺れる手の甲。マサキの乳首を弦を弾くように撫でてきては、きゅっと抓み上げてくる。その都度、じわりじわりと染み出してくる快感に、マサキはぴくりと身体を震わせた。
「気持ちいいの、マサキ」
「ん……」
 小さく頷きながら入念に乳首に愛撫を施してくるシュウに身体を委ねる。
 三度目の『訓練』だった。
 なし崩し的に自分がシュウの愛撫を受け入れる側になってしまったことに、最初は不安を感じていたマサキだったが、それも実際に彼の愛撫を受けたことで和らいだ。こういった快感もあるのだ。男性器に刺激を与えたことしかなかったマサキは、質の異なる快感に目が覚める思いでいた。
「大分、慣れてきたようですね」
 一度目はベッドの上でだった。シャツを脱がされて|潤滑油《ローション》を垂らされた。
 ひやりとする感触に身が縮む思いをしたが、それも最初の内だけだった。乳首の上を滑るように、或いは撫で付けるように動くシュウの手に、気付けばマサキはひっきりなしに喘いでいる状態だった。とかく気持ちいい。股間をシュウの脚に擦り付けるようにして喘ぎ続けたマサキは、最後は彼の手で男性器を扱かれて射精に至った。
 二度目は今日と同じくソファの上でだった。
 引き続き使われた|潤滑油《ローション》に、抵抗感はもうなかった。むしろ期待に胸が高鳴った。早くシュウの手で|達《い》かされたい――そのマサキの気持ちを知ってか知らずか、ローションをマサキの胸に伸ばしたシュウは、円を描くように乳輪を撫でてきた。
 指の腹が、乳首にさわさわと触れる。もどかしいのに気持ちがいい。そう時間の経たぬ内に息を荒くしたマサキは、時折シュウと口付けを交わしながら、彼から与えられる愛撫を貪った。
 けれども長く続けられると我慢が利かなくなった。
 きっと、思った以上の快感を生み出した一度目の経験が、マサキを貪欲にしてしまったのだ。乳首を弄られたくて堪らない。とはいえ、それを口にして訴えるのは、経験のないマサキにはハードルが高かった。
 結局、涙目になるまで耐え続けることになったマサキは、ようやく乳首に触れてきたシュウの指に、脳天を突き刺すような快感を覚えることになった。
 ああ、ああ。それまでの快感が何だったのかと思うような悦楽。深い快感を得たマサキの自意識から理性が剥がれ落ちた。もっと、もっと。我を忘れて声を上げたマサキに、気に入りましたか? 微かに嗤い声を潜ませながら、シュウはそう尋ねてきた。
「慣れたのかな……わかんねえ……」
 そうして迎えた三度目に、ローションの出番はなかった。
 一度目、二度目とくれば、三度目への期待は嫌が応にも高まったものだ。けれども、思ったほどではない快感。気持ちはいいが、ここまでの経緯を振り返ると盛り上がりに欠けるように感じられる。
「慣れたのですよ」
 クックと嗤ったシュウがマサキの腰を引いて、ソファに身体を倒させる。
「な、に……?」
「もう少し先に進みましょう、マサキ。そろそろその頃合いですよ」
 そう言葉を継いだシュウの手がマサキのジーンズを下げた。既に硬くなった男性器が、滑った光を放ちつつ、下着の端から頭を覗かせている。そこに手を潜り込ませてきたシュウが、やんわりと男性器を掴み取る。身を屈めた彼は、そのまま、マサキの男性器を弄びながら乳首に口付けてきた。
「ん、あ……ぅ……ッ!」
 腰が浮く。
 肌に吸い付いた口唇の中で、包み込まれた乳首を彼の舌が転がしている。ゆるゆると揉みしだかれる男性器。乳首に刺激を加えられる度に、尿道の辺りに飛沫が弾けるような快感が走る。やだ。咄嗟に口を衝いて出た声は、自分でも初めて聴くような頼りなさに満ちている。
「や……それ、やだ……」
「ここをこんなにしておきながら?」
 陰茎を包み込んでいるシュウの手が、その硬さを確かめるようにするりと動く。マサキは潤んだ視界の向こう側で、顔を伏せて自らの乳首を舐っているシュウの頭を見下ろした。どういった理屈になっているのかはわからない。わからないが、乳首に刺激を感じる度に、陰茎の底に生じる快感。それは泉に湧いた水が噴き上がるように、ひとつの潮流となって男性器を貫いていった。
「やだって。やだ、シュウ。それ、怖い」
 尿意にも似た感覚が絶えず男性器を支配している。だのに気持ちがいい。
 マサキは本能的な危機感を覚えた。射精を間近にしたのとは異なる未知なる感覚。鋭敏になった肌が、シュウの愛撫に波打っている。ああ、あっ、あっ。マサキはシュウの髪を掴んで腕を引いた。怖い。自分が自分ではなくなりそうな感触に、咄嗟に取ってしまった行動だった。
 それでも乳首から口を離さないシュウに、一瞬にして快感が駆け上がってくる。
 なんか、出る……細く言葉を吐いたマサキは、息も切れ切れになりながらつま先を突っ張らせた。
 直後、亀頭の先端で何かが弾け飛んだ。
 決して精液ではない。かといって尿を放出したのともまた違う。ほんの僅かな湿り気。陰茎を滴り落ちてゆくその感触に、ある種の到達感を感じ取ったマサキは、あ、あ……と、マサキの乳首を吸い上げて口を離したシュウを視界の端にしながら、肌を震わせてその余韻に浸った。
 射精にも似た快感が突き抜けていった記憶があるのに、射精後に訪れる虚無を感じさせる虚脱感がない。
 これからが本番だとでもいうような自らの身体の状態に、感じる恐れ。シュウの口付けを受けたマサキは、舌を緩く動かして応じながら、この先に待ち受けている行為に思いを過ぎらせた。先に進むと口にしたシュウが、この程度で今日を終わらせる筈がない。何よりマサキの射精はまだなのだ。流石にシュウも区切りが付くまでは終わらせないと思っていることだろう。
 その現実に心を躍らせながらも、拭えぬ不安。
「尿道はね、渇きを防ぐ為に常に一定の体液で満たされているのですよ」
 恐らくは、先程吐き出した体液についての説明であるのだろう。そう口にしたシュウが、手のひらに収めたままのマサキの男性器の先端へと親指を滑らせてくる。窪みに嵌まり込む指の腹。続けて小刻みに尿道口に刺激を与えてくるシュウに、マサキは頭を振った。
 刺激を受けることに慣れている筈の男性器である筈なのに、まるで初めて自慰に耽った時のような恍惚感がある。
 再び頭を伏せたシュウが乳首を吸った。形を確かめるように隆起をなぞってゆく舌。ひくり、とマサキの腰が揺れる。そこから鎖骨、首筋と伝い上がってきた舌が、耳の付け根を経て、耳孔へと挿し入れられる。
 頬にかかるシュウの熱い吐息に、日頃は冷静沈着な彼の興奮の度合いが窺える。
「どうでした、マサキ。初めて潮を吹いた感想は」
 マサキの耳朶を食みながら、そう尋ねてきたシュウに、あれがそうだったのだ――と、断片的にしかなかった知識と経験を結び付けられたマサキは今更に納得した。
「乳首ばかりでは退屈でしょう」
 囁き掛けられる言葉は、嗜虐的な一面を併せ持つ彼の特質を存分に表すような響きに満ちていた。
 次いで耳朶を食んでくる彼に、擽ったいような、それでいて背筋が痺れるような快感が湧き上がってくる。マサキは目を細めて彼の舌から繰り出される愛撫を受けた。たかが耳ひとつでしかないのに、乳首に勝るとも劣らない快感を覚える。
「今日はたっぷりと可愛がって差し上げますよ。ねえ、マサキ」
 その宣告が、絶望であるのか。それとも希望であるのか。マサキには判断が付かなかったが、怖れを上回る期待に胸が高鳴ったのは事実だった。





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