以前の話は忘れて下さい。笑
<安藤正樹の飼育日記>
(二)
シュウの許を訪れて二日目となったマサキは、元に戻るのにそれなりに時間がかかることを覚悟したらしい。サイバスターから使い魔たちを下ろしてくると、リビングに陣取って、彼らとともにテレビを見たり、雑談に興じたりと、寛いだ時間を過ごし始めた。
シュウはマサキの好きに日中を過ごさせることにした。
猫の耳に尻尾と、ないものが増えた状況。さぞやストレスを感じていることだろう。けれどもそのシュウの優しさは、マサキを余計に不安にしまったようだ。午後になると落ち着きを欠き始めた彼は、夕闇が夜の帳を運んでくる時刻ともなると、シュウの周りを何か云いたげにうろつくようになっていた。
「どうしました、マサキ。落ち着かない様子ですが」
シュウは読んでいた書物から顔を上げた。
夕食後のリビングのソファ。所在なげに辺りをうろついていたマサキが隣に座ってくる。そして、あのよと口を開きかけてはまた口を噤む。
「云ってくれないとわかりませんよ。不満があるのでしたら、どうぞ」
もっと早く声を掛けてやることも出来たが、昨日の行いに対する後ろめたさもある。まだまだマサキの身体で愉しむつもりであるシュウは、だからこそ辛抱強くその時間の訪れを待った。だが、マサキから云い出してくることがないままに夕食が終わったとなると話が変わってくる。
何もないままに今日を終わりにしたくない。
シュウは貪欲な人間なのだ。
力ではマサキの方が勝るのは間違いない。それを、身体の変化もあっただろうが、シュウの不埒な行いを抵抗せずに受け入れてみせた……そこにどうして一筋の希望を見出さずにいられたものか。これは一種の賭けだ。シュウは隣に座っているマサキの沈んだ顔を覗き込んだ。
「いや、今日のお前、何もしてないが大丈夫か……? その、俺としては早く元に戻りたいんだが……」
シュウは微笑った。
この口ぶりからして、マサキが昨日のような『検査』がないことに不安を覚えているのは間違いない。まさに飛んで火にいるなんとやらだ。そう思いながら書物を畳み、マサキに向き直る。
「それなら今から『検査』を兼ねて入浴しましょうか、マサキ」
「う……っ」
言葉を詰まらせたマサキが昨晩の出来事を思い出したのは間違いない。呆気なく染まった頬が何よりも雄弁に、彼が昨晩の出来事をどう感じているかを伝えてくる。「嫌なら結構ですよ」突き放すように言葉を継いで、マサキの返事を待つ。
「いや、でも、必要、なんだよな……?」
「そうですね。あなたの身体がどうなっているのか、調べた方が戻すのが早くなるのは間違いありませんね」
嘘だ。シュウは己の小賢しさに声を上げて笑いそうになる。
マサキの変化は魔術に拠るものだ。
昨日の『検査』でシュウは気付いてしまっていた。恐らく、魔力を感知させないように術を二度掛けしているのだろう。被膜のようにうっすらとマサキの身体に纏わる微量の魔力は、どこぞの術者がマサキに魔術を施した可能性をシュウに示唆していた。
だが、それが誰によって施された魔術であるかと問われると、古今東西の魔法に通ずるシュウであっても判断が付かなかった。
隠匿の術ならまだしも変化の術である。しかも自らの姿を変化させるのではなく、他者の姿を変化させる術だ。それだけでも相当の魔力を必要としたものだが、対象となっているマサキには全く魔力がないときている。それは即ち、魔術の維持に用いられている魔力は、全て術者のものであるということだ。
だからシュウは待つことにした。
術者が明確な意思でもって魔術を放ったのは間違いない。ラングランの人口は二億人以上。適当に放った魔術がマサキにピンポイントで当たる確率からして、最初からマサキを標的にしていたと考えるのが妥当だ。
そうである以上、マサキの身体を検査することに意味はない。
あるとすれば、術式の解析だけだ。
だが、シュウはそれを容易にしようとは思っていなかった。この状態のマサキをこのまま手放すのは惜しい。やるのだとしたら、全てを終えてからだ……けれども、その企みをマサキが知ることはないのだろう。マサキをバスルームに向かわせたシュウは、彼を追って、自らもまたバスルームへと足を踏み入れた。
「何でお前、服を着たままなんだよ」
「検査で服を脱ぐ必要もないでしょうに」
「あ、そういうことか……」
その瞬間のマサキの表情に落胆の色が窺えたのは、マサキ自身にも期待があったと取るべきなのだろう。ならば遠慮は要らない。シュウはマサキにバスルームの壁面に両手を突くように告げると、早速と背後から彼の乳首に指を忍ばせていった。
「ひゃっ……にゃ……そこ、は、違うだろ……」
「わかりませんよ。何処に何が隠れていないとも限らないでしょう」
猫耳をに息を吹きかけてやりながら乳首を指の腹で揉んでやる――と、感度の増した身体にはたったそれだけの刺激でも堪えるようだ。にゃっ、にゃっ。シュウの腹の下で揺れ始めた尻尾が、腰に纏わりついてくる。
「こうされるとどうです。ほら」
続けて指の腹で摩る。にゃあああ……っ。腰に力を入れているのもしんどいようだ。膝が曲がったマサキの腰を片手で抱えたシュウは、肌の上に飛び出してきた乳首を抓んだ。にゃあんっ。早くも息の上がったマサキが、潤んだ瞳をシュウに向けてくる。
卑猥さが形を取って表れたような表情だ。
股間に熱を覚えたシュウは、マサキの腰を抱えたままコーナーにあるボトルのひとつに手を伸ばした。中には粘り気のあるローションが詰まっている。片手でキャップを押し上げたシュウは、中身をマサキの腰に垂らした。どろどろと流れ落ちるローションが小ぶりな双丘の谷間へと吸い込まれてゆく。シュウはマサキの乳首から指を離すと、ボディラインに沿わせながら下半身へと手を下ろしていった。流石に何をされるのか予想が付いたのだろう。待てと、マサキの口から声が上がる。
「そこは……関係、ないだろ……」
「あるかも知れませんし、ないかも知れませんね」シュウはマサキの双丘の谷間へと指を滑り込ませた。「それを調べているところですよ、マサキ」
ローションを指に絡ませながら菊座を目指す。ぬとりと、先ずは一本。口を萎めている後孔の中へと中指を挿し入れる。にゃああん……ッ。どうやら感度が高まっているのは菊座も例外ではなかったようだ。かくんとマサキの膝が折れる。
シュウの腕での支えがなければバスルームの床に沈んでいただろう。シュウはマサキの腰を抱え上げた。壁を掻く彼の指がいじらしい。そう思いながら人差し指を足す。「どうです、マサキ」尋ねながら指を抜き差ししてやれば、快感に感極まったようだ。にゃあああんと、ひときわ高い鳴き声がバスルームに響き渡った。
「にゃぅ、にゃああぅ、にゃぅ」
「気持ちいいのですね、マサキ」
「にゃぁ、にゃっ、にゃあぅ」
声にならない声で返事をしてくるマサキは、これが救国の英雄かと思うぐらいに愛くるしい。シュウは更なる動きを指に加えた。彼の菊座を解きほぐすべく、指を回す。にゃっ、にゃあああん。ラングラン国民が知ったら卒倒しかねないほどに乱れよがるマサキに、悪戯心が芽生える。もっと彼を鳴かせたい。シュウはマサキの菊座から指を抜き取ると、再びローションのボトルを手に取り、今度はマサキの尻尾へとその中身を垂らしていった。
「にゃっ!?」
ローションを馴染ませるべく、尻尾を手で包み込んで扱く。すると、弱いところに刺激を加えられたことが耐え難かったのだろう。壁に対して垂直に折れているマサキの上半身が小刻みに震え出す。これは効果が期待出来そうだ。シュウはローションに塗れたマサキの尻尾を菊座の中へと押し込んだ。ひゃっとマサキの口から短い悲鳴が洩れる。
シュウはゆっくりとマサキの身体をバスルームの床に下ろしていった。菊座に感じやすい部位を挿入されているのが堪えるのだろう。伏せたマサキの腰がぴくぴくと跳ねる。
シュウはマサキの臀部に手を掛けた。結合部がより見えやすいように腰を上げさせてやる。そうして尻尾を二度三度と抽送してやってから、「自分でやるのですよ、マサキ」シュウはマサキの猫耳に囁きかけた。
「む……無理だって……」
「気持ちよくなりたくはないの?」
「だって、お前。これじゃ俺がひとりで」
どうやら自慰をさせるのには時期尚早だったようだ。見られているような気分になると云い出したマサキに、「わかりました」シュウは上着を脱いで、バスルームの床に横たわった。そしてマサキに腰を跨がせると、色づいた乳首へと手を伸ばした。
「これならいいでしょう。ほら、マサキ。尻尾を動かしなさい」
乳首を弄びながら命じれば、勝手に動き出しているようだ。妖しく蠢く尻尾が、ぬちょりと音を立てた。にゃあああん……腰を仰け反らしたマサキが、もどかしさを持て余してか。尻尾の動きに合わせて腰を振り出した。
「いい子ですね、マサキ。その調子ですよ」
シュウは乳首を抓んだ。
指の腹で丹念に擦ってやると、我慢が効かなくなってきたようだ。マサキの尻尾を動かすスピードが増してゆく。
バスルームに響き渡る卑猥な音。腰を振り続けるマサキが、あ。と、短く声を上げた。あ、あ、ああ。続けざまに迸る喘ぎ声。どうやら前立腺を探り当てたらしい。尻尾が短い距離で抽送を続けている。
「にゃ、にゃあ。ク、イク。シュウ、も、出る……!」
次の瞬間、いっそう大きくマサキの腰が跳ねたかと思うと、その男性器から白濁とした精液が吐き出された。
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