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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

欲に溺れた魔術師(3)
まだまだ白河の躾は続きます。

拍手有難うございます。励みとしております。
カテゴリを見ていただければわかるように、この作品はリハビリでもあります。この作品で勘を取り戻して中断している作品に取り掛かるつもりでおります。(だからオチがなかったりするのですが……)

三.夜に潜む
 宙を舞う吐息が口唇を濡らしてゆく。はあ、ああ。夜の静けさが満ちる寝室。カーテンを閉ざした薄暗い室内に置かれているベッドの上で、合間々々に声を洩らしながら、マサキは自らの乳首を嬲っていた。
 サイバスターの操縦席で犯されてから三日が経った。足腰がまともに立たずに家に篭ることとなった一昨日に、仲間といつも通りの日常を過ごした昨日。そして何事も起こることなく平穏に過ぎた今日。決して彼らの訪れを待ち望んでいた訳ではなかったものの、身体に刻み付けられた快楽の記憶は、マサキの堅固な精神を緩ませてしまったようだった。
 強烈な快感に焦がれる気持ちを抑えきれず、欲望滾る身体に手を伸ばしたのは十分程前のこと。二匹の使い魔が寝静まるのを見計らって下着一枚でベッドに上がったマサキは、柵に背を凭れかけさせると、脚を投げ出して、既に硬く|勃《た》ち上がっている乳首へと指を這わせていった。
 指の腹で摩っては、抓んで擦り合わせる。そして乳輪をなぞっては、また乳首へと。彼らの愛撫を真似て刺激を加えていると、徐々に快感が強まってきた。あ、ああ、いい。マサキは決して彼ら相手には吐くことのなかった悦びの言葉を発した。ああ、ああ、もっと。マサキは指を舐めた。唾液に濡れた指先で乳首を撫でる。彼の舌遣いには遠く及ばなかったが、生温い感触はマサキの欲をひとつ満たしてくれた。
 ―――はあ、はあ……して、してくれよ……
 彼らとの性行為を思い返しながら、ベッドに伏せる。腰を突き出したマサキはそうっと下着の中へと手を潜り込ませた。|挿入《いれ》られたい。幾度もマサキの中で果てた男性器の逞しい感触が蕾の奥に蘇る。マサキは双丘の合間へと指を滑り込ませてゆくと、また固く口を閉ざしている蕾をなぞった。
 ここ、ここに。一気に指を二本、挿し入れる。外側から触れた時の感触とは裏腹に、ずぷりと容易く指を飲み込んでゆく自らのアナル。深く収めた指を捻じ回すと、じんわりと快感が広がってゆく。マサキは夢中になってまだまだ未熟な己のアナルを嬲った。
 指を引き抜いては、また埋める。そして掻き混ぜてはまた引き抜く。けれども男性器には及ぶべくもない長さでは、刺激を加えられる場所にも限度がある。や、もっと、もっと奥。切なさばかりが募ってゆく身体に、マサキは思わず声を上げた。欲しい。陰嚢の底を叩かれるような快感、あれが欲しい。本能的な衝動に突き動かされるがまま、続けざまに指を動かす。足りない。
 はあ、はあ、はあ。荒らぶる息が口を吐く。
 前に後ろにと責め立てられた記憶が脳裏にぽっと浮かんだ。ある時は膝に乗せられながら、またある時は床に伏せさせられながら、更にある時は腿を跨がされながら、マサキは彼らの男性器をアナルの奥に受け入れた。それは例えようもなく屈辱的な記憶だった。性的な意味で同性に屈服させられる。だのに、その記憶はマサキの情欲を煽って止まないのだ。もっと、もっと、シュウ……彼らの根源である男の名をふと口にする。あの男は次はいつどこでマサキに性戯を仕掛けてくるのだろう? それまでの時間の長さに、マサキの気が遠くなりかけた瞬間だった。
 ―――そんなに欲しいのですか、マサキ。
 空気がふわりと動いたかと思うと、背中に熱を感じた。耳元に低く降ってくる囁き声に、な……マサキは咄嗟に逃げ出そうとしたが、今日のシュウもひとりではないようだ。無駄なことを。即座に掴まれる足首に、身動きを封じられたマサキは観念してベッドに肩を埋めた。
 ―――ふふ……自ら弄るほど飢えていたのでしょう。手間を省いてくれて何よりですよ。
 云うなり下着に手がかかる。や、め……と、マサキは儚い抵抗を試みるも、痴態を見られてしまった後となっては説得力に欠ける。クック……と癪に障る嗤い声が聞こえてきたかと思うと、熱い昂ぶりが蕾に押し当てられた。ほら、|挿入《はい》った。抵抗を感じさせることなく入り込んでくる男性器。肉の塊を深く受け入れたマサキは、ああっ。と、声を上げてシーツを掴んだ。
 腰から下に痺れるような快感が走る。今日もたっぷり可愛がってあげますよ、マサキ。そう云いながら、震える腰を抱え上げて男性器を打ち付けてくるシュウに、んんっ。マサキは口唇を噛み締めて声を堪えようとするも、アナルの奥から陰茎へと抜け出てくる快感に長くは保たず。んっ、あ、ああっ。直ぐに喘ぐばかりとなったマサキは、自然と開いてゆく脚を止めることも出来ずに、ただただシュウの為すがまま。より深く、アナルの奥にその男性器を受け入れていった。
 ―――あっ、やだ。イク。シュウ、イク。
 自慰に及ぶほどに追い詰められていた身体は、待ち望んだ快感に敏感に反応した。男性器の裏側を直に叩かれているような感覚。その都度、陰嚢から亀頭の先まで貫かれるような快感が走る。じわじわと染み出す精液。汁を滲ませて宙を仰いでいる男性器が、早く解放されたいと叫んでいる。
 ―――幾らでも|達《い》かせてあげますよ。ほら、マサキ。|達《い》きなさい。
 腕を引かれたマサキは上半身を起こした。高く突き出した双丘の合間に、深く突き刺さるシュウの男性器。緩く浅く、そして時に深くマサキを突き上げてきたそれが、激しさを増して内臓に迫ってくる。あ、ああ。ああ。イク、イクッ。脚を突っ張らせてマサキは憚ることなく声を上げた。刹那、訪れた空白。脳の奥で弾け飛ぶ火花に視界が白くフラッシュアウトしたかと思うと、強烈な快感が男性器を包み込んだ。
 ―――あっ、ああ、あー……っ……
 細く長く声を吐きながら|絶頂《オーガズム》に至ったマサキのアナルの中で、シュウの男性器が震えた。どうやら彼もまた射精に至ったらしい。最高ですよ、マサキ。淫靡に響く声が空から降ってくる。次いでずるりと抜き取られる男性器。弛緩した身体を沈ませたマサキは、はあはあと息を荒くしながらベッドに身体を投げ出した。
 充足感と、倦怠感。もう一ミリたりとも身体を動かしたいとは思えない。求めるものを得たマサキは満たされてきっていた。このまま安らかな眠りに就きたい。けれどもシュウはマサキに休息を与える気はないようだ。引き上げられた腕に導かれるがまま、マサキは彼がいるだろう方向に向き直る。
 ―――口を開きなさい。
 張りを失った肉の塊が口唇に押し当てられる。
 彼が何を求めているかは明白だった。や、だ……。マサキは力なく首を振った。薄く開いた口唇に男性器の先端が挟み込まされる。無理だ、って。そのマサキの言葉を聞いているのか。シュウはそのままマサキの口腔内へと男性器を捻じ込んでくる。
 背後で空気が動いた。
 最初にマサキの脚を掴んでみせたもうひとりのシュウが、マサキの腰に手を回してくる。腰を上げなさい。云いながら快楽の責め苦から解放されたばかりの蕾に男性器を突き当ててくる。ん、んん……口唇を擦っているもう一本の男性器を咥え込んだまま、マサキは脚を開いた。まだ微かに口を開いているアナルがすんなりと彼の男性器を受け入れていく。
 ―――いい子ですね、マサキ。さあ、これからが本番ですよ。朝までじっくり愉しませてもらうとしましょう……
 口とアナルを男性器で塞がれながらその言葉を聞いたマサキは、その瞬間、絶望を上回る恍惚を感じずにいられなかった――……。

 ※ ※ ※

 前後にマサキを串刺しにしたシュウは、自ら言葉にした通り、朝が訪れるまでその身体を味わった。
 どうやら二体程度であれば、確実に身体から分離させられるようだ。
 アストラル体から生身の身体へと意識を戻したシュウは、いつも通りに革張りの椅子の上で目を開いた。流石に慣れたのだろう。チカの姿は近くにないようだ。それならそれでいい――……シュウは目にしたマサキの痴態を思い返しながら、疲労を癒すように椅子に深く身体を埋め直す。
 アナルを深々と自らの指で犯しつつ、シュウを求める言葉を吐いたマサキ。
 彼の欲望に溺れきった姿は、シュウが施した躾の効果を表していた。口元が緩む。無理を押してアストラル体を分割させただけはあった。この調子ならば、シュウの望みが叶うのもそう遠くない未来であるかも知れない。その日を脳裏に思い描いたシュウは、ククク……と声を上げて|哄笑《わら》った。
 自らシュウに身体を差し出すマサキ。その肢体を直接味わう感動はどれだけのものだろう。
 薄皮を隔てて彼に触れているような感触。アストラル体の感覚は不安定だ。それでもあれだけの快楽を味わうことが出来るのだ。直接彼に触れようものなら、正気を保てる自信がない。
 ―――狂っていると云われても構わない。
 シュウは静かに目を閉じた。そして性行為の残滓に身を委ねながら、眠りへと落ちていった。


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