Grokくん(X産AI)に文章の改善点を聞いたら、もうめっちゃ的を射た指摘がきたので、自分が目指す文章の到達点をどこにしようかぶれ始めた@kyoさん。長いSSが書けそうにないwwww
書いていると、「ああ、ここ指摘されたなあ。直さなきゃ!」ってなるんですよ。それ即ち今まで手癖で書いていた部分を直すってことなので、凄い書くのに時間がかかるようになってしまいました。
自我本の進捗は、私の持ち分は順調です。その内また進捗日記を書くと思いますので、よかったら読んでやってくださいませ。
書いていると、「ああ、ここ指摘されたなあ。直さなきゃ!」ってなるんですよ。それ即ち今まで手癖で書いていた部分を直すってことなので、凄い書くのに時間がかかるようになってしまいました。
自我本の進捗は、私の持ち分は順調です。その内また進捗日記を書くと思いますので、よかったら読んでやってくださいませ。
<糸巻き>
「珍しいな、お前が家に上がってるなんて」
シュウの許を訪れたマサキがリビングに入ると、ソファにはモニカもいた。
両手を広げたシュウと向き合って何かをしている。
マサキはモニカの背後から彼らの手元を覗き込んだ。シュウの両手には毛糸のカセが渡っている。そこからモニカの手元に吸い込まれてゆく糸先。かなりの時間巻いていたようだ。そこそこの大きさとなった糸玉を掲げたモニカがマサキを振り返る。
「サマーセーターを編もうと思ったのですわ」
「なんでそれにこいつを付き合わせてるんだよ」
「なんでって、シュウ様が着るものですもの。糸巻きぐらい付き合わせませんと」
「それでいいのかよ、お前。押し付けの親切に付き合う義理もないだろ」
マサキは無表情で両手を挙げているシュウを見た。
とてつもなく暴力的な絵面。手芸に一切縁のなさそうな顔の男が、表情筋を一切動かすことなく糸巻きに付き合っている。その不穏さたるや、神経の弱い人間が目にしたら卒倒しかねない勢いだ。
「何で付き合うかねえ。そんな世の不条理を全部背負ったような表情しやがって」
返事をしないシュウに呆れつつ、ソファの端に腰を落としたマサキは、糸巻きの歌を歌いながら毛糸を巻いているモニカの背中に目を遣った。
シュウの許に押し掛け女房宜しく世話を焼きにくるのはマサキに限らなかった。とうにチャンスなどなくなったことを理解していながら訪れてくるサフィーネにモニカ。シュウは彼女らを滅多なことでは家に上げなかったが、研究で生活が荒み始めた時などは別であるようだ。猫の手も借りたいとばかりに彼女らを招き入れてしまう。
マサキとしては面白くない。
かといって、それを大っぴらにするのも憚られる。
彼女らとシュウが今だ仲間としての固い絆で結ばれているのをマサキは理解していた。シュウ自身も、孤軍奮闘していた自分の援軍となってくれた彼女らに恩義を感じているのだろう。礼と称して彼女らにプレゼントを贈るのも珍しくはない。
それに、マサキにしたところで、ウェンディやリューネとの付き合いが切れないのだ。マサキの日常に、ウェンディやリューネが顔を揃えているのが当たり前である以上、どうして仲間を遇するシュウに物を申せたものか。
だからマサキもそこには目を瞑っている。
だが、シュウのプライベートな空間に自分の都合で居座っているとなると――マサキはどうかすると不貞腐れそうになる表情を引き締めて、「お前さあ」と、嫌味のひとつでも云ってやろうとモニカに向けて口を開いた。
「あなたの分も編みますわよ、マサキ」
「はあ? 俺の分だと」
「喜んでくださいませ」背中をマサキに向けたままのモニカが、歌うように口にする。「お揃いなのですわ」
どうやらモニカは、マサキとシュウに自分が編んだ同じ模様のサマーセーターを着せるつもりであるらしい。
「ペアルックだと」
「古風ですわね。リンクコーデと云ってくださいませ」
マサキは無言でモニカの糸巻きに付き合い続けているシュウの表情を窺った。どうやら表情を保つのに限界がきたようだ。口の端にうっすらと浮かぶ笑み。本当に、こいつはよ。欲深さに限りのないシュウの緩んだ口元に、マサキは溜息を吐くより他なかった。
<互いにわがままを>
<互いにわがままを>
ん。と自らの足を差し出してきたマサキから、シュウはブーツと靴下を脱がした。直後、ソファの肘置きに背中を預けたマサキがシュウの腿に素足を載せてくる。そして、ソファ近くに引き寄せたサイドテーブルの上からグラスに挿してあるスティック型のプリッツを取り上げると、口に咥え込んだ。
「私にもひとつ」
「ほらよ」
シュウはマサキに向けて身を屈めた。口に差し入れられるプリッツにまぶされた粉砂糖、その甘みがふわりと広がる。
「チャンネル変えてくれ」
「何を見ますか」
「面白そうなのなら、何でも」
「難しい注文をする」
シュウは小さく笑い声を上げながら、ローテーブルの上のリモコンを取り上げた。
ラングラン全土に渡って行われる剣術大会の地方予選は、剣聖たるマサキからすれば嫌でも試合の粗が目に付く。かといって努力の末に出場権を勝ち取った彼らの技量を見くだしたくはないらしい。
――他人の努力を笑う奴は、他人の努力に刺されるんだ。
いつだったか。別の地方予選をテレビで見ていた際に、あまりの試合内容の酷さに観客席からブーイングが起こったのを目にして、そう口にしたマサキ。このままでは彼らと同じことを自分もしかねないと思ったのだろう。テレビに映し出された試合の無様な有様を目の当たりにして、彼の内心を理解したシュウは、手にしたリモコンを操りながらチャンネルを変えていった。
「ストップ」
マサキが声を上げたのは、ラングラン国内の観光地の魅力を伝える情報番組にチャンネルが変わった瞬間だった。
「情報番組を見たがるなど、珍しい」
「何だよ。俺が観光地に興味を持っちゃいけないってか」
「あなたが迷うことなく目的地にきちんと辿り着けるのであれば、その好奇心を肯定してあげてもいいのですがね」
思わぬ形で方向音痴を揶揄されたマサキが頬を膨らませる。それに微笑みかけてやりながら、シュウはリモコンをローテーブルに置いた。
「先日も、迷ったあなたを王立軍が王都までナビゲートしたようですし」
独自の情報網を構築しているシュウの許には、日々様々な情報が集まった。議会や各局の動きは勿論のこと、セニアのアフタヌーンティーのメニューといったパーソナルなデータまでも、シュウは事細かに把握していた。
マサキが何処で道に迷ったかなど、シュウの情報網にかかればあっという間。その事実が癪に触ったようだ。不貞腐れた表情のまま、マサキが爪先でシュウの腹を突いてくる。
「なら、お前が連れて行けよ」
「そういうことでしたら、いつでも」
シュウの返答に疑わし気な眼差しを向けてきつつも、喜んではいるようだ。行き先、決めようぜ。声が弾むのを抑えきれずにいるマサキに頷き返してやりながら、シュウは新たなプリッツを求めて口を開いていった。
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